ラック・マウント・システム内の個々のカードの消費電力が増加するにつれて、消費電流も必然的に増加します。バックプレーンが供給する電流では対応できない段階に到達しており、唯一の解決策はバス電圧を増加することです。一部の48Vシステムでもこの段階に到達しており、100Vを超えるバス電圧の使用につながっています。
LTC4359 理想ダイオード・コントローラは、12V、28V、48Vのバッテリ、車載システム、電線からの電力で駆動するシステム、および太陽発電システムで逆流防止ダイオードおよびダイオードORとして使用されており、従来のダイオードよりも大幅に低い電力および低い電圧損失を達成しています。この理想ダイオード・コントローラの絶対最大定格100Vは、高電圧アプリケーションでの使用を除外しているように見えますが、単純なソース・フォロワ・クランプを追加することで、この制限を簡単に超えることができます。
図1に、LTC4359を使用して実現した200V、7Aの理想ダイオードを示します。複数のバスをOR接続するには、これらの回路を2つ以上使用します。Q1はパス素子として機能します。負荷電流7Aで、Q1の損失は1Wです。この数値は従来の整流器の5~10倍優れており、その結果基板面積が大幅に節約されます。LTC4359には、D1、R1A、およびR1Bで構成されるシャント・レギュレータから電量が供給されます。LTC4359の最大電源電流が200µAと低いことから、高い値の抵抗を使用することが可能になります。図に示すように、制御回路は50Vまでの低い入力で動作し、200V入力で約200mWを消費します。低電圧での動作が重要でない場合、R1AおよびR1Bを200kΩ に増加して、制御回路全体の損失を100mWに下げることができます。これは、負荷7Aで動作するときの回路全体の損失の約10%です。
電力が最初に印加される時点で、Q1のボディ・ダイオードは電流を出力に流します。600Vのデプレッション・モード・デバイスQ3がオンになり、出力電圧をLTC4359のOUTピンに直接接続します。INおよびOUTのピンがQ1両端のVSDを検出し、MOSFETの「フォワード」降下を30mVに保持しようとしてGATEピンを駆動します。この状態が約1.5Aまで維持され、その値を超えるとQ1がフルに駆動され、電圧降下がQ1の20mΩのRDS(ON) 指示されます。
VSD が30mV未満の場合、例えば、出力が2番目のより高電圧の電源によりプルアップされるような場合は、LTC4359 のGATEピンがMOSFETをオフにして、逆電流を防止します。入力電圧が降下して出力を大幅に下回った場合、Q3のソース・フォロワ動作がINピンの数ボルトの範囲内に保持することにより、LTC4359のOUTピンを保護します。したがって、D1およびR1A/Bのフロート電源アーキテクチャによるサポートを受けたQ3により、100VのLTC4359が200Vで快適に動作可能になります。Q3のGATEピンを破損するおそれのある短い動的な状態から保護するために、D3が組み込まれています。.
250V 定格の部品Q1は、20mΩ のオン抵抗が非常に優れているために選択されています。このデバイスのもう1つの特長は、有利なCGS/CRSS 比です。これにより、ゲートの駆動要件が簡略になり、ホット・スワップ・イベント時の自己導通を防止します。Q1はトライオード内で動作するので、高電力アプリケーション向けに複数のデバイスと並列にすることができます。
整流スパイクは、単純なダイオード・リセット・スナバでクランプされます。Q1の定格は広めに320mJのアバランシェ・エネルギに設定されていますが、推奨ピークのアバランシェ電流はわずか47Aです。高電圧システムではこの値を容易に上回り、回路フォルトにより小型の寄生インダクタンスの両端に全電圧が印加されることがあります。整流スパイク・エネルギはQ1から分流されてCSNUBに蓄積され、その後RSNUBによりゆっくり. 消費されます。
最大動作電圧はQ1により250Vに制限されます。Q3の定格は600Vです。Q1を適切な高電圧ユニットに置き換え、それに合わせてR1AおよびR1Bをスケーリングすると、最大600Vで動作が可能になります。