Engineers study an augmented reality factory
Engineers study an augmented reality factory
 

SIGNALS+ ニュースレター登録

Signals+はコネクティビティ、デジタルヘルス、モビリティ、スマートインダストリーに関する最新情報をお届けします。

プライバシー設定は、Analog DevicesからのニュースレターまたはmyAnalogの設定ページから、いつでも変更いただけます。

プライバシー設定 個人情報保護とセキュリティに関する方針 その代理店

ありがとうございます。ご登録のメールアドレスにお送りしたメールを確認し、ニュースレター登録を完了させてください。

世界中の人々の生活に影響を与える、画期的なテクノロジーに関する最新情報をタイムリーにお届けします。

閉じる
Joe Barry
Joe Barry,

バイス・プレジデント ワイヤレス通信担当

アナログ・デバイセズ

5G対応のワイヤレス・ネットワークが、未来の工場の中心的な存在に


5Gに対応するワイヤレス・ネットワークの普及が進みつつあります。この動きが更に広がれば、私たちの仕事や日常の暮らしには大きな影響がもたらされるはずです。5Gを導入するにあたっては、通信インフラの改革が必要でした。それにより、民生向けのアプリケーションや、デジタル・ヘルスケア、スマート・シティ、輸送といったあらゆる領域に対し、4G/LTEが導入されたときよりも、はるかに大きなインパクトがもたらされることになります。なかでも、最も大きな変革が成し遂げられるのは、おそらく産業用オートメーションの分野です。つまりは、インダストリ4.0が具現化されるということです。

IHS Markitは、「世界中で5Gの展開が始まっても、産業用施設や工場では有線のネットワーク・インフラが主流の座を維持する」との予測を示しています1。確かに、産業用イーサネットであれば、速度と信頼性の面で優れた接続性が得られます。しかし、物理的な柔軟性と帯域幅の面で制約があることも事実です。

今後も、スマート・ファクトリはよりスマートなものへと進化していくはずです。その際には、ワイヤレス・ネットワークが本質的に必須の要素になるでしょう。とはいえ、有線ネットワークからワイヤレス・ネットワークへの移行は非常に複雑な作業です。ひと言で産業界といっても、お客様ごとに、組織の文化のダイナミクスや財政状況、イノベーションに対する意欲などはまちまちです。そのため、ワイヤレスへの大がかりな移行を遂行する力には差があります。

5Gのネットワークがもたらす経済的な効果

$139
5Gによるプライベート・ネットワークの市場規模(2028年までの予測値)²
$3.4
5Gを利用した製造業の売上高
(2035年までの予測値)³

技術とインフラの劇的な変化

現在生じつつある劇的な変化の中心にあるのがワイヤレス技術です。5Gのワイヤレス・ネットワークでは、4Gまでとはアーキテクチャが大きく異なります。4Gのネットワークは、非常に厳格に構築されます。一般的には、マクロ・セルの基地局と、主にプロプライエタリなハードウェアを使用する柔軟性に欠けたコア・ネットワークで構成されます。また、RF信号を区域内の全ユーザーに放散する従来型の伝送モデルを採用しています。

Diagram of 4G base station’s rigid network structure
厳格に構築された4Gのネットワーク

一方、5Gのネットワークは、4Gと比べて5倍のスペクトル効率を達成します。その背景には、高度なビームフォーミング技術があります。この技術を活用することで、特定のユーザーや場所に狙いを定めることができ、4Gと比べてはるかに多くの無線機に対応することが可能になるのです。当然のことながら、サイズや消費電力を増加させることなく通信密度を上げようとすると、複雑さは増大します。

Diagram of 5G base station’s flexible network structure
対象となる無線機の数が増えれば複雑さが増します。しかし、可能性も増大します。

vRANがもたらす大転換

アナログ・デバイセズは、根本的な変化をもたらすべく様々な取り組みを進めています。それらのうちの1つが、プロプライエタリで固定化された無線アクセス・ネットワーク(RAN:Radio Access Network)から、仮想RAN(vRAN:Virtual RAN)への移行を進めるというものです。具体的には、5Gをベースとする特定用途向けのハードウェアを、ソフトウェア定義型のハードウェアへと置き換え、進化させることを目指しています。その結果、ネットワークの運用と管理に必要な処理の大部分はクラウド側で行われるようになります。そのようにすることで、無線ユニット、デジタル・ユニット、セントラル・ユニット、コア・ネットワークといったハードウェアが個々に分離されることになります。それにより、5Gの基地局の構築/配備方法が大きく変化します。

vRANのメリットは、全く新たなユース・ケースに対応できることです。ネットワークを分割する手法(スライシング)を導入することによって、そのようなことが可能になります。ネットワークにスライシングを適用すれば、用途に非常に特化した形で帯域を利用できるようになります。つまり、異なるアプリケーションや異なるユーザーの個々のニーズに応じたチューニングを実施できるということです。

5Gのワイヤレス・ネットワークでスライシングを効率的に活用する

5Gに対応するワイヤレス・ネットワークは、以下に示すような短中期的な要件に基づいてスライシングされます。

1. eMBB(Enhanced Mobile Broadband)

