思慮分別が重要・・・

質問:

ディスクリート・トランジスタはどのように選べば良いのでしょう?

RAQ:  Issue 105

回答:

ディスクリート(慎重)に。(すみません、ダジャレです…)

でも、慎重になりすぎないように注意してください。低速ロジック・インバータ用のディスクリート・トランジスタの選択に数日間苦しんだあげく、アプリケーション・ノートでエミッタ・フォロアとして使われていたものと全く同じトランジスタを入手できなかったために、ほとんど神経衰弱のようになってしまったエンジニアが何人もいますから。

実際には、いくつかの基本的な問題を解決しておけば、かなり異なるトランジスタでも多くの回路で同様の機能を果たしてくれます。

多くのアプリケーションでは、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)を選ぼうがMOSFET を選ぼうが、実際には大きな違いはありません。もちろん、これらのトランジスタには少し異なる回路が必要です。トランジスタにはほとんどの場合ベース抵抗が必要ですが、MOSFET には必要ありません。また、MOSFET は入力容量が大きいので、安定性を評価する時はこの点を考慮する必要があります。しかしどちらも、アンプ、発振器、ロジックなどでソリッドステートのトライオードとして良好な性能を発 揮します。BJT はベース電流を消費しますが、容量は小さく、MOSFET の場合はゲート電流がごく微量ですが、ゲート容量が非常に大きくなります。場合によってはデバイスの物理的特性と選択が大きな問題となるのはもちろんで、BJT のベース・エミッタ接合の熱特性を温度測定に使用することもあります。

注意すべき点は、どのようなデバイスを選ぶにしろ、極性(NPN/N チャンネルかPNP/P チャンネルか)が適切かどうかを確認する必要があるということ、そしてそのトランジスタを組み込む回路にトランジスタの絶対最大定格を超える電流が流れないようにする必要がある(定常電流と過渡電流の両方)ということです。

そのほか、どの特性が重要かということ、そして大きく変化しても回路性能に大きな影響を与えることがない特性はどれかを理解する必要があります。Choosing Transistor(s トランジスタの選択)では、これらの問題をある程度詳しく検討したうえでトランジスタ選択のための最良の手順は次のようなものだと結論しています。「xxxx、yyyy、zzzz より良好な特性を持つデバイスは、どれでもこの回路では良好に機能すると思われます。SPICE を用いた解析によれば、シミュレーションで2Naaaa、2Nbbbb、2Ncccc のすべてが正常に機能することがわかりました。なかでも、2Naaaa を使用したプロトタイプが特に良好な結果を示しています。とはいえ、同様の特性を持つその他多数のトランジスタも同様に使用できるはずです」

どのようなデバイスを選ぶにしろ、選択をするときには、慎重であると同時にディスクリートであることを確認してください。トランジスタを選択するときに自分はほとんど無造作に選んでいるようだと同僚に誰彼なく自慢する必要はありません。それでも優れたエンジニアリングはオーバースペックにならないようにするものです。ヘンリー・フォードによれば、「エンジニアは、愚か者が1 ドルかけてやる仕事を5 セントでやることができる」そうです。

著者

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James Bryant

James Bryantは、1982 年から2009 年までアナログ・デバイセズの欧州地区アプリケーション・マネージャを担当し、つねに面白いプロジェクトを探求しています。 リーズ大学で物理学と哲学の学位を取得し、さらにC.Eng.、Eur.Eng.、MIEE、FBISの資格があります。エンジニアリングに情熱を傾けるかたわら、アマチュア無線家でもあり、コールサインG4CLFを持っています。