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Teal electric car charging under a bright blue sky.
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XPENG、電気化学インピーダンス分光法を利用するバッテリ・インテリジェンスを自動車メーカーとして初めて採用、モビリティの革新を牽引

June 15, 2026


主なポイント

  • アナログ・デバイセズは、車載分野において、電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)の機能を実装したICソリューションの普及を先導してきました。
  • XPENGは、電気化学インピーダンス分光法に対応するアナログ・デバイセズのICを、自動車メーカーとして世界で初めて量産EV用のバッテリに採用しました。
  • 電気化学インピーダンス分光法を利用すれば、バッテリ内部の状態を把握し、各種のパラメータの値を高い精度で推定/予測することで、安全性を強化できます。対象となるパラメータとしては、充電状態(SOC:State of Charge)、健全性(SOH:State of Health)、コア温度などが挙げられます。
  • 電気化学インピーダンス分光法は、バッテリの異常や熱暴走を早期に検出することに役立ちます。それにより、充電速度の向上、航続距離の延伸に貢献します。それだけでなく、電気自動車(EV:Electric Vehicle)用プラットフォームの拡張性向上を後押しします。

 

現在、EVの業界は転機を迎えています。自動車メーカーもユーザも、より短い時間でバッテリを充電することを求めてきた結果、その大きな代償としてバッテリの劣化という問題に直面することになったのです。それにより、バッテリ管理(バッテリ・マネージメント)システム(BMS:Battery Management System)の重要性が一層高まることとなりました。残念ながら、従来のBMSは電圧、電流、温度といった外部から測定可能な信号しかモニタできませんでした。そのため、自動車メーカーは潜在的な障害に対し、事後対応型で対処することがほとんどでした。潜在的な劣化や異常を早期に検出するのは困難であったため、予測型の対処には限界があったのです。

この課題に対処するため、XPENGはアナログ・デバイセズとの連携を図ることにしました。その目的は、電気化学インピーダンス分光法に関するアナログ・デバイセズの先進的な技術を自社の車両アーキテクチャに直接適用することです。それにより、バッテリの電気化学的な状態をリアルタイムに把握できるようになりました。その成果として、バッテリの劣化を早期に検出することが可能になりました。いわば、BMSを予測診断用の“エンジン”へと効果的に進化させられたということです。つまり、BMSを原動力として、バッテリ寿命の延長とより安全なモビリティを実現できるようになったのです。

Black Xpeng logo with stylized X symbol and text.

本事例の概要

顧客企業の概要

XPENGは、中国の大手スマートEVのメーカー。高度な自動運転機能、スマート・コックピット・システム、最先端のバッテリ管理技術を搭載したインテリジェントなEVを製造している。

課題

モビリティ用の多様なプラットフォームにおいて、高い電圧まで急速に充電する性能とバッテリの寿命/安全性のバランスをとりながら、熱に対する安定性とコスト圧力に対処する。

目標

バッテリ管理を事後対応型から予測型へと変革する。それにより、バッテリの充電を更に高速かつ安全に行えるようにする。また、バッテリの寿命を延長する。

アナログ・デバイセズのソリューション

アナログ・デバイセズは、電気化学インピーダンス分光法の機能を実装した車載向け製品群を提供している。それらの先進的な製品を採用すれば、バッテリのSOHをリアルタイムに推定できる。中核となるBMS製品には、「ADBMS6842」、「ADBMS2970」、「ADBMS6822」などがある。

電気化学インピーダンス分光法の概要、アナログ・デバイセズの差別化ポイント

電気化学インピーダンス分光法は、複数の周波数におけるバッテリのインピーダンスを測定するための安全かつ非破壊的な手法です。これにより、バッテリの劣化、熱的な不安定性、潜在的な障害が顕在化する前に、その発生を予測することが可能になります。アナログ・デバイセズは、この技術に関する先駆者であり、同分光法による測定に必要なシグナル・チェーン全体を1チップに集積したICを提供しています。それらのICは、高精度のハードウェアと高度なアルゴリズムを独自に組み合わせることで実現されており、実用的な知見を提供する役割を果たします。その結果、安全な急速充電、保守的に設定されたマージンを縮小することによる航続距離の延長、微細な障害の早期検出が可能になります。

Chirag Patel headshot.
「XPENGは次世代のモビリティ・ソリューションの実現を目指していました。そのためには、バッテリ・インテリジェンスの飛躍的な進化が必要でした。電気化学インピーダンス分光法は、その進化を実現可能な技術の中でも傑出した存在でした。XPENGとアナログ・デバイセズが緊密に連携したことにより、電気化学インピーダンス分光法の機能の実装技術と実用化の面で大きな進化を実現できました。また、その取り組みを通して、バッテリの振る舞いに対するより深い洞察が得られるようになり、自社だけでは実現できなかったであろうイノベーションを加速させることができたのです。」

Chirag K. Patel

車両電動化担当マネージング・ディレクタ兼ゼネラル・マネージャ | アナログ・デバイセズ

XPENGの課題を解決するアナログ・デバイセズのソリューション

XPENGはAIを活用したEVで知られていますが、その熱意はバッテリの信頼性が極めて重要となる、より幅広いアプリケーションにも向けられています。そうした熱意の広がりに伴い、高電圧の急速充電に対応可能なBMSのアーキテクチャが求められるようになりました。加えて、熱特性や性能の特徴が大きく異なるプラットフォーム間で安全性と長い寿命を確保しなくてはなりません。しかし、従来の監視方法では、XPENGが必要とする予測的な知見は取得できませんでした。

Silver Xpeng P7+ EV charging at a station with palm trees.

