ものごと(動物とADC)は必ずしも見かけどおりとは限らない

質問:

低速の ADC を駆動するとき、高周波問題を考慮する必要は あるでしょうか?

RAQ:  Issue 22

回答:

ものごとはいつも見かけどおりとは限りません。クアッガという動物がいます。最後のクアッガは1883 年8 月12 日にアムステルダムの動物園で死亡し、その後は絶滅したものと思われていました。ところが最近、数頭のクアッガの遺骸について遺伝子調査が行われ、クアッガは独立した種ではなく、アフリカ現生のサバンナシマウマの亜種であることが明らかになりました。品種改良プログラムによってクアッガを復活させ、かつての生息地に戻せる可能性が十分あります。このプロジェクトは現在進行中ですが、その結果(この記事をみなさんが読まれる頃までに出るとよいのですが)はたいへん有望なようです。

同様に、「DC」のADコンバータ 入力と言われるものも特別なものではありません。さまざまなタイプのADC のアナログ入力段にはスイッチド・キャパシタが含まれます。アンプによってバッファされている製品もありますが、一般的には、ADC 入力端子を駆動する回路は、コンデンサのスイッチング時に流れる高速の過渡電流に耐えなければなりません。ほとんどの場合、これらの電流パルスの反復速度はシステムのサンプリング・クロック周波数に対応し、場合によってはADC の変換クロック周波数より高くなることがあります。入力インターフェースがこのような高速の電流パルスに耐えられない場合は、システムが誤動作し、非直線性や場合によってはミッシング・コードに見舞われる重大な危険性があります。

この問題に対応するには2 つの方法があります。最も簡単なのは、ADC 入力とグラウンドの間にコンデンサを置いて、過渡電流が駆動回路ではなくコンデンサに流れるようにすることです。もう1 つは、高速の過渡電流に耐えられるドライバ/インターフェース回路を使用する方法です。

コンデンサを使用する場合は、システムの周波数応答が低下することがあります。この方法を採用するときは、ADC 入力を駆動する回路がそれ相当の容量性負荷に対して安定動作をすることです。コンデンサの容量はシステム帯域幅に必要な大きさを持たせることが大切です。

コンデンサを置かず、過渡電流に対応できる駆動回路を採用する場合は、パルス振幅が入力レベルによって変動する可能性があるため、アンプまたはその他のドライバが入力ダイナミック・レンジの全域にわたって過渡電流に対応できることを確認する必要があります(SPICE マクロ・モデルでは、このような高速の過渡電流の影響を予測できるほどの精度がないかもしれません)。

また、ADC のリファレンス入力が信号入力と同じような構造で、同じような過渡電流が生じる場合があることを知っておく必要があります。ほとんどの場合、リファレンスIC の負荷コンデンサが悪影響を防いでくれます。なかには「出力コンデンサは不要」とうたわれている電圧リファレンスもあります。これは抵抗性負荷で使用する場合には当てはまるかもしれませんが、このような過渡電流が存在するときには明らかに不適切です。







james-m-bryant

James Bryant

James Bryantは、1982 年から2009 年までアナログ・デバイセズの欧州地区アプリケーション・マネージャを担当し、つねに面白いプロジェクトを探求しています。 リーズ大学で物理学と哲学の学位を取得し、さらにC.Eng.、Eur.Eng.、MIEE、FBISの資格があります。エンジニアリングに情熱を傾けるかたわら、アマチュア無線家でもあり、コールサインG4CLFを持っています。