セキュリティおよび監視用ビデオにおけるインターネットプロトコル(IP)カメラとH.264圧縮の利点

セキュリティおよび監視用ビデオにおけるインターネットプロトコル(IP)カメラとH.264圧縮の利点

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Piero Bianco

要約

このアプリケーションノートは、インターネットプロトコル(IP)カメラがセキュリティおよび監視用のビデオシステムにおいて、アナログカメラを超えて持つ利点について論じます。従来と異なり、IPカメラは高画質(HD)画像、ローカルデータストレージ、ビデオ分析、およびリモート制御機能をサポートします。またこのアプリケーションノートでは、IPカメラネットワークにH.264ビデオ圧縮技術を採用するメリットを詳述し、そしてマキシムのMobicam3 IPカメラのリファレンス設計キットを紹介します。

概要

閉回路テレビ(CCTV)システムでは、インターネットプロトコル(IP)を使用して、オーディオとビデオのデータを制御信号とともにイーサネットリンクを介して送信します。IPカメラは、これまでのアナログセキュリティカメラ(通常、同軸ケーブルを介してアナログNTSC/PAL信号を送信)に比べて数多くの利点を備えています。アナログカメラとは異なり、IPカメラは高画質(HD)画像、インテリジェント分析、ローカルビデオストレージ、およびリモート制御をサポートしています。

ビデオの圧縮は、分析機能、ビデオ暗号化(ハッカー阻止のため)、およびビデオデータのイーサネットパケットへのカプセル化とともにIPカメラ内で行われます。圧縮されたビデオストリームは通常、ハイブリッドディジタルビデオレコーダ(DVR)かネットワークビデオレコーダ(NVR)に送出されて、保存、再生、および表示が行われます。ビデオ監視用にIPネットワークを使用することで、地理的に離れた場所にセキュリティスタッフを配置することができるようになり、IPネットワーク上に送出されるパン/チルト/ズーム(PTZ)コマンドを使用すると、セキュリティカメラを介して構内や複数の場所を集中制御することが可能になります。

低電力カメラ設計には、イーサネット経由で電力を供給(PoE)することが可能で、電源を追加する必要はありません。同じケーブルを使用してデータと電力の両方を送信することで、PoEの設置において配線コストを大幅に削減することができます。一部のケースでは、Wi-Fi®などのワイヤレスネットワークをイーサネットの代わりに使用することで、カメラを容易に配置することができます。これは特に、イーサネット配線が簡単に利用することができないようなホームセキュリティカメラや、「クラウドコンピューティング」DVRが物理的DVRに取って代わるような場合に当てはまります。

マルチストリームのH.264とMotion-JPEG圧縮

H.264ビデオ圧縮の規格では、同じビデオ品質に対応する以前のMPEG-4規格のほぼ2倍の圧縮が実現されています。H.264規格では、「ハイ」のプロファイルは、最小のビットレートで最高のビデオ品質を定義しており、特にビデオセキュリティなどのアプリケーションに適しています。非常に短いレイテンシー(遅延)の符号化を達成することで、セキュリティ人員からの応答時間が最 小化されます。その一方で、高画質ビデオの符号化を使えば、IPカメラによって顔の特徴やナンバープレートなどの細部を取り込むことが可能で、セキュリティ画像を向上することができます。ネットワーク帯域幅は限られている場合があるため、ローカルエリアネットワーク(LAN)上で1つのHDストリームを符号化/記録することができると同時に、ワイドエリアネットワーク(WAN)上でリモート監視のためにより低い解像度でのストリーミングを供給可能であることがシステムに求められます。

Mobicam3 720p H.264/M-JPEG IPカメラのリファレンスデザイン
Mobicam3 720p H.264/M-JPEG IPカメラのリファレンスデザイン

H.264に加えて、多くのセキュリティシステムでは、H.264に対応していない既存の機器との下位互換性が必要となります。Motion-JPEG (M-JPEG)規格は、このようなシステムでの下位互換性を備えるとともに、高解像度でロスのないスナップショットを取り込むことができます。特に、この規格は、連続したビデオレコーディングのためにH.264ビデオの同時符号化をサポートしており、その一方で特定のイベントによって駆動される可能性のあるJPEG静止画像の取り込みもサポートしています。

分析

ビデオ分析とは、ビデオデータを分析し、その分析に基づいて判断を下すプロセスです。カメラ内のソフトウェアで分析をサポートすることで、セキュリティ人員による入力なしに、特定のイベントに基づいて直ちに処置を実施することができます。たとえば、人が保護区域に侵入したことをカメラが検出した場合にアラームを鳴らすことができます。分析機能としては、モーション検出、ト リップワイヤ、および画像トラッキングがあります。これらの機能はすべて、直感的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を使用して、PCベースのセキュリティ管理ソフトウェアから設定することができる必要があります。

IPカメラのブロック図。マキシムが推奨するソリューションの一覧については、www.maximintegrated.com/IPcameraをご覧ください。
IPカメラのブロック図。マキシムが推奨するソリューションの一覧については、www.maximintegrated.com/IPcameraをご覧ください。

Linux®の組み込みソフトウェアとネットワーク接続

IPカメラは、複数のクライアントにビデオをストリーミングする能力を備えている必要があります。たとえば、マキシムのIPカメラのリファレンスデザイン(Mobicam3)は、最大16のクライアント、およびリアルタイム転送プロト コル(RTP)とリアルタイムストリーミン グプロトコル(RTSP)の両方をサポートしています。以下のイーサネットプロト コルもサポートされています。すなわち、HTTP、DHCP、SMTP、TCP/ IP、UDP、TFTP、FTP、NTP、およびUPnP™です。ストリームは、AESまたはSHA暗号化方式を使用して暗号化することでハッキングや改ざんを防ぐことができます。