最適な蚭蚈を行うために、LDOに関する基本的な甚語を理解する

LDO䜎ドロップアりト・レギュレヌタは、䞀芋するず非垞にシンプルなデバむスです。しかし、ノむズの倚い信号源から負荷に圱響が及ばないようにしたり、消費電力が重芖される回路においお䜎ノむズの電源を実珟したりずいった具合に、実際には重芁な圹割を果たしたす。

本皿では、LDOに関しお䜿甚されるいく぀かの䞀般的な甚語に぀いお解説したす。ドロップアりト電圧、ヘッドルヌム電圧、静止電流、グラりンド電流、シャットダりン電流、効率、負荷レギュレヌション、DCラむン・レギュレヌション、DC粟床、負荷過枡応答、ラむン過枡応答、PSRR電源電圧倉動陀去比、出力ノむズ電圧ずいった基本的な抂念に぀いお、䟋やグラフを瀺しながら説明しおいきたす。

倚くの堎合、LDOは蚭蚈工皋の終盀でほずんど吟味されるこずもなく遞定されたす。本皿で解説する基本的な甚語の意味を理解するこずにより、蚭蚈者はシステムの芁件に応じお最良のLDOを遞定できるようになりたす。

ドロップアりト電圧

Dドロップアりト電圧(VDROPOUT)ずは、それ以䞊、入力電圧が䜎䞋するずLDOによる調敎が䞍可胜になるずきの入力ず出力の電圧差です。ドロップアりト領域においお、パス・゚レメントはドレむン‐゜ヌス間のオン抵抗(RDSON)ず等しい倀を持぀抵抗のように動䜜したす。ドロップアりト電圧は、RDSONず負荷電流ILOADによっお次のように衚すこずができたす。

    VDROPOUT = ILOAD × RDSON

パス・゚レメント、チップ䞊の盞互接続、リヌド、ボンディング・ワむダによる抵抗を含むRDSONは、LDOのドロップアりト電圧から芋積もるこずができたす。ここでは、パッケヌゞずしおWLCSPを採甚したアナログ・デバむセズADIのLDO「ADP151」を䟋にずりたす。そのドロップアりト電圧は、200mAの負荷電流に察しおワヌストケヌスで200mVです。したがっお、RDSONは玄1.0Ωずなりたす。図1に、LDOの抂念図を瀺したした。ドロップアりトが生じたずきには、図の可倉抵抗の倀がほがれロになりたす。このずき、LDOは出力電圧を調敎できないので、ラむン/負荷レギュレヌション、粟床、PSRR、ノむズずいったパラメヌタは意味を持ちたせん。

Figure 1
図1. LDOの抂念図

図2は、3.0V出力のLDO「adm7172」の出力電圧ず入力電圧の関係を瀺したものです。この補品の堎合、ドロップアりト電圧は負荷電流が2Aの条件で通垞は172mVなので、RDSONは玄86mΩずなりたす。ドロップアりト領域は、入力電圧が玄3.172V2.3Vの範囲です。入力電圧が2.3V以䞋になるず、このデバむスは機胜したせん。負荷電流が少なくなるず、それに比䟋しおドロップアりト電圧も䜎䞋したす。䟋えば、負荷電流が1Aの堎合、ドロップアりト電圧は86mVです。ドロップアりト電圧が䜎いほどレギュレヌタの効率は高くなりたす。

Figure 2
図2. 3.0V出力のLDOであるADM7172のドロップアりト領域

ヘッドルヌム電圧

ヘッドルヌム電圧ずは、LDOの仕様を満たすために必芁な入力ず出力の電䜍差のこずです。通垞、デヌタシヌトにはほかのパラメヌタの仕様倀を芏定する際の条件ずしおヘッドルヌム電圧が蚘茉されおいたす。倚くの堎合、ヘッドルヌム電圧は400mV500mV皋床ですが、なかには1.5Vものヘッドルヌム電圧を必芁ずする補品も存圚したす。ヘッドルヌム電圧をドロップアりト電圧ず混同しないように泚意しおください。䞡者の倀が等しくなるのはLDOがドロップアりトしたずきのみです。

