Customer Case Study

次世代型ウェアラブル端末を誕生へ導いた、販売代理店・三共社による回路設計サポート

logo超小型ヘルスケアIoTデバイスの開発・販売を行う2021年創業のスタートアップ
https://soxai.co.jp/

顧客課題: スマートリング開発における課題/不具合の洗い出しと課題解
導入製品: 三共社のエンジニアサポート
導入効果:
  • ファームコードエラーの発見とデバッグ
  • 評価/検証によるロバスト化
キーワード:ヘルステック, AFE, 回路設計サポート, 消費電力削減, デバッグ, 評価検証

日本発のヘルステックスタートアップ、SOXAI社。同社のコンディション管理用スマートリング「SOXAI Ring(ソクサイ リング)」は、24時間365日のセルフモニタリングを実現するため、バイタルデータの取得機能を約2.5mm厚×7.6mm幅の指輪で実現。市場の反響は大きく、クラウドファンディングサービスでは公開後1分足らずで目標金額を達成した。アナログ・デバイセズは、アナログ・フロント・エンド(AFE)「ADPD4101」を納入するだけでなく、販売代理店の三共社を通じてきめ細かなエンジニアサポートを提供。デザイン・インの姿勢で、スタートアップの挑戦を力強く後押しした。
アナログ回路の設計は、デジタルに比べ、経験や感性が問われると言われる。本稿では、アナログ回路設計における技術サポートの重要性をご紹介する。

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アナログ信号にノイズが発生。原因がわからない。
そこに一筋の光、三共社のエンジニアサポート。

測定精度の向上、製品の小型化、バッテリーの長寿命化。SOXAI社の代表取締役社長の渡邉達彦氏にとって、この3つは妥協できないものであった。そのため、採用するAFEも検討に検討を重ね、最終的にアナログ・デバイセズの光学バイタルセンシング用AFE「ADPD4101」に決めた。外乱光の除去性能の高さと、AFEとLEDを合計したシステム消費電力がわずか30μWというのが大きなポイントだったという。(「アナログ・フロント・エンド「ADPD4101」が導いた、 日本発超小型ヘルスケアIoTデバイス」 参照)

開発は大きく進展したと思われたが、AFE導入後も新たな壁が立ちはだかった。センサーで取得したアナログ信号に大きなノイズが生じ、バイタルデータを正確に取得できない事態に陥ったという。当時の不安を、渡邉氏は次のように振り返る。

「原因がわからず、途方にくれたのですが、悩んでも開発は進まない。そこで、アナログ・デバイセズさんにメールで問い合わせました。実は、返信があるか少々心配でした。その頃は起業したばかりで、ホームページもなければ、オフィスも小さな倉庫。外資系で、世界的な半導体メーカーが、日本の小さなスタートアップを相手にしてくれるだろうかと」
その心配は無用だった。アナログ・デバイセズの販売代理店・三共社からすぐさま連絡が来た。連絡したのは、同社でアナログソリューションを担当する営業部の熊谷敦氏である。 「SOXAIさんがなにを開発し、どんな挑戦を行っているのか興味があったので、すぐご連絡をさせていただきました。お問い合わせいただいた「ADPD4101」は、デジタルヘルス分野で使われるAFEです。日本でも確実に成長すると見込まれ、当社でも注力している分野なので、応援にも力が入りました」

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顔を見る、全体像を見る、データを見る。
すると、課題も答えも見えてくる。

アナログ・デバイセズと販売代理店のエンジニアサポートは、直接足を運ぶことが多い。面と向き合うことで解決できる課題も少なくないからだ。熊谷氏によると、消費電力を抑えたいという相談にしても、よくよく聞くと、バッテリーの長寿命化が目的ではなく、精度に影響する温度ドリフトの軽減が目的ということもあると言う。

