DN-309: 3A、2MHzのモノリシック同期整流式降圧レギュレータによるDDRメモリ終端のコンパクトなソリューション

はじめに

LTC®3413はDDR/DDR2メモリ・アプリケーションのバス終端電圧を発生することができるモノリシック同期整流式降圧スイッチング・レギュレータ・コントローラです。LTC3413は最大3Aの電流をソースまたはシンクしますが、最大2MHzのスイッチング周波数が可能です。スイッチング周波数を上げると小型のインダクタやコンデンサを使用できるので、コンパクトなソリューションが可能になります。内蔵されているパワー・スイッチのオン抵抗はわずか85mΩなので、最大90%の効率を達成することができ、わずか0.6Vの出力電圧を発生することができます。熱処理を改善するため、LTC3413は16ピンの露出パッド付きTSSOPパッケージで供給されます。

LTC3413は固定周波数電流モードのアーキテクチャを採用しており、2.25V~5.5Vの入力電圧範囲で動作し、VREF/2に等しい安定化出力電圧を供給します。スイッチング周波数は1本の外部抵抗を使って300kHz~2MHzに設定することができます。出力電圧リップルはスイッチング周波数とインダクタ値に反比例します。スイッチング周波数を最大2MHzまで増やせるので、出力電圧リップルを低く抑えたまま小さなインダクタ値を使用することができます。インダクタ値が小さいとケースのサイズが通常小さくなるので、この回路全体の実装面積を小さくできます。内部電圧分割器が基準電圧を半分にするので、外部抵抗でこの機能を実現する必要がありません。

2.5Vから1.25Vへの3A降圧DC/DCコンバータ

最大3Aの出力電流のソースとシンクが可能な、2.5Vから1.25Vへの降圧DC/DCコンバータの設計例を図1に示します。この回路の効率は図2に示されているように最大90%です。セラミック・コンデンサは安価でESRが小さいので、入力コンデンサおよび出力コンデンサ用に選択されました。多くのスイッチング・レギュレータはセラミック・コンデンサで動作させるのは困難で、ESRの大きなタンタル・コンデンサで生じるゼロに依存しますが、LTC3413はOPTI-LOOP®補償によりセラミックの入力コンデンサと出力コンデンサを使ってうまく動作させることができます。この回路の周波数は1本の外部抵抗で1MHzに設定されます。このように高い周波数で動作するので、図1に示されているインダクタやコンデンサのような小型の外部部品を使用することができます。

図1.2.5Vから1.25Vへの、±3A DDRメモリの終端用電源

図1.2.5Vから1.25Vへの、±3A DDRメモリの終端用電源

図2.効率と負荷電流(VIN = 2.5V)

図2.効率と負荷電流(VIN = 2.5V)

多くのDDR終端用アプリケーションでは、バス終端電圧を、基準電圧の半分を追尾しながら高いシステム電圧から降圧する必要があります。一般に基準電圧が利用できるので、このオプションはほとんどのシステムで可能です。2.5Vの外部基準電圧を備えた、3.3Vから1.25Vへの、±3A DDRメモリ終端用電源の設計例を図3に示します。

図3.3.3Vから1.25Vへの、±3A DDRメモリ終端用電源

図3.3.3Vから1.25Vへの、±3A DDRメモリ終端用電源

この回路の効率は図4に示されているように最大90%です。1.8Vの外部基準電圧を備えた、3.3Vから0.9Vへの、±3A終端用電源の設計例を図5に示します。高いシステム電圧から降圧すると、内部パワー・スイッチによる抵抗性損失が減少して効率が向上するという利点があります。

図4.効率と負荷電流(VIN = 3.3V)

図4.効率と負荷電流(VIN = 3.3V)

図5.0.9V、±3A HSTLメモリ終端用電源

図5.0.9V、±3A HSTLメモリ終端用電源

まとめ

LTC3413はモノリシック同期整流式降圧DC/DCコンバータで、最大±3Aの出力電流を必要とするDDRメモリ終端アプリケーションに最適です。LTC3413はスイッチング周波数が高く、内蔵パワー・スイッチのRDS(ON)が低いので、LTC3413を使うと小型で高効率の設計が可能です。

著者

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Joey Esteves