EMC、CEマーク、IEC 801……、これらはいったい何なのか?そして、新たなICが設計作業を容易化する

And new devices to ease the job

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本稿では、電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)について解説します。EMCの公的な重要性は、1996年1月以来、特に高まりました。本稿では、EU(欧州連合)の市場に投入されるすべての機器で遵守が義務づけられている特別な要件や規格について説明することにします。また、EMCの観点から、CE(Communauté Européene)マークを取得するために必要な事柄について明らかにします。アナログ・デバイセズは、それらの要件を満たすように設計された新世代のRS-232対応製品を提供しています。それらは、当社がICのレベルでEMC規格を満たすために講じてきた対策の効果を表す好例です。そうした対策の中には、IC内に実装した保護用回路が含まれています。それらの効果により、従来の製品をはるかに超えるレベルのイミュニティ(耐性)が実現されています。例えば、より厳格な新たな方法で試験を行った場合でも、15kVを超える静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)に対するイミュニティが得られます。また、本稿では過電圧やEFT(Electrical Fast Transients)に対する保護についても説明します。更に、電磁エミッションについて解説を加えると共に、コストのかかるシールドをなくすためにICに盛り込んだ対策について説明します。

EUがEMCについて発した指令 1989年5月、EUは、加盟国内で市場に投入される製品のEMCに関して、理事会指令89/336/EECを発行しました。その後、発行された改定版92/31/EECにより、強制遵守については1996年1月1日まで延期されました。この指令は、電磁妨害を引き起こす可能性がある機器、または電磁妨害の影響を受ける可能性のある機器に適用されます。つまり、すべての電気/電子製品が適用の対象になるということです。この規格の特徴は、エミッションだけでなくイミュニティにも対応していることです。つまり、よく知られているFCC(Federal Communications Commission:米連邦通信委員会)のクラスBで規定されたエミッションの抑制に関する要件の範囲を超えています。EUの指令は、EUの市場で販売される製品だけに適用されます。しかし、同等の規格が世界中で採用される可能性もあります。

EMCに関するEUの指令を遵守する製品を実現するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 外部の妨害源からのエミッションに対する高い耐性を備えている
  • その製品自身が発する望ましくないエミッションが非常に厳しい制限値を下回るレベルに抑えられている。製品のメーカーは、この規制を満たす責任を負う。1996年1月1日以降、EUの市場内で販売されるすべての電子製品は、CEマークを表示することで適合性を備えることを示さなければならない

用語の定義

ここでは、混同しがちないくつかの用語について整理しておきましょう。

EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性):電磁放射のある環境下で問題なく動作し、なおかつ環境に対して過度に影響を与えない能力のこと。この目標を達成しているすべての電子機器は、互いが存在する環境下で正常に動作する。

EMI(Electromagnetic Interference:電磁干渉):電子機器から生じる電磁エネルギー。その干渉の影響で、別の機器の性能が低下してしまう。

EMS(Electromagnetic Susceptibility:電磁感受性、電磁イミュニティ):電磁エネルギーに対する耐性。

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EMCに関するテスト EMCについて徹底した評価を行うには、EMIとEMSの両方のテストを実施する必要があります。ただ、EMIとEMSは別の規格として規定されています。なぜなら、両方のテストを行うには様々な測定手法や方法論が必要になるからです。電子機器から放出されるエネルギー(エミッション)は、電源ラインやI/Oケーブルを通じて伝導することもあれば、空間に向けて放射されることもあります。最初はケーブルに沿って伝導し、シールドが不十分な個所に行き当たったらそこで放射されるといったケースも起こり得ます。同様に、EMSについても、伝導性と放射性の両方の干渉に対して試験を実施しなければなりません。伝導性の干渉には、ESDとEFTが含まれます。

エミッションのテストは目新しいものではありません。ただ、ごく最近、EUの規制が発行された結果、商用の製品にはイミュニティの試験が義務づけられるようになりました。イミュニティに関する試験の規格は、伝導性と放射性の両方の面で数年にわたって進化してきました。

