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閉じる複合現実技術を活用した革新的なヘッドセット製品、アナログ・デバイセズの支援を受けVarjoが開発
仮想 現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR :Mixed Reality)技術は様々な産業で活用されています。例えば、医療分野では、写真のようなリアルな3Dの人体構造のモデルを利用して解剖学について学べるようになりました。また、自動車の設計者に向けては、試作のプロセスを経ることなく最終製品のレベルの設計(デザイン、構造設計などを含む)を完成させるための新たな手段が提供されています。更に、工場に関する没入型のシミュレーションを利用することでトレーニング・コストの削減を図っているメーカーも存在します。実際、多くの企業は上に挙げた各種の技術を活用することで、効率の向上、連携の強化、コストの削減を実現しています。
Varjoは、世界最先端の仮想現実(VR)技術と複合現実(MR)技術を生み出している企業です。同社は、アナログ・デバイセズと提携することにより、極めて高度なヘッドセット製品「XR-4シリーズ」を開発しました。
その際、アナログ・デバイセズは、フルシステムのオーディオ/ビジュアル・ソリューションを提供しました。それにより、Varjoはディスプレイとイメージングに焦点を絞って開発を進めることができました。また、次世代の機器にふさわしい新たな機能をシームレスに統合することが可能になりました。アナログ・デバイセズが提供したのは、以下のような技術です。
- 3D ToF(Time of Flight)技術:mmレベルの精度で深度に関する処理を実現
- ADI LISTN™:高性能のオーディオ機能を実現する信号処理用ソフトウェアのポートフォリオ
- Dynamic Speaker Management™(DSM):Hi-Fiアンプによってプレミアム・オーディオの再生を実現
- パワー・マネージメント技術:3DビジョンやHi-Fiオーディオといった最先端の技術の基盤
本事例の概要
顧客企業の概要
Varjoは、仮想現実(VR)/複合現実(MR) を利用した世界最先端の製品/サービスを開発する企業。Nokia、Microsoft、NVIDIAでハイエンドの技術やイノベーションに携わっていた経験豊富な製品イノベータらによって設立された。自動車、航空宇宙、シミュレーション、エンジニアリング、研究などの分野で、トレーニング、創造、学習の方法を変革している。目標
オーディオ/ビジュアル技術に関する豊富な経験と広範な製品ポートフォリオ(ハードウェアとソフトウェア)を有するパートナーとの協力関係を築く。課題
次世代のヘッドセット製品であるXR-4シリーズに必要な先進的な技術ソリューションを提供できるパートナーを見いだす。特に、複数のユーザ間でのコミュニケーションで生じる音響的な面で問題のある状況を解消する必要がある。例えば、アンプとソフトウェアに多大な負荷がかかる騒音(ヘッドセットのファンの音など)の大きい環境に対処しなければならない。ソリューション
アナログ・デバイセズのハードウェア上で動作するオーディオ用/ToF用のソフトウェア・アルゴリズム、ADI LISTN、パワー・マネージメント・ソリューションを活用する。
「XR-4シリーズは、Varjoとして初めてオーディオ機能を統合したヘッドセット製品です。その開発にあたっては、アナログ・デバイセズのソリューションを採用したことで、高品質のオーディオの再生機能と音声のキャプチャ機能を実現することができました。それだけでなく、同社のチームは、ADI Catalystにおける作業を含め、素晴らしい提案とサポートを提供してくれました。その結果、Varjoの野心的なオープンイヤーの音響コンセプトを損なうことなく、トレーニングやシミュレーション、設計/デザインの可視化、医療、研究といった分野の顧客に対してプレミアムなソリューションを提供することが可能になりました。」Mika-Petteri Lundgren氏
プリンシパル・ハードウェア・アーキテクト | Varjo
各技術の概要

仮想現実(VR)
コンピュータで生成した極めて没入感の高い3Dコンテンツ。トレーニング、シミュレーション、建築、エンターテインメントなどの分野で使用されます。

拡張現実(AR)
現実の世界にデジタルの情報を重ね合わせる技術。例えば、現実の世界を映し出した画面上に、架空または推論による別世界の仮想オブジェクトや情報を表示することができます。カスタマ・サービス、メンテナンス、物流などの分野で使われています。

複合現実(MR)
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を組み合わせた技術。物理的なオブジェクトと仮想的なオブジェクトを共存させ、それらがリアルタイムかつ相互に作用することを可能にします。例えば、職場の同僚との共同作業などに使用されます。

