electric car charging at public station
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Patrick Morgan
Patrick Morgan,

オートモーティブ担当バイス・プレジデント

アナログ・デバイセズ

新型コロナウイルス感染症で「電動化革命」は加速するのか?


電動化が広く普及した後の世界は、このような状態に変化するのかもしれません。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大前後の様子を捉えたインドの衛星画像。わずか2ヵ月の間に社会活動が著しく停滞しました。その結果、汚染物質の排出量が抑制され、空が澄み渡りました。

India polution levels before COVID-19
2017年~2019年3月25日~4月25日
India polution levels during COVID-19 lockdown
2020年3月25日~4月25日
Source: Reductions in Pollution Associated with Decreased Fossil Fuel Use Resulting from COVID-19 Mitigation. NASA, Scientific Visualization Studios.

新型コロナウイルス(新型コロナウイルス感染症)は、膨大な数の命を奪い、世界経済に急ブレーキをかけました。まだ世界中で戦いが続いてはいますが、同感染症の収束後の世界はどのようなものになるのか思い描けるようにもなっています。人とのかかわり方や、医療業界/サービス業界とのかかわり方に変化がもたらされることは間違いありません。ただ、新型コロナウイルスの危機がもたらす結果としてあまり議論されていない事柄もあります。それは環境への影響です。その影響は、意図的に生じるものではなく間接的にもたらされます。

パンデミックは、家の中だけでなく、車の中での健康状態や持続可能性への要求も加速させました。

Patrick Morgan

アナログ・デバイセズ オートモーティブ担当バイス・プレジデント

新型コロナウイルスの感染拡大のペースを抑えるために、世界各国は数ヵ月に及ぶ外出禁止令を発出しました。その意図とは別に、私たちは二酸化炭素(CO2)の排出量の大幅な削減によってもたらされる(カーボンニュートラルな)未来を垣間見ることになりました。外出禁止の期間には、路上の車両、水上の船舶、空中の航空機の稼働量が大幅に減少しました。その結果、人類が数十年にもわたって地球環境に及ぼし続けてきた悪影響が、かつてないほど鮮明に浮かび上がったのです。外出禁止令前後(パンデミックの前後)における環境への影響を示した写真やビデオは、センセーショナルな話題として瞬く間に拡散されました。例えば、インドのパンジャーブ州では、大気汚染の影響が低減したことで、150マイル(約240km)離れたヒマラヤ山脈を30年ぶりに1眺められるようになりました。また、ベネチアの水路では、水上の交通量と水質汚染が軽減されたことから、何年間も目にすることがなかった魚が泳ぐ姿2が目撃されています。更に北京、ニューヨーク、パリでは、CO2、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(N2O)の排出量が大幅に減少しました。

ひと時の出来事だったにせよ、自然は蘇ったのです。環境保全のために、インフラを含めた輸送手段を永久に停止するというのは実現不可能なことです。そうすると、間違いなく世界経済が破綻するからです。しかし、電動化を強力に推し進めれば、経済を維持しつつ、カーボンニュートラルな未来を実現することができるはずです。

電動化の中心に位置するのはEV

gas tank
「ロサンゼルスの自家用車やバスがすべて電動化されれば、空気は毎日澄み渡るだろうに。」

Leah Stokes氏

カリフォルニア大学サンタバーバラ校助教授(博士)

現在、世界では、持続可能で電動化された未来を目指す取り組みが進められています。その中心にあるのが電気自動車(EV:Electric Vehicles)です。世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)は、「2030年までに、電動化された乗用車の台数は2億1500万台に達するだろう。これは、その種の車の新規販売台数が2018年から2030年まで毎年23%の割合で増加するということを意味する」との予測を示しています。今後10年の間に、世界中でEVの普及率がそれだけ急速に高まるとすれば、それを支える技術に対する需要も大幅に増大するはずです。ほぼすべての国/地域では、EVを購入する場合の補助制度が更新されており、主要な自動車メーカーのすべてが車両の電動化を着実に進めています。世界中がリスクを顧みることなく電動化を推進しているのです。今こそ電動化技術の採用を加速するべきですが、それは一夜にしてなせることではありません。現在でも、電動化に関連するエコシステムには、EVの普及を妨げる多くの障害が存在しています。

「2030年までに世界のバッテリ需要は2523GWhに達する。そのうち2333GWhはEVで使用されることになるだろう。」

World Economic Forum (WEF)