IEC 1000-4-xのイミュニティ仕様 欧州で運用されている基本的なイミュニティ規格は、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)が発行しています。その内容と文書の番号は、長年にわたり継続的に改定されています。IECは、以前はIEC 801-xとして知られていたイミュニティ規格群にIEC 1000-4-xという番号を割り当てました。例えば、ESDに対するイミュニティを扱う規格は、以前はIEC 801-2と呼ばれていました。それがIEC 1000-4-2に改定されたということです。IEC 1000-4-xとしては、以下のようなものが存在します。



IEC1000-4
EMC
IEC1000-4-1
イミュニティ試験の概要
IEC1000-4-2
イミュニティ試験の概要
IEC1000-4-3
放射性/無線周波数の電磁界に対するイミュニティ
IEC1000-4-4 EFT
IEC1000-4-5
雷サージ
IEC1000-4-6 9kHzを超える伝導性の無線周波数妨害

EMCとI/Oポートの関係

EMCの問題の75%は、I/Oポートに関連して発生すると見られています。I/OポートはESDやEFTの入口となり、機器内に侵襲が及ぶことがあります。一方で、I/Oポートが出口となり、ライン上を伝導するスプリアス信号やI/Oケーブルから放射される干渉信号が外部に漏れ出すこともあります。つまり、I/Oポートは電磁ノイズの出入り口になり得るということです。パッケージ全体のEMC性能について言えば、このようなポートに接続されるI/Oトランシーバー・デバイスのEMC性能が非常に重要になります。

I/OポートのEMS I/Oポートは、通常の動作を行っている際、様々な形の過電圧にさらされる可能性があります。つまり、EMIによる影響を特に受けやすい個所だと言えます。例えば、静電気を帯びたケーブルを抜き挿しするだけで、トランシーバーが破壊されるケースがあるといった具合です。RS-232に対応するシリアル・ポートは特に脆弱です。標準的なシリアル・ポートには、9ピン/オスのDコネクタが露出した形で使用されます。コネクタのすべてのピンには簡単に触れることが可能です。そのため、偶発的な放電の標的になります。例えば、カーペットが敷かれた部屋を歩き回った後、ノート型PCを持ち上げただけで、ESDによる損傷が発生してしまうかもしれません。

RS-232などのI/OポートにおいてESDに対するイミュニティを確保するにはどうすればよいのでしょうか。従来、そのためには、トランゾーブをはじめとする電圧クランプ構造や電流制限抵抗を使用するという方法が使われていました。通常、ICの損傷は、高電圧によって引き起こされる過剰な電流によって生じます。これに対する保護は、電流を迂回させたり制限したりすることで実現できます。

電流の迂回 通常、ICは、電圧をクランプする構造を適用し、一部の電流を外部で迂回させる(グラウンドに流す)ことにより保護することが可能です。電圧をクランプする構造は、素早くオンになり、ICから迂回させる電流を安全に処理できるものでなければなりません。このような理由からトランゾーブが広く使われていました。しかし、トランゾーブはコストが高いことに加え、多くの実装スペースを消費します。例えば、RS-232に対応するポートには8本のI/Oラインがありますが、それらを個々に保護しなければなりません。そのため、保護用の部品が、トランシーバー自体よりも大きな実装面積を占めるといったことがよく起こります。現在のノート型PCでは、コストと基板面積の両方を最小限に抑える必要があります。したがって、トランゾーブを使用する方法は理想とはかけ離れたものだと言えます。クランプ用の構造を外付けすることにはもう1つ欠点があります。それは、I/Oラインに大きな容量性負荷が追加されるというものです。そのことが原因になり、最高データ・レートが制限されます。加えて、データのエッジにおける充放電はバッテリが消耗する一因になります。このことは、携帯型機器では大きな欠点になります。