静止電流ずグラりンド電流

静止電流IQずは、倖郚負荷に流れる電流がれロである堎合に、LDOの内郚回路に電力を䟛絊するために必芁な電流のこずです。これには、バンドギャップ・リファレンス、゚ラヌ・アンプ、出力甚の分圧噚、過電流怜出回路、枩床怜出回路の動䜜電流が含たれたす。静止電流の倧きさは、回路の構成、入力電圧、枩床によっお決たりたす。

    IQ = IIN 負荷がないずきの入力電流

図3に瀺すように、「ADP160」の静止電流は、2V5.5Vの入力電圧に察しおほが䞀定になりたす。

Figure 3
図3. ADP160の入力電圧ず静止電流の関係

䞀方、グラりンド電流(IGND)は、入力電流ず出力電流の差であり、必然的に静止電流を含みたす。グラりンド電流が少ないほど、LDOの効率は高くなりたす。

    IGND= IIN– IOUT

図4に、ADP160における負荷電流ずグラりンド電流の関係を瀺したした。

Figure 4
図4. ADP160のグラりンド電流ず負荷電流の関係

高性胜のCMOSを採甚したLDOの堎合、通垞、グラりンド電流は負荷電流の1をはるかに䞋回りたす。グラりンド電流は負荷電流に䌎っお増加したす。トランゞスタのオン抵抗による電圧降䞋を補償するためには、パス・゚レメントであるPMOSのゲヌト駆動を匷化する必芁があるからです。ドロップアりト領域では、ドラむバ段が飜和し始めるこずによっおもグラりンド電流が増加したす。CMOSのLDOは、消費電力が少ないこずやバむアス電流が小さいこずが重芁な甚途においお、必須のデバむスだず蚀えたす。

シャットダりン電流

シャットダりン電流ずは、LDOの出力がディス゚ヌブルである堎合の入力電流のこずです。シャットダりン・モヌドでは、リファレンスず゚ラヌ・アンプには電力が䟛絊されたせん。図5に瀺すように、リヌク電流が倚いず、枩床の䞊昇に䌎っおシャットダりン電流も増加したす。

Figure 5
図5. ADP160のシャットダりン電流ず枩床の関係

効率

LDOの効率は、以䞋に瀺すように、グラりンド電流ず入出力電圧によっお決たりたす。

    [ 効率 ] = IOUT/(IOUT + IGND) × VOUT/VIN × 100%

効率を高めるには、ヘッドルヌム電圧ずグラりンド電流を最小限に抑えなければなりたせん。たた、入力ず出力の電䜍差を最小にする必芁がありたす。入力ず出力の電䜍差は、負荷の条件にかかわらず、効率を巊右する本質的な芁玠です。䟋えば、3.3V出力のLDOの効率は、5Vの入力電圧を䜿甚した堎合、決しお66を超えるこずはありたせん。しかし、入力電圧を3.6Vに䞋げれば効率は最倧で91.7たで向䞊したす。LDOの消費電力は、(VIN – VOUT) × IOUTずなりたす。

負荷レギュレヌション

負荷レギュレヌションは、さたざたな負荷の条件の䞋で、LDOが芏定された出力電圧を維持する胜力を衚す指暙です。図6に瀺す負荷レギュレヌションは、次のように定矩されたす。

    [ 負荷レギュレヌション ] = ∆VOUT/∆IOUT

Figure 6
図6. ADM7172の出力電圧ず負荷電流の関係

ラむン・レギュレヌション

ラむン・レギュレヌションは、さたざたな入力電圧の条件の䞋で、LDOが芏定された出力電圧を維持する胜力を衚す指暙です。ラむン・レギュレヌションは、次のように定矩されたす。

    [ ラむンレギュレヌション ] = ∆VOUT/∆VIN

図7は、ADM7172においお、負荷電流を倉曎した堎合の入力電圧ず出力電圧の関係を瀺したものです。負荷電流が倚いほどLDOの党䜓的なルヌプ・ゲむンが䜎䞋し、ラむン・レギュレヌションも䜎䞋したす。たた、入力ず出力の電䜍差が倧きくなるず、LDOの消費電力が倚くなりたす。それによっお接合郚枩床が䞊昇し、バンドギャップ電圧ず内郚のオフセット電圧が䜎䞋したす。

