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      O-RANと5Gがもたらす未来、エコシステムの存在が重要に


      Greg Henderson

      O-RANとネットワークのディスアグリゲーションは、5Gの事業を推進する通信業界に大きな影響を与えます。これに関する5つの重要な疑問に、アナログ・デバイセズのシニア・バイス・プレジデント、Greg Henderson(博士)が答えます。Hendersonは、車載、通信、航空宇宙/防衛の各分野を担当しています。

      このインタビュー記事は、Boston Business Journalが主催したイベント「Network Disaggregation: Disruption & Opportunities in Communications」でGreg Hendersonが述べた内容を基に作成したものです。

      1. なぜこの時期に、ネットワークのディスアグリゲーションを目指す動きが起きているのでしょうか? それも踏まえて、O-RANの未来についての見解をお聞かせください。

      Henderson:5Gでは、ネットワーク全体のうち、かなりの部分が仮想化される可能性があります。プロプライエタリなハードウェアとソフトウェアを、カスタムのインターフェースを介して動作させるのではなく、ネットワークの多くの部分を仮想化し、オープンなインターフェースを介してコンピュータ上で実行できるようになるということです。つまり、従来よりもはるかにオープンなネットワーク・アーキテクチャが提供されるようになります。O-RANのビジョンは、オープンかつ標準化されたインターフェースと仮想化を組み合わせることにより、ネットワークを構築する上での柔軟性を高め、いくつものベンダーが参入できるようにするというものです。オープンなインターフェースが提供されることから、エコシステムに加わったベンダーは、より多様な機能を備えるネットワークを開発できるようになります。一方、通信事業者には、新たなネットワーク機能、新たなビジネス・モデル、サプライ・チェーンのレジリエンス、ネットワークをより急速に進化させる機会がもたらされます。

      2. 現時点で、O-RANにはどのような課題がありますか?

      Henderson:O-RANには、固有の課題が伴います。ただ、それらの課題はベンダーのコミュニティにとっては機会(チャンス)をもたらすものでもあります。O-RANでは、複数のベンダーが提供する製品の間で相互運用性を確保することが基本的かつ大きな課題になります。異なるサプライヤから提供された数多くの要素によって構成されるネットワークが、あらゆるユース・ケースにわたり、5Gのネットワークに期待される性能や堅牢性を発揮できるようにしなければなりません。そのためには、3つの領域で取り組みを進める必要があります。1つは、オープンなネットワークを実現するための規格に関する取り組みです。インターフェースを慎重かつ明確に定義し、すべての機器がその規格の範囲内で適切に動作できるようにしなければなりません。アナログ・デバイセズは、O-RAN Allianceの主要なワーキング・グループに参画し、規格の策定を支援すると共に、それに基づくリファレンス設計を開発しています。必要な取り組みの2つ目は、相互運用性に関するものです。異なるベンダーから提供される製品の相互運用性を確実に実現することは、エコシステムの一員であるわれわれの義務だと言ってよいでしょう。アナログ・デバイセズは、システム・インテグレータ、DU(Distributed Unit)のベンダー、ネットワークのテスト用装置のプロバイダと連携し、Low-PHY(下位の物理層)とDUの間の相互運用性の確保に努めています。3つ目の取り組みは、パートナーシップの構築です。5G向けのO-RANのような先進的なソリューションを開発する場合、キャリア・グレードの性能を備える製品を市場に提供するために、エコシステムにおいて多くのパートナーシップを構築する必要があります。アナログ・デバイセズは、RU(Radio Unit)向けに主要なソリューションを提供しているという立場から、シグナル・チェーンの構成要素や周辺要素を提供するサプライヤとの間で直接的に関係を構築しています。例えば、ソリューションの開発についてはIntelやMarvell Technologyと提携しています。また、相互運用性を確実かつ完全に確保できるようにするために、Keysight Technologiesをはじめとするテスト装置のプロバイダとも提携しています。そうした協調的な取り組みによって、エコシステムの繁栄に必要なパートナーシップを構築しているということです。規格の策定、相互運用性の確保、パートナーシップの構築という3つの取り組みを推進することにより、O-RANが抱える課題を克服し、この業界を成功に導くことができると当社は考えています。