電流の制限 電流の制限は、直列抵抗を使用した単純な方法によって実現できます。この方法は、発生する可能性がある過電圧が比較的低い場合によく用いられます。しかし、ESDに対する保護では、15kVにも達する電圧に対応しなければならない可能性があります。そのため、直列抵抗を使用する方法は現実的な選択肢にはなりません。なぜなら、安全な制限値(200mA程度)の範囲内に電流の量を抑えるために必要な抵抗値は、トランシーバーの通常動作を妨げるほど高くなるからです。電流制限を実現するための部品としては、サーミスタなどが使われることもあります。その場合も、保護を実現するために、出力インピーダンスを犠牲にすることになります。多くの場合、電流制限は、電圧クランプと組み合わせて使用されます。そうすれば、通常動作時の仕様を犠牲にすることなく、高いレベルの保護を実現できます。両者を併用する方法は、適切な妥協策になると言えるでしょう。しかし、低価格の携帯型機器に何らかの構造を外付けするというのは、本質的に望ましいことではありません。

I/Oポートにおけるエミッション RS-232に対応するポートは、かなり低いデータ・レートで使用されます。そのため、EMCの面で問題になるエミッションの生成源にはならないように思えるかもしれません。しかし、実際には、その種のアプリケーションにおいても、様々な理由からエミッションは懸念事項になります。

RS-232におけるデータ伝送速度は、当初想定されていた速度の10倍に拡張されています。現在、一般的なV.34対応のモデムでは115kbpsを超えるデータ・レートが使われています。更に高速のモデムも登場しており、データ・レートは133kbpsまで引き上げられています。ISDNでは更に高速化されており、データ・レートは230kbpsに達しています。周波数が高く、なおかつ高い電圧が使われると、電磁放射のレベルが高くなります。一方で、チャージポンプをベースとする単一電源のトランシーバーが使われるようになったことに伴い、周波数の高い内蔵発振器が使用されるようになりました。その種の最新世代の製品では、チャージポンプ向けには基板面積を節約するために0.1μFのコンデンサが使用されます。そのようなアプリケーションでは、周波数の高い発振器が使われることから、エミッションのレベルが高くなります。高電圧(20V)のスイッチング、高い周波数、シールドされていない長いケーブルという条件がそろうと、細心の注意を払わない限り、EMIのトラブルが発生します。RS-232対応のケーブルは、非常に効果的なアンテナとして機能します。同ケーブルに混入するノイズのレベルが低かったとしても、大きなエミッションが放射される可能性があるということです。

必要なのは「修正」なのか、「予防」なのか?

EMCの問題は、製品の設計サイクルの後半になって見つかるケースが非常に多いと言えます。そうすると、多くのコストをかけて再設計を実施しなければなりません。つまりは、シールド、グラウンド、電圧クランプ構造などを追加しなければならないということです。そうした応急処置とも言える修正のためには、時間と実装スペースが必要になります。余分のコストをかけて作業を行うことになりますが、問題を解決できるという保証もありません。したがって、設計サイクルのできるだけ早い段階で対応を図るべきです。つまり、エミッションとイミュニティの両方の観点から、潜在的なEMIの問題について把握し、問題の発生源を排除することが重要だということです1。また、可能であれば、既に適合性試験と特性評価を実施済みの製品を導入することで、どの程度限界に近い状態で動作しているのかを知ることができます。この方法は効果的なものだと言えるでしょう。

ここで1つの実例を紹介します。アナログ・デバイセズの「ADM2xxEファミリ」は、RS-232に対応するインターフェースを備えたトランシーバー製品です(アナログ・ダイアログ、30-3、p.19を参照2。これらの製品は、EMCの規格に適合させるための重要な事柄を考慮して設計されています。エミッションの放射レベルが低いだけでなく、EMIに対する高いレベルのイミュニティを備えています。そのため、これらを採用すれば、システム設計者の頭痛の種を減らすことができます。また、低コスト、省スペース、高い耐久性といったメリットも享受できます。

イミュニティを備えた製品 ADM2xxEは、ESD、EFT、EMIに対する保護を実現するための構造を内蔵しています。そのため、IEC 1000-4-2、IEC 1000-4-3、IEC 1000-4-4の要件に確実に適合します。すべての入出力については、最大±15kVのESDと最大±2kVのEFTに対する保護が実現されています。したがって、電気的に過酷な環境で動作する機器や、RS-232対応ケーブルが頻繁に抜き挿しされる機器に最適です。また、IEC 1000-4-3で規定されている強度の高いRF電磁界に対する耐性も備えています。そのため、シールドされていない筐体内でも問題なく動作します。