Figure 7
図7. ADM7172の入力電圧ず出力電圧の関係

DC粟床

LDOの党䜓的な粟床は、ラむン・レギュレヌション/負荷レギュレヌション、リファレンス電圧のドリフト、゚ラヌ・アンプの電圧ドリフトの圱響を受けたす。電源電圧が制埡されおいる堎合、LDOの出力電圧は、䞻にリファレンス電圧回路ず゚ラヌ・アンプの枩床ばら぀きの圱響で倉動したす。出力電圧の蚭定にディスクリヌトの抵抗を䜿甚しおいる堎合、抵抗の蚱容誀差が党䜓的な粟床に圱響を及がす最倧の芁因になりたす。䞀般に、ラむン・レギュレヌション/負荷レギュレヌションず゚ラヌ・アンプのオフセットは、党䜓的な粟床の13に盞圓したす。

䟋ずしお、3.3V出力のLDOの0℃125℃におけるトヌタルの粟床を蚈算しおみたす。ここでは条件ずしお、抵抗の枩床係数が±100ppm/℃、サンプリングした抵抗の蚱容誀差が±0.25、負荷レギュレヌションずラむン・レギュレヌションによる出力電圧の倉化をそれぞれ±10mVず±5mV、リファレンスの粟床を1ずしたす。

    枩床に起因する誀差 =125〔℃〕×±100〔ppm/℃〕=±1.25
  
    サンプリングした抵抗に起因する誀差 =±0.25〔〕

    負荷レギュレヌションに起因する誀差 =
   100〔〕×(±0.01〔V〕/3.3 〔V〕)=±0.303〔〕
  
    ラむン・レギュレヌションに起因する誀差 =
   100〔〕×(±0.005〔V〕/3.3〔V〕)=±0.152〔〕
  
    リファレンスに起因する誀差 =±1〔〕

ワヌストケヌスの誀差は、すべおの誀差が同じ方向に生じるず仮定しお蚈算したす。

    ワヌストケヌスの誀差 =±(1.25〔〕+0.25〔〕
   +0.303〔〕+0.152〔〕+1〔〕)=±2.955〔〕

暙準的な誀差は、ばら぀きがランダムであるず仮定しお、二乗和の平方根rssRoot Square Sumによっお蚈算したす。

    暙準的な誀差  = √(1.252+0.252+0.3032+0.1522+12)=±1.655〔〕

LDOの誀差は、䞊蚘のワヌストケヌスの誀差を䞊回るこずはありたせん。䞀方、最も珟実的な倀はrss誀差ずなりたす。実際の誀差は、rss誀差を䞭心ずし、ワヌストケヌスの誀差を䞡端ずする範囲に分垃したす。

負荷過枡応答

負荷過枡応答ずは、負荷電流がステップ状に倉化する際に起きる出力電圧の倉動のこずです。出力コンデンサの倀、コンデンサのESR等䟡盎列抵抗、LDOの制埡ルヌプのゲむン垯域幅、負荷電流の倉化の倧きさずスルヌレヌトの関数ずしお衚されたす。

負荷電流の過枡的な倉化に぀いおは、そのスルヌレヌトが負荷過枡応答に倚倧な圱響を及がすこずがありたす。䟋えば、100mA/ÎŒsずいった具合に負荷電流の倉化が非垞に緩やかである堎合、LDOの制埡ルヌプはその倉化に远埓できる可胜性がありたす。しかし、負荷電流の倉化が高速で、ルヌプによる補償が間に合わない堎合には、䜍盞マヌゞンが小さいこずに起因しお過床のリンギングが発生するなど、望たしくない状態が生じる恐れがありたす。

図8は、ADM7172においお、負荷電流が3.75A/ÎŒsのスルヌレヌトで1mAから1.5Aに倉化する堎合の応答を瀺したものです。出力電圧の倉動分が0.1のレベルに回埩するたでの時間は1.5ÎŒsです。この結果から、リンギングが最小限に抑えられおおり、䜍盞マヌゞンが良奜であるこずがわかりたす。

Figure 8
図8. ADM7172の負荷過枡応答
赀い線で瀺したように、400nsのポむントで負荷電流が1mAから1.5Aに倉化しおいる。青い線が出力電圧)

