ショットキー・ダイオードの追加による干渉軽減
ポイント・オブ・ロード(POL)降圧コンバータの分野では、ハイサイド・スイッチとローサイド・スイッチの両方がアクティブになる同期整流タイプが使われるようになっています。理想スイッチを使用した場合のこのタイプの回路を図1に示します。これらのスイッチング・レギュレータには、パッシブ・ショットキー・ダイオードをローサイド・スイッチとして使用するタイプよりも優れた点がいくつかあります。主な利点は、ローサイド・スイッチに電流を流したときの電圧降下がパッシブ・ダイオードの場合より小さいため、電圧変換効率が高いことです。
しかし、非同期整流式スイッチング・レギュレータと比較すると、同期整流式降圧コンバータのほうが干渉が大きくなる可能性があります。図1に示す理想スイッチを両方同時にオンにすると、たとえそれが一瞬でも、入力電圧とグラウンド間に短絡が生じます。これによりスイッチが破損するおそれがあるため、2つのスイッチが同時にオンになるのを避けなければなりません。そのため安全上の理由から、両方のスイッチが共にオフになる時間を設ける必要があります。この時間を、スイッチング・レギュレータのデッド・タイムと呼んでいます。ただし、スイッチ・ノードから出力電圧までの間にはインダクタ(L1)が取り付けられており、ここに電流が流れます。このインダクタを流れる電流はすぐには変化しません。電流はゆっくりと増減し、急激には変わりません。この結果、デッド・タイムの間に問題が生じます。すべての電流パスは、スイッチ・ノード側で遮断されます。図1のように理想スイッチを使っている場合、デッド・タイム中にスイッチ・ノードにマイナス無限大の電圧が生じます。実際のスイッチでは、2つのスイッチの一方にシュートスルーが生じ、そこを電流が流れるようになるまで、負の値が徐々に増していきます。
ほとんどのスイッチング・レギュレータは、nチャンネルMOSFETをアクティブ・スイッチとして使用しています。このスイッチは、上述の状況に関して非常に有利な特性を備えています。MOSFETは、それ自体のスイッチング機能の他に、ボディ・ダイオードと呼ばれる特性を備えています。半導体のソースとドレイン間にはPN接合が存在します。図2では、これに対応するPN接合を持つMOSFETが挿入されています。このため、デッド・タイム中でもスイッチ・ノードがマイナス無限大まで低下することはなく、代わってローサイドMOSFET(赤で表示)のPN接合が、デッド・タイムを経過して、ローサイドMOSFETがオンになるまで電流を流します。
このMOSFETのボディ・ダイオードには大きな欠点があります。逆回復現象により、スイッチング速度が非常に遅いことです。逆回復時間中、スイッチ・ノードの電圧は、インダクタ(L1)が原因でグラウンドより数ボルト低くなります。スイッチ・ノードにおけるこの急激な負電圧ピークは干渉となって現れ、他の回路部分に容量的に結合する可能性があります。この干渉は、図2に示すように新たなショットキー・ダイオードを挿入すると、最小限に抑えることができます。ローサイドMOSFETのボディ・ダイオードと異なり、このダイオードには逆回復時間が伴わず、電流はデッド・タイムの開始と同時に急激に増加します。このため、スイッチ・ノードの電圧低下率がはるかに小さくなります。発生する干渉も減少し、結合効果を介して回路全体に配分されます。
デッド・タイム時にショットキー・ダイオードに電流が流れるのはごく短時間であるため、ショットキー・ダイオードを非常にコンパクトに設計することができます。したがって発熱量があまり多くないことから、小型で低コストのハウジングを使用することができます。
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