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閉じる産業分野にデジタルトランスフォーメーションをもたらすRockwell Automation
現在の世界は、エネルギー・コストの高騰、地政学的な緊張、サプライ・チェーンの長期的な混乱といった課題に直面しています。そのような状況を受けて、産業分野の事業者の多くは、レジリエンス、柔軟性、サステナビリティ(持続可能性)に優れた事業を展開するための投資を優先的に行っています。
Rockwell Automationは、そのような課題を認識している製造企業に向けて、スマートなソリューションを提供しています。その1つがインテリジェントなコンベア・システムである「MagneMover® LITE」です。MagneMover LITEは、高い柔軟性を得るためにモジュール式のコンセプトを採用したスマートな搬送システムです。システム全体は、リニア・モータをベースとするセクションで構成されています。それらを自由に組み合わせることで、業界の様々なニーズに対応して、あらゆるレイアウトのシステムを構築できるようになっています。メーカーのアプリケーションに求められる要件や、機械内のアプリケーションに関する要件、モーションに関する厳しい要件に対応し、従来型のベルト・コンベアやチェーン・コンベアよりも優れた性能を発揮します。その結果、プロセスの最適化やスループットの向上を新たなレベルで実現できます。実際、MagneMover LITEを導入すれば、製造業者は大きなメリットを享受することが可能になります。Rockwell Automationは「アプリケーションによっては、MagneMover LITEを導入することで、従来のコンベア・システムを使用する場合と比べてアップタイムを10倍に延ばし、エネルギー・コストを最大25%低減し、製造フロアの面積を最大25%~30%削減できる可能性がある」と説明しています。
MagneMover LITEのコンセプトを具現化することができれば、製造フロアに高い柔軟性がもたらされます。このイノベーションを実現するために、Rockwell Automationはアナログ・デバイセズとの協業を選択しました。なぜなら、アナログ・デバイセズはADI Trinamic®という優れたモーション・コントロール技術を提供しているからです。Rockwell Automationは、同技術を採用したモータ・ドライバIC「TMC2130A」などを活用することにより、MagneMover LITEのモーション・コントロール機能を実装しました。ADI Trinamic技術が提供する高い精度と診断機能により、Rockwell Automationは、MagneMover LITEに必要だと考えていたアーキテクチャと機能を具現化することができました。搬送作業の柔軟性とエネルギー効率を改善したいと考える製造企業にとって、MagneMover LITEは最適な解になります。
Rockwell Automationの概要
事業内容
Rockwell Automationは、産業用オートメーションやデジタルトランスフォーメーションの分野を牽引する世界的な企業。人の想像力と技術が備える潜在的な力を結び付けることにより、新たな機能/能力を生み出している。それにより、世界レベルで生産性とサステナビリティの向上を図っている。米国ウィスコンシン州ミルウォーキーの本社に加え、100ヵ国以上に拠点を開設。約2万8000人の従業員が、顧客が抱える課題の解決に注力している。
目標
軽貨物の搬送をより迅速かつ効率的に行えるようにすることで、業務/生産性に関する顧客の目標が達成されるよう支援する。
課題
MagneMover LITEのモーション・コントロール機能を完全に実装し、産業用オートメーションの分野に、より効率的な新たな運用方法を提供する。アナログ・デバイセズとしては、MagneMover LITEを意図したとおりに動作させるために必要な精度と診断機能を備えるICを提供する必要がある。
アナログ・デバイセズのソリューション
集積型のソリューションとして、TMC2130Aを提供する。これを採用すれば、単一のICによって2つのモータを柔軟に制御できる。また、同ICは使用時の性能をインテリジェントに適応させるための診断機能を備えている。TMC2130Aは、MagneMover LITEに必要なモーション・コントロール機能をシームレスに統合するための優れたソリューションとなる。
Rockwell AutomationのMagneMover LITE
インテリジェントな動き
正確な位置決め(ハード・ストップは不要)、双方向の移動、スムーズな動き、キャリアの連続的な追跡/レポート
プロセスの最適化
シミュレーションと構成ツールにより、システムの設計/最適化の作業を簡素化
完全なトレーサビリティ
各キャリアの固有のIDと位置を常に把握できるので、監査証跡用の完全なレポートを提供したり、個々のキャリアのルーティングに対して優先順位を付けたりすることができる
柔軟なレイアウト
現場のスペースに収まるように、システムのレイアウトを様々な方法で調整することが可能
様々なアプリケーションに対する適合性
製薬、無菌充填、食品/飲料の包装、ラボラトリ・オートメーション、保管用倉庫、自動車、医療用機器、民生用製品の製造などに適用できる
クリーニングとメンテナンスが容易
IP65の防水性能を備えているため、洗浄が可能。可動部品がほとんど使われていないので、メンテナンスの回数を抑えられる
「当社は、最先端のモーション・コントロール技術を有する企業との提携が必要であることを認識していました。そして、アナログ・デバイセズこそが、最適な提携先だと考えました。アナログ・デバイセズのモーション・コントロール技術であるADI Trinamicを活用することにより、MagneMover LITEを、まさに意図したとおりの精度と柔軟性で動作するものとして実現することができました。」Anuj Mahendru氏