今日の送電網は、EVの増加に伴って膨れ上がる需要に対応できるインフラだとは言えません。また、EV自体も、消費者の需要を駆り立てるために必要な、内燃エンジン車に匹敵する価格と性能を実現できているわけではありません。加えて、自動車メーカーは、すべての車両に電動化技術を適用するためのより効率的で費用対効果の高い方法を模索している段階にあります。更に、EV用バッテリをリサイクル/再利用するための現行のプログラムは、広範な普及を保証できるほど、コストとリソースの面で効率的なものではありません。使用済みのEV用バッテリは、第二の用途(セカンド・ライフ)でリサイクル/再利用しなければ、ほとんどが産業廃棄物と化してしまいます。電動化の普及は、環境に優しい未来をもたらすというコンセプトに基づいています。使用済みバッテリは、このコンセプトにそぐわない存在なのです。

本稿では、電動化を推進する上で課題となる3つの要素について解説していきます。3つの要素とは、以下に示すものです。

  • インフラ(送電用のシステム)
  • オペレーション(車の走行距離、充電時間)
  • セカンド・ライフ(バッテリの再利用)

インフラ:電動化された未来を支える

ESS、BFT、バッテリ・ケミストリ

EVをはじめとする電動化技術 の普及予測に支えられ、エネルギー・ストレージに対する世界的な注目が高まっています。電動化が進むと、既存の送電網に大きな負担がかかる可能性があります。そこで、蓄電システム(ESS:Energy Storage Systems)を利用して送電網の安定化を図ろうという動きが本格化しています。蓄電システムでは、大容量のバッテリをバッファとして使用します。それにより、再生可能エネルギー源でオフピーク時に生成された電力を貯蔵しておき、いつでも供給できるようにします。その結果、特に需要が高まるピーク時に、すべてのユーザーや、EVの充電を含むすべての用途に対応することが可能になります。蓄電システムを利用する場合、電力を消費する負荷の近くに多数のバッファを配置できることになります。そのため、送電線や発電所を増設することなく、既存の送電網を使ってより多くの電力を供給することが可能になります。つまり、インフラのアップグレードによって生じるコストを抑えられるということです。

今後は、上記のような形で様々な再生可能エネルギー源が送電網に統合され、蓄電システムによる蓄電量が増えていく見込みです。BNEF(Bloomberg NEF)は、「2030年には、追加された蓄電量のうち65%が様々なグリッド・サービスを提供するために利用されるようになる。残りの30%は一般家庭や商業/工業施設で使用され、5%はEV用のインフラで使用される」と予測しています。

BFT(Battery Formation and Test: バッテリの組み立て、テスト)は、EV用バッテリの製造における重要な工程です。バッテリが性能や安全に関する重要な基準を満たすかどうかはこの工程にかかっています。当然のことながら、基準を満たさないバッテリは使用できません。EVで使用する場合にも、後の他の用途で再利用する場合にも、電力効率に悪影響が生じるからです。BFTの工程では、24~36時間にわたって電流と電圧を厳格に制御しなければなりません。適切な速度と高い精度で処理を行わなければ、バッテリのセル内の活性化学物質に損傷が及び、容量と耐用年数が大幅に減少してしまうおそれがあります。

そもそも難易度の高いBFTの工程を、更に複雑にする問題も存在します。装置やバッテリのメーカーは、新たなバッテリ・ケミストリがもたらす課題に直面しています。新しい化学物質に対しては、非常に厳しい製造条件の下、より高い精度で電気的な計測が行えるようにする必要があります。しかも、その計測は設備投資費を一定の範囲内に収めつつ実施できるようにしなければなりません。加えて、製造規模を迅速に拡大するためには、既存のBFT設備のフットプリントを縮小する必要があります。

electric vehicle batter with transparent car body
40%
EVの店頭表示価格に占めるバッテリ関連コストの割合

バッテリ・ケミストリとしては、LFP(LiFePO、リン酸鉄リチウム)などの重要性が高まると考えられます。Co(コバルト)をベースとするケミストリであれば、LFPよりも10~20%高いエネルギー密度を達成できる可能性があります。しかし、Coは環境に対する毒性が強いという問題を抱えています。その採掘は物議をかもしている状況にあり、人権侵害に関連付けられた紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)の1つに挙げられています。現在の消費ペースが続けば、Coの世界埋蔵量は2030年までに枯渇する可能性があります。一方のLFPは、コストが安く、バッテリに穴が開いた場合や熱暴走が生じた場合の安全性が高いという長所を備えています。その性能は10年以上にわたる製造実績によって十分に実証されており、主要な自動車メーカーは第一の選択肢として扱っています。

