この回路の焦点はLT3798をベースにしたデザインを採用して、エネルギースター準拠にする(無負荷、スタンバイ時の電力を300mW未満に下げる)ことでした。それは、1次側の回路図の点線で囲まれたボックス内の強調表示されている部品を追加することによって達成されました。この回路は単にR9とR14内の電力損失を除去するスイッチです。LT3798がスイッチングを開始すると、Q2がオフしてその経路の全ての電流が除去されます。無負荷時のスタンバイ電力は85VAC~150VACの入力で300mW以内に抑えられます。コンバータは265VACまで動作しますが、スタンバイ時の無負荷電力はさらに100mW増加します。このコンバータはLT3798を使って、120VACライン電圧を絶縁された5V/2.2A出力へ安定化します。出力の整流は同期式で、LT8309によって行われます。
LT3798 5V、2Aエネルギースター準拠の絶縁型コンバータ
この回路の他の重要な特長
- ロード/ライン・レギュレーション:±4%以内
- 85VACでの出力リップルは約150mV、その大部分はライン周波数のリップル。大きなC3を使用してこのリップルを減らすことができる
- 100VACを超える出力リップルはスパイクを含めて50mV以内
- 全負荷時の効率:80%
- 短絡保護回路はどの入力ラインでも作動
LT3798は、アクティブ力率補正(PFC)機能を備え、かつ1段式のコンバータに出力電圧を帰還するのにオプトカプラを必要としない定電圧/定電流の絶縁形フライバック・コントローラです。LT3798をベースにした設計では、入力電流をアクティブに調整することにより0.97を超える力率を達成できるので、ほとんどの高調波電流エミッションの要件に適合することができます。LT3798は多種のオフライン・アプリケーションに適しています。入力範囲は主に外付け部品の選択に応じて変更することができます。最大100Wまでの出力電力レベルで86%より高い効率を達成することができます。さらに、LT3798はDC入力電圧の高いアプリケーションの設計にも簡単に組み込むことができます。
LT8309は2次側同期整流器ドライバで、フライバック・トポロジーの出力整流器ダイオードを置き換えます。ダイオードをNチャネルMOSFETに置き換えることにより、アプリケーションは出力ダイオードの熱制約条件によって制限されなくなります。このデバイスは、ドレイン-ソース間電圧を検出して電流が負になる時点を判断することにより、ダイオードの動作を再現します。LT8309は最少オン時間とオフ時間が短いので、ノイズ耐性の向上に役立ちます。伝播遅延が26nsと高速なので、アプリケーションは不連続導通モード(DCM)と臨界導通モード(CrCM)で動作することができます。ゲート・ドライバは高速ターンオフのためにプルダウン抵抗が0.8Ωのデバイスを備えています。VCC定格が40Vなので、このデバイスは、出力電圧、つまりMOSFETの整流後のドレイン電圧で駆動することができます。暗電流が400μAと低いので、低出力電流時の効率を最大限高めます。