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BOWERS & WILKINSのノイズキャンセリング・ヘッドフォン


多くの電器店では、1つの通路すべてがノイズキャンセリング・ヘッドフォンで占められています。数十億ドル規模となったヘッドフォンの市場は、依然として速いペースで拡大を続けています。それでは、このように利益が大きいながら非常に競争の激しい環境の中で、すでに確立されたオーディオ・ブランドが差別化を図り、市場シェアを獲得するためには何が必要でしょうか。

ハイエンド・オーディオ製品のメーカーであるBowers & Wilkinsは、特色ある一連のスピーカ・システムで有名ですが、同社は、サウンド・エンジニアリング、高性能、低消費電力などの点で傑出した製品を提供することが、この問いへの答えであると信じています。Bowers & Wilkinsは、その長年の技術パートナーであるアナログ・デバイセズの協力により困難な技術的課題を克服し、より多くのユーザに同社のシグネチャー・サウンドを届けることに成功しました。アナログ・デバイセズとBowers & Wilkinsは、互いに協力することによって適応型ノイズキャンセリング・ワイヤレス・ヘッドフォンの新たなシリーズであるPX5、PX7、P14を市場に送り出し、リスナーに最高の音楽を提供しています。

トピックの概要

事業内容

Bowers & Wilkinsは、50年以上にわたって世界をリードしている高性能オーディオ製品メーカーです。

アプリケーション

高精細ホーム・スピーカ・システム、ヘッドフォン、カスタム設備、および高性能カー・オーディオ製品

課題

低消費電力技術の採用によるバッテリ寿命の延長、遅延の減少、および高性能の維持

目標

Bowers & Wilkinsのシグネチャー・サウンドに関して妥協をすることなく業界をリードするノイズキャンセレーションを実現し、比類のないパーソナル・ミュージック・リスニング体験を提供する。

新たな市場の軌跡

Bowers & Wilkinsは、市場のドラムビートの変化に気付ける耳を持っていました。アナログのオーディオ・ジャックを備えたヘッドフォンは廃れていく運命にあったのです。この世界的なトレンドに拍車をかけたのが、効率的な充電式バッテリ電源と、ノイズキャンセレーションを含む様々な機能をヘッドフォンに組み込むことを可能にする「アクティブ」技術でした。

この中でBowers & Wilkinsが関心を寄せたのは、後者のノイズキャンセレーションと市場動向の変化でした。かつてこのようなヘッドフォンを使用していたのは、そのほとんどが航空機で頻繁に行き来をするユーザでしたが、列車やオフィス、場合によっては家庭においても、周囲や他の人々から自分を隔離して自分自身の個人的空間を作り出し、そこに浸るためにヘッドフォンを利用する若いユーザがどんどん増えつつありました。Bowers & Wilkinsは、都市圏の拡大、通勤時間の延長、そしてデジタル情報やデジタル・エンターテイメントの質の向上と量の増加などにつれて、この傾向はより強くなると予想しました。


「世の中から離れて自分だけの世界に浸ることができます。」

Bowers & Wilkins


チャンスと課題

Bowers & Wilkinsはこの「隔離」市場にそのブランドを広めるチャンスを見出しましたが、まず、いくつもの課題を克服する必要がありました。消費者が求めていたのは高性能と、リスニング時間を延ばすための長いバッテリ寿命でしたが、Bowers & Wilkinsは、各種の厳しい基準に従ってそのシグネチャー・サウンドの品質を維持しながら、ノイズキャンセリング・アルゴリズムを開発することに焦点を合わせました。しかし、これらの条件を実現するのは容易なことではありませんでした。

Bowers & Wilkinsはアコースティック・サウンドの設計と信号処理におけるリーディング・エキスパートですが、同社が思い描く高性能とシグネチャー・サウンドを備えたノイズキャンセリング・ヘッドフォンを開発するには、技術的な統合とシステム・ソリューションの実装に関して深い知識と豊富な経験を持つパートナーが必要でした。そこで目を向けたのが長年にわたるパートナーだったアナログ・デバイセズです。

真のコラボレーション

これまでの協力の歴史は、アナログ・デバイセズとBowers & Wilkinsのチームメンバーに親近感と仲間意識を共有させました。アナログ・デバイセズのヘルスケアおよびコンスーマ・システム担当製品アプリケーションエンジニア・マネージャのRajeev Morajkarは、次のように語っています。「Bowers & Wilkinsの人々は私たちの能力をよく理解していました。彼らはそのソフトウェアによって何を実現したいのかを正確に認識して、仕様に反映すべき条件を私たちに提示しました。私たちはBowers & Wilkinsが何をしたいのかを理解した上で、その目標を実現するための統合ソリューションを開発しました。」

デジタル・ハイブリッドの作成

アナログのノイズキャンセレーションは長年にわたって存在していましたが、アナログ・デバイセズはデジタル・ハイブリッドのパイオニアの1つでした。この場合のハイブリッドはフィードフォワードとフィードバックを意味しており、ヘッドフォン外部の音と内部の音をモニタするために小型のマイクロフォンを1つずつ使用します。Bowers & Wilkinsは、そのノイズキャンセリング・ヘッドフォンにこの技術を採用しました。

