概要
設計リソース
評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-AD7780EBZ ($71.53) Weigh Scale Design Using the AD7780 24-Bit Sigma-Delta ADC with Internal PGA
デバイス・ドライバ
コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。
AD7780 - No-OS Driver for Renesas Microcontroller Platforms
AD7780 GitHub no-OS Driver Source Code
AD7780 Pmod Xilinx FPGA Reference Design
AD7780 IIO Low Power Sigma-Delta ADC GitHub Linux Driver Source Code
機能と利点
- Precision Weigh Scale System uses 24-Bit ADC
- Internal PGA amplifies low level signal without compromising resolution
- Optimized for low Nosie
製品カテゴリ
マーケット & テクノロジー
使用されている製品
参考資料
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MT-023: ADC Architectures IV: Sigma-Delta ADC Advanced Concepts and Applications2015/02/14PDF936 kB
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MT-022: ADC Architectures III: Sigma-Delta ADC Basics2015/02/14PDF289 kB
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MT-004: The Good, the Bad, and the Ugly Aspects of ADC Input Noise - Is No Noise Good Noise?2009/03/04PDF342 kB
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CN-0107: Weigh Scale Design Using the AD7780 24-Bit Sigma-Delta ADC with Internal PGA2010/11/09PDF838 kB
回路機能とその特長
この回路は、AD7780を使った重量計システムです。AD7780は、ピン・プログラマブル、低消費、低ドリフトの24ビットΣΔ型A/Dコンバータで、PGA(プログラマブル・ゲイン・アンプ)および内部クロックを内蔵しています。したがって、このデバイスには、システムのほとんどの構成要素がチップ上に含まれていますので、重量計の設計を簡素化できます。このデバイスはわずか330μA(typ)しか消費しませんので、低パワーあるいはバッテリ・アプリケーションに最適といえます。またAD7780はパワーダウン・モードを備えているため、ブリッジ・センサーへのパワーを切断したり、AD7780が変換していないときにパワーダウンにして、バッテリ寿命の長期化を図ることができます。
回路説明
AD7780は重量計に関するソリューションを集積化していますので、ロードセルと直接インターフェースできます。わずかな外付け部品、アナログ入力上のいくつかのフィルタおよびEMC対策のためのリファレンス・ピン上のコンデンサのみを必要とします。ロードセルからの低レベル信号は、AD7780内のPGAによって増幅されます。このPGAは128倍までのゲインで動作するようにプログラムされます。その後AD7780からの変換結果が、USBインターフェースを使ってPCに送り込まれ、ここでデジタル情報が重量値に変換されます。
図2に、実際のテスト・セットアップを示します。ここでは、最適なシステム性能が得られるように、6線のロードセルが使われています。6線のロードセルは、2つのセンス・ピン、更に励起、グランドおよび2つの出力接続を備えています。2本のセンス・ピンは、ホイートストーン・ブリッジのハイサイドとローサイドに接続されています。したがって、ブリッジの両端に発生する電圧は、線抵抗によって降下する電圧に関わらず、高精度に計測することができます。更に、AD7780は差動のアナログ入力を備えており、差動のリファレンスを受けることができます。ロードセルの差動センスラインはAD7780のリファレンス入力に接続されており、レシオメトリック回路が構成されて、電源電圧の励起電圧での低周波数の変動を除去します。
