概要

設計リソース

設計/統合ファイル

  • Schematic
  • Bill of Materials
  • Gerber Files
  • PADS Files
  • Assembly Drawing
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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-CN0253-SDPZ A Robust, Low Power, Battery Monitoring Circuit Front End
  • EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board
在庫確認と購入

機能と利点

  • Robust battery monitor
  • Latch-up proof
  • Overvoltage protected
  • Low power

回路機能とその特長

図 1に示す回路はインダストリアル又はプロセス・オートメーションのような過電圧が生じ易い環境で使用するために設計された堅牢なバッテリ・モニタ・フロントエンドです。回路は低電力、低価格で各セルの正確な電圧モニタを行えるように8チャンネルCMOSマルチプレクサADG5408とその後に計装アンプ AD8226を使用しています。そして外付け過電圧保護回路が必要ありません。

従来のCMOSスイッチの場合過度的な過電圧状態ではラッチアップする可能性があります。接合分離構造ではPMOSとNMOSのNウェルとPウェルが寄生のシリコン制御整流子(SCR)回路を形成します。過電圧状態ではこのSCRがトリガーされ、電流が大幅に増幅してラッチアップが起こります。ラッチアップは、デバイス故障に至る異常な高電流状態で、電源がオフになるまで継続します。

ラッチアップは入力ピン又は出力ピンの電圧が電源電圧をダイオードの順方向分超えた時、あるいは不適正な電源電圧シーケンスによって起こります。もしあるチャンネルで異常が発生し、信号が最大定格を超えた場合、標準CMOS部品ではその異常によりラッチアップ状態がトリガーされる可能性があります。

回路の電源立ち上げの時、(得にCMOSスイッチ回路に複数電源が使用されている場合)CMOSスイッチに電源が供給される前に入力に電圧が現れる可能性もあります。この状態はデバイスの最大定格を超