AN-1118: ADE7953 をベースとする単相電力量計のキャリブレーション
はじめに
このアプリケーション・ノートでは、ADE7953 のキャリブレーション方法を説明します。数式や各定数の計算方法の例を含め、キャリブレーション手順の詳細について述べます。
ADE7953 は、相電流と中性電流の両方を同時に測定できる、高精度の単相電力量計IC です。有効/無効/皮相電力量や電流および電圧の実効値の読取りなど、様々な電力量測定が可能です。無負荷、逆方向電力、直接の力率測定といった様々な電力品質機能も備わっています。ADE7953 は、SPI、I2C、またはUARTインターフェースを通じてアクセスできます。
ADE7953 のキャリブレーション
外付け部品や内部電圧リファレンスの電力量計ごとの変動に左右されない正確な読取りを実現するために、ADE7953 にはキャリブレーションが必要です。キャリブレーションは電力量計ごとに必要ですが、手早く実行できる簡単なプロセスです。
キャリブレーション・ステップ
ADE7953 を用いて電力量計を設計する場合、最大で3 つ、すなわち、ゲイン、位相、オフセットのキャリブレーション段階が必要です。外部構成や電力量計のクラスに応じて、3 つの段階のうち1 つ以上を省略できる場合があります。
特定の構成に対し通常どのキャリブレーション・ステップが必要となるかを判断するためのガイダンスを、表1 に示します。要件や性能は設計ごとに異なるため、この表は一般的なガイドラインとしてのみ使用してください。何らかの追加キャリブレーション・ステップが必要かどうかを判定するためには、電力量計の性能を評価する必要があります。
| キャリブレーション段階 | 代表的な要件 |
| ゲイン・キャリブレーション | これは常に必要です |
| 位相キャリブレーション | CTを用いるときには多くの場合、これが必要となります。 シャントを用いる場合には、必ずしも必要ではありません。 |
| オフセット・キャリブレーション | 広いダイナミック・レンジにわたって高い精度を求めるときには多くの場合、これが必要です。 それ以外の電力量計設計では通常は不要です。 |
キャリブレーション方法(CF 出力またはレジスタ)
ADE7953 は、内部の電力量レジスタを読み出すか、外部のCF出力パルスを測定するかのいずれかの方法でキャリブレーションできます。この2 つの測定の関係を図1 に示します。

図1. 電力量データへのアクセス
図1 に示すように、電力量レジスタ・データとCFx 出力データは、CFxDEN レジスタの逆数によって関係づけられます。
CFxOutput (Hz) = 1/CFxDEN × Energy Register (Update Rate)
CF と電力量レジスタのどちらを用いてキャリブレーションするかの判断は、アプリケーションおよび使用可能なキャリブレーション装置(キャリブレーション・セットアップのセクションを参照)の両方に依存します。電力量計の仕様により特定の電力量計定数に対するキャリブレーションが必要となる場合は、通常CF 出力ピンが用いられます。CF 出力ピンを用いず、いずれの電力量計定数も必要としない設計の場合は、レジスタを用いるのがより便利な方法です。電力量レジスタをキャリブレーションすることにより、CF 出力ピンでの正確な読取りが可能になります。また、その逆もあてはまります。どちらの方法でも同程度の正確さを実現できます。
キャリブレーション・セットアップ
リファレンス電力量計と高精度ソースの2 つのキャリブレーション・セットアップを用いることで、ADE7953 をキャリブレーションできます。リファレンス電力量計を用いる場合、CF出力キャリブレーション法を用いる必要があります。高精度ソースを用いる場合は、CF 出力または電力量レジスタのどちらも用いることができます。2 つのキャリブレーション・セットアップの詳細については、リファレンス電力量計のセクションおよび高精度ソースのセクションを参照してください。
リファレンス電力量計
最も広く用いられているキャリブレーション方法では、外部リファレンス電力量計を使用して必要な補償を決定します。リファレンス電力量計を用いる場合、リファレンス電力量計はCFパルスに基づいて誤差を決定するため、CF 出力を用いる必要があります(図2 参照)。リファレンス電力量計は、それが生み出す電力量計の目標仕様よりも正確でなくてはなりません。

図2. リファレンス電力量計の構成
リファレンス電力量計を用いる場合、必要な入力を電力量計に与えるためのソースが必要です。ただし、ソースの精度はそれほど重要ではありません。キャリブレーション結果を左右するのはリファレンス電力量計であるためです。リファレンス電力量計は、高精度ソースよりもよりコスト効率が高いのが通常です。そのため、これが最も広く受け入れられているキャリブレーション方法です。
高精度ソース
2 つ目のキャリブレーション方法は、高精度ソースを用いてキャリブレーションを行うことです。高精度ソースを用いる場合は、CF 出力または電力量レジスタのどちらを用いても電力量データにアクセスできます。高精度ソースは、制御可能な電圧入力および電流入力を、それが生み出す電力量計が必要とするより高い精度で供給できなくてはなりません。図3 に、高精度ソースを用いる代表的なセットアップを示します。

