AD7863は＋5Vの単電源で動作する高速、低消費電力のデュアル14ビットA/Dコンバータ（ADC）です。 

変換時間5.2µsの2個の逐次比較型A/Dコンバータ（SAR ADC）、2個のトラック＆ホールド・アンプ、＋2.5V電圧リファレンス、高速パラレル・インターフェースから構成されています。4つのアナログ入力が2つのチャンネル（AとB）にグループ分けされ、A0入力によって各チャンネルを選択します。各チャンネルには、同時にサンプリングと変換が可能な2つの入力（V_A1とV_A2、またはV_B1とV_B2）が割り当てられるので、両方のアナログ入力信号の相対的な位相情報を保持します。このデバイスは、±10V（AD7863-10）、±2.5V（AD7863-3）、および0～2.5V（AD7863-2）のアナログ入力レンジを受け入れます。アナログ入力は過電圧に対して保護されるので、損傷を引き起こすことなく、入力電圧をそれぞれ±17V、±7V、＋7Vまで設定できます。 

1つの変換開始信号（CONVST）によって、2個のトラック＆ホールドが同時にホールド状態に入り、両方の入力上で変換を開始します。BUSY信号は変換の終了を示し、両チャンネルの変換結果の読み出しが可能になります。変換後の最初の読み出しでV_A1またはV_B1の結果にアクセスし、2回目の読み出しでV_A2またはV_B2の結果にアクセスします。マルチプレクサ選択入力A0がローのときにV_A1とV_A2を選択し、ハイのときにV_B1とV_B2を選択します。デバイスからのデータの読み出しは、標準のCSおよびRD信号を使用し、14ビット・パラレルのデータ・バスを通して実行します。直線性、ゲイン、オフセット誤差などの従来型のDC精度仕様に加えて、このデバイスでは高調波歪や信号対ノイズ比などのダイナミック性能パラメータも規定しています。 

AD7863は、アナログ・デバイセズのリニア互換CMOS（LC²MOS）プロセスを採用して製造されています。この製造プロセスはミックスド・テクノロジ・プロセスであり、高精度バイポーラ回路と低消費電力CMOSロジックを組み合わせることができます。このデバイスは、28ピンSOIC_WまたはSSOPパッケージを採用しています。 

製品のハイライト

1. AD7863は2個の完全なADC機能を内蔵しており、2チャンネルのサンプリングと変換を同時に実行することができます。各ADCには2チャンネルの入力マルチプレクサが付いています。両チャンネルの変換結果は、変換開始後5.2μsで読出し可能になります。
2. AD7863は5Vの単電源で動作し、70mW（Typ値）の消費電力です。自動パワーダウン・モードでは、変換完了時にデバイスがパワーダウンし、次の変換サイクルの前にウェイクアップします。AD7863はこの機能を持つためバッテリ駆動アプリケーションまたはポータブル・アプリケーションに最適です。
3. このデバイスは高速パラレル・インターフェースを持つため、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサに容易に接続することができます。
4. このデバイスでは、異なるアナログ入力電圧範囲を持つ3つのバージョンを提供しています。AD7863-10は標準工業用入力範囲 ±10Vを、AD7863-3は一般的な信号処理入力範囲±2.5Vをそれぞれ提供し、AD7863-2はユニポーラ0V～2.5Vのアプリケーションで使用することができます。
5. このデバイスの2つの入力サンプル・アンド・ホールド・アンプはアパーチャ遅延が非常に厳しく一致しています。