質問:
オペアンプ回路の帰還ループ にポテンショメータ(ポット)を 使いたいのですが、感度が 敏感で調整が難しすぎます。 この回路の性能を改善する ための何かよい方法はありま せんか?

回答:
まず申し上げたいことは、帰還ループでポットを使用するには注意が必要だということです。特に高周波領域では要注意です。巻線型ポットには大きなインダクタンスがあり、不安定になることがあります。ノイズの多いカーボン・ポットを使う場合も用心してください。
とはいえ、次のような方法を試すことができます。状況によっては、直列抵抗を追加し、必要な値を得るための“微調整”用としてポットを使うことができます。適切な抵抗値の直列抵抗とポットを使えば、ポットの感度は大幅に弱まります。ポットを帰還抵抗と並列に置くこともできます。この場合も、ポットの効果を引き出すには、帰還抵抗の値を適切な大きさにすることが重要です。この方法の利点は、0 までの全域が対象になることです。
もっとよい方法は、デジタル制御のポテンショメータ、つまり“digiPOT(デジポット、デジタル・ポテンションメータ)”を使用することです。デジポットはきわめて正確であり、摩耗、振動、ドリフト、サイズ、機械的調整、環境問題など、ポットの典型的なさまざまな問題を回避することができます。デジタル制御としては、SPI、I2C、プッシュボタン、アップ/ダウン・インターフェースなどいくつかのオプションがあり、調整は正確で再現性があります。デジポットはレオスタット(可変抵抗器)にもなります。これは、ポットの端子の1 つをワイパーに接続して可変抵抗器にしたものです。デジポットは、非反転と反転の両方のオペアンプ構成に対応します。
デジポットの帯域幅は、抵抗値に比例し広範囲にわたります。たとえば、1k に設定したデジポットの帯域幅は約5MHz ですが、10k に設定すると500kHz の帯域幅になります。部品としての汎用性は高く、設計者の「ツールボックス」に新しいツールが加わるようなものです。低消費電力、小さいフットプリント、高い信頼性を備えたデジポットは、従来の方法に代わる魅力的なソリューションです。
デジポットも、ほかの大部分の部品と同じく単純なビルディング・ブロックのデバイスですが、考慮に入れなければならない点がたくさんあります。これらのデバイス(およびすべてのアナログ・デバイセズ部品)については、データシートに詳細な情報が記載されています。設計作業を最適化するためには、データシートを熟読されることをお勧めいたします。