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Surgeons in blue scrubs and masks performing laparoscopic surgery.
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内視鏡にGMSL™ 3を適用したMindray、より侵襲性の低い手術をより高い解像度で実現

March 06, 2026

主なポイント

  • Mindrayはアナログ・デバイセズと連携し、GMSL3技術を用いた内視鏡の最新鋭化に取り組んでいます。より具体的には、解像度の向上、遅延の低減、配線の簡素化を目指しています。
  • GMSL3を採用すれば、サイズが大きく消費電力の多いコンポーネントを置き換えられます。それにより、プローブの発熱量、サイズ、システムのコストを削減することが可能になります。
  • GMSL3を活用して新たに設計された内視鏡により、外科医にとってのユーザ・エクスペリエンス、手術の精度、患者の全体的な転帰(アウトカム)が向上します。
  • MindrayがGMSL3を採用したことにより、この先進的なビデオ・リンク技術が医療分野において広範に活用されるようになることが見込まれます。

 

高齢化、慢性疾患患者の増加、肥満といった要因により、より侵襲性の低い手術に対する需要が高まっています。このようなニーズを満たす上で確実に役立つと考えられているのが、高度な内視鏡画像診断の技術です。現在の医療分野には、ロボットの支援を受ける手術、AIを利用した診断、使い捨て器具の導入といったトレンドが存在しており、より改良された診断/治療の実現がかつてないほど早急に求められています。こうした動向が、内視鏡市場の成長を促す一層強力な追い風となることが見込まれています。1

その一方で、既存の内視鏡では、データの送受信時に生じるレイテンシや、ケーブル配線、給電方法など機器の設計要素に関する課題がボトルネックとなっています。それは外科医の不快感や疲労につながるだけでなく、患者の転帰(アウトカム)にまで影響する可能性があります。また、内視鏡の製造コストに加え、内視鏡を用いた処置にかかる費用も市場成長を阻む障壁になっています。

Mindrayは、先進的な医療用機器や画像診断装置を製造する多国籍企業です。同社は上記の課題とビジネス機会を明確に認識していました。そこで、最新の内視鏡画像診断装置の設計を強化するために同社が目を向けたのが、アナログ・デバイセズとその先進的なソリューションであるGMSL(ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク)技術でした。

Red Mindray logo.

本事例の概要

顧客企業の概要

Mindrayは、人間や動物を対象とする高度な医療用機器、画像診断装置、それらに関連するアクセサリを製造する多国籍企業。すべての人に対してより良い医療を提供すると共に、医療がより利用しやすくなるよう医療技術を発展させることを使命としている。

課題

Mindrayは、ハイエンドのカメラのフットプリントをより小さくとどめつつ性能を高められるよう、統合性と簡素化を取り入れた合理的なアーキテクチャを必要としていた。また、最新のイメージング技術向けのより洗練されたアプローチにより、新たな可能性を切り開きたいと考えていた。

目標

内視鏡用のプローブ向けに、レイテンシが小さく、高速で、配線が簡素で、システム・レベルのコストを抑えたソリューションを見いだす。それにより、外科医にとってのユーザ・エクスペリエンスと患者の転帰(アウトカム)を向上させる。

ソリューション

高度な構成が可能なSERDES(Serializer/Deserializer)ソリューションであるGMSL技術を採用すれば、単一のケーブルによって、ビデオ・データの高速な伝送、制御用データのリアルタイム通信、電力伝送を同時に実現できる。
Mindray LS500L endoscope connected to stacked control units.
Mindrayの内視鏡装置とプローブ


内視鏡検査とは?

内視鏡検査は、患者の体内の臓器を観察、診断、治療するためのより侵襲性の低い医療手段です。不必要に身体を切開することなく、消化管、肺、膀胱といった臓器の処置を行うことができます。内視鏡には、硬性/軟性の細長いチューブが使われます。そのチューブには、ハンドピース、カメラ、ディスプレイ付きのカメラ制御ユニット(CCU:Camera Control Unit)が接続されます。従来、このようなシステムには、広範にわたる複雑な配線が必要でした。


アナログ・デバイセズは長年にわたりMindrayと連携を図ってきました。例えば、内視鏡向けには、圧力センサーや温度センサー、パワー・ソリューションといった様々なソリューションを提供しています。しかし、これまでGMSL技術は、医療分野にも役立つソリューションだとは認識されていませんでした。Mindrayによる同技術の採用は、GMSLのデザインインの先駆けとなるでしょう。また、それがより小型/軽量で精度の高い次世代の内視鏡として実現されれば、システム・レベルのコストの削減、外科医にとってのユーザ・エクスペリエンスの改善、患者の転帰(アウトカム)の向上に貢献するはずです。

Mindray endoscope with handle controls and dual-camera tip.

