LTspiceでは、PWL(Piecewise Linear)関数を使用することにより、カスタムの電圧波形や電流波形を生成することができます。それらの波形は、ユーザが定義した点を結んだ一連の線分から成ります。通常、PWL関数は電圧源や電流源を定義する際に使用されます。
PWL関数を使用して電圧源/電流源を定義する際には、以下の手順で作業を行います。
- 回路図エディタでシンボルを右クリックする
- 「Advanced」をクリックする
- 「PWL(t1, v1, t2, v2…)」または「PWL File」のうちいずれかを選択する
- 上記ステップ3の選択に応じ、t1、v1などの値を入力するか、または具体的なファイル名を指定する
上記のステップ3で値を入力する方法を選択した場合、入力した値を基にしてPWLのステートメントが生成されます。PWLのステートメントの構文は、以下のようになります。
PWL (0 0 1m 1 2m 1 3m 0)
このステートメントでは、時刻と値(電圧や電流の値)のペアを2次元の点のリストとして設定しています。時刻の値は昇順です。また、時刻の値は、以下のように記述することもできます。
PWL (0 0 +1m 1 +1m 1 +1m 0)
ご覧のように、時刻の値の前に「+」を付加しています。このように記述した場合、前の時刻の値に対する相対値を指定していることになります。
以下に示すダイアログは、時刻と値のペアを設定している様子を表しています(時刻は相対値ではありません)。
時刻と値のペアを表す2次元の点のリストは、ファイルとしてカプセル化することができます。そのファイルは、以下のようにPWLのステートメントを記述することで呼び出すことが可能です。
PWL (file = data.txt)
別の書式のPWLステートメント
LTspice IVは、他にも多くのPWLステートメントの書式をサポートしています。その記述と波形の関係を知るには、ステートメントを直接編集してみるとよいでしょう。そのためには、回路図エディタで(コンポーネントのシンボルではなく)PWLステートメントのテキスト行を右クリックします。例として、以下のような書式でステートメントを記述してみてください。
- 指定したサイクル数だけ、または永遠に、定義したペアに対応する波形を繰り返し生成する
PWL REPEAT FOR 5 (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) ENDREPEAT
PWL REPEAT FOREVER (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) ENDREPEAT
- 式の値が真である限り、電源をオンにするというトリガを指定する
PWL (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) TRIGGER V(n003)>1
- 時刻の値または電源の値をスケーリングする
PWL TIME_SCALE_FACTOR=0.5 VALUE_SCALE_FACTOR=2 (0 0 1m 1 2m 1 3m 0)
LTspice上で、ぜひこれらの書式のPWLステートメントを実行してみてください。