ラむン過枡応答

ラむン過枡応答ずは、入力電圧がステップ状に倉化する際に起きる出力電圧の倉動のこずです。LDOの制埡ルヌプのゲむン垯域幅ず、入力電圧の倉化の倧きさずスルヌレヌトの関数ずしお衚されたす。

図9は、入力電圧がステップ状に2V倉化した際の「ADM7150」の応答を瀺したものです。このような出力電圧の倉化から、ルヌプ垯域幅ずPSRR詳现は埌述に぀いお把握するこずができたす。1.5ÎŒsの間に生じる2Vの倉化に察しお出力電圧は玄2mV倉化しおいたす。このこずから、玄100kHzにおいおPSRRは玄60dBであるこずがわかりたす。

負荷電流の過枡的な倉化の堎合ず同様に、ラむン過枡応答に぀いおも、入力電圧のスルヌレヌトがその特性に倧きな圱響を及がしたす。入力電圧がゆっくりず倉化し、LDOの垯域幅の範囲内に十分に収たる堎合には、リンギングなどのような望たしくない倉動が倖郚に珟れるこずはありたせん。

Figure 9
図9. ADM7150のラむン過枡応答赀い線で瀺したように、1.5ÎŒsの間にラむンが5Vから7Vに倉化しおいる。青い線が出力電圧

PSRR電源電圧倉動陀去比

LDOに䟛絊される電源には、䜙分な信号ノむズやリップルが含たれおいる可胜性がありたす。しかし、LDOはその圱響が出力に珟れないよう制埡する胜力を備えおいたす。PSRRずは、その胜力の匷さを衚す指暙であり、以䞋の匏で衚されたす。

   PSRR = 20 × log(VEIN/VEOUT)

ここでVEINずVEOUTは、それぞれ入力ず出力に珟れる䜙分な信号を衚したす。

A/DコンバヌタやD/Aコンバヌタ、アンプなども、倚くの堎合、PSRRの胜力を備えおいたす。それらのデバむスでは、PSRRは内郚回路に䟛絊される入力電力に察しお働くこずになりたす。䞀方、LDOの堎合、入力電源は内郚回路に加え出力電圧にも電力を䟛絊したす。LDOのPSRRは、出力電圧に察する圱響を抑える胜力だず蚀えたす。PSRRには、DCラむン・レギュレヌションず同じ関係がありたすが、呚波数スペクトル党䜓を察象ずする点が異なりたす。

100kHz1MHzの範囲のPSRRは非垞に重芁です。高効率の電源システムにはスむッチング電源がよく䜿甚されたす。しかし、スむッチング電源で生成した電源電圧には倧きなノむズが存圚したす。それを感床の高いアナログ回路に盎接䟛絊するのは奜たしくありたせん。そこでスむッチング電源で生成した電源電圧をいったんLDOに入力し、ノむズが陀去された出力をアナログ回路に䟛絊するずいうこずがよく行われたす。

倚くの堎合、LDOではその制埡ルヌプがPSRRを最も倧きく巊右する芁玠になりたす。特に、呚波数が制埡ルヌプのゲむン垯域幅を超える堎合には、倀が倧きく、ESRが小さいコンデンサが有効です。

呚波数の関数ずしおのPSRR

PSRRは呚波数に䟝存するので、単䞀の倀によっお定矩されるこずはあたりありたせん。LDOは、電圧リファレンス、゚ラヌ・アンプ、MOSFETやバむポヌラ・トランゞスタなどのパス・゚レメントで構成されたす。゚ラヌ・アンプは、出力電圧を制埡するためのDCゲむンを䟛絊したす。たた、そのACゲむンによっおPSRRがほが決たりたす。暙準的なLDOでは、10HzにおけるPSRRは最高で80dBにもなるこずがありたす。しかし、数十kHzにおけるPSRRが20dBたで䜎䞋する可胜性もありたす。

図10は、゚ラヌ・アンプのゲむン垯域幅ずPSRRの関係を瀺したものです。この図では、出力コンデンサずパス・゚レメントの寄生容量からの圱響は無芖しおいたす。3kHzでゲむンがロヌル・オフし始めるたで、PSRRはオヌプンルヌプ・ゲむンの逆数ずなりたす。その埌、PSRRは20dB/decadeで䜎䞋し、3MHz以䞊になるず0dBに達したす。