オペレーション:EVが主流になるための鍵

今日のEVは、車種によっては60~400マイル(約97km~644km)もの航続距離を実現しています。つまり、通勤などの短距離の走行に利用する分には何の問題もありません。充電時間は設備の種類にもよりますが、30分~12時間程度です。したがって、家庭で充電することも可能です。しかし、更に広くEVを普及させるためには、更に航続距離と充電時間を改善する必要があります。また、EVの市場規模は今後10年間で10倍に成長すると予想されています。莫大な数のEVに電力を供給するには、高性能のバッテリを監視/管理/維持できるようにするために、より効果的なバッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)が必要になります。

battery packs zoomed in
1回の充電で走行できる距離を最大化するためには、BMSで使用される電子デバイスに対し、車両の耐用期間を通して動作条件の全体にわたる精度を最大限に高めることが求められます。

燃料タンクのような単一構造のものとは異なり、EVのバッテリ・パックは、互いに連携する数百~数千のバッテリ・セルで構成されています。1回の充電で走行できる距離を最大化するには、バッテリ・パックに流入/流出する電力に応じ、非常に高い精度で厳密にセルを管理する必要があります。バッテリのコストのうち、電子デバイスのコストが占める割合はほんのわずかです。しかし、それらの電子デバイスは、航続距離、安全性、コストを左右する重要な要素です。例えば、15年にも及ぶ車両の寿命を通して利用可能なバッテリの容量を最大値に維持するには、極端な温度、電磁ノイズを含むあらゆる動作条件や過酷な環境に対して精度を保証しなければなりません。最先端のセルでは2mVの精度が得られていますが、400V~800Vのバッテリ・パックを構成する各セルにおいてその精度を保証する必要があるということです。また、安全性を確保するためには、世界中のあらゆる安全基準に完全に準拠することを目指して慎重に電子デバイスを設計する必要があります。世界中の安全基準も絶えず進化を続けているので、単にASIL-Dの要件を満たせばよいというわけではありません。このような背景から、バッテリの革新的な機能アーキテクチャを開発することも求められます。

この分野の革新的な技術としては、ワイヤレスのBMSが挙げられます。アナログ・デバイセズは、有線のBMSで使用される既存のコンポーネントを基盤としてワイヤレス・バッテリ管理システム(WBMS: Wireless BMS)を開発しました。これを採用すれば、セルを互いに接続するワイヤ・ハーネスが不要になります。それにより、設計/開発にかかるコストを削減できます。それだけでなく、ワイヤ・ハーネスに伴う機械的な課題や複雑さも取り払えます。加えて、バッテリ・パックの設計におけるモジュール性とスケーラビリティも高まり、複数の車種で設計を再利用することが可能になります。更に、各バッテリ・モジュールはワイヤレスで接続するので、セルが組み立てられた時点から、保管や組み込みを経て車両内で使用されるまでの期間を通して、データを収集/保存することが可能になります。そのため、バッテリの劣化状態(SoH:State of Health)を算出し、バッテリ・パックを後どれだけ使用できるのか確認することができます。その結果、バッテリに関するコストを低減できます。また、ストレージやリサイクルなどのアプリケーションで、より効率的にバッテリを再利用することが可能になります。このことは、メーカーや車両の所有者にとってのコストが全体的に削減されるということを意味します。それに加えて、環境に対する影響を緩和することにもつながります。

セカンド・ライフ:バッテリの再利用で、電動化に関する自律的なエコシステムを構築

energy storage room
エネルギー・ストレージの市場は、2035年までに年間売上高で5460億ドル(約58兆円)の規模にまで成長すると予想される。
出典:Global Energy Storage Market 2019 report

EVの普及が望まれる理由の1つは、内燃エンジンや化石燃料よりも環境に優しいからです。しかし、EVには明らかな弱点があります。その弱点とは、自動車に給電できるだけの電荷を蓄積できなくなったときに、重さが0.5tにも達するバッテリをどう処置すればよいのかというものです。