Mindrayとアナログ・デバイセズが連携して 開発に取り組む硬性内視鏡

内視鏡検査が抱える課題を解決するGMSL3技術

Mindrayは、革新的な医療用機器/ソリューションを提供する大手企業として確固たる地位を築いています。その対象領域の例としては、患者のモニタリング、麻酔、超音波などが挙げられます。アナログ・デバイセズと同様に、Mindrayは先進技術を通じて患者により良い医療を提供するというビジョンを掲げています。そして、Mindrayは内視鏡の分野にGMSLを導入した先駆者となりました。つまり、内視鏡にGMSL3技術を初めて実装した企業になったということです。それを通して、同社は従来の内視鏡が抱えていた多くの課題に対する解決策を見いだしました。

従来の内視鏡が抱える課題
GMSLによるソリューション
重く、複雑なケーブル配線 従来の内視鏡には、データ、電源、専用制御に対応するケーブルが必要でした。その重く扱いにくいケーブル・システムは、外科医の可動域を制限してしまいます。結果として、長時間にわたる手術中に外科医が疲労を感じる原因になっていました。 
GMSLでは、1本のケーブルによって、制御用のデータ、電力、ビデオ・データを同時に伝送することができます。つまり、同技術を採用したシステムでは、ビデオ・データの高速な伝送と制御データの双方向の伝送を同時に実現することが可能です。それだけでなく、システムの重量、設計の複雑さ、導入コストを改善することができます。 
レイテンシ 従来の内視鏡は、検査の対象物が近接している場合、わずかな動きを生じさせるだけで画像がぼやけてしまうという課題を抱えていました。この状況は、カメラ/ディスプレイの遅延やケーブルによる信号の減衰によって悪化します。特に解像度/リフレッシュ・レートが1080p/60Hz以上である場合には、その症状が顕著になります。 
GMSL3は、最高12Gbpsの帯域幅を提供します。この値は、従来(GMSL2)の2倍に相当します。それにより、4K/30fpsの解像度/フレーム・レートにも対応できます。また、レイテンシがマイクロ秒単位のレベルであることから、高解像度の画像の撮影が可能になります。画像のぼやけを抑えられることの恩恵として、外科医には高精度のビューが提供されます。 
システム・コスト 従来の内視鏡には、複雑なケーブル配線やカスタムのFPGA、SERDESに加え、隠れた設計コストや部品コストが存在していました。そのため、システム全体の実装コストが膨れ上がっていました。 
GMSLは、ビデオ・アプリケーション向けに高度に最適化されています。そのため、カスタムのケーブル、コネクタ、FPGAは不要になり、コスト削減を実現できます。 

医療を前進させる先進的なGMSL3技術

アナログ・デバイセズの技術は、患者のモニタリング装置、輸液ポンプ、人工呼吸器、超音波診断装置、体外診断用医療機器(IVD:In Vitro Diagnostics)など、Mindrayのポートフォリオに含まれた多くの製品の実現を支えてきました。

従来の内視鏡には、上述したような課題がありました。しかし、アナログ・デバイセズの中国法人のチームは、GMSLの高度な機能ならそれらの多くを解決できると考えました。そこで、両社は早々に、最新のGMSL3技術を適用した次世代の内視鏡を開発するための連携をスタートさせました。

GMSLは、元々は自動車業界で活用されてきたシリアル・リンク技術です。車載カメラとディスプレイ・アプリケーションの間で高解像度のデジタル・ビデオ・データを伝送するために用いられており、自動車の自律性や安全性、監視機能を支援する上で役立ちます。

GMSL3技術は、内視鏡領域においてもその有用性を発揮しました。Mindrayの内視鏡ソリューションにおける消費電力当たりの画質向上、リアルタイムの応答性改善、そして放熱性能の強化に貢献したのです。また、全体的なコスト効率の向上も後押ししました。

より良い医療のための連携

Nurse shows tablet to smiling elderly couple.

アナログ・デバイセズにおいて、GMSLは積極的にイノベーションを追求する分野となっています。実際、自動車以外の複数の市場にわたり革新的なアプリケーションが開発段階にあります。Mindrayとの連携がきっかけとなって、手術用のロボット、患者のモニタリング機器、(感染リスクを下げるために好まれる場合がある)使い捨て型の医療器具など、多様な医療機器にGMSLが導入される道が開かれるはずです。

Mindrayのシンプルで軽量な内視鏡を利用すれば、手術の精度が高まり、患者の転帰(アウトカム)の改善を後押しすることが可能になるでしょう。また、特に長時間にわたる手術において、外科医の疲労を軽減することも期待できます。そして最終的には、このコスト効率の高いソリューションによって、質の高い医療を最も必要とする人々が、内視鏡手術をより手ごろな費用で受けられるようになることを目指していきます。

参考資料

1 Research and Markets: Global Endoscopy Market (by Product, Application, End-User & Region): Insights & Forecast (2024-2028)(内視鏡の世界市場(製品別、アプリケーション別、エンドユーザ別、地域別):洞察と予測(2024年~2028年))