4線のロードセルでは、センス・ピンがありませんのでADCのリファレンス・ピンを、励起電圧とグランドに接続します。このアレンジの場合、システムは完全なレシオメトリックにはなりません、それは励起電圧とSENSE+ピンの間で、線抵抗による、電圧降下が起こるからです。また、同時にロー側上でも線抵抗による電圧効果が起こります。
AD7780は、アナログ電源ピンとデジタル電源ピンを別々に持っています。アナログとデジタルの電源電圧はお互いに独立していますので、AVDDとDVDDは異なるポテンシャルにすることができます。マイクロコントローラは一般的に3.3V電源を使っています。したがってDVDDも3.3Vから電源供給されます。このことは、一切の外部レベル・シフト回路を必要としないため、ADCとマイクロコントローラ間のインターフェースを簡素化します。この3.3Vのデジタル電源は、 ADP3303(3.3V)レギュレータを使って生成されています。
重量計システムの電源にはいくつかの方法があります。それは、メインの電源電圧バスから供給することも可能で、またADP3303(3.3V)から供給することも可能です。重量計が5Vで励起されるときは、メインの電源電圧バスを使う必要があります。ロードセルが3.3Vで励起される場合は、メイン電源バスまたはADP3303(3.3V)のどちらかを使うことが出来ます。ADP3303(3.3V)は低ノイズのレギュレータです。更に、ノイズ低減用コンデンサを、ADP3303(3.3V)のデータシート上で推奨しているように、レギュレータの出力に配置しています。EMCを最適化するために、レギュレータ出力は、AD7780とロードセルに供給する手前で、フィルタリングされています。AD7780およびロードセルに供給するための電源を生成するには、いかなるレギュレータでも低ノイズであることが基本となります、電源電圧上、あるいはグランド・プレーン上のいかなるノイズもシステム内にノイズを引き起こし、回路性能を劣化させてしまうからです。
もし、2mV/Vの感度を備えた2kgのロードセルを使って、励起電圧が5Vのとき、ロードセルからのフルスケール信号は10mVとなります。ロードセルはオフセットまたはこれに関連する、TARE(風袋重量)、を持っています。この風袋重量は、ロードセルのフルスケール出力信号の50%までの、大きさを持つことができます。またロードセルはゲイン誤差も持っており、これはフルスケールの±20%まで可能となっています。場合によっては、DACを使って、この風袋重量をキャンセルしてゼロにしたりします。AD7780が5Vのリファレンスを使う場合、そのアナログ入力範囲は、ゲインを128倍に設定した時には、±40mVに等しくなります。
ロードセルのオフセットやゲイン誤差がADCのフロントエンドでのオーバーロードにならないため、ロードセルのフルスケール信号(10mV)に関する、このAD7780の広いアナログ入力範囲は有益です。 AD7780は、出力のデータレートが10Hzのとき、49nVのrmsノイズを持っています。ノイズ・フリーのカウント数は次式に等しくなります。
この式で、6.6のファクタはrms電圧をピークtoピーク電圧に変換した値です。
したがってグラム単位での分解能は、次式となります。
ノイズ・フリーの分解能は次式になります。
実際には、ロードセルは、それ自身、いくらかのノイズを引き起こします。また、AD7780のドリフトに加えて、ロードセルには、いくらかの時間および温度のドリフトもあります。完全なシステムの精度を判定するためには、重量計をUSBコネクタでPCに接続して測定することができます。ラボビュー(LabView)ソフトを使って、重量計システムの性能を評価することができます。図3は、ロードセル上に1kgの重さを置いて500回の変換を集めて(5Vの励起電圧を使用)、計測された出力性能を示しています。システムのノイズは、ソフトによって計算され50nVrmsが得られました。このことは、30,300のノイズ・フリー・カウントまたは14.9ビットのノイズ・フリ・コード分解能に、等しいことになります。
図4では、コードではなく重さでの性能を示します。出力でのピークtoピーク変化量は、500回のコードにわたって0.075gとなっています。したがって、この重量計システムは0.075gの精度を達成しています。
このプロットは、ロードセルを付けたときAD7780からリードバックした、実際の(生の)変換結果を示しています。実用的には、重量計システム内にデジタルのポスト・フィルタが使われます。
