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Engineer repairing an automatic robot arm in automotive, smart factory
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未来の工場を支えるワイヤレス・コネクタ、Phoenix Contactが産業用途向けに開発


産業分野のメーカーは、変化する顧客のニーズ、カスタマイズの要件、短期化する製品のライフ・サイクルに迅速に対応しなければなりません。今日の工場では、柔軟性の高い製造手法とワイヤレスの接続手法が求められています。そうした要求に応えるために必要になるのが保守を必要としないコネクタです。それにより、製造プロセスや製造装置の再構成、改変、置換を容易に実現できるようにすることが求められているのです。その結果として、コストとダウンタイムの削減という大きな効果を得られるようになります。しかし、工場の製造フロアに配備されている装置の大半は、未だに従来型のコネクタを採用しています。それらのコネクタは、使用期間が長くなるにつれて摩損していきます。その結果、部材のコストや生産性に影響が及ぶことになります。

コネクタを排除することができたとしたら、工場はどのように変化するでしょうか。まず、ロボットのサブシステム間では命令/コマンドがワイヤレスで送信されるようになります。また、製造に必要なツールセットや設定を迅速かつ効率的に変更できるようになります。その結果、製造速度が向上し、コストが低減されます。このような工場は、遠い未来のものなのでしょうか。「そうではない」と強く主張しているのがPhoenix Contactです。同社は、産業用オートメーション、インターコネクション、インターフェースなどを対象としたソリューションの市場を牽引する企業です。特に、高精度のコネクタを実現する専門的な技術を有していることで知られています。

Phoenix Contactは、高速化に対応可能な産業用のワイヤレス・コネクタにより、製造分野を大きく前進させるというビジョンを掲げています。しかし、製品を迅速に市場に投入してその目標を達成するためには、ミリ波(RF)に関する専門技術を有するパートナーが必要だと考えていました。同社は、産業分野のイノベーターです。しかし、その同社をもってしても、この課題に単独で立ち向かうのは容易ではないからです。コンパクトで極めて遅延が小さく、プロトコルに依存しないミリ波対応のソリューションをベースとしたワイヤレス・コネクタを開発するにはどうすればよいのでしょうか。そのような検討を実施した結果、共同開発を行うにふさわしいパートナーとして選ばれたのがアナログ・デバイセズです。当社は、このドメインに関する専門知識や専門技術を有していることで知られています。Phoenix Contactが標榜する次世代の技術は、産業分野のニッチかつ新たな市場を切り拓くものです。その技術を実現すれば、産業用のワイヤレス・コネクタを非常に大きな規模で配備できるようになります。したがって、大規模な収益も期待できます。

Phoenix Contactの概要

事業内容

Phoenix Contactは産業用オートメーション技術のリーディング企業である。主力製品としては、高精度のコネクタが挙げられる。この分野において、次世代のワイヤレス技術の最先端に位置している。

アプリケーション

産業、自動車、製造、装置などの分野を対象とし、ロボットとツールセットを接続するためのワイヤレス・コネクタ/ソリューションを開発する。

課題

電力とデータを同時に伝送できるワイヤレス製品を開発し、コンパクトなソリューションとして市場に提供する。電力については競合他社の2倍の性能を実現し、データについては有線と同程度の性能を達成する。

目標

従来の製造システムを、より柔軟性の高いワイヤレス・システムへと大きく進化させる。そのシステムは、あらゆるイーサネット・プロトコルをサポートしつつ、データと電力を同時に伝送するための能力を備えるものとする。このコンセプトを具現化するために、他に類を見ない産業用のソリューションを開発する。

80%
保守に要する時間の中で、故障した部品や装置への対応に費やされる時間が占める割合
出典:IBM
Connector wear-and-tear is found in the auto manufacturing process
自動車の製造プロセスで用いられるコネクタは、長時間使用すると、摩耗が生じたり損傷したりするという問題を抱えています。ロボット・アームの先端のツールセットを変更するために、1日に数百回もコネクタの嵌合が行われます。