図3. 高精度ソース
通常、高精度ソースはリファレンス電力量計よりも高額であり、そのため、キャリブレーション方法としてはそれほど一般的ではありません。
CF パルス出力のキャリブレーションのセクションではCF パルスを用いるキャリブレーションを説明し、内部電力量レジスタのキャリブレーションのセクションでは電力量レジスタを用いるキャリブレーションを説明します。
CF パルス出力のキャリブレーション
有効/無効/皮相電力量および電流と電圧の実効値を正確に読み取るためには、キャリブレーションが必要です。すべての信号経路は独立です。そのため、最終的な電力量計で必要とされる測定についてキャリブレーションを実行してください。
パルス出力を用いてキャリブレーションする場合、その特定のキャリブレーションに適した測定とチャンネルを出力するよう、CFx ピンを設定する必要があります。例えば、チャンネルA の有効電力をキャリブレーションする場合、CF1 またはCF2 をチャンネルA の有効電力に比例するよう設定します。これを行うには、ADE7953 のCFMODE レジスタ(アドレス0x107)のビット0~ビット7 を設定します。CF1 とCF2 のどちらでも使用できます。キャリブレーションを高速化するために、2 つの異なる測定またはチャンネルをCF1 とCF2 に同時に出力させ、2 つのキャリブレーションを並行して実行することができます。
CF 出力を用いた有効電力量キャリブレーション
有効電力量測定のキャリブレーションの流れを図4 に示します。キャリブレーション・ルーチンを決めるにはこの流れ図を使用します。

図4. 有効電力量キャリブレーションの流れ
CF 出力を用いた電流チャンネルB ゲイン・マッチング
2 つ目の電流入力チャンネルであるチャンネルBを用いる場合、出力をチャンネルA に一致させると便利です。これらのチャンネルが一致すると計算が容易になります。電力量レジスタの1 つのビットとCF 出力の1 つのパルスが、各チャンネルで同じ重みを持つためです。最初のキャリブレーション・ステップとしてチャンネル・マッチングを実行することを推奨します。
電流チャンネルB をチャンネルA に一致させるには、同じ固定入力電流を両方のチャンネルに加えます。電力量計はまだキャリブレーションされていないため、印加信号の大きさをフルスケールと100:1 の間にすることを推奨します。次に、電流実効値の読取り値を用いて、2 つのチャンネル間に誤差があるかどうかを判定します。その後、この誤差は、ADE7953 のBIGAIN レジスタ(アドレス0x28C およびアドレス0x38C)を用いて補正できます。次の式は、IRMSB の読取り値がIRMSA の読取り値に一致するようBIGAIN レジスタを用いて調整する方法を示すものです。

電力量計定数のセット
ADE7953 の内部レジスタを用いると、各パルスがkWh の一部を表すようにCFx パルス出力を設定できます。この関係は電力量計定数と呼ばれます。通常、電力事業者が複数のメーカーの電力量計の精度を検証できるよう、設計仕様には特定の電力量計定数が必要とされます。代表的な電力量計定数は、1600imp/kWh、3200imp/kWh、6400imp/kWh です。定められた電力量計定数を必要としない電力量計を設計する場合は、任意の値を選択できます。
CFx 出力は、分周比CFxDEN を用いて設定されます。この分周比は、電力量計定数と、電流チャンネルおよび電圧チャンネルの公称スケーリングに基づいて計算されます。
3200imp/kWh という電力量計定数が必要であると仮定すると、所定負荷条件下で予期されるCFx が決定できます。負荷が220V、10A で力率が1 の場合、CFx 出力周波数は以下のように計算されます。

所定の負荷条件で1.95556Hz の周波数が得られるよう、CFxDENを選択します。これは、入力ピンのスケーリングを定めることによって実行できます。
図5 に、標準的な電圧チャンネル入力ネットワークを示します。

図5. 電圧チャンネル入力

電圧チャンネルの振幅が220Vrms の場合、入力はフルスケールの62.29%で動作しています。
図6 に、ADE7953 の代表的な電流チャンネル構成を示します。電流チャンネルの振幅が10Arms で内部ゲインが16 の場合、入力はフルスケールの15.84%で動作します。