エクステンデッド・リアリティ(XR)
様々なレベルの現実環境と仮想環境を融合する技術の総称で、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)もここに含まれます 。100%が現実の状態、完全に合成された状態、その中間の状態など、仮想レベルの選択が行えます。
VarjoのXR-4を使用すれば、先進的な仮想現実(VR)/複合現実(MR)に基づく実践的な学習が可能になります。タービンの動作から航空宇宙関連の複雑な作業まで、どのようなトレーニングのシナリオでもシミュレートできます。つまり、いつでもどこでもリアルかつインタラクティブな学習体験を提供可能だということです。
VRを現実のものに
VarjoのXR-4シリーズは、アナログ・デバイセズの先進的な技術を活用して開発されました。例えば、内蔵スピーカを使用して没入感のあるデジタル・シアター・サウンド(DTS)や空間オーディオを実現する機能を備えています。また、複数のユーザによるセッションでのコミュニケーションが容易になるよう、ノイズの低減が可能なマイクが用意されています。更に、ToFによって高度な深度検出を実施することで、質の高い複合現実(MR)体験を提供することが可能になっています。
オーディオについては、アナログ・デバイセズのシステム・ソリューションを利用しました。そのソリューションは、ハードウェア、ソフトウェア、組み込みアルゴリズムを組み合わせたものであり、オーディオの再生と音声のキャプチャの両方に完全に対応します。ToFについては、イメージャだけでなく、深度カメラ専用のISP(Image Signal Processor)の提供も受けました。それにより、ToFを最終的なシステムに統合する際の複雑さが解消されました。
更に、アナログ・デバイセズからは包括的なパワー・マネージメント・ソリューションも提供されました。それらは民生分野に適した高度な製品群であり、コンポーネントとアーキテクチャの面に特徴があります。具体的には、ファン用のコントローラ、オーディオ・アンプ、ToFセンサー、イメージ・プロセッサといった様々なサブシステムに対し、小さなフットプリント、高い効率で電力を供給できます。また、アナログ・デバイセズの電源ソリューションであれば負荷が重い場合でも最高の性能が維持されます。そのため、発熱を抑えることが可能です。
Varjoを成功に導いたADI Catalyst
Varjoがアナログ・デバイセズから提供を受けたのは、先進的なオーディオ/ビジュアル技術だけではありません。アナログ・デバイセズは、アイルランドのリムリックにADI Catalyst Centerという施設を開設しています。この施設は、アナログ・デバイセズ独自の共創/イノベーションを可能にするためのハブとして機能します。Varjoのチームは、同施設でアナログ・デバイセズの技術者と緊密に連携し、XR-4シリーズのテストを実施しました。XR-4シリーズは、高度な複合現実(MR)技術と究極のグラフィックス処理能力を融合することで実現されました。その結果、要求の厳しい産業用アプリケーションに不可欠な視覚的な面の忠実度と没入感を比類のないレベルで提供することが可能になりました。

Varjoの製品開発に貢献したアナログ・デバイセズの技術
アプリケーション | アナログ・デバイセズの技術/機能 | 利点 |
3D ToF | アナログ・デバイセズのToF技術は、高精度のハードウェア/ソフトウェアから成る完全なソリューションとして提供されます。VGA(Video Graphics Array)の解像度で高性能の深度イメージングを実現可能です。 |
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ヘッドセット用のオーディオ・システム | ADI LISTNは、マイクで収集した音声を対象とする高性能の信号処理アルゴリズムのポートフォリオです。 DSM(Dynamic Speaker Management)は、アナログ・デバイセズのHi-Fiアンプ上で実行されるアルゴリズムによってプレミアム・オーディオの再生を実現します。 |
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パワー・マネージメント | アナログ・デバイセズは、より小型でスマートなアプリケーションを実現できるよう、多種多様な電源ソリューションを提供しています。 | 可搬性:フットプリントが小さい、電力密度が高い、USBに準拠 高い費用対効果:大量生産に対応、低コスト、プリント基板に対応、迅速な市場投入 |
複合現実(MR)技術がもたらす真の効果1

トレーニングとシミュレーション
- 最大99%のコスト削減が可能
- トレーニング速度が向上
- ユーザ・エンゲージメントを最適化
- 危険なシナリオの訓練を安全に実施できる

製品の設計/デザイン
- ミスの早期発見による時間/労力/コストの削減
- リアルタイムの修正
- 場所を問わずリモートでレビューを実施可能
- イノベーションの加速

製品のマーケティング、販売、展示
- パーソナライズされた購買体験によるコンバージョンの改善
- 実際の製品のデジタル的な等価物により、在庫と配送コストを削減できる
- パンフレットや2D画像に対する優位性
- アップセルの実現、プレミアム・オプションの提供

リモート・コラボレーション
- 移動時間と経費が減るので、コストを削減できる
- 同じプロジェクトで同時に作業を行うことにより、理解と経験を共有可能
- 2D/3Dのオブジェクトを簡単に共有/編集/提示できる。そのため、より没入感のある会議を実現できるようになる。
複合現実(MR)技術の未来を創る
Varjoは、アナログ・デバイセズの協力を得て、仮想現実(VR)/複合現実(MR)を活用した次世代機器であるXR-4シリーズを開発しました。このヘッドセットを活用すれば、戦闘機の仮想コックピットを利用したパイロットの訓練、医学生の解剖実習の支援などを実現できます。また、工場の労働者は、現実の環境における作業を想定して様々な事柄に備えられるようになります。更に、イノベーションを効率的に実現できるよう製品の設計者を支援するといったことも行えます。VarjoのXR-4シリーズは、前例のない形で仮想世界を取り入れることへの道を切り開きます。

1 Data from Varjo case studies(データはVarjoの事例に基づく)