Animated graphic illustrates Active Noise Cancellation technology of a person listening to music on headphones while an audio signal is pulsating.
ANC(アクティブ・ノイズキャンセレーション)チップは、組み込みのマイクロフォンを通じて、外部で生成されたノイズと、耳に向けて音を再生するヘッドフォン・スピーカからの音を同時にモニタします。
An animated graphic of noise signal waves explaining the Bowers and Wilkins alogorythms for noise cancellation.
Bowers & Wilkinsは、フィードバックとフィードフォワードを採用することにより、カスタム・アルゴリズムを開発してマイクロフォンとANCチップを組み込みました。このチップは外部の不要なノイズ(A)を能動的に「聞き取り」、ノイズと位相が180度異なる音(B)を再生するので、音がリスナーの耳に届くまでにノイズは「除去」されます(C)。この処理を実現するためのデジタル処理は、高速でなければなりません。

効率的なノイズキャンセレーションと低消費電力

アナログ・デバイセズのコーポレート・マーケティング/カスタマー・エクスペリエンス担当広報マネージャ、Josh DeStefanoは次のように述べています。「アナログ・デバイセズの電源ソリューションは、この種の技術としてはこれまでで最も少ない消費電力を実現します。また、全体的な再生パスは最小限の消費電力で実装されています。この組み合わせは、Bowers & Wilkinsがまったく新しいノイズキャンセリング・ヘッドフォン・プラットフォームを開発することを可能にしました。このプラットフォームは複数レベルのANCや最長クラスの再生時間などを実現するものですが、これらのあらゆる試みの一方で、すべての音楽および映画愛好者の評価が得られるよう、Bowers & Wilkinsサウンドをさらに改善する努力も払われています。」

Bowers & Wilkinsのヘッドフォン製品およびポートフォリオ管理担当のシニア・ディレクター、Ron Vitale氏は次のように述べています。「Bowers & Wilkinsの適応型ノイズキャンセリング・ヘッドフォンPx5は、1回のバッテリ充電で25時間の再生が可能です。PX7ヘッドフォンでは、これが30時間まで延長されています。」また、Josh DeStefanoは次のように述べています。「ここで注目すべきことは、極めて低い消費電力でこれらの性能レベルを実現するアナログ・デバイセズの実践的な能力です。私たちの仕事を非常に効率的なものにしているのは、ミックスド・シグナルに関する知識やドメイン知識です。」

続いて、アナログ・デバイセズのRajeev Morajkarはこう語っています。「基礎となるデジタル技術が、この種のノイズキャンセリングやノイズ・フィルタリングによって実現できる様々な未来と可能性へのドアを開きます。これには、競合他機種にも可能な『ノイズを打ち消す』典型的なノイズキャンセリングだけでなく、様々な形でサウンドをカスタマイズする能力が含まれます。」例えば、システムが「聞き耳を立て」て、会議室、飛行機の中、あるいはモール内を歩いて移動中など、ユーザがどこにいるのかを周囲の音から判断してパラメータを調整することができます。これをどの程度の積極性で行い、どの程度音声を通過させるかは、リスナーやメーカーが調整できます。

先進的なADAU1787チップ

Bowers & Wilkinsのヘッドフォン作成のコア技術には、アナログ・デバイセズの新しいADAU1787チップが選ばれました。アナログ・デバイセズのヨーロッパ営業を担当するキー・アカウント・マネージャ、Matt Windmillは次のように述べています。「ADAU1787の最初の設計時には、Bowers & Wilkinsが厳格な評価とアナログ・デバイセズへのフィードバックを行う機会を提供しました。アナログ・デバイセズでその提案のいくつかを採用することによって、設計が改善されたのです。」Bowers & Wilkinsは、反復的な開発および確認プロセスの結果としてハードウェア設計に関する貴重な洞察を得ただけでなく、決定された選択の内容を理解し、Bowers & Wilkinsがそのカスタム・ソフトウェアとシグネチャー・サウンドを実現するためにそのチップの能力をどのように活用できるのかを理解することもできました。

Graphic illustration schematic diagram Bowers and Wilkins technology for the ADAU1787 audio Chip.
ADAU1787の簡略ブロック図

ADAU1787の技術は、アナログ・デバイセズのお客様が優れた新機能を作り出すことを可能にします。例えば特定の音だけを許可して他の音を打ち消したり、特定のパラメータを自動的に調整して環境に対応したりすることが可能です。低消費電力のコーデックとプログラマブル高速DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)エンジンが高度な機能を実現し、音声強調、ノイズ低減、エコー・キャンセレーション、レベル制御、アコースティック・フィードバック・キャンセレーション、マイクロフォン・アレイ、ノイズと振動のアクティブ制御などを含む様々なオーディオ・アプリケーションやスピーチ・アプリケーションに適した、信頼性の高いデジタル信号処理ソリューションを提供します。

