LTspiceには多数の優れたFETモデルが含まれていますが、特定の時点や条件で開閉する簡単なスイッチのシミュレーションが必要なこともあります。
LTspiceでのスイッチの挿入や構成は以下の要領で行います。
- 電圧制御スイッチのシンボルを回路図に挿入します(F2を押してシンボル・ライブラリの検索フィールドに「sw」と入力)。
- SPICEディレクティブを挿入し(Sを押す)、下の例を使ってSWモデルのパラメータを定義します。
.model MYSW SW(Ron=1 Roff=1Meg Vt=.5 Vh=-.4)
ここで「MYSW」はモデルの固有名で、Ronはオン抵抗、Roffはオフ抵抗、Vtはトリップ電圧、Vhはヒステリシス電圧です。スイッチは(Vt − Vh)と(Vt + Vh)でトリップします。
LTspiceのヘルプ(F1を押す)にSWモデル・パラメータについての詳細が示されています。 - MYSWモデルをスイッチ・シンボルS1に割り当てます:「SW」を右クリックして、モデルの固有名「MYSW」を入力してください。
- スイッチの正側端子に接続された電圧源でスイッチを制御し、負側端子を接地します。この例ではPULSE関数電源を使い、周期1msで0V~1Vの三角波形を生成します。
スイッチには、ヒステリシス電圧Vhの値に応じて3つの異なる電圧制御モードがあります。Vhがゼロの場合、入力電圧が閾値を超えているかどうかに応じて、スイッチは常に完全にオンまたはオフの状態になります。Vhが正の場合はスイッチにヒステリシスが生じ、あたかも(Vt - Vh)と(Vt + Vh)をトリップ・ポイントとするシュミット・トリガによってスイッチが制御されているようになります。Vhはトリップ・ポイント間の電圧の半分で、研究室で使われる一般的な用語とは異なります。この例のようにVhが負の場合、スイッチはオンとオフのインピーダンス間をスムーズに遷移します。この遷移は、制御電圧が(Vt - Vh)と(Vt + Vh)の間のときに生じます。このスムーズな遷移は、スイッチの導通の対数を低次多項式で近似したものに従います。電圧制御スイッチの詳細については、LTspiceのヘルプ・ファイル(F1)を参照してください。
電圧制御スイッチの古典的なアプリケーションの1つが、オープン・サーキット状態と短絡状態のシミュレーションです。ここに示した例では、2つのスイッチがLED列の短絡状態とオープン・サーキット状態をシミュレートします。