携帯電話端末において、超高精細(UHD)の動画をストリーミングできるようにします。従来型のワイヤレス・ネットワークで、保証されたスループット、従来よりもはるかに広い帯域幅、より大容量のデータのダウンロードを可能にするということです。

2. mMTC(Massive Machine Type Communications)

スマートフォンに加え、スマート・ホームやスマート・シティで使用される膨大な種類の機器を対象とし、大規模なマシン間接続を実現します。

3.URLLC(Ultra Reliable Low Latency Communications)

ドローン、自動運転車、産業用ロボットなど、安全性が最優先されるアプリケーションに対応します。

Applications distributed across network slices

インダストリ4.0の未来については、5Gが鍵を握っていると言えます。程度の差はあれ、上に挙げた3種の実装によって支えられることになるからです。製造フロアの作業員には、ネットワークのスライシングをどこでどのように行うかを決定する権限が与えられます。それにより、負荷の条件などに基づいてリソースを動的に割り当てることが可能になります。

普及速度を妨げる要因

Shipping vessels in port overlaid with network mesh

産業分野への5Gの導入は、港、空港、物流拠点などから始まると考えられます。その後、工場や倉庫といった場所や、輸送、建設、公共事業、採鉱といった分野へ瞬く間に拡大していくと予想されます。5Gが急速に普及するということは、高度な接続性を備えた環境が構築されるということを意味します。安全性、生産性、費用対効果が高いその環境内では、人間とロボットが共存できます。それにより、コストの削減、信頼性の確保、製造効率の向上が実現可能になります。結果として、世界中の工場施設にわたり、5Gに対応する非常に安全性の高いワイヤレス・ネットワークの開発/配備に必要な投資の基盤が得られることになります。

5Gに対応するワイヤレス・ネットワークの成長には目を見張るものがあります。しかし、業界が掲げる目標を達成するためには、克服しなければならない一連の課題が存在します。課題の1つは、主要なモバイル通信事業者の間に市場投入に関する明確な戦略が存在しないことです。通信事業者は、産業分野のメーカーが関わる契約の70%以上に関与していないと推定されています。もう1つの課題は、通信事業者とMSP(Managed Service Providers)の間にシステム統合についての認識にずれがあることです。このことは、メーカーが5Gによるプライベート・ネットワークの早期導入を進めようとする際、それを遅らせる要因になるおそれがあります。また、MSPにとっては、スケーラビリティに関連して自社のネットワーク運用部門のサポート体制を確保するのが難しいという問題があります。更に、完全なサービスの統合に必要なエンジニアリング、調達、構築のサービスも明らかに欠如しています。

エコシステムによる普及の促進

Factory worker and cobots overlaid with network mesh

産業分野における5G対応のネットワークの導入について、準備段階から本格的な実施段階へと移行させるためにはどうすればよいのでしょう。特に、最終的に必要な規模での導入を実現しつつ、高いコスト効率を得るにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、「アナログ・デバイセズには何ができるのか」という観点からその答えを用意しました。当社は、ICとIP(Intellectual Property)のレベルのコラボレーションを通して巨大なエコシステムに属しています。多くの標準化団体や作業部会に参画し、委託製造業者、5G対応システムのインテグレータ、通信事業者と積極的に議論を行っています。

そうした取り組みを通して、当社はRF/無線設計を簡素化したり、価格の高いFPGAを減らしたり不要にしたりすることで、SWaP(サイズ、重量、電力)やコストに関する難易度の高い課題を克服しています。ワイヤレス機器については、スモール・セルやマクロ・セル、MIMO(Multiple Input Multiple Output)、シングル/デュアル/トライバンドなどの形態に応じて様々なフォーム・ファクタが存在します。当社は、共通のハードウェア/ソフトウェア・プラットフォームを開発することで、迅速かつ大規模な配備を可能にし、製品/サービスを市場に投入するまでの時間を短縮しています。

5Gに対応するワイヤレス・ネットワークは、統合性や相互運用性を拡大する可能性を秘めています。それに向けた取り組みはまだ始まったばかりです。そうした可能性を現実のものにするためには、エコシステムを育む必要があります。その上で、エコシステムを構成するすべてのメンバーが達成したいと望むビジョンを共有しなければなりません。加えて、エンジニアリングとビジネスに関する課題に対し、共通のアプローチを追求していくことが求められます。

Joe Barryによる解説「5Gにより、工場のネットワークをワイヤレス化」のビデオはこちらから


このビデオでは、産業環境のワイヤレス化を実現する技術の進化について説明しています。


1IHS Economics & IHS Technology「The 5G economy: How 5G technology will contribute to the global economy(5Gの経済:5G技術がグローバル経済にもたらす影響)」
IHS Markit(https://cdn.ihs.com/www/pdf/IHS-Technology-5G-Economic-Impact-Study.pdf)

2「Private 5G Network Market Size Worth $13.92 Billion By 2028 | CAGR: 40.9%(5Gによるプライベート・ネットワークの市場規模は、2028年までに139億2000万ドル相当に)」
Polaris Market、2021年6月14日 (https://www.polarismarketresearch.com/press-releases/private-5g-network-market)

3「The 5G Economy(5Gの経済)」IHS Markit