LEDは、新しいエネルギー規制に対応する省エネルギー光源として、利用機会が増えています。LEDには従来型の光源と比べ、低消費電力で長寿命、そしてカラー・バリエーションが豊富という明白な長所があります。例えば、ローマにある世界最大の教会、サン・ピエトロ大聖堂は、今、新しい光に照らし出されています。プリセットされた照明シナリオの下で、インテリジェントな制御システムを使用して、貴重な宝物を細部にわたって照らすことができます。このようなデジタル制御システムにはプログラマブルなLEDドライバが統合されており、LEDを意図したとおりに点灯させるのに使用されます。図1に、3チャンネルのLEDドライバ構成の例を示します。
D/Aコンバータ(DAC)(この場合、アナログ・デバイセズのAD5686)の3つの出力電圧それぞれが電圧/電流コンバータ段を制御し、そのコンバータ段の負荷パスにLEDチャンネルごとに個別にLEDが配置されています。3つのコンバータ段はいずれも、オペアンプADA4500-2とこれに接続されたMOSFETで構成され、LED電流を制御します。このLED電流は、電圧源(VS)技術記事と負荷抵抗(この回路の場合は2Ω)に応じて、理論上は最大で数アンペアまで可能です。したがって、最適なMOSFETを選択することが非常に重要です。
DAC出力電圧の品質は、リファレンス電圧源VREFに大きく依存します。高品質のリファレンス源を使用する必要があります。図1に示すADR4520は、そうした例の1つです。ノイズが非常に小さく、持続的で極めて高い精度を持ち、熱安定性にも優れています。
ADA4500-2の内部設計により、代表的なレールtoレール・アンプはある一定の非直線性とクロスオーバー歪みを示します。その入力段には、図2に示すように、PNP段(Q1およびQ2)とNPN段(Q3およびQ4)の2組の差動トランジスタが並列接続されています。
印加されるコモンモード電圧に応じて、この2組の入力ペアが差動オフセット電圧とバイアス電流を生成します。アンプに入力されるコモンモード電圧と正または負の電源(VS)との差が0.7V未満の場合は、2つの入力段の一方のみが動作します。したがって、それぞれの動作段の誤差(オフセット電圧とバイアス電流)のみが生じます。電圧差が0.8Vに増加すると、両方の入力段が動作します。この場合、オフセット電圧が急に変動する可能性があり、いわゆるクロスオーバー歪みと非直線性を引き起こします。
対照的に、ADA4500-2は入力側にチャージ・ポンプを内蔵していることで、2つ目の差動ペアを使用せずにレールtoレール入力範囲に対応できるため、クロスオーバー歪みを回避できます。この他、ADA4500-2には、低オフセット、低バイアス電流、低ノイズ成分などの利点があります。
このような回路では、LEDの配線から生じる可能性のある負荷/電流経路のインダクタンスに注意を払う必要があります。この配線は数メートルに及ぶこともあり、適切に補償を行わないと不必要な振動が生じる原因となる可能性があります。この回路の補償は、シャント抵抗で測定される電流をオペアンプの入力に戻す帰還パスによって行います。ADA4500-2の既存の抵抗とコンデンサの回路構成は、発生するインダクタンスに応じて調整する必要があります。
図1に示す回路を使用することで、DACを介して高精度照明制御アプリケーション用にプログラム可能なマルチチャンネルLEDドライバを、比較的容易に実現できます。ただし、正常に機能させるためには、サイズに応じた調整を行って個別の条件に適合させることが重要です。
まとめ
ここで説明した回路は、小型かつスケーラブルで起動が容易な高直線性の電源を必要とする高精度の照明制御アプリケーションに最適なプログラマブルLEDドライバを作製するための比較的簡単な方法を示すものです。ただし、配線のインダクタンスや寄生インダクタンスなど様々なインダクタンスが存在するため、サイズに応じた調整を行ってアプリケーションの条件に適合させ、インダクタンスに起因する誤動作を回避する必要があります。