図6. 電流チャンネル入力

ADE7953 のデータシートに基づき、フルスケール入力時に予期されるCFx ピンの出力周波数は210kHz となります。与えられた220V、10A の入力で1.9556Hz となるようにするには、以下に従いCF の分母を0x2963 に設定する必要があります。
既に述べたように、CFxDEN レジスタに0x2963 を書き込むと、先述の条件に対しCF 出力が約1.9556Hz に設定されます。これで、このCFxDEN 設定をあらゆる電力量計で使用できます。有効電力量ゲイン・キャリブレーション法は、より高分解能のキャリブレーションを可能にします。1.9556Hz が正確に設定されるようにするためには、これをすべての電力量計に対し実行する必要があります。
位相キャリブレーション(オプション)
位相キャリブレーションは、電流トランス(CT)を用いる場合にセンサーで発生する位相シフトを除去するために必要です。CT によって大きな位相シフトが追加され、低力率時に著しい誤差が生じる可能性があります。低抵抗シャントのような別のタイプのセンサーを用いる場合には、位相キャリブレーションは必ずしも必要ではありません。
位相キャリブレーションは、力率を0.5 として誘導性または容量性負荷を用いて行うのが理想です。この負荷が利用できない場合は、別の力率を選択できます。最高の結果を得るには、できる限り力率を0.5 に近くする必要があります。次式で、位相補償を決定する方法の概略を示します。

ここで、
f はライン周波数
ϕは電圧と電流の間の角度(度単位)です。
220V、10A で力率が0.5 の場合、予期されるCFx ピン出力周波数は、以前に計算した値の正確に半分となります。
測定したCF が0.98Hz、ライン周波数が50Hz と仮定すると、PHCALA 補償は以下のように決定できます。

なお、PHCALx レジスタは10 ビットの大きさの符号付きフォーマットであり、そのため、PHCALx レジスタには16 進数0xFFFFFC を0x203 と入力する必要がある点に注意してください。
電流チャンネルA およびチャンネルB で用いる電流センサーに応じて、PHCALA とPHCALB とで異なる位相キャリブレーション値が必要となる場合もあります。
有効電力量ゲイン・キャリブレーション
有効電力量ゲイン・キャリブレーションの目的は、内部リファレンス電圧と外部部品がデバイスごとに変動することによる、わずかなゲイン誤差(例えば水晶発振器で生じる時間誤差)を補償することです。ゲイン・キャリブレーションは、すべての電力量計に必要であり、力率が1 の条件下で公称電圧および公称電流を入力して実行されます。電力量計定数のセットのセクションで説明したように、予期されるCF 出力は電力量計定数で決まります。実際のCF 出力が測定され、AWGAIN レジスタを使用して誤差が調整されます。この関係は次式で表されます。

前出の例を用いると、220V、10A において、予期されるCF は1.9556Hz です。実際に測定したCF が2.2238Hz であるとすると、AWGAIN は次のように計算されます。

BWGAIN レジスタは、チャンネルB のゲイン・キャリブレーションを制御します。チャンネルが正しくマッチングされているならば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで説明するように、チャンネルB に対して前述の手順を繰り返す必要はありません。AWGAIN の計算値をBWGAIN に書き込めば正確な結果が得られます。
有効電力量オフセット・キャリブレーション(オプション)
有効電力量オフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が、オフセット・キャリブレーションを行う前に要求仕様から外れている場合のみです。
電圧チャンネルと電流チャンネルの間のクロストークは低電流レベルでの測定精度を低下させる可能性があり、これを補正するには、有効電力量オフセット・キャリブレーションを行います。オフセットの大きさを測定できると期待できる最小限の電流信号を印加し、その後これを除去します。入力を接地した状態ではオフセット・キャリブレーションを行わないでください。オフセットを正確に測定するには低レベルの信号が必要であるためです。
この例では、100mA の電流を入力して、オフセット・キャリブレーションを実行します。220V の電圧チャンネル入力で力率が1 の場合、予期されるCFx 出力周波数は、以下のように決まります。

100mA、220V時の実際のCF周波数が0.020Hz の場合、オフセットによるパーセント誤差は、以下のように決まります。

ワット測定でのオフセットは、次式に従って補正できます。

電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBWATTOS レジスタを通じて実行できます。BWATTOS は同様の方法でチャンネルB の有効電力量CF 出力を補正します。AWATTOS がチャンネルA の有効電力量CF 出力に影響するためです。
CF 出力を用いた無効電力量キャリブレーション
VAR ゲイン
ADE7953 の有効電力量測定および無効電力量測定は、緊密にマッチしているため、無効電力量ゲイン・キャリブレーションを個別に行う必要は必ずしもありません。ほとんどの場合、有効電力量ゲイン・キャリブレーションのセクションで述べたAWGAIN の計算値をAVARGAIN レジスタに書き込んで、同じ電力量計定数を保持できます。
異なる電力量計定数が必要な場合や更なるキャリブレーションが必要な場合は、無効電力量を別途キャリブレーションできます。電力量出力を最大にするには、力率を0 として公称入力で無効電力量キャリブレーションを実行します。無効電力量を出力するよう、CFx パルス出力を設定します。これを行うには、ADE7953 のCFMODE レジスタ(アドレス0x107)のビット0~ビット7 を設定します。無効電力量キャリブレーションは、有効電力量の場合と同様の方法で実行され、最初に、予期されるCFx 出力を決定します。

