ナノパワーは単機能のアナログまたはミックスド・シグナルICの供給電流または自己消費電流(IQ)を1µA未満に抑え、電力消費を劇的に削減することによりバッテリ寿命を改善する独自の技術です。アナログ・デバイセズのnanoPower Technology™製品を使用すると、より小型のバッテリを使用し、製品のバッテリ再充電や交換までの保証稼働時間を延長する設計が可能となります。
モノのインターネット(IoT)機器、ウェアラブル、ヘルスモニタ、フィールドセンサーなどをはじめとした、バッテリ駆動のアプリケーションは指数関数的な成長を遂げています。これらの機器は技術の限界をさらに超えて、より長時間の稼働、発熱の抑制、および小型化を必要としています。デューティ・サイクルに基づくシステムでは自己消費電流(IQ)が最も重要ですが、IQを削減することによってそのシステムの有用性が発揮されます。 アナログ・デバイセズのnanoPower Technology製品は1µA未満のIQで動作し、システムに最高の性能、最小の発熱、および最長のバッテリ寿命をもたらします。
バッテリ寿命を最大化する
一般的なバッテリ駆動アプリケーションは、何かが起こるのを待ち受けているアイドル状態で大半の時間を過ごします。この「何か」は一定の間隔で発生する時間的に制御されたイベントであったり、あるいはユーザーがスイッチを入れることによるイベントであったりします。イベントを受け取ったシステムは、センサーからの読み出しや結果の表示など規定の動作を行った後、次のイベントを待つスリープ状態に戻ります。動作中とアイドル時の消費電流を極めて小さく抑えることにより、システムをより小型のバッテリでより長時間動作させることが可能になります。日常的環境での事例には以下のものがあります。
- 天候や空気の品質を監視するリモート環境センサー
- 使用されていないが電源がオンのままのワイヤレス・マウス
- エンジンが切られたがオーディオは動作中の自動車
ナノパワーは待ち受けモード中の単機能のアナログまたはミックスド・シグナルICの、供給電流またはIQを1µA未満に抑えます。電圧レギュレータや監視回路からオペアンプやコンパレータまで、ナノパワーICがシステム設計をどのように変えることができるかを以下に説明しています。

IoTのためのnanoPower Technology
モノのインターネット(IoT)用センサー回路は長寿命を必要とし、また大半の場合にはフィールドで運用され、バッテリや、例えば太陽光発電などの再生可能電源から電力が供給されます。これらの機器の多くでは、一定の低い負荷と、測定やデータ送信時の大きな消費電力との両方が発生します。nanoPower Technologyによるソリューションは、これらのアプリケーションでの低い負荷とピーク時における電力需要との両方について最適化を行います。

エッジでのAI
オンデバイスの人工知能(AI)は機械学習に革命をもたらしています。AIを組み込んだ機器をエッジに置くことにより、遅延を削減するためにタイミングを決定する必要が減り、またクラウドへのデータ伝送に伴うボトルネックを回避できるようになります。しかしそのためには、それらの機器が極めてわずかな電力で動作することが求められます。

医療アプリケーション
医療が病院から家庭へ、および屋外へと拡がっていることに伴い、医療機器へのニーズも変化し、拡大しています。監視と治療においては、低消費電力による測定と通信が極めて重要となってきています。nanoPower Technology製品はバッテリ寿命を延長し、より小型のバッテリ使用を可能とすることにより、機器を軽量化し、使いやすさを高め、期待される結果を実現しやすくしています。

携帯型測定機器
フィールドにスタッフを派遣しての測定には多大な時間と費用を伴います。測定を繰り返すことによるエネルギー浪費を回避するには、最初から正確な測定を行えることが必要です。また携帯型機器にはさらに軽量で持ち運び易いことも求められます。nanoPower Technology製品は性能と電力消費を両立させなければならないというジレンマを解決し、技術的課題への対処を求められている設計者を支援します。

コンスーマ向け機器
コンスーマ向け機器はnanoPower Technologyに最も適した分野です。ビルディング・ブロック方式のアプローチを通じ、システムのアーキテクトや設計者は独自の機能を選択すると共に、システム全体の性能を最適化できるようになります。監視回路やコンパレータなど、ナノパワー製品の多くは消費電力が極めて少なく、システムに組み込まれた場合にはエネルギー供給なしで稼働すると見なすことも可能です。

工業アプリケーション
電源線から電力を得る機器であっても、特にスペースの限られた強制冷却なしのシステムの場合には、nanoPower Technologyにより発熱軽減のメリットが得られます。またこのようなシステムでは待機電力と電力消費全体とが抑えられ、カーボン・フットプリントが削減されます。.
MAXESSENTIAL02:アナログ電力のための基本的ツールキット
このサンプルボックスを使用することにより、フル機能の評価基板の購入に先立ち、ナノパワー、uSLIC™モジュール、およびContinua™ファミリを代表とする、LDO、バック、ブースト、およびバックブースト・コントローラを含む様々な電力変換ソリューションを実際に評価できます。
主な特徴と利点
- 迅速なテストとプロトタイプ作成
- nanoPower Technologyは待機(自己消費)電力をナノアンペアのレベルに減らし、携帯型やウェアラブル機器のバッテリ寿命を延長します
- Continuaバックアップ電源ソリューションにはバックとブースト機能が組み合わされ、機器への電力は単独の超コンデンサから供給されます。

主な製品
ビデオ
アナログ・デバイセズのナノパワー・モジュールはスペースに制約のあるアプリケーションのバッテリ寿命を延長
MAXM38643とMAXM17225 - いずれの競合製品よりも自己消費電力がわずかな電力モジュールの詳細、およびそれぞれの評価(EV)キットについて
ナノパワー・ブースト・コンバータのデモ
MAX17222 EVキットを使った、ナノパワー・ブースト・コンバータの自己消費電力の小ささとTrue Shutdown™機能のデモをご覧ください。
nanoPower Technologyの基本
MAX17222 EVキットを使った、ナノパワー・ブースト・コンバータの自己消費電力の小ささとTrue Shutdown™機能のデモをご覧ください。