ポスト・フィルタで使われている追加の平均化処理によって、データレートの低下を伴いますが、カウント数の更なる改善が得られます。
バリエーション回路
注:このセクションで得られたノイズ仕様は、128倍のPGAゲインを使って得られています。
AD7780は低ノイズ、低消費の重量計設計用のADCです。その他の適切なADCとしてはAD7798とAD7781があります。AD7781はほとんどAD7780と同じような機能を持っていますが、20ビットのADCです。AD7798では、出力のデータレートの幅広い選択が可能です:出力レート4.17Hzでは、rmsノイズは40nVになります。
汎用の重量計としては、 AD7799が適切なデバイスとなります。4.17Hzの出力データレートで、AD7799は27nVのrmsノイズを持ちます。
高精度の重量計設計にとっては、 AD7190、AD7192、AD7191が当てはまります。AD7190は、出力のデータレートを4.7Hzにプログラムしたとき、8.5nVのrmsノイズを持ちます。この製品もまた、広い出力データレートを提供します。最大で4.8kHzの動作ができ、しかも良好な性能を維持します。AD7192は、AD7190とピン互換となっています。しかし、このrmsノイズは若干大きくなっています。AD7192は、出力のデータレートが4.7Hzのとき、11nVのrmsノイズを持っています。AD7191は、ピン・プログラマブル・デバイスです。この製品は、4種類の出力データレートと4種類のゲイン設定を備えています。このピン・プログラマビリティと機能セットの削減によって、非常に使い易いデバイスとなっています。AD7191のrmsノイズ性能は、AD7192のrmsノイズと同じです。
高精度回路として、正しいレイアウト、グランディング、デカプリング技術を採用する必要があります。(チュートリアルMT-031データコンバータのグランディングとAGND/DGNDの不可解さの解決、MT-101デカプリング技術を参照してください。)
この回路ノートに関する完全な設計サポート・ドキュメント・パッケージは下記のアドレスで入手できます: http://www.analog.com/CN0107-DesignSupport.
回路の評価とテスト
標準のUSBコネクタ、J1を介して評価用ボードにインターフェースしてください。J1は、評価用ボードをPCのUSBポートに接続するために使われます。AD7780の評価用ボードには標準のUSB接続ケーブルが含まれており、評価用ボードをPCのUSBポートにインターフェースすることができます。このボードのパワーはUSBコネクタを介して供給されますので、一切の外付け電源を必要としませんが、もし必要ならばJ2を介して接続も可能です。
必要な装置
EVAL-AD7780EBZ評価用ボードとPC(Windows 2000, WindowsXP,またはWindows Vista (32-bit)、と外部ロードセルのみを必要とします。この回路ノートで表された結果を得るためには、Tedea Huntleigh社の505H-0002-F070ロードセルを使いました。このロードセルは評価用ボードと一緒に出荷されませんので、お客様によって製造業者より購入してください。
評価開始にあたって
EVAL-AD7780EBZ評価用ボードは、CDと一緒に出荷されます。このCDには、AD7780を制御するための、標準PCにインストールできる、ソフトが含まれています。このソフトは、ボードに添付されているUSBケーブルを通してAD7780と通信します。このソフトによって、AD7780からの変換データを読み出すことができます。AD7780から読んだデータは、表示することも、後から解析するために保存することもできます。
AD7780の評価用ボードのソフトは、供給された評価用ボードのCDを使って、ボードをPCと接続する前に、インストールしてください。完全な詳細はUG-078内に説明されています。
機能ブロック
テスト・セットアップの基本的な機能ブロック・ダイアグラムは図1に示されています。
セットアップとテスト
AD7780評価用ボードのセットアップとテストに関する完全なインストラクションは、ユーザ・ガイドUG-078にあります。
ソフトをインストールした後: AD7780評価用ボードは、UG-078の表1に説明されているように、適切なリンク(ジャンパ)設定によって外部ロードセルを使うように構成する必要があります。評価用ボードに電源を印加する前にこのリンクを再度確認して下さい。
ロードセルを評価用ボードのヘッダJ4に接続します。重量計のデモ動作はUG-078に説明されています。