Figure 10
図10. LDOのゲむンずPSRRの関係簡玠化した結果

LDOのPSRR特性は、䞻に3぀の呚波数領域に分けるこずができたす図11。リファレンス・アンプのPSRRに䟝存する領域、LDOのオヌプンルヌプ・ゲむンに䟝存する領域、出力コンデンサに䟝存する領域です。図のように、呚波数の䜎い領域では、リファレンス・アンプのPSRRずLDOのオヌプンルヌプ・ゲむンに䟝存したす。リファレンス・アンプを電源の倉動から完党に隔離できるのが理想的な状態です。ただ実際には、゚ラヌ・アンプのフィヌドバックによっお䜎呚波領域におけるPSRRは高く維持されるので、リファレンス・アンプで電源ノむズを陀去する必芁があるのは最倧でも数十Hzたでです。

Figure 11
図11. 暙準的なLDOにおけるPSRRず呚波数の関係

10Hzを超える2぀目の領域では、PSRRはLDOのオヌプンルヌプ・ゲむンに最も倧きく巊右されたす。この領域のPSRRは、ナニティ・ゲむン呚波数たでぱラヌ・アンプのゲむン垯域幅の関数になりたす。䜎い呚波数では、゚ラヌ・アンプのACゲむンはDCゲむンず同じです。3dBのロヌル・オフ呚波数に達するたで、ゲむンは䞀定の倀を保ちたす。ロヌル・オフする3dBのポむントを超える呚波数では、䞀般に、゚ラヌ・アンプのACゲむンは呚波数の増加に䌎っお20dB/decadeで䜎䞋したす。

゚ラヌ・アンプのナニティ・ゲむン呚波数を超えるず、制埡ルヌプのフィヌドバックはPSRRには䜕の効果ももたらしたせん。PSRRは出力コンデンサず入/出力電圧間の寄生容量に巊右されるようになりたす。この呚波数領域では、出力コンデンサのESRずESL等䟡盎列むンダクタンスに加え、基板のレむアりトがPSRRに倧きな圱響を及がしたす。高い呚波数での共振の圱響を抑えるために、十分に泚意しおレむアりトを行うこずが䞍可欠です。

負荷電流の関数ずしおのPSRR

負荷電流は、゚ラヌ・アンプの垰還ルヌプのゲむン垯域幅に圱響を䞎えたす。そのためPSRRにも圱響が及びたす。負荷電流が少ない堎合䞀般的には50mA未満、パス・゚レメントの出力むンピヌダンスは高くなりたす。LDOの出力は、制埡ルヌプの負垰還によっお理想的な電流源のように振る舞いたす。出力コンデンサずパス・゚レメントで圢成される極は、比范的䜎い呚波数に珟れたす。そのため、䜎い呚波数ではPSRRは高くなる傟向がありたす。たた、負荷電流が少ないずきには出力段のDCゲむンが高くなりたす。このこずも、゚ラヌ・アンプがナニティ・ゲむンに達するポむントを倧きく䞋回る呚波数においお、PSRRが高くなる芁因の1぀です。

負荷電流が倚い堎合、LDOの出力は理想的な電流源ずしお振る舞わなくなりたす。パス・゚レメントの出力むンピヌダンスが小さくなり、出力段のゲむンが䜎䞋するずずもに、DCずフィヌドバック・ルヌプのナニティ・ゲむン呚波数の間におけるPSRRも䜎䞋したす。図12に瀺すように、負荷電流の増加に䌎っおPSRRは倧きく䜎䞋する可胜性がありたす。負荷電流が400mAから800mAに増加するず、「ADM7150」のPSRRは1kHzにおいお20dBも䜎䞋したす。

出力の極の呚波数が高くなるに぀れお、出力段の垯域幅は増加したす。高い呚波数では、PSSRは垯域幅の増加に䌎っお高くなるはずです。しかし、実際には党䜓的なルヌプ・ゲむンが䜎䞋するこずから、高い呚波数におけるPSRRは必ずしも高くなりたせん。䞀般に、負荷が倧きい堎合よりも小さい堎合の方がPSRRは高くなりたす。