このように、ADM2xxEは必要なあらゆる保護機能を備えています。そのため、コストのかかる外付け部品を使用する必要がなく、コストと基板面積を節約することができます。また、部品点数が少ないことから、システムの信頼性が向上します。更に、保護機能を外付けすることによって損なわれがちなデータ伝送速度も維持されます。

保護用の構造 ADM2xxEが内蔵する保護用回路の簡略図を以下に示します。ご覧のように、バック・ツー・バック接続した2つのダイオードを使用しています。通常の動作条件では、両ダイオードのうちどちらかが逆バイアスの状態になります。I/Oピンの電圧が±50Vを超えると、逆方向のブレークダウンが発生し、電圧がクランプされます。その結果、ダイオードを介して電流が迂回されます。RS-232の信号はバイポーラであり、通常は-10V~10Vの範囲でスイングします。そのため、2つのダイオードが必要になります。トランスミッタの出力とレシーバーの入力では、同じ保護用回路を使用しています。また、レシーバーの入力部には5kΩの終端抵抗も適用しています。これも電流の迂回に役立ちます。

Figure 3
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保護用のダイオードは、ESDのパルスに含まれるエネルギーを放散する能力を備えている必要があります。つまり、高速でスイッチングし、安全にエネルギーを放散することが可能で、なおかつダイ上の占有面積を最小限に抑えられるものでなければなりません。下に示した図は、これらの要件をどのようにして満たしているのかを表しています。これは、レシーバーの入力とトランスミッタの出力に適用した実際の構造です。各パッドの周囲に設けられた環状の構造により、PN接合が形成されています。このような実装方法を採用していることから、最小限の面積で最適な電荷の分散を実現することができます。

Figure 4
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IEC 1000-4-2に準拠したESDの試験 上に示した構造は、IEC 1000-4-2の試験の要件を満たしています。その要件は、MIL-STD-883Bで定められた一般的な人体モデルの試験よりもはるかに厳しいものです。MIL-STD-883Bの試験は、ほとんどの半導体メーカーが採用しています。ESDに関するこの試験方法は、ICを取り扱っているときや基板の組み立てを行っているときの状況を想定したものです。そうした条件下で、ESDに対する製品の感受性の試験を行うことを目的としています。しかし、この方法では、実際の放電に対する製品の感受性を適切に評価することはできません。ピンごとに他のすべてのピンに対する試験を実行し、取り扱いを行っている際、または自動挿入装置による実装作業を行っている際に発生する可能性がある各種放電をシミュレートします。これらの試験とIECの試験には重要な違いがあります。以下、それについて解説します。

IEC 1000-4-2とMIL-STD-883Bの違い IEC 1000-4-2の試験は放電エネルギーの面で、MIL-STD-883Bよりもはるかに厳しいものです。下の図は、ESDの試験に使用する回路を簡略化して示したものです。コンデンサC1は、抵抗R1を介して試験用の電圧に充電されます。次に、C1のエネルギーは、抵抗R2を介して被試験デバイス(DUT)に放電されます。ピーク電流と放電エネルギーの値は、R2とC1によって決まります。図の横に示しているように、IECの試験では、R2の値をMIL-STD-883Bの1.5kΩから330Ωに下げています。つまり、電流が4倍以上に増加します。また、C1の値を100pFから150pFに変更し、50%増大させています。更にIECの試験では、電源をデバイスに印加したまま各I/Oピンにエネルギーを印加します。それにより、ESDのトランジェントによって引き起こされる可能性がある破壊的なラッチアップの有無を確認します。

このように、IECの試験は電源を印加した状態で試験を実行します。つまり、機器が正常に動作している際のI/Oの放電をより適切に表現します。とはいえ、最大限の安心を得るためには、両方の試験を実施するべきです。つまり、ICを取り扱っている際や基板の組み立ての際に加え、現場で稼働中の状態における保護が最大限に確保されることを確認すべきだということです。

