スイッチング・レギュレータと5つの1.1A LDOを一体化したμModuleレギュレータ:複数の低ノイズ・レールに使用するか、並列接続して熱を拡散し、5Aまでの電流を分担

LDOは、スイッチング・コンバータの出力でリップル除去用のポスト・レギュレータとしてよく使用されます。LDOポスト・レギュレータは、レギュレーションとトランジェント応答を改善することもできます。ポスト・レギュレータの出力電流供給能力に関する最大の制限事項の1つはLDOの温度上昇ですが、熱抵抗を別にすると、これは主にレギュレータの入出力間電圧差に依存します。LTM8001 µModuleレギュレータは、高効率の降圧スイッチング・コンバータで、その後段には個々の定格出力電流が1.1Aの5つの低ノイズLDOアレイが置かれています。熱を拡散して利用可能な出力電流を増やすため、LDOを並列に動作させることができるので、入力電圧と出力電圧のさまざまな組み合わせに対して、実装が容易ないくつかのオプションが設計者に与えられます。

LTM8001の特長の一部

降圧コンバータ

  • 入力電圧(VIN)範囲:6V~36V
  • 定電圧/ 定電流(CV/CC)出力
  • 最大出力電流:5A
  • 可変スイッチング周波数:200kHz~1MHz
  • 調整可能な出力電圧

LDO

  • 調整可能な出力電圧
  • スイッチング・レギュレータ出力に結線された3つのLDO
  • 2つの独立したLDO

LDOの並列接続による熱の拡散

LTM8001の内部LDOの通常の構成は、内蔵のスイッチング・コンバータの出力を後段で安定化するものです。LDOの温度上昇は、その出力電流に相対的に比例しますが、入出力間電圧差が大きくなるにつれて熱の発生量が増えます。入出力間電圧差が小さい場合、ドロップアウト電圧に近づくと、LDOはその定格出力電流付近で動作できます。したがって、スイッチング・レギュレータの出力は、出力電圧が最も高いLDOの最小入力電圧近くに設定するのが理にかなっています。

さらに、LDOが複数の出力電圧を発生する場合は、比較的出力電圧が低いLDO(つまり、入出力間の電圧差が大きいLDO)に合わせてLDOの出力電流をディレーティングし、過剰な温度上昇を防ぐ必要があります。それにもかかわらず、熱を拡散して電流供給能力を増やすためにLDOを並列接続すれば、ディレーティング後の電流を簡単に回復させることができます。図1および図2の回路は、出力電流を増やし、熱を拡散するためにLDOを並列に動作させる2種類の回路図を示しています。

図1.LTM8001の5つのLDOは、並列接続して動作する場合、単一の5A出力を供給できます。各LDOの入出力間電圧差は比較的小さい(500mV)ので、各LDOは定格の1.1Aに近い1Aで動作できます。

図1.LTM8001の5つのLDOは、並列接続して動作する場合、単一の5A出力を供給できます。各LDOの入出力間電圧差は比較的小さい(500mV)ので、各LDOは定格の1.1Aに近い1Aで動作できます。

図2.デュアル低ノイズ出力用に最適化された解決策。5V LDO出力の特長として入出力間電圧差が図1と同じ500mVと小さいので、LDO 1とLDO 2は定格電流付近で動作します。3.3V出力の入出力間電圧差の方が大きいので、3つの並列接続LDO(3、4、5)のそれぞれから供給可能な電流は330mAまでディレーティングされ、合計で1Aになります。

図2.デュアル低ノイズ出力用に最適化された解決策。5V LDO出力の特長として入出力間電圧差が図1と同じ500mVと小さいので、LDO 1とLDO 2は定格電流付近で動作します。3.3V出力の入出力間電圧差の方が大きいので、3つの並列接続LDO(3、4、5)のそれぞれから供給可能な電流は330mAまでディレーティングされ、合計で1Aになります。

2.5V/5Aレギュレータ

図1では、5つのLDOをすべて並列に束ねて単一の2.5V、5A出力を生成しています。この場合、LTM8001に内蔵のスイッチング・コンバータは、LDOの2.5V 出力より500mV高い3Vで出力を生成しています。この入出力間電圧差は、LDOがその定格負荷電流である1.1A近くで動作できるのに十分なほど小さい電圧です。入力電源が12Vのとき出力の最大電流は5Aです。500mVの電圧差は、パラメータ(目的の最大出力電流、デバイス間のばらつきを考慮した場合のドロップアウトの余裕、動作温度とトランジェント応答性能の影響)の組み合わせに基づいて選択しています。

低ノイズ向けに最適化されたデュアル出力レギュレータ

図2では、入力電源はやはり12Vですが、2つのLDO出力は5Vおよび3.3Vで発生させます。5V LDO出力の入出力間電圧差は図1と同じ500mVと小さいので、LDO 1とLDO 2は定格電流付近で動作します。3.3V 出力の入出力間電圧差の方が大きいので、LDO 3~LDO 5の出力電流は、それぞれ330mAまでディレーティングすることが必要です。しかし、これら3つのLDOを並列接続すると熱が拡散されるので、ディレーティングしたLDOから得られる出力電流の合計は1Aまで増加します。図3の熱画像は、図1および図2の解決策の比較対象となるLDOの温度を示しています。

図3.図1の回路(a)および図2の回路(b)で最大電流で動作しているときの比較対象となるLDOの温度を熱画像で示します。LTM8001の熱拡散に関する汎用性を示しており、幅広い種類の応用でも熱を拡散できています。

図3.図1の回路(a)および図2の回路(b)で最大電流で動作しているときの比較対象となるLDOの温度を熱画像で示します。LTM8001の熱拡散に関する汎用性を示しており、幅広い種類の応用でも熱を拡散できています。

BIASの設定

LDOへのBIAS 入力は、対応する最も高いLDO出力電圧より(ワーストケースで)1.6V高い必要があります。したがって、図1ではBIASの電圧をVIN から供給していますが、図2では5V出力LDOのBIAS 電圧をVIN から供給し、3.3V 出力LDOのBIAS 電圧は5.5V のスイッチング・レギュレータ出力(VOUT0)から供給しています。

出力ノイズの最適化

LDOを使用してスイッチング・コンバータの出力を後段で安定化することにより、低ノイズの電圧を生成できます。その理由は、スイッチング・コンバータ出力とLDOへのBIAS 入力の両方に存在する電圧リップルをLDOが除去するからです。図2の解決策は低ノイズ出力向けに最適化されています。スイッチング・コンバータ出力VOUT0およびLDO出力VOUT1~VOUT5の容量は、電圧リップルを最小限に抑えるよう最適化されています。VIN からのバイアス入力BIAS45はフィルタ処理されています。LDOリファレンスはノイズの発生源なので、SET1~SET5にはコンデンサを追加してLDOリファレンスをバイパスしています。図4は、図2のLDO1~LDO2の5V出力でのノイズ・スペクトラムの第1高調波のピークが–63dBmであることを示しています。

図4.図2の解決策は低ノイズ出力向けに最適化されています。5V出力は、第1高調波のピークが–63dBmのノイズ・スペクトラムを生成します。

図4.図2の解決策は低ノイズ出力向けに最適化されています。5V出力は、第1高調波のピークが–63dBmのノイズ・スペクトラムを生成します。

まとめ

LTM8001は高効率の降圧コンバータで、後段に5つのパッケージ内低ノイズLDOが配置されているので、出力電流供給能力は合計5Aです。LDOの出力を使用して、5種類の異なる出力電圧を発生させることも、さまざまな並列配置に組み合わせて大電流出力や熱拡散に対応することもできます。

Andy Radosevich

Andy Radosevich

Andy Radosevich is a senior applications engineer with Analog Devices, supporting Power by Linear™ nonisolated, dc-to-dc switching, and linear voltage and current regulators. Andy received an M.S.E.E. from San Jose State University, specializing in power electronics. He also has a background in motion control and light to mediummanufacturing processes. Andy is an avid public transportation commuter and often takes the bus to Silicon Valley engineering events.