Phoenix Contactで通信用のインターフェース製品のマーケティングを担当するBenjamin Fiene氏は、「ツールセットを変更するために何度も嵌合を行うと、接続部分に『バーン・オフ』が生じます。それにより、コネクタの耐用期間は大きく短縮されます。また、絶えず交換が行われることによって、コネクタは汚れたり折れ曲がったりします」と語ります。その上で同氏は「この問題は、予測不能な計画外のダウンタイムにつながります。定期的に予防保全を行おうとすると、そのコストはすぐに数百万米ドルのレベルに達してしまいます」と指摘します。

Detailed visualization of connector wear-and-tear
ロボット・アームとコネクタの位置合わせは、高い精度で行わなければなりません。

工場の過酷な環境でコネクタを使い続けると、信頼性が低下すると共に寿命が近づいてきます。したがって、定期的な保守を行うことが必要になります。また、コネクタのプラグとソケットを接続する際には、正確な位置合わせを行わなければなりません。この位置合わせに失敗すると、繊細な端子が簡単に破損してしまいます。コネクタの位置合わせにずれが生じた場合には、接続部分が折れ曲がってしまうこともあります。そうすると、コネクタのアセンブリ全体を直ちに交換しなければならなくなり、製造ラインにダウンタイムが生じることになります。

Wireless connectors are contactless and never touch.
Phoenix Contactが考案したワイヤレス・コネクタは、非接触で通信用の接続を実現します。従来のコネクタとは異なり、カプラを互いに任意の方向から近づけたり、回転させながら近づけたりすることが可能です。このコネクタを採用すれば、予測不能なダウンタイムを削減できます。その結果、大きなコスト削減を図ることが可能になります。

課題

Phoenix Contactは、100年近くの歴史を持つ企業です。6万種もの製品から成るポートフォリオを有しており、産業用オートメーションの分野に精通しています。同社が目標として掲げているのは、産業分野における生産性の向上と保守コストの削減を実現できる製品を提供することです。この目標を達成するために、同社はロボットからツールまでの効率的なデータ伝送を可能にする高速ワイヤレス通信のソリューションを実現したいと考えました。それに向けての最大の課題は、適切なワイヤレス技術を見いだすことでした。

Phoenix Contactは、理想的なワイヤレス・ソリューションとして、次のようなものを想定していました。まず、従来よりも高速な送受信を実現し、リアルタイム通信に対応できるようにします。また、ライセンスフリーで利用できるようにすると共に、ネットワークにおける干渉を回避可能なものとします。更に、標準的な産業用イーサネット・プロトコルのすべてをサポートします。同社は、このようなワイヤレス・ソリューションを、コンパクトなフォーム・ファクタで実装するという目標を掲げました。そのためには、ICのレベルを超えて、システム全体の設計上の課題に対応可能なソリューションが必要でした。

「1 + 1 > 2」を実現するコラボレーション

Frank Hakemeyer
「当社は、最終製品としてどのようなものを実現するのかということについては、明確なビジョンを持っていました。それに向けて、独自のワイヤレス・コネクタの開発と製造にまさに取り掛かろうとしていました。しかし、詳細な検討を行ったところ、RF技術に強いパートナーの協力を得なければ、当社のビジョンを具現化するのは難しいということがわかりました。更に検討を進めた結果、アナログ・デバイセズこそが、そのパートナーとしてふさわしいという結論に達したのです。」

Frank Hakemeyer

Phoenix Contact、通信インターフェース担当マーケティング/開発ディレクタ

Phoenix Contactの通信インターフェース担当マーケティング/開発ディレクタを務めるFrank Hakemeyer氏は、「中核となるコンセプトは、理論のレベルでは固まっていました。また、完成した製品がどのように動作するべきなのかということも明確になっていました」と述べています。その上で、同氏は次のように続けました。「アナログ・デバイセズからICを購入し、接続用のアンテナと共にそれを設計に組み込むという選択肢もあったのかもしれません。しかし、それは当社のコア・コンピテンシを逸脱した領域の取り組みになると考えました。当社は、産業用イーサネットをベースとする通信についてはエキスパートのレベルにありますが、GHz帯の無線通信は専門外です。その領域にも足を踏み入れ、すべてを自社で行おうとすると、多大な時間を要すことは明らかでした。コア・コンピテンシ、製品を市場投入するまでにかかる時間という2つの要因によって、適切なパートナーと連携するという結論が導き出されたのです」。