半導体/ハイテク担当グローバル・インダストリ・ディレクタ | Rockwell Automation
ADI Trinamicのモーション・コントロール技術による効率の向上
MagneMover LITEを実現するためには、いくつかの要件を満たす必要がありました。まず、双方向の移動を実現するためには高い精度のモーション・コントロール機能が必要でした。また、資材などの運搬に使用するカートのインテリジェントな停止と起動を実現しなければなりませんでした。加えて、工場の製造フロアに配備された他の機械との同期動作を実現する必要がありました。更に、負荷の大きさに適応して効率的に動作するようモータの出力を制御できるようにしなければなりませんでした。Rockwell Automationはアナログ・デバイセズと協業することで、モーション・コントロール技術であるADI Trinamicを活用することにしました。それにより、産業用オートメーションの分野に新たなレベルの効率をもたらすことが可能になりました。TMC2130Aは、2相ステッピング・モータ用の高性能のドライバICです。このICには、以下に示す2つの魅力的な技術が適用されています。
電圧チョッパを実現するStealthChop技術
ADI Trinamicには、StealthChop™という洗練された電圧チョッパ技術が用意されています。これを活用することにより、動作時のノイズを事実上排除しつつ、最大限の効率と最良のモータ・トルクを得ることが可能になります。
CoolStep技術
ADI Trinamicのモーション・コントロール技術には、もう1つCoolStep™というものがあります。これは、センサーを使用しない負荷依存型の電流制御技術です。実際の負荷条件に対して常に必要最小限の量でモータを駆動することにより、エネルギーの消費量と発熱量を低減します。それにより、効率を高めつつ、変化する要件に対して性能を適応させることが可能になります。
Rockwell Automationは、これらの技術をMagneMover LITEに適用することで大きなメリットが得られることを確信していました。すなわち、より高い柔軟性を求める製造業者に対し、高精度のモーション・コントロール機能を提供できるようになります。言い換えれば、エネルギー効率の高いAMHS(Automated Material Handling System)を実現するための技術を手にすることができるということです。
アナログ・デバイセズもMagneMover LITEを製造施設に導入
アナログ・デバイセズは、自社が開発にかかわったMagneMover LITEの機能に深く感銘を受けました。そこで、米国オレゴン州ビーバートンとアイルランド リムリックの各半導体製造施設にMagneMover LITEを導入することにしました。Rockwell Automationは、2kmを超えるMagneMover LITEのトラックをアナログ・デバイセズの製造施設に配備する予定です。そのトラックは運搬と保管に利用できます。それにより、アナログ・デバイセズは製造施設を運用するにあたり、フロア面積の縮小という貴重な効果を得ることができます。
Rockwell AutomationのMagneMover LITEは、モジュール方式の設計に対応可能な次世代トラック・システムです。アナログ・デバイセズがこのシステムを採用したのは、以下に示す重要なメリットを得られると考えたからです。
製造施設における運搬作業の軽減
材料の取り扱いの効率化
従来は不可能だったエリアにもシステムを配備できる
製造施設の規模に応じてシステムをスケーリングできる
Rockwell Automationとアナログ・デバイセズは、トラックを1つも設置していない段階で、製造施設にどのようにAMHSを組み込むべきなのかを表すデジタル・モデルを共同で構築しました。それにより、アナログ・デバイセズは、現実のトラックを導入する前に、Rockwell AutomationのAMHSによって社内のスケジューリング、搬送、MES(Manufacturing Execution System)のすべてがどのようにつながるのかを独自の視点で捉えることができました。それだけでなく、AMHSの高い精度/性能により、将来の生産性と歩留まりがどのように向上するのかということについて、独自の洞察を得ることができました。
「アナログ・デバイセズは、MagneMover LITEという独立型のカート技術を半導体製造施設に配備しようとしています。それにより、オペレータの生産性は20%近く向上する見込みです。MagneMover LITEを導入することで、オペレータは製造施設全体にわたって資材や製品を手作業で運搬する必要がなくなります。その結果、他の作業に集中することが可能になります。このことは、生産性の大幅な向上につながります。」José J. García
ウェハ・ファブのサステナビリティ/自律型エンタープライズ担当マネージング・ディレクタ | Analog Devices
MagneMover LITEは、効率的で持続可能な製造に向けた道筋を示す
Rockwell Automationとアナログ・デバイセズは、製造/デジタルトランスフォーメーションについて、非常に似通った目標を掲げています。それは、次世代のスマート製造によって、生産性とサステナビリティを世界レベルで高め、生活の質を向上させるというものです。Rockwell AutomationのMagneMover LITEとADI Trinamicのモーション・コントロール技術は、いずれも画期的な技術ソリューションです。両者の互恵的な関係は、2つの大手企業が協調したことで得られました。それにより、生産性の向上と環境に対する影響の最小化につながる効率的かつサステナブルな製造プロセスを実現することが可能になったのです。この開発事例は、Rockwell Automationとアナログ・デバイセズのような企業が連携することによって非常に大きな効果が得られることを証明するものだと言えます。