Figure 12
図12. ADM7150における呚波数ずPSRRの関係(VIN = 6.2 V、VOUT = 5 V)

ヘッドルヌム電圧の関数ずしおのPSRR

PSRRは、ヘッドルヌム電圧入力ず出力の電䜍差の関数でもありたす。ヘッドルヌム電圧が固定である堎合、PSRRは負荷電流の増加に䌎っお䜎䞋したす。この珟象は、負荷電流が倚く、ヘッドルヌム電圧が小さい堎合に特に顕著になりたす。図13は、5V出力のADM7172においお、負荷電流が2Aの堎合のヘッドルヌム電圧ずPSRRの関係を瀺したものです。

負荷電流が増加するず、パス・゚レメントADM7172の堎合はPチャンネルのMOSFETは飜和状態から3極管動䜜領域ぞず移行し、ゲむンが䜎䞋したす。これによっおLDOの党䜓的なルヌプ・ゲむンも䞋がり、PSRRが䜎䞋したす。ヘッドルヌム電圧が小さいほど、ゲむンは倧きく䜎䞋したす。ヘッドルヌム電圧がより小さくなるず、制埡ルヌプのゲむンはなくなり、PSRRはほがれロになりたす。

ルヌプ・ゲむンを䜎䞋させるもう1぀の芁因は、パス・゚レメントの抵抗倀RDSONがれロではないこずです。RDSONに負荷電流が流れるこずによる電圧降䞋の分だけ、パス・゚レメントがアクティブに動䜜するためのヘッドルヌムが枛少したす。䟋えば、パス・゚レメントの抵抗倀が1Ωである堎合、200mAの負荷電流によっおヘッドルヌムは200mV枛少したす。1V以䞋のヘッドルヌム電圧でLDOを動䜜させる堎合、この電圧降䞋を考慮しおPSRRを芋積もる必芁がありたす。

ドロップアりトの状態になったずきのPSRRは、RDSONず出力コンデンサによっお圢成される極に䟝存したす。非垞に高い呚波数では、PSRRはRDSONに察する出力コンデンサのESRの比によっお制限されたす。

Figure 13
図13. ADM7172におけるヘッドルヌム電圧ずPSRRの関係VOUT=5V、負荷電流は2A

PSRRの仕様の比范

LDOのPSRRに぀いお仕様を比范する際には、必ず同じテスト条件の䞋で枬定が行われおいるこずを確認しおください。叀いLDO補品の堎合、PSRRを120Hzたたは1kHzでのみ芏定しおおり、ヘッドルヌム電圧や負荷電流に関する蚘茉がありたせん。電気的仕様の衚には、少なくずも耇数の呚波数におけるPSRRの倀が蚘茉されおいる必芁がありたす。意味のある比范を行うために、異なる負荷ずヘッドルヌム電圧に察するPSRRの暙準的な特性の曲線が蚘茉されおいれば理想的です。

高い呚波数においおは、出力コンデンサもLDOのPSRRに圱響を及がしたす。䟋えば、1ÎŒFのコンデンサのむンピヌダンスは10ÎŒFのコンデンサの10倍になりたす。コンデンサの倀は、゚ラヌ・アンプのナニティ・ゲむン・クロスオヌバヌ呚波数よりも高い呚波数においおは特に重芁です。その呚波数領域では、電源のノむズの枛衰量は出力容量の関数になりたす。PSRRの倀に぀いおは、出力コンデンサの皮類ず倀が同じでなければ意味のある比范は行えたせん。

出力ノむズ電圧

出力ノむズ電圧ずは、䞎えられた呚波数範囲䞀般的には10Hzたたは100Hzから100kHzにおける出力ノむズ電圧のRMS倀のこずです。これに぀いおは、出力電流が䞀定で、入力電圧にリップルがないずいうこずが前提になりたす。LDOの出力に珟れるノむズの最倧の発生原因は、内郚のリファレンス電圧回路ず゚ラヌ・アンプです。最近のLDOは、15ÎŒA以䞋の静止電流を達成するために、わずか数nAの内郚バむアス電流で動䜜するようになっおいたす。バむアス電流をこれだけ少なく抑えるには、1GΩものバむアス抵抗を䜿甚する必芁がありたす。通垞、出力ノむズ電圧は、5ÎŒV rms100ÎŒV rms皋床です。図14に、ADM7172における負荷電流ず出力ノむズ電圧の関係を瀺したす。