Phoenix Contactは、長年にわたってアナログ・デバイセズとの提携を結んできました。そこで、この案件についてもアナログ・デバイセズからの協力を得ることにしました。つまり、RF領域全般を対象とする専門技術の提供をアナログ・デバイセズに求めるということです。具体的には、最良の技術を特定し、RFシステム全体を共同で設計して、次世代の産業用ワイヤレス・コネクタ向けにカスタマイズされた完全なデータ・リンクを実装することを求めました。その結果として、Phoenix Contactが目標に掲げるワイヤレス・ソリューションを実現するということです。

2017年8月、Phoenix Contactはこの件についてアナログ・デバイセズに話を持ちかけました。自社のビジョンについて明確に説明した結果、ミリ波に対応する当社のトランシーバー・チップセットのテストを実施することになりました。

アナログ・デバイセズのスタッフ・フィールド・アプリケーション・エンジニアであるAnton Patyuchenkoは、「2018年4月、世界最大級の製造業見本市『Hannover Messe』の場で、Phoenix Contactからこの件についての話を初めて聞きました」と振り返ります。「話の内容は、同社のワイヤレス・コネクタ製品に当社のトランシーバー・チップセットを採用するための検討を行っているというものでした。検討の対象になっていたのは、Vバンドに対応するトランシーバー・チップセットの第1世代品でした」(Patyuchenko)。

そのチップセットを構成するのは、トランスミッタの「HMC6300」とレシーバーの「HMC6301」でした。これらは、もともとはスモール・セルのバックホール・アプリケーション向けに開発されたものです。両製品には、その用途に必要な中核的な機能が独自の組み合わせで実装されています。それらの機能を活用すれば、Phoenix Contactの要望を満たせる可能性がありました。すなわち、広帯域に対応し、遅延を極めて小さく抑えて、タイム・センシティブな産業用システムの要件に対応できる可能性があったということです。

Patyuchenkoは、当時のやり取りを経て次のような考えに至ったことを明かしています。「Phoenix Contactと技術的な議論を交わしていく中で、この案件はシステム全体の設計を行う一大プロジェクトに発展しそうだということに気づきました。システム全体を設計する場合、お客様がニーズを正確に伝えてくれることを期待するのは適切なアプローチだとは言えません。そうではなく、開発プロセスの初期段階から積極的な立ち位置で関与する必要があります。協業相手としてふさわしい価値を生み出し、問題の解決と探求に対して協調的に取り組むには、Phoenix Contactのアプリケーションについて徹底的に理解することが必須です。それは、どの半導体メーカーでもできることではありません」。

その後、両社の間では電話や対面でのやり取りが繰り返されました。アナログ・デバイセズのチームはPhoenix Contactの施設に何度も赴き、アイデアについて議論し、測定を行い、質問に答えました。そのようにして、同社のチームとの協調関係を深化させていきました。

1年間にわたる計画を経た2019年8月、Phoenix Contactはアナログ・デバイセズから提案された技術の開発にゴーサインを出しました。当社は、この領域を専門とするフィールド・アプリケーション・エンジニアをプロジェクトに割り当てました。それだけでなく、様々な分野から選出した6人を中心とするプロジェクト・チームを技術グループ(TG:Technology Group)のレベルで立ち上げました。その後は、隔週でプロジェクト会議が開催されました。

このような取り組みの結果として生まれたのが、ワイヤレスで有線に匹敵する性能を達成する産業分野向けの新たなイノベーションでした。

産業向けのワイヤレス・ソリューション

Phoenix Contactの完全なワイヤレス・コネクタのソリューションは「NearFi」と名付けられました。このカプラは、データ・リンク、電力リンク、ベースバンド・エレクトロニクスに相当する3つの主要な機能ブロックで構成されます。また、それらすべてがコンパクトな設計として統合されています。そのため、最終的な製品は数多くの産業用アプリケーションにシームレスに導入できるものとなりました。このプロジェクトにおいて、アナログ・デバイセズはデータ・リンクの部分の開発を担当しました。Phoenix ContactのNearFi Technologyを活用することで、アップリンクとダウンリンクのデータは双方向で同時に伝送することができます。つまり、全二重動作が可能です。NearFi Technologyは、5Gの500倍の高速応答を実現します。これは、遅延は生じないと言い換えることができます。