次いで、補償を次式で定めることができます

チャンネルB の無効電力量ゲイン・キャリブレーションは、BVARGAIN レジスタによって制御されます。チャンネルが正しくマッチングしていれば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで述べたように、同じ値をBVARGAINレジスタに書き込んで正確な結果を得ることができます。
高度な無効電力量キャリブレーション
VAR オフセット—オプション
無効電力量オフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が、オフセット・キャリブレーションを行う前に要求仕様から外れている場合のみです。
電圧チャンネルと電流チャンネルの間のクロストークは低電流レベルでの測定精度を低下させる可能性があり、これを補正するには、無効電力量オフセット・キャリブレーションを行います。オフセットの大きさを測定できるよう力率0 の低レベル電流信号を印加し、次いで除去する必要があります。
この例では、100A の電流を入力して、オフセット・キャリブレーションを実行します。220V の公称電圧チャンネル入力の場合、予期されるCF 出力周波数は、以下のように決まります。

100mA、220V 時の実際のCF 周波数が0.02050Hz の場合、オフセットによるパーセント誤差は、以下のように決まります。

無効電力量測定でのオフセットは、次式に従って補正できます。

電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBVAROS レジスタを通じて実行できます。BVAROS は同様の方法でチャンネルBの無効電力量CF出力を補正します。AVAROSがチャンネルA の無効電力量CF 出力に影響するためです。
CF 出力を用いた電流および電圧の実効値
電圧および電流の実効値のキャリブレーションが必要となるのは、瞬時の実効値読取りが必要な場合のみです。実効値キャリブレーションを行っても、有効電力量や無効電力量の性能には影響しません。
実効値キャリブレーションを実行するには、瞬時実効値レジスタ読出しを使用します。読取り値は、IRMSA レジスタ、IRMSBレジスタ、VRMS レジスタで得ることができます。このキャリブレーションには、CFx パルス出力は使用しません。安定性を高めるためには、実効値レジスタの読出し値をZX測定と同期させます。それにより、内部フィルタ処理の非理想性を原因とする読取り値のリップルの影響が減少します。ゼロ交差検出の詳細については、ADE7953 のデータシートを参照してください。電流および電圧の実効値を読み取るには、ゲイン・キャリブレーションを行ってデバイスごとの変動を補償する必要があります。クロストークは、低信号レベル時の読取り精度の低下の原因となる場合があり、これを除去するために、すべての電力量計についてオフセット・キャリブレーションが必要になる場合もあります。実効値読取りには内部ゲイン・キャリブレーション・レジスタがありません。そのため、ゲイン調整はマイクロコントローラのファームウェアで行われます。
実効値ゲイン
前述のように、電流と電圧のどちらの実効値ゲイン定数も、ファームウェアで計算されて取り込まれます。実効値ゲイン定数は、デバイスごとの変動を補償すると共に、LSB の実効値読取り値をアンペアまたはボルト単位の電流値または電圧値に変換します。電圧および電流の実効値定数は、一定の負荷条件の下で、実効値レジスタのLSB の数を入力の振幅で除算することによって決定されます。

ファームウェアで変換が行われているときに完全な分解能を維持するため、電圧および電流の実効値定数には、定数k が乗じられます。逓倍係数k を用いることで、固定小数点乗算を用いて16 進数として実効値読取りを変換し保存しても、分解能を維持できます。表示目的で16 進数から2 進化10 進数への変換を行う前に、読取り値の16 進数フォーマットへの変換が必要です。
電圧実効値レジスタの読出し値を、小数点以下1 桁の分解能を維持して、電圧単位の値に変換する方法の例を、次式に示します。この例では、220V が印加され、VRMS レジスタの読出し値は5400000d となっています。

電圧/LSB の定数に100 × 216が乗じられて、固定小数点乗算を用いた場合の精度が維持されています。V constant は0x10B です。
更に、電流実効値ゲイン定数を生成する例を次式で示します。この例では、結果として表示されるLCD ディスプレイ測定値は、小数点以下2桁の精度になります。10Aの電流が入力されると、1700000 という実効値読取りになります。

電流/LSB の定数に1000 × 216 が乗じられて、変換中に必要な精度が維持されます。結果としてI constant は0x181 になります。
実効値オフセット
低信号レベル時に正確な読取り値を得るには、電流および電圧の実効値オフセットをキャリブレーションする必要があります。このキャリブレーションを行うには、内部VRMSOS レジスタおよびIRMSOS レジスタを使用し、平方根機能の前段にオフセットを適用します。補償係数は、次式を適用することで決まります。