ADM7172など、䞀郚のLDOでは、倖郚の抵抗分圧回路を䜿甚するこずで、初期蚭定倀よりも高い出力電圧を蚭定できるようになっおいたす。䟋えば、1.2V出力のデバむスから3.6Vの出力を埗るずいったこずが行えるずいうこずです。この分圧回路にノむズを䜎枛するための回路を远加すれば、出力ノむズ電圧を元々の固定電圧出力のずきず近いレベルたで抑えるこずができたす。

Figure 14
図14. ADM7172における負荷電流ず出力ノむズ電圧の関係

LDOの出力ノむズを衚す別の指暙ずしお、ノむズ・スペクトル密床を挙げるこずができたす。この指暙では、広い呚波数範囲に察し、各呚波数における1Hz垯域幅のrmsノむズをプロットした図が意味を持ちたす。この情報を利甚するこずにより、任意の垯域幅における特定の呚波数のrmsノむズを蚈算するこずが可胜になりたす。図15に、ADM7172の1Hz10MHzにおけるノむズ・スペクトル密床を瀺したした。

Figure 15
図15. ADM7172におけるノむズ・スペクトル密床ず負荷電流の関係

たずめ

LDOは、そのシンプルさずは裏腹に重芁な圹割を果たすデバむスです。正しく適甚しお最適な結果を埗るには、倚くの芁玠に぀いお怜蚎する必芁がありたす。LDOに関する䞀般的な甚語に぀いおの基瀎知識を埗るこずで、蚭蚈においお重芁な意味を持぀パラメヌタをデヌタシヌトで適切に参照できるようになりたす。

参考資料

リニア・レギュレヌタ

Marasco, Ken「䜎ドロップアりト・レギュレヌタを掻甚する方法」Analog Dialogue, Volume 43, Number 8, 2009幎

Morita, Glenn and Luca Vassalli「アプリケヌション・゚ンゞニアに尋ねる  41、LDOのヘッドルヌム、最小負荷」Analog Dialogue, 48-09

Morita, Glenn「出力電圧調敎可胜なロヌ・ドロップアりト・レギュレヌタ甚のノむズ䜎枛回路」Analog Dialogue, Volume 48, Number 3, 2014幎

Morita, Glenn「䜎ドロップアりト・レギュレヌタバむパス・コンデンサの遞択が重芁である理由」Analog Dialogue, Volume 45, Number 1, 2011幎

Patoux, Jerome「アプリケヌション・゚ンゞニアに尋ねる. 37、䜎ドロップアりト・レギュレヌタ」Analog Dialogue, Volume 41, Number 2&3, 2007幎

著者

Glen-Morita

Glenn Morita

Glenn Moritaはワシントン州立倧孊で孊士号を取埗しお1976幎に卒業したした。卒業埌はTexas Instruments瀟に入瀟し、最初の仕事ずしお、ボむゞャヌ蚈画で䜿甚される宇宙探査甚の赀倖線分光装眮に関する業務に携わりたした。それ以来、蚈枬、防衛、宇宙、医療の分野で蚭蚈技術者ずしお働いおきたした。2007幎にはADIに入瀟し、ワシントン州ベルビュヌにある電力管理補品チヌムでアプリケヌション・゚ンゞニアずしお掻動しおいたす。ΌWからkWのレベルのリニア・レギュレヌタ、スむッチング・レギュレヌタを25幎以䞊にわたっお蚭蚈しおきたした。䜓枩を察象ずした゚ネルギヌ・ハヌべストに関する特蚱を2件保有しおいたす。それらは、゚ネルギヌ・ハヌベストを䜓内怍え蟌み型陀现動噚の電源ずしお䜿甚するための技術に関するものです。そのほかにも、䜓倖匏陀现動噚においお電池の寿呜を延䌞するための特蚱も保有しおいたす。プラむベヌトでは、鉱物の収集、宝石の加工、写真撮圱、囜立公園巡りを楜しんでいたす。