Phoenix Contact向けの完全なソリューション

アナログ・デバイセズでシニア製品マーケティング・ディレクタを務めるChris O'Neillは「当社は、Phoenix Contactの要件に基づいて新製品を開発しました。同社からは、ターゲットとなるアプリケーションの主要な仕様が提示されました。また、当社のプロトタイプのテストを実施してくれました。そのテストは、当社がシステムの問題点を特定して解消する上で非常に役に立ちました」と述べています。

アナログ・デバイセズはRFに関する専門技術を活かし、既存のトランシーバー・チップセット(HMC6300/HMC6301)と2つの専用アンテナを、単一のラミネート基板上に統合しました。また、それに対応する専用のプリント基板も開発しました。その目的は、Phoenix Contactに対して完全なカスタム・ソリューションを提供することです。そのプリント基板は、ラミネート基板に電力を供給すると共に、ベースバンド部と装置の間のインターフェースとして機能します。このようにして完成したのが、「ADMV9611」と「ADMV9621」です。これらは、60GHzに対応する完全なデータ・リンクのソリューションです。Phoenix ContactのNearFiは、このソリューションを採用することで実現されています。

Chipset visual - ADMV9611/ADMV9621

完全なデータ・リンクがもたらすメリット

アナログ・デバイセズが開発したデータ・リンクは、データの相互接続を実現します。その機能をコンパクトかつ高い費用対効果でターゲットとなるアプリケーションに提供できることから、より少ないコストでより高い性能を達成することが可能です。遅延の小さい通信を実現するワイヤレス・ソリューションは他にも存在します。しかし、アナログ・デバイセズのデータ・リンクであれば、以下のような大きなメリットを得ることができます。

Immune to electromagnetic interference

電磁干渉に対する耐性

あらゆる電磁干渉に対して高い耐性を発揮します。また、保守が不要であり、非常に信頼性の高い高速データ伝送を実現できます。

Immune to contaminated environments

汚染された環境に対する耐性

埃っぽく汚染された産業環境においても、信頼性の高い通信を維持することができます(そうした環境内でも、通信先を見通す能力を備えています)。光を利用する高速ワイヤレス・リンクの場合、埃によって通信が遮られる可能性があるため、このことは重要なメリットになります。

Handles misalignments

位置ずれへの対応

大きな位置ずれが生じていたり、トランシーバー同士の距離/間隔が大きかったりする場合でも、通信が中断することなく正常に動作します。

Protocol agnostic

プロトコルに依存しない

あらゆる種類のイーサネット・プロトコルに対応するように設計/実装されています。プロトコルへの依存性は一切ありません。

Permits coupler co-existence

複数のカプラの共存が可能

非常に狭い空間内に、複数のNearFiや60GHzを使用する他のアプリケーションが存在していても問題ありません。

プロトコルに対する非依存性は、ビジネス上の大きなメリットに

産業用イーサネットの分野では、IEEE 802.1 TSN(Time Sensitive Networking)が策定されるなど、飛躍的な進化が続いています。ただ、そうした変化によって、アナログ・デバイセズが開発したデータ・リンク技術の有用性が影響を受けたり、陳腐化が促進されたりすることはありません。このワイヤレス・ソリューションは、新たな設計や改良されたプロトコルに常に対応して通信を実現します。そのため、この技術は長期的な投資対象として非常に優れていると言えます。

「当社が開発したデータ・リンクのソリューションは、ターゲットとなるアプリケーションに対してコンパクトかつ費用対効果の高い相互接続の手段を提供します。また、再構成の可能性(リコンフィギュアビリティ)が高く、革新的な手法を採用していることから、斬新なアプリケーションのコンセプトを具現化する際の極めて有力な選択肢になり得ます。」