そうした状況で、XPENGとアナログ・デバイセズの継続的なパートナーシップが実を結ぶことになります。XPENGは、DSP、A2B(オートモーティブ・オーディオ・バス)、GMSL(ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク)といったアナログ・デバイセズの技術を既に導入していました。つまり、上述した課題の解決に向けた次のステップとして、アナログ・デバイセズの電気化学インピーダンス分光法関連技術を導入するための好位置に着けていたのです。アナログ・デバイセズが量産実績のある電気化学インピーダンス分光法のソリューションを提供したことで、両社の信頼関係はさらに強まりました。これは、同技術をより広範に展開していく上で、明確なリーダーシップを示すものでした。

アナログ・デバイセズの最新のBMS IC(ADBMS6842、ADBMS2970、ADBMS6822)は、多周波数インピーダンス解析(Multi-Frequency Impedance Analysis)を用いてバッテリ内部の電気化学的な状態を明らかにします。それにより、劣化や障害のリスクを早期に検出することができます。アナログ・デバイセズはハードウェアだけでなく、システム・レベルの設計に関する専門知識、システム・ソフトウェア「ADI BLISS」を提供したほか、アルゴリズムに関連した直接的な連携を図りました。それにより、BMS向けの統合型アーキテクチャを実現できたのです。そのアーキテクチャは拡張性に優れるため、XPENGのEVだけでなく、将来のモビリティ用プラットフォームにも対応できます。

緊密なパートナーシップ、共通の目標

Group of 8 people in front of a large Xpeng logo on a white wall.
アナログ・デバイセズとXPENGの経営陣が広州に会し、次世代のバッテリ管理におけるイノベーションを共に推進するというコミットメントを改めて確認し合いました。 左から3番目は、XPENGのCTO(最高技術責任者)を務めるYu氏です。

XPENGに対するアナログ・デバイセズのコミットメントは、経営幹部のレベルにまで及んでいます。上級幹部が関与することにより、両社の協業の戦略的な重要性が強化されました。この戦略的パートナーシップは、電気化学インピーダンス分光法を活用することによってバッテリ管理を進化させるという共通の目標に基づいており、一般的なサプライヤと顧客の関係を超越したものと言えます。

この取り組みを通じて、アナログ・デバイセズは、アーキテクチャの設計から実装に至るまで、システム・ソリューションの開発を全面的にサポートしました。常に寄り添いながら、XPENGの課題解決を支援していったのです。

このパートナーシップの重要な要素の1つは、XPENGの事業拠点の近くにアナログ・デバイセズのサポート・オフィスがあったことでした。このことから、両社のエンジニア・チームが頻繁に対面で連携できたのです。リアルタイムの技術サポートの提供を通じ、迅速に問題を解決し、統合を円滑に実現することができました。

アナログ・デバイセズの技術の優位性

アナログ・デバイセズの技術を採用すれば、業界で最も広い周波数範囲に対応する形で電気化学インピーダンス分光法を利用できます。また、バッテリの状態を表すクリーンで実用的なデータを抽出することが可能になります。他社が提供しているのは基本的なインピーダンス監視技術です。それに対し、アナログ・デバイセズのBLISSポートフォリオだけが、セル/パックを対象とする包括的な監視機能とシステム・レベルの高度なアルゴリズムを統合しています。それにより、インピーダンスの未処理の測定値を、予測に利用可能なインテリジェンスに変換します。

アナログ・デバイセズの技術がもたらすメリット

非破壊的な手法で安全性を監視

バッテリにストレスを与えることなく、複数の周波数における内部の化学的な状態を継続的に測定します。それにより、EV、データ・センター、産業用ロボットといった重要なアプリケーションにおいて、セルの完全性を維持し、バッテリの安全性を確保します。

高い精度で状態を追跡

多周波数インピーダンス解析により、化学的な変化や経時的な劣化を検出します。この手法であれば、標準的な電圧測定をはるかに上回る精度でSOHとSOCを推定できます。

量産に堪える統合方法

電気化学インピーダンス分光法の機能を、バッテリ管理IC(BMIC)とアナログ・フロント・エンド(AFE)に直接組み込みます。それにより、実験室のレベルの技術が、EV、航空機、グリッド向け蓄電システム、ヒューマノイド・ロボットといった最先端の製品向けの革新的なソリューションとして具現化されます。

予測によるコストの削減

重大な障害が発生する前に内部の劣化を特定することで、予知保全を実施できるようになります。それにより、バッテリの交換に伴うコストの大幅な削減、予期せぬダウンタイムの防止、バッテリのメンテナンスが必要な時期の高精度の予測が可能になります。

システム・インテリジェンスの強化

バッテリの性能に関する可視性が前例のないレベルで高まるため、高度でレジリエントなBMSを実現できます。それにより、充電の最適化、バッテリの長寿命化、運用上のよりスマートな判断が可能になります。

アナログ・デバイセズの技術がXPENGの未来を切り開く

Silver EV minivan charging by a lake with snowy mountains.

アナログ・デバイセズとXPENGの連携は、新たな製品の立ち上げだけを目指したものではありません。それは、モビリティ領域を変革する可能性を秘めた技術的なパートナーシップの基盤となるものです。XPENGとアナログ・デバイセズは、電気化学インピーダンス分光法の機能を量産EV用のバッテリに適用しました。それにより、セル内部から豊富なデータセットを継続的に取得することが可能になり、バッテリ管理を監視による事後対応型からインテリジェントな予測型へと変革する道筋が開かれたのです。

アナログ・デバイセズとXPENGは、電気化学インピーダンス分光法を採用した包括的なアーキテクチャの共同開発により、次世代のEVにも対応可能となるスケーラビリティをプラットフォームにもたらしました。