図7 に示すように、実効値オフセット・キャリブレーションは、公称入力を用いた実効値測定から予想読取り値を引き出す、2 つの点を基盤とします。

図7. 実効値読取り値
電流チャンネルA の実効値測定は、1000:1 のダイナミック・レンジにわたって規定されています。電流チャンネルB の実効値測定および電圧チャンネルの実効値測定は、500:1 のダイナミック・レンジにわたって規定されています。これは、測定精度を維持できる最低入力レベルであり、そのため、オフセット・キャリブレーションを行う必要のある最低点です。この例では、電圧実効値オフセットは175Vでキャリブレーションされ、電流実効値オフセットは100mA でキャリブレーションされています。予期される実効値読取り値を決定するには、公称電流および公称電圧で測定を行います。次に、この読取り値をスケール・ダウンして、キャリブレーション・ポイントでの予想値を得ます。
例えば、
INOMINAL(10A)での読取り値 = 1700000
ICAL(100mA)での予想読取り値 = (0.1/10) × 1700000 = 17000
ICAL(100mA)で得られる実際の読取り値 = 17250
したがって、以下の結果が得られます。

同様の方法で、電圧実効値オフセットをキャリブレーションできます。
例えば、
VNOMINAL(220V)での読取り値 = 5400000
VCAL(175V)での予想読取り値 = (175/220) × 5700000 = 4295454
VCAL(175V)で得られる実際の読取り値 = 4295400
したがって、以下の結果が得られます。

CF 出力を用いた皮相電力量キャリブレーション
VA ゲイン
ADE7953 の有効電力量測定および皮相電力量測定は、緊密にマッチしているため、皮相電力量ゲイン・キャリブレーションを個別に行う必要は必ずしもありません。ほとんどの場合、有効電力量ゲイン・キャリブレーションのセクションで述べたAWGAIN の計算値をAVAGAIN レジスタに書き込んで、同じ電力量計定数を保持できます。
異なる電力量計定数が必要な場合や更なるキャリブレーションが必要な場合は、皮相電力量を別途キャリブレーションできます。力率を1 として公称入力で皮相電力量キャリブレーションを実行してください。CFx パルス出力ごとに皮相電力量を設定します。これは、CFMODE レジスタ(アドレス0x107)のビット0~ビット7 を設定することで実行できます。皮相電力量キャリブレーションは、有効電力量キャリブレーションの場合と同様の方法で実行され、最初に、予期されるCF 出力を次式によって決定します。

次いで、補償を次式で定めることができます。

なお、チャンネルB の皮相電力量ゲイン・キャリブレーションは、BVAGAIN レジスタによって制御されます。チャンネルが正しくマッチングしていれば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで述べるように、同じ値をBVAGAIN レジスタに書き込んで正確な結果を得ることができます。
高度な皮相電力量キャリブレーション
VA オフセット—オプション
VAオフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が要求仕様から外れている場合のみです。
皮相電力量は、瞬時の電圧および電流実効値読取り値の積から導かれるため、IRMS およびVRMS のオフセット補償のキャリブレーションを通じて皮相電力量オフセットを除去する必要があります。更にキャリブレーションが必要な場合や、IRMSおよびVRMS を用いない場合は、AVAOS レジスタを使用できます。皮相電力量オフセット補償は、有効電力量および無効電力量のオフセット補償と同様であり、力率1 の低レベル電流信号を用いて実行する必要があります。次式は、チャンネルA 皮相電力量測定での誤差を、AVAOSレジスタがどのように補償するかを示すものです。

なお、電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBVAOSレジスタを通じて実行できます。BVAOSは、AVAOSがチャンネルA の皮相電力量CF 出力に影響するのと同様の方法で、チャンネルB の皮相電力量CF 出力を補正します。
CF 出力を用いたタンパプルーフ電力量計の設計
中性線欠相キャリブレーション
このキャリブレーション・ステップが必要となるのは、耐タンパ電力量計を設計する場合のみであり、中性線接続が欠落している状況で実行する必要があります。中性線欠相キャリブレーションは、電流実効値測定のキャリブレーション後に実行してください。
電圧チャンネルが一定のスレッショルド未満になった場合に、中性線欠相状態になります。SAG 検出およびゼロ交差タイムアウトをイネーブルすると、このイベントを検出できます(ADE7953 のデータシートを参照)。電力量計に印加される電圧がないため、この時点では電流は消費されません。電流が消費されていれば、タンパ攻撃がなされていることになります。この状態では、ADE7953 は、電流実効値の読取り値に基づき電力量を測定できるため、課金を継続できます。この条件下で動作するようADE7953 を設定するには、2 つの方法があります。最初の方法は、CF 出力にIRMS を出力することです。これは、CFMODE レジスタを用いて行うことができます。2 つ目のオプションは、IRMS信号を皮相電力量経路にリダイレクトすることです。それによって、IRMS が、CF 出力を供給すると共に、APENERGYx レジスタに内部的に蓄積されます。このオプションは、ACCMODE レジスタのビット8 およびビット9 を設定することで可能です。
このような条件下でもCFx パルスの重み付けが確実に維持されるよう、CFxDEN が変更されて正しい電力量計定数が提供されます。
中性線欠相モードで動作する場合、電圧の振幅と位相角が不明であるため、仮定する必要があります。予期されるCFx 出力周波数は、以前のキャリブレーション・ステップで決定した電力量計定数に再度基づく必要があります。この場合は、3200imp/kWh です。この例では、電圧が240V、位相角が30º と仮定しました。予期されるCF 出力周波数は、以前と同様に決まります。