この疑問に対しては、現時点ではリサイクルするというのが一般的な答えになります。つまり、CoやLiといった材料の一部(すべてではない)を回収する処理を施すということです。ただ、このリサイクルにはコストがかかります。また、これに関する規制は設けられておらず、明確に定義されたサプライ・チェーンも存在しません。このような背景から、IER(Institute for Energy Research)は、「2019年に約5万5000個であったEV用のバッテリの廃棄数は、2025年までに340万個以上にまで増加する」と予想しています。

リサイクルに代わる選択肢(正確には暫定的な措置)として浮上しているのがバッテリの再利用です。車載リチウム・イオン・バッテリの充電容量は、8~10年間使用すると当初の70%~80%まで低下します。そうすると、もはや車両への電力供給には耐えられず、交換が必要になります。使用済みのバッテリは増加の一途をたどっていますが、それにより全く新たな市場機会が生み出されています。それがセカンド・ライフ・バッテリ(またはバッテリ・セカンド・ライフ)です。

セカンド・ライフ・バッテリとして利用することにより、バッテリの使用期間は更に5~10年伸びる可能性があります。どれだけ伸ばせるかは、車載バッテリとして使用されていたときにどのように扱われていたのかによります。WBMS技術を適用すれば、バッテリに関するデータを継続的に収集し、クラウドに送信して保存することができます。それにより、履歴データをきめ細かく記録/管理することが可能になります。BMSの機能をワイヤレスで利用できるため、車内で使用される前の段階からセルのデータを収集することができます。

自動車でバッテリを使用する際には、SoHを把握するための計算を実施します。その結果は、走行条件や環境条件に応じて継続的に更新されます。このデータは、バッテリ・パックにどれだけ蓄電できるかを知るための信頼できる判断基準になります。そのバッテリ・パックを後どれだけ使用できるかが明らかになり(全体的なコスト削減につながります)、バッテリ・セルのセカンド・ライフの方向性も定まります。

ADI wireless battery management systems solution diagram

WBMSを利用すれば、バッテリのセカンド・ライフとそれ以降のライフサイクルを簡素化できます。WBMSは持続可能な未来に向けて業界全体を前進させる革新的な技術です。

バッテリの販売者は、セカンド・ライフで再利用する前に、各バッテリのデータを使用して詳細なSoHの履歴を作成することができます。それを基に購入者と販売者の双方がバッテリの価値を評価できるようにすれば、適正な価格での取引が可能になります。

McKinsey & Companyは、「まだ使える(EV用)バッテリの再利用先を見つければ、多大な価値を創出することができる。また、蓄電コストを抑え、再生可能エネルギーをより緊密に送電網に統合することにつながる」としています3。EV用のバッテリは、その用途に適した性能を維持できなくなった後も、低下した性能に見合ったセカンド・ライフとしてESSで再利用することができます

電動化に関連するエコシステム

現在の世界は、より環境に優しく持続可能な未来に向けて進んでいます。それにあたっては、電動化に関連するエコシステム全体に及ぶ影響と障壁について考察することが重要です。1つの領域だけに気をとられていたのでは、環境に優しい未来を築くことはできません。アナログ・デバイセズは、電動化に関連するエコシステム、インフラ、オペレーション、セカンド・ライフの各側面について理解し、エコシステム全体の進化を推進するソリューションを開発しています。それにより、世界中にカーボンニュートラルな未来をもたらすという目標に向けて、固有の地位を確立しています。

バッテリのエコシステム全体にわたるイノベーション

3D icon denoting maximum performance

まずは性能を最大化

非常に精度が高い包括的なテストにより、バッテリの性能を最大限に高めます。また、非接触のデータ伝送によって、テスト・システムのフットプリントを50%削減します。

3D icon denoting battery performance

バッテリの寿命の延伸

バッテリの在庫管理にセルの先進的な測定に基づく洞察を適用することにより、バッテリの寿命を30%延伸します。

3D icon denoting safety

安全性と信頼性の保証

正確な制御とモニタリングを可能にする設計により、最も厳しいASIL Dの認証取得を実現します。

3D icon denoting modularity

モジュール性と柔軟性の提供

一連のWBMSソリューションにより、自動車メーカーはセルを互いに接続するワイヤ・ハーネスの設計/配線から解放されます。加えて、自社のバッテリ・パックの設計にモジュール性、スケーラビリティ、柔軟性を持たせることができます。

3D car wheel icon

航続距離の延伸

バッテリ・セルのパラメータを非常に正確かつ安定した状態で測定することにより、バッテリ・パックの使用可能容量を安全かつ確実に増加させます。それにより、航続距離を最大15%延伸することが可能になります。