      3. O-RANの成功を示唆するエコシステム内の初期の兆候としては、どのようなものがありますか?

      Henderson:O-RANの成功を示唆する兆候が現れている領域は2つ存在すると考えています。1つは通信事業者の領域です。最近では、O-RANに対応するネットワークの導入などに関する興味深いニュースが舞い込んできています。通信事業者が計画を実行に移すにつれて、世界中で更なる進展が見られるようになるでしょう。例えば、楽天は5Gに対応するO-RANネットワークの実装を進めています。そのグリーンフィールドの実装は、仮想化コアに対応するネットワーク構築の素晴らしい成功事例だと言えるでしょう。このような先例は、Dish Network、Telefónica、Vodafone、Orangeなど、自社のネットワークに不可欠な要素としてO-RANに取り組むことを表明している通信事業者にとって励みになる兆候だと言えます。成功の兆候が現れているもう1つの領域は、ソリューションそのものです。また、その開発を支えるベンダーのコミュニティにも成功の兆候が現れていると言えるでしょう。具体的には、「split option 7-2x」に即して機能と性能が最適化されたRUとDUが増加しつつあります。O-RANのインターフェースを対象とし、ビームフォーミングやベースバンド処理を担う機器が設計/開発されています。これらは成功の兆候だと言えます。アナログ・デバイセズは、O-RANを成功に導くために、この領域に対して投資を行っています。また、2022年に提供予定のLow-PHY向けベースバンドICを既に発表しています。更に、split option 7-2xに対応する完全なMassive MIMO(Multi Input Multi Output)のソリューションとリファレンス設計を開発するために、Marvellと提携したことも明らかにしています。パートナーとの連携に基づいて開発したそれらの製品は、消費電力が少なく費用対効果の高いRUソリューションの実現につながるはずです。このように、O-RANに固有の要件を満たすためにカスタムで設計された製品やチップセットが市場に登場しつつあります。もちろん、5Gの要件を満たすためには、高い性能も実現しなければなりません。

      4. RUにとって、仮想化はどのような意味を持つのですか?

      Henderson:ネットワークの多くの部分は仮想化することができます。但し、すべてを仮想化できるわけではありません。OSI(Open Systems Interconnection)モデルに基づくプロトコル・スタックについて考えてみると、最下層がPHY層と呼ばれることには理由があることがわかります。現実の世界とデジタル・コンテンツをつなぐのは、その部分だということです。そして、RUは基本的に物理層に存在し、現実の世界やRF帯域に接続する役割を果たします。そのため、RUには仮想化できない要素が存在します。またLow-PHYには、仮想化はできるものの、それが効率的な実装にはなり得ない機能が含まれています。実際、無線機能を効率的に実装するには、適切なハードウェアを構築しなければなりません。仮想化は行えず、ハードウェアとして用意しなければならない無線の要素が存在する一方で、RUの周辺には仮想化できるアーキテクチャもあります。RUとのインターフェースとして標準的かつオープンなデータ・モデルを使用することで、RU内のオープンなソフトウェア/処理アーキテクチャに管理プレーンを実装することができます。つまり、無線の多くの部分がハードウェアであったとしても、仮想化に対応したインターフェースを設けることは可能です。それらのデータ・モデルと管理プレーンは、仮想化を図ればオープンな存在として利用することができます。そうすれば、そのオープンなソリューションにおける重要な要素としてRUを位置づけることが可能になります。

      5. ディスアグリゲーションが商用ネットワークの規模に達したとき、どのようなことが最大の機会としてもたらされますか?

      Henderson:O-RANでは、オープンな標準インターフェースに基づき、エコシステム内の任意の企業が提供する機器を使用してネットワークが構築されます。つまり、ネットワークが特定のサプライヤによってエンドtoエンドで構築されるわけではありません。このことから、ネットワークのエンド・ユーザにも多くの機会がもたらされることになります。特にプライベート・ネットワークにおいては、エンド・ユーザに対し、ニーズに応じてネットワークを調整するための数多くのオプションが提供されるようになります。これについては、そのネットワークがユーザ企業によって構築されたものなのか、通信事業者から提供されたものなのかは関係ありません。例えば、港湾を管理するアプリケーションには、広大かつオープンなエリアをカバーしつつ、コンテナなどの大きな移動体からの干渉に耐えられるネットワークが必要になります。また、採鉱などのアプリケーションではネットワーク環境が常に変化し、見通し線が限られる閉じた空間において、ナビゲート用の信号が必要になるケースが多いと言えます。そのような場合には、また異なるニーズが生じます。一方、オートメーションが適用された工場では、遅延とセキュリティが最も重要な要素になるかもしれません。アナログ・デバイセズは、相互運用性と柔軟性を備えたオープンなネットワークにより、そうした多様なアプリケーションを対象とした新たなサービスを開発する機会が企業にもたらされることを認識しています。また、それぞれに固有のニーズについて理解した上で、適切なソリューションを提供するために、エコシステムを構成する様々なパートナーと密に連携しています。通信分野のエコシステムに属する企業と通信技術を利用するユーザには、非常に大きな機会がもたらされるはずです。