負電源可変のDAC駆動チャージポンプ
要約
このアプリケーションノートでは、8ビット、シリアル入力、ディジタル-アナログコンバータ(DAC)によって制御されるインバーティングダブラチャージポンプを使った可変負電源について説明しています。この負電源レイルを備えた回路は、センサバイアス、LCDコントラストバイアス、または電圧制御オシレータ(VCO)のチューニング電源に最適です。
関連したアイデアが「Electronic Design」の1997年7月21日号に掲載されました。
図1に示す回路は、センサバイアス、液晶ディスプレイ(LCD)のコントラストバイアスまたは電圧制御オシレータ(VCO)のチューニング電源に適した、低電流、可変負電源を提供します。この回路を使用して、バッファされたD/Aコンバータ(DAC)の出力からチャージポンプダブラを駆動することにより、オペアンプやディスクリートコンポーネントに基づくレベルシフタを使用した従来のアプローチを回避できます。
図1. この可変負電源は、8ビットシリアル入力DACで制御したインバーティングダブラチャージポンプで構成されています。
IC1は、シリアル入力およびバッファ電圧出力を備えたデュアル8ビットDACです。出力インピーダンスは50Ωになっているため、通常のIC2チャージポンプに必要な1.1mAを供給しながら、動作時のDAC出力が約50mV降下します。0~255までの入力コードの変化に対するDAC出力範囲は、レイルトゥレイルで、1ステップ当たり約40mV変化します。
IC1への入力+5V (VCC)とIC2からの出力-3Vによりチャージポンプへの最小許容電圧(1.5V)を発生するコードは、80 (10進数)です。このチャージポンプは、0.6mAから±2倍の電圧をVCCターミナルに発生し、入力範囲1.5V~6Vに対して±3V~±12Vを発生します。(プラス出力とマイナス出力は、同時に使用できます。)メイン電源の最低電圧は2.7Vで、このときのマイナス出力は、-5Vを僅かに越える値です。この状態の最小コードは約140 (10進数)です。
電源をシャットダウンするには、DACをゼロに設定します。DACは、消費電流が僅か1µAとなるシャットダウンモードを持っています。システムをシャットダウン状態から立ち上げる時に確実な起動を保証するには、最低2Vでチャージポンプを起動するための値をライトしてください。但し、パルス幅変調(PWM)出力を備えたマイクロコントローラ(µC)の場合は、DACを使用する必要はありません。例えば、20kHzのPWM信号を270Ω/3.3µFローパスネットワークでフィルタリングすると、可変VCCをチャージポンプに供給できます。この時µCのポートピンは、許容できる電圧降下で電流を供給することが必要です。供給できない場合は、CMOSバッファか74HC04などのインバータでバッファリングします。