Figure 5
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IEC1000-4-4における対EFTのイミュニティ EFTは、スイッチやリレーの接点でアーク放電が生じた結果として発生します。IEC 1000-4-4(旧来のIEC 801-4)で定義されている試験では、例えば、電源リレーが誘導性負荷を切り離す際に発生する干渉をシミュレートします。アーク放電は、大きな逆起電力(Ldi/dt)によって発生します。例えば、スイッチが開いた際に接点がバウンスすることによって、アーク放電のバーストが生じるといった具合です。そのため、ラインに現れる電圧は、極めて高速のトランジェント(インパルス)のバーストで構成されます。IEC1000-4-4で定義されている高速トランジェントのバースト試験では、以下に示す波形を使用し、この種のイベントによって発生する干渉をシミュレートします。

Figure 6
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この波形は、15ミリ秒間にわたり生成される2.5kHz~5kHzのトランジェントのバーストによって構成されています。これが300ミリ秒の間隔で繰り返されます。I/Oラインには、1mの容量性クランプを使用してこれらのトランジェントを結合させます。図に示した高速トランジェントが生じている時間には、2kVもの高電圧が印加されます。その結果、I/Oラインに接続された保護されていないICは、即座に破壊されるか、遅延を伴う故障によって性能の劣化を招く可能性があります。ADM2xxEの場合、保護用回路を備えているため、過電圧を安全なレベルにクランプすることができます。

IEC1000-4-3の放射性イミュニティ IEC1000-4-3(旧来のIEC 801-3)では、放射電磁界に対するイミュニティの測定方法を説明すると共に、そのレベルを定義しています。この規格は、本来は、電磁エネルギーを連続波として放射する携帯型無線トランシーバーなどの電磁界をシミュレートすることを目的としていました。その後、対象範囲が拡大され、蛍光灯、サイリスタ・ドライブ、誘導性負荷などから放射される可能性があるスプリアス電磁エネルギーも含まれました。

イミュニティの試験では、様々な方法のうち1つを使ってデバイスに電磁界を加えます。ICの試験については、ある種のストリップライン・セルを使用すると便利です。2枚の平行平板で構成されるストリップライン・セルの間に電界を発生させるという方法です。試験では、大出力のRFアンプによって電界を発生させ、80MHz~1GHzの範囲で周波数を掃引します。DUTはセル内に配置し、電界を加えます。セル内の電界強度を監視し、周波数が変化しても電界レベルが一定に維持されるようにフィードバックをかけます。IEC1000-4-3では、1~10V/mの電界強度範囲を対象とし、3つの厳しさのレベルを定義しています。評価結果は、IEC1000-4-2と同様の形式で分類されます。

エミッション EN 55022、CISPR22は、IT機器から放射/伝導される干渉の許容値を定義しています。この規格の目的は、放射、伝導という2つの種類のエミッションを最小限に抑えることです。このようなエミッションは、高い周波数で電流を切り替えるスイッチング回路などで発生します。測定と解析を容易に行えるようにするために、30MHz未満の領域では伝導性エミッションが支配的になり、30MHz以上の領域では放射性エミッションが支配的になると想定されています。

エミッションを最小限に抑えるための最良かつ最も簡単な方法は、放射源においてエミッションを低減することです。例えば、ADM2xxEで使用されているチャージポンプは、フィルタやシールド用の部品を追加することなくスイッチングに伴うトランジェントを最小限に抑えることを主要な目標として設計されています。その結果、システム設計者の作業負荷が軽減されます。また、外付けのフィルタや、高周波成分の抑制素子、シールド素子が不要になるので、コストと実装スペースを節約することが可能になります。更に、高コストの最終手段になることが多いフィルタ付きのコネクタの必要性を完全に回避できます。

Figure 7
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参考資料

1A bibliography on EMC/EMI/ESD(EMC/EMI/ESDに関する参考文献)」Analog Dialogue 30-2 (1996年)

2 技術データについては、アナログ・デバイセズのウェブサイト(https://www.analog.com/jp)をご覧ください。

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Matt Smith