AD7764は、高性能24ビットのシグマ・デルタ（ΣΔ）型A/Dコンバータ（ADC）です。広い入力帯域幅、高速性、312.5kHzの出力データレートで109dBのダイナミック・レンジという性能を備えています。優れたDC仕様により、DCデータも求められるAC信号の高速データ・アクイジションに最適です。

AD7764を使用すれば、フロントエンドのアンチエイリアス・フィルタ処理条件が緩和され、設計プロセスが大幅に簡単になります。ピンで選択できる64×、128×、256×のデシメーション・レートを提供します。また、リファレンス駆動用のバッファのほか、変調器への入力のバッファリングとレベル・シフトのための完全差動アンプを内蔵しています。

入力信号が許容範囲を超えると、オーバーレンジ・アラート・ピンが通知します。内部ゲインと内部オーバーレンジ・レジスタを追加すれば、AD7764はコンパクトな高集積データ・アクイジション・デバイスとなり、周辺部品は最少限で済みます。

AD7764の低消費電力モードは、出力データレートや使用可能な入力帯域幅を低減することなく、消費電力を大幅に削減します。

アナログ変調器によって、最大40MSPSで差動入力をサンプリングします。変調器の出力は、一連のローパス・フィルタが処理します。外部からのクロック周波数によって、サンプル・レート、フィルタ・コーナー周波数、出力ワードレートが決まります。

AD7764は全帯域のFIRフィルタを内蔵しています。フィルタの完全な阻止帯域減衰はナイキスト周波数で実現されます。この機能によりナイキスト周波数の上方に存在し信号帯域に折り返される信号からより一層保護されます。

入力範囲は、AD7764に印加するリファレンス電圧によって決まります。4Vリファレンスでは、アナログ入力範囲は、2.048Vのコモンモードを中心にバイアスされた±3.2768Vの差動です。このコモンモード・バイアスには内蔵差動アンプを使用するため、外部での信号処理に対する要求を軽減します。

AD7764は、28ピンTSSOPパッケージを採用し、－40～＋85℃の工業用温度範囲で仕様が規定されています。

アプリケーション

• データ・アクイジション・システム
• 振動解析
• 計測器