Anton Patyuchenko

アナログ・デバイセズ、スタッフ・フィールド・アプリケーション・エンジニア

適用可能なアプリケーション

Renewable energy: Windmills

現在、Phoenix Contactは、生産ラインで広く採用されている回転テーブル機構など、回転スリップ・リングを介したデータと電力の伝送にNearFiを活用しようとしています。そうした回転テーブル機構は、食品/飲料業界ではボトルの充填機、製造業界では自動車の組み立て工場、通信分野では空港の管制塔で使われる回転アンテナ、再生可能エネルギーの分野では風車のブレードなどで利用されています。回転ツールや回転機械では、配線は使用できません。回転によって配線がねじれてしまうからです。静止しているものと回転するものを接続することが必要な産業分野のアプリケーションでは、配線は実用的なものではないということです。そのため、配線の代わりに、ブラシやフィラメントで構成した電気機械式の接点が使用されています。

通常、そうした接点には機械的な摩耗が伴います。また、それらを製造するには精密な工程を用意しなければなりません。つまり、コストや故障率が高いという欠点を抱えているということです。Phoenix ContactのNearFiであれば、大まかな位置合わせを行うだけで、信頼性が高く摩耗のない伝送が行われることが保証されます。また、NearFiを使用すれば、回転アセンブリの回転を伴う接続部を介してデータと電力の伝送を行うことが可能です。この技術は、ターゲットとなるアプリケーション領域とビジネス・チャンスを拡大させる力を秘めています。

新たなデータ・リンク技術がゲーム・チェンジャに

アナログ・デバイセズとPhoenix Contactの協調的なパートナーシップにより、業界の流れを一変させるデータ・リンク技術が生み出されました。それを利用すれば、任意のプロトコルに対応し、伝送時の遅延が実質的に生じない状態で機能する産業環境向けの高速ワイヤレス通信を実現できます。また、このパートナーシップを通して、ADMV9611/ADMV9621という新たなスタンドアロンの製品も誕生しました。幅広い産業用途に使用することができる製品です。

ただ、ここまでの流れは、ほんの始まりにすぎません。このソリューションは、配線を使うことなく有線と同等の性能を達成するという画期的な特徴を備えています。アナログ・デバイセズは、このソリューションによって、これまでは存在しなかったニッチな市場に参入することができます。そうした市場は、ビジネスの面で大きな可能性を秘めています。

実際、当社はこの完全なデータ・リンク・ソリューションの導入先についての調査を始めています。その代表的な候補としては、CT(Computed Tomography)スキャン装置などの画像処理機器を利用する医療分野が挙げられます。

Young male nurse preparing patient for CT scan test in examination room
米国では、CTスキャン装置を使用した検査が年に8000万回以上も行われています。

それ以外にも、組み立て用のロボットや産業分野で使われる製造装置の市場も候補になり得ます。また、ガラス材や液体を介して伝送を行うといった具合に、通常のコネクタでは対応が不可能なアプリケーションも存在します。そうしたワイヤレス・コネクタを必要とする潜在的なアプリケーション領域によって、莫大な規模の収益の機会がもたらされるはずです。

将来を見据えて

革新的な技術を生み出したり、最終的なアプリケーションで使われるソリューションを開発したりする際には、様々な課題に直面します。そうした障壁は、1つの企業が単独で乗り越えられるものではありません。製品を迅速に市場に投入して早期に収益を生み出すためには、各ドメインに関する深い知識と専門的な技術を有し、協調的な関係を築くことが可能なパートナーを選択する必要があります。

アナログ・デバイセズで産業用オートメーション/エネルギー担当のゼネラル・マネージャを務めるMark Barryは「当社はPhoenix Contactと連携し、同社向けにカスタマイズされたソリューションを構築しました。それだけでなく、広範な顧客層と様々な市場を対象としたアプリケーションも共同で開発しました。技術を進化させ、業界全体を前進させるためには、このような協調的なパートナーシップが必須です」と語ります。

現在、アナログ・デバイセズやPhoenix Contactのような先進的な企業は、協力、参加、共有によって成り立つ真に協調的なパートナーシップを結ぶことに力を注いでいます。それにより、互いにとって有益なビジネス上の成果を生み出しつつ、影響力の大きい完全なソリューションを構築するための取り組みを加速させているのです。

「当社は、極めて遅延の小さいワイヤレス通信を実現するというビジョンを掲げていました。そのためには、ミリ波帯のワイヤレス通信技術に長けたパートナーが必要でした。そのパートナーとしてふさわしいのは、アナログ・デバイセズであると確信していました。」

Martin Müller

Phoenix Contact、オートメーション・インフラ部門担当バイス・プレジデント