「Bowers & Wilkinsは、アナログ・デバイセズのADAU1787チップのオリジナル設計と、私たちが目標とした仕様に大きな影響を与えました。アナログ・デバイセズはBowers & Wilkinsの技術者が技術的詳細にアクセスできるようにしたため、彼らはチップ内部を深く理解して、より良い製品を生み出すことができたのです。」

Rajeev Morajkar | Analog Devices

Bowers & Wilkinsのシグネチャー・サウンドの実現

低消費電力、長いバッテリ寿命、低遅延、高性能。結局のところ、これらいずれかが問題となってBowers & Wilkinsがそのシグネチャー・サウンドをリスナーに正しく伝えられなくなるようなことは、まったくありませんでした。その目標を達成するために、アナログ・デバイセズは設定変更可能なSigma Studioソフトウェアをシステム・ソリューションに組み込んで、Bowers & Wilkinsがカスタム・ソフトウェアを開発し、リスナーの耳に届くサウンドを厳しい基準に合わせて作り出せるようにしました。グラフィカル・プログラミング・ツールのSigma Studioを使用すれば、ブロックをドラッグすることによってコードを生成できます。アナログ・デバイセズのJosh DeStefanoは次のように述べています。「その利点は、ソフトウェアを扱う際にアセンブリ言語のプログラマが必要ないことです。音響に関する知識は豊富だけれどもコーディングは知らないという人でも、簡単に必要な作業を行うことができます。」

Sigma Studioを使用すれば、スピーカーのチューニングや音声の処理、そしてより多くの信号処理を行うことができます。8個のデジタル・マイクロフォン入力と2つのアナログ差動オーディオ出力を備えたSigma Studioは、競合他社のブランドよりも多くのことに対応でき、Bowers & Wilkinsのシグネチャー・サウンドに関する要求を満たす上で理想的といえるソフトウェアでした。

Illustration displays the ADI Sigma Studio graphical development tool as an interface.
SigmaStudio®グラフィカル開発ツール

Bowers & Wilkinsが最高の音楽を市場に提供

2019年9月、Bowers & Wilkinsは、その有名なシグネチャー・サウンドに関わる妥協をすることなく、業界最先端のノイズキャンセリング・ヘッドフォン・シリーズを発売して高い評価を受け、その目標を達成しました。PX5とPX7は、発売後にオーディオ業界から高く評価されています。

Matt Windmillは次のように述べています。「Bowers & Wilkinsはアナログ・デバイセズが利用できる音響関連の高度な専門的知識を有しており、アナログ・デバイセズも深いドメイン知識と、Bowers & Wilkinsが求めるものを現実的な方法で実現するためのシステム・インテグレーションや技術に関するノウハウを備えていました。」このような互いの協力と知識や経験の融合によって、アナログ・デバイセズは、市場での差別化を図るためにBowers & Wilkinsが必要としていた高性能かつ独自のオーディオ機能を迅速に開発することができました。結果として、アナログ・デバイセズは音響分野のドメイン知識を広げる一方で、アナログ・デバイセズのチップ、システム・ソリューション、および技術を使って何を達成できるのかということについて、Bowers & Wilkinsの理解を深めることができました。

Bowers & Wilkinsのヘッドフォン製品およびポートフォリオ管理担当のシニア・ディレクター、Ron Vitale氏は次にように述べています。「私たちはともに非常な努力を払い、Bowers & Wilkinsの厳格なオーディオ品質と細部へのこだわりを確実に体現する一連のヘッドフォンを作り出す一方で、ノイズキャンセレーションやバッテリ節約に関わる最新の技術をユーザに提供しました。これらはいずれも、すべてのヘッドフォン・ユーザが歓迎するに違いない体験を実現するものです。」

Image shows a pair of Bowers and Wilkins PX-7 noise cancelling headphones.
PX7オーバーイヤー型ノイズキャンセリング・ヘッドフォン

「ヘッドフォンの左側カップにあるボタンを押せば、モード(ロー、ミディアム、ハイ)を切り替えることができます。オフィスの会話や背景ノイズを遮断するにはローで十分ですが、ハイにすれば、非常に騒音の多い実生活環境下においても、あたかも静寂な空間に閉じこもったような効果が得られます。」

WhatHiFi.com


Bowers & Wilkinsについて

そのシグネチャー・サウンドで有名なBowers & Wilkinsは、50年以上にわたって高性能オーディオ機器の最先端に位置し続けています。1966年に英国ウェスト・サセックス州ワーシングで設立された同社は、高品質スピーカーやヘッドフォンの研究、設計、製造を行うことを通じて革新とサウンド品質の基準を打ち立て、世界をリードするレコーディング・スタジオやミュージシャン、そしてオーディオファンから様々な賞や賞賛を獲得してきました。2018年、世界的なミュージック・アイコンであるアビー・ロード・スタジオは、Bowers & Wilkinsを「スピーカーとヘッドフォンのオフィシャル・パートナー」に指定しました。また、そのスピーカーも、各種の賞を獲得した同スタジオのエンジニアが推奨するスピーカーとして指定されています。