中性線欠相動作条件を得るようCFx 出力周波数を調整するには、新たに予期されるCFx 周波数に従ってCFXDEN をスケーリングする必要があります。

例えば、中性線欠相モードで測定したCFx が1.954Hz であると仮定し、以前の計算を基にすると、最新のCFxDEN は0x2963 になります。

中性線欠相モードのCFxDEN は、中性線欠相モードで動作している場合にのみ、CFxDEN レジスタにプログラムする必要があります。
内部電力量レジスタのキャリブレーション
このセクションでは、内部電力量レジスタを用いる場合のキャリブレーション手順および計算について説明します。内部電力量レジスタでは、SPI/I2C インターフェースまたはUART インターフェースを介して、電力量計の測定値へのアクセスができます(詳細についてはADE7953 のデータシートを参照)。
内部電力量レジスタを用いてキャリブレーションする場合、高精度ソースを使用してください。内部レジスタを介したキャリブレーションは、通常、最終的な電力量計設計においてCF パルスを必要としない場合に行われます。図1 に、CF 出力と電力量レジスタの関係を示します。
電力量レジスタを用いた有効電力量キャリブレーション
有効電力量測定のキャリブレーションの流れを図8 に示します。キャリブレーション・ルーチンを決めるにはこの流れ図を使用します。

図8. 有効電力量キャリブレーションの流れ—レジスタ
電力量レジスタを用いた電流チャンネルB ゲイン・マッチング
2 つ目の電流入力チャンネルである電流チャンネルBを用いる場合、出力をチャンネルA に一致させると便利です。これらのチャンネルが一致すると計算が容易になります。電力量レジスタの1 つのビットとCF 出力の1 つのパルスが、各チャンネルで同じ重みを持つためです。最初のキャリブレーション・ステップとしてチャンネル・マッチングを実行することを推奨します。チャンネルB をチャンネルA にマッチングさせるには、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで概説した手順に従います。
Wh/LSB 定数の確立—最初の電力量計のみ
最初の電力量計をキャリブレーションする場合、Wh/LSB を決定します。Wh/LSB 定数は、有効電力量レジスタで各LSB の重み付けを設定するために使用されます。この定数を用いることで、電力量レジスタの読取り値を現実世界の値に変換できます。一度確立すると、同じWh/LSB 電力量計を後続の各電力量計に使用できます。Wh/LSB 定数を決定するには、次式が使用できます。

ここで、
Accumulation Time は、ラインサイクルの蓄積時間、AENERGYx は、この時間が経過した後の電力量レジスタからの読出し値です。
例えば、100 ハーフ・ライン・サイクルのLINECYC 値が設定され、入力信号の周波数が50Hz の場合、蓄積時間は1 秒(0.5 ×(1/50) × 100)です。220V、10A の負荷によりAENERGYx の読出し値が20398 になったと仮定すると、Wh/LSB定数は以下のように計算できます。
特定の仕様を満たすよう定数を調整する必要がある場合や、定数を簡単に保存できるようにする必要がある場合は、AWGAINレジスタを使用できます。AWGAIN レジスタを用いると、Wh/LSB 定数を±50%変更できます。AWGAIN レジスタは、次式に示すように、AENERGYA レジスタに影響します。

異なる電力量計定数にする場合は、必要なWh/LSB に応じてAENERGYA の読出し値を変更します。

例えば、以前に計算した2.99959 × 10−5 というWh/LSB 定数を、保存のために3 × 10−5 に変更したい場合、必要なAENERGYA 読出し値は次の通りです。

この調整は、有効電力量ゲイン・キャリブレーションのセクションで説明したように、AWGAIN レジスタを用いて行うことができます。
位相キャリブレーション(オプション)
位相キャリブレーションは、電流トランス(CT)を用いる場合にセンサーで発生する位相シフトを除去するために必要です。CT によって大きな位相シフトが追加され、低力率時に著しい誤差が生じる可能性があります。低抵抗シャントのような別のタイプのセンサーを用いる場合には、位相キャリブレーションは必ずしも必要ではありません。
位相キャリブレーションは、力率を0.5 として誘導性または容量性負荷を用いて行うのが理想です。この負荷が利用できない場合は、別の力率を選択できます。最高の結果を得るには、できる限り力率を0.5 に近くする必要があります。次式で、位相補償を決定する方法の概略を示します。ここで、f はライン周波数、ϕは電圧と電流の間の角度(度単位)です。