3D wrench icon

保守の簡素化

バッテリの使用期間を通して個々のセルをきめ細かくモニタリングすることにより、保守と保証の問題を簡素化します。

3D dollar bills stacked

付加価値の増大、コストの削減

WBMSを利用すれば、バッテリの残量を評価するプロセスを高速化したり、その規模を拡大したりすることが可能になります。その結果、セカンド・ライフ・バッテリのアセンブリ・コストを15%削減することができます。

3D blue lighting bolt icon

オフグリッドの地域に対する電力供給の支援

バッテリの状態/履歴のデータは、セカンド・ライフ・バッテリの再利用可能な容量値を証明するために使用されます。例えば、EVで使用していたあるバッテリに350kWの電力を安全に充電可能であることを保証できたとします。その場合、オフグリッドの地域への電力供給に使われる太陽光エネルギーを蓄積するために、そのバッテリを再利用することができます。

クリーンで健康的な未来を目指して

私たちの生活は電気によって成り立っています。病院、学校、家、街灯、通信など、あらゆるものが電力を供給する能力に依存しています。都市に初めて電線が張り巡らされてから100年以上の時が過ぎ、電力業界は第2の革命を目指しています。具体的には、送電網に電力を供給するために使用する燃料の組み合わせを変更すると共に、配電システムそのものを集中型から分散型へと移行しようとしています。それによって図られる均衡の先に、健全な地球、健全な人類が存在します。

粒子状の物質による大気汚染は、世界中すべての男性、女性、子供の平均寿命を2年近く短縮する

シカゴ大学 エネルギー政策研究所Air Quality Life Index®

化石燃料を燃焼させて電力や熱を生成することは、地球温暖化につながります。温暖化の原因の半分は、この生成処理によるものだと言われています4。セカンド・ライフ・バッテリという形でバッテリを再利用すれば、資源の枯渇を抑え、環境に対する毒性を低下させることができます。また、ESSを利用すれば、太陽光発電や風力発電による余剰電力を局所的に貯蔵することが可能になります。その電力を、需要の高い電力網向けに販売する仕組みを整えれば、電動化された未来がもたらすであろうメリットを享受できる可能性が高まります。内燃エンジン車をEVに置き換えていくことにより、都市部における大気汚染を50~90%抑えることができます。

電動化された未来は、大人から子供まで、すべての人々がより健康的な生活を送り、汚染のない環境で最大限の可能性を発揮する機会をもたらします。そのような未来はすぐそこにあるのです。

電動化に関する参考資料

電動化に関する記事やビデオをご覧ください。

使用済みのEV用バッテリは、別の用途で再利用することで蘇ります。それにより、先進的なESSに電力を蓄積するという進化が得られます。その効果について学ぶ機会をぜひ設けてください。環境を保護しつつEVに電力を供給するために、新たなバッテリ・ケミストリを正確かつ効率的に管理する方法を解説した資料も存在します。また、先進的なWBMSの仕組みについて学ぶことは、環境の面で持続可能で、経済の面でも実現可能な数十億米ドル規模の市場を開拓/創造する上で役に立つ可能性があります。加えて、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによって生成された余剰電力を、後で使用できるように貯蔵する方法も理解するべきです。そうすれば、送電網の安定性に関する難易度の高い問題を解決し、数兆米ドルものコストを削減できる可能性が生まれます。その結果、地球のより良い管財人として社会に貢献できるでしょう。


1Rob Picheta「People in India can see the Himalayas for the first time in 'decades,' as the lockdown eases air pollution(ロックダウンにより大気汚染が改善、数十年ぶりにインドからヒマラヤ山脈の眺望が可能に)」CNN、2020年4月9日

2Melissa Locker「Video Captures Gliding Jellyfish Visible in Venice's Canals as Italy Remains on Lockdown(ベネチアの運河を泳ぐクラゲ、ロックダウンが続くインドで撮影)」Time、2020年4月22日

3「Second-Life EV Batteries: The Newest Value Pool in Energy Storage(EV向けバッテリの再利用――エネルギー・ストレージによる最新のバリュー・プール)」McKinsey & Company、2020年4月30日

4David Biello「How to Solve Global Warming: It's the Energy Supply(地球温暖化をどう食い止めるか――その答えはエネルギー供給にあり)」Scientific American、2014年4月14日