質問:
最新のオペアンプのオープン・ ループ・ゲインはきわめて高く、 オフセットは非常に低くなっています。 どうやったらこれらのパラメータを 測定できますか?あるいは、ひょっとしたら それは秘密なのでしょうか?
回答:
とても簡単なことです。そして、絶対に秘密などではありません。
いちばん最初のRAQのコラムで、私はフランス中部のイスーダンにあるレストラン「ラ・コニェット」を賞賛しました。つい最近またそこで食事をいただきました。そして、まもなく南アフリカのワインランズ地方フランシュフックで、アフリカ最高のレストランともいわれる「ル・カルティエ・フランス」にも行きました。いずれのレストランでも、私はシェフに料理の方法を尋ねることができました。そして、どちらのシェフも私が知りたいと思っていたことをすべて快く教えてくれました。凡人は自分が知っていることを秘密にしようとしますが、本当に偉大な人はそれを広めたいと思うものです。
アナログ・デバイセズは、アナログ技術の世界的リーダーです。私たちは「測定できないものは科学ではない」1" と考えており、製品パラメータを測定する方法について喜んでお教えします。
多くのテキストブックで紹介されているオペアンプの図によると、入力端子が接地され、1000 ~ 1万のクローズド・ループ・ゲインで電圧計を駆動しており、その電圧計は1000 ~ 1万倍に増幅されたオフセットを表示しています。熱起電力による電圧を小さくし、バイアス電流の影響を最小限に抑える注意を払えば、この方法でうまくいきます。しかし、オフセットの測定しかできません。
もう少し複雑な構成にして2番目のオペアンプを使用すれば、回路の変更はごくわずかで、低レベル信号のスイッチング(ノイズや誤差を引き起こすことがあります)なしに、オフセット電圧、バイアス電流、オープン・ループ・ゲイン、同相ノイズ除去(CMR)、電源電圧変動除去(PSRR)を測定することができます。さらに2本の抵抗と2本のコンデンサを追加すれば、AC測定も可能になります。おまけに、高精度の測定(たとえば、きわめて小さいオフセットときわめて高いゲインの測定)を行う場合でも2番目のオペアンプを高性能デバイスとする必要はありません。
この回路は、補助オペアンプが被試験デバイス(DUT)にフィードバックを提供することによって出力の電位を変化させて、強制的に補助オペアンプの入力での差動電圧を(ほとんど)ゼロにするという原理に基づいています。
これらの異なる測定の全てについて、回路の動作
の詳細を説明してくださいという問題を読者の皆さんに出してみたいのですが、詳しい内容はアナログ・ダイアログの「
1ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』(第9章)で、トウィッチェル博士は「測定できないものは科学ではない」と言います。これは「科学であるならば測定できる」を逆にしたものです。一般にケルヴィン卿の言葉とされますが、言いたかったことはあまりうまく表現されていません。むしろ、次のトウィッチェル博士の見解に近いと考えられます。「自然科学においては、どんな対象を学ぶ上でも重要な最初のステップは、数値で測るための原理と、その対象に結び付いた何らかの性質を測定するための実際的な方法を見つけ出すことです。私がいつも言っているのは、話している事柄について測定でき、それを数値で表すことができるならば、それについて何かを知っているということです。しかし、それを測定できず、数値で表すことができないのであれば、そのような知識は乏しく、十分なものではありません。それは知識の端緒かもしれませんが、問題が何であれ、思考において科学のレベルにまでほとんど至っていないのです。」[Popular Lectures & Addresses, Vol. 1 "Electrical Units of Measurement" 1883-05-03]