例えば、220V、10A で力率が0.5 の場合、予期されるAENERGYx 読出し値は、以前に計算した値の正確に半分となります。

AENERGYx レジスタの読出し値が10141、ライン周波数が50Hz と仮定すると、PHCALx の補償は以下のように決定できます。

PHCALx レジスタは、10 ビットの大きさの符号付きフォーマットである点に注意してください。
チャンネルA およびチャンネルB で用いる電流センサーに応じて、PHCALA とPHCALB とで異なる位相キャリブレーション値が必要となる場合もあります。
有効電力量ゲイン・キャリブレーション
有効電力量ゲイン・キャリブレーションの目的は、内部リファレンス電圧と外部部品がデバイスごとに変動することによる、わずかなゲイン誤差(例えば水晶発振器で生じる時間誤差)を補償することです。ゲイン・キャリブレーションは、すべての電力量計に必要であり、力率が1 の条件下で公称電圧および公称電流を入力して実行されます。簡単化のため、すべての電力量計に対し同じWh/LSB 値を用いてキャリブレーションすることを推奨します。AENERGYA レジスタでの予想読出し値を決定するには、次式を使用します。

その後、実際の値をAENERGYx レジスタから読み出すことができ、誤差があればAWGAIN を用いて補正できます。次式は、AWGAIN を使用してAENERGYA の読出し値を調整する方法を示します。

前出の例を用いると、220V、10A において、予期されるAENERGYA 読出し値は20370 です。実際のAENERGYA 読出し値が20073 であるとすると、AWGAIN は次のように計算されます。

なお、チャンネルB のゲイン・キャリブレーションは、BWGAIN レジスタによって制御されます。チャンネルが正しくマッチングされているならば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで説明したように、チャンネルB に対して前述の手順を繰り返す必要はありません。AWGAIN の計算値をBWGAIN に書き込めば正確な結果が得られます。
有効電力量オフセット・キャリブレーション(オプション)
有効電力量オフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が、オフセット・キャリブレーションを行う前に要求仕様から外れている場合のみです。
電圧チャンネルと電流チャンネルの間のクロストークは低電流レベルでの測定精度を低下させる可能性があり、これを補正するには、有効電力量オフセット・キャリブレーションを行います。オフセットの大きさを測定できるよう低レベル電流信号を印加し、次いで除去する必要があります。
オフセット・キャリブレーションを実行するときは、多くの場合、分解能誤差を最小限に抑えるために蓄積時間を増加する必要があります。ラインサイクルの蓄積モードでは一定の時間にわたって電力量を蓄積するので、結果は±1LSB の精度になります。この時間が経過した後にAENERGYx レジスタに蓄積されるビット数が小さい場合、±1LSB の誤差は出力において大きな誤差を生み出す可能性があります。例えば、AENERGYx レジスタに蓄積されるのがわずか10 ビットである場合、分解能誤差は10%になります。蓄積ビットの数が1000 に増加すると、分解能誤差は0.1%になります。
次に示す例では、1000 ハーフ・ライン・サイクルのLINECYCが設定され、100mA の電流が入力されます。220V の電圧チャンネル入力で力率が1 の場合、予期されるAENERGYA 読出し値は、以下のように決まります。

100mA 時のAENERGYA レジスタの読出し値が1987 の場合、オフセットによるパーセント誤差は、以下のように決まります。

ワット測定でのオフセットは、次式に従って補正できます。

なお、電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBWATTOS レジスタを通じて実行できます。BWATTOS は、AWATTOS がAENERGYA レジスタ読出し値に影響するのと同じ方法で、AENERGYB レジスタ読出し値を補正します。
電力量レジスタを用いた無効電力量キャリブレーション
VAR ゲイン
ADE7953 の有効電力量測定および無効電力量測定は、緊密にマッチしているため、無効電力量ゲイン・キャリブレーションを個別に行う必要は必ずしもありません。ほとんどの場合、有効電力量ゲイン・キャリブレーションのセクションで述べたAWGAIN の計算値をAVARGAIN レジスタに書き込んで、同じVARhr/LSB 定数を保持できます。
異なるLSB 重み付け(つまりVARhr/LSB 定数)が必要な場合や更なるキャリブレーションが必要な場合は、無効電力量を別途キャリブレーションできます。電力量出力を最大にするには、力率を0 として公称入力で無効電力量キャリブレーションを実行する必要があります。無効電力量キャリブレーションは、有効電力量キャリブレーションの場合と同様の方法で実行され、最初に、予期されるRENERGYx 出力を決定します。

次いで、補償を次式で定めることができます。

なお、チャンネルB の無効電力量ゲイン・キャリブレーションは、BVARGAIN レジスタによって制御されます。チャンネルが正しくマッチングしていれば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで述べたように、同じ値をBVARGAINレジスタに書き込んで正確な結果を得ることができます。
高度な無効電力量キャリブレーション
VAR オフセット—オプション
無効電力量オフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が、オフセット・キャリブレーションを行う前に要求仕様から外れている場合のみです。
電圧チャンネルと電流チャンネルの間のクロストークは低電流レベルでの測定精度を低下させる可能性があり、これを補正するために、無効電力量オフセット・キャリブレーションを行います。オフセットの大きさを測定できるよう力率0 の低レベル電流信号を印加し、次いで除去する必要があります。
オフセット・キャリブレーションを実行するときは、多くの場合、分解能誤差を最小限に抑えるために蓄積時間を増加させる必要があります。ラインサイクルの蓄積モードでは一定の時間にわたって電力量を蓄積するので、結果は±1LSB の精度になります。この時間が経過した後にRENERGYx レジスタに蓄積されるビット数が小さい場合、±1LSB の誤差は出力において大きな誤差を生み出す可能性があります。例えば、RENERGYx レジスタに蓄積されるのがわずか10 ビットである場合、分解能誤差は10%になります。蓄積ビットの数が1000 に増加すると、分解能誤差は0.1%になります。この例では、1000 ハーフ・ライン・サイクルのLINECYC が設定され、100mA の電流が入力されます。220V の電圧チャンネル入力で力率が0 の場合、予期されるRENERGYA 読出し値は、以下のように決まります。

RENERGYA レジスタの実際の読出し値が2044 の場合、オフセットによるパーセント誤差は、以下のように決まります。

無効電力量測定でのオフセットは、次式に従って補正できます。

なお、電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBVAROS レジスタを通じて実行できます。BVAROS は、AVAROS レジスタがRENERGYA レジスタ読出し値に影響するのと同じ方法で、RENERGYB レジスタ読出し値を補正します。
電力量レジスタを用いた電流および電圧の実効値
IRMSA、IRMSB、VRMS の各測定値をキャリブレーションする方法の詳細については、電流および電圧の実効値のセクションを参照してください。
電力量レジスタを用いた皮相電力量キャリブレーション
VA ゲイン
ADE7953 の有効電力量測定および皮相電力量測定は、緊密にマッチしているため、皮相電力量ゲイン・キャリブレーションを個別に行う必要は必ずしもありません。ほとんどの場合、有効電力量ゲイン・キャリブレーションのセクションで述べたAWGAIN の計算値をAVAGAIN レジスタに書き込んで、同じVAhr/LSB 定数を保持できます。
異なるLSB 重み付け(つまりVAhr/LSB 定数)が必要な場合や更なるキャリブレーションが必要な場合は、皮相電力量を別途キャリブレーションできます。力率を1 として公称入力で皮相電力量キャリブレーションを実行してください。皮相電力量キャリブレーションは、有効電力量キャリブレーションの場合と同様の方法で実行され、最初に、予期される電力量読取り値を次式によって決定します。

次いで、補償を次式で定めることができます。

なお、チャンネルB の皮相電力量ゲイン・キャリブレーションは、BVAGAIN レジスタによって制御されます。チャンネルが正しくマッチングしていれば、電流チャンネルB ゲイン・マッチングのセクションで述べたように、同じ値をBVAGAIN レジスタに書き込んで正確な結果を得ることができます。
高度な皮相電力量キャリブレーション
VA オフセット—オプション
VAオフセット・キャリブレーションが必要になるのは、低負荷時の精度が要求仕様から外れている場合のみです。
皮相電力量は、瞬時の電圧および電流の実効値読取り値の積から導かれるため、IRMS およびVRMS のオフセット補償のキャリブレーションを通じて皮相電力量オフセットを除去してください。更にキャリブレーションが必要な場合や、IRMS およびVRMSの測定値を用いない場合は、AVAOS レジスタを使用できます。皮相電力量オフセット補償は、有効電力量および無効電力量のオフセット補償と同様であり、力率1 の低レベル電流信号を用いて実行する必要があります。次式は、チャンネルA 皮相電力量測定での誤差を、AVOS レジスタがどのように補償するかを示すものです。

なお、電力量計設計でのボード・レイアウトおよびクロストークに応じて、チャンネルB にはチャンネルA と異なるオフセット・キャリブレーションが必要となる場合があります。これはBVAOSレジスタを通じて実行できます。BVAOSは、AVAOSレジスタがAPENERGYA レジスタ読出し値に影響するのと同じ方法で、APENERGYB レジスタ読出し値を補正します。