「部分を見るのではなく、全体像を見ることで、解決の糸口が見つかったり、他の課題を洗い出せたりすることもあります。設計やデータを見せてくださいとお願いすると、問題部分だけ共有され、他は推測でカバーするしかないことも多いのですが、SOXAIさんの場合はすべて見せていただけました。画期的製品ですから情報開示には躊躇されると思ったのですが、情報もお悩みもすべてお聞かせいただけました。そこに課題解決への情熱、開発への真摯さを感じ、私たちもサポートに一層熱が入りました」

開示されたデータをもとに、熊谷氏は社内の技術サポートチームに相談。その結果、アナログ回路系とデジタル回路系のグランド分離が不十分であったことが原因だと判明。回路基板のレイアウト設計を改善することで解決できた。「ハイスペックの部品を採用しても、データシート通りの性能を引き出せないことは多々あります。特にアナログ回路の設計においては、基板形状に応じた最適な設計を行う際に、専門的なノウハウの蓄積や知見の有無が成否を分けます。今回は、三共社さんのサポートがあったからこそ、期待通りの、いや期待以上の製品になったと言えます」と渡邉氏。

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システム検討や検証の相談は5日以内、回路・設計は3日以内。
お客様の立場に立てば、少しでも早く回答したい。

三共社のサポートについて渡邉氏が驚いたのが、その回答のスピード感と分かりやすさであった。三共社では、アナログ回路専門の技術サポートチームが、お客様を最適解へと導く体制を敷いている。この体制のもと、スピーディーな対応を重視し、システム検討や検証についての回答は三共社に問合せの連絡が入ってから5営業日以内、回路や基板設計は3営業日以内を基本としている。

「当社のエンジニアたちは自ら設計・開発に携わってきた者が多いので、いち早く回答が欲しいという、お客様の気持ちがよく分かる。だからこそ悩みに早く、親身に寄り添いたいという想いが強いんです。また、スピード対応と同時に当社ではロバスト設計の支援にも注力しています。せっかくの製品も、堅牢性に弱点があれば市場クレームに直結しますから疎かにはできません。当社はロバスト設計を支援するため、電子工学理論に裏打ちされた回路設計支援、ユニバーサル基板ではなく、評価ボードでの実動作検証を行っています。また、信号回路のノイズ対策や温度ドリフト対策、電源回路の熱対策、ノイズ対策、効率改善を得意としていますが、これも当社にアナログ回路に精通した技術者がいるからです。それに、アナログ回路についてより専門的な知見、最先端の知見が必要とあれば、アナログ・デバイセズの製品担当エンジニアに聞けばすぐに回答が得られるのも、私たちの強みです」

今回も、光学ノイズのフィルタリングについて、アナログ・デバイセズのエンジニアからいくつも貴重な示唆を得られたと、渡邉氏は言う。

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スタートアップだけど、孤独じゃない。
三共社のサポートを得ながら、さらなる挑戦へ。

スタートアップの支援に以前から注力してきた三共社。ポテンシャルが高いにもかかわらず、サポートを得られないがゆえに夢が潰えてしまう、そんな企業の多さが気がかりと、熊谷氏は語る。
「スタートアップは特定領域で最先端の技術を持たれている。一方で、広範な情報をお持ちでないケースも多い。そこで、私たちの出番です。こういうことをされたいなら、こうした方法はいかがですか、と常に最適解をご提案できるよう、あらゆるケースに対応できる体勢を整えています」

コロナ禍で進んだ今回の開発では、IC不足による生産への影響も生じた。しかし調達面でも、三共社は不安に寄り添い続けてくれたと、渡邉氏は話す。「親身に相談に乗っていただき、IC入手の調整もしていただけたお陰で、予定通りにローンチできました」
販売までの困難を三共社のサポートを得ながら乗り越え、市場で大反響を得たSOXAI Ring。渡邉氏はいま、新たなゴールを見据えている。法人や自治体を巻き込んだイノベーションだ。「協業によってSOXAI Ringの価値を最大限に活かしながら、人間的な生き方が無意識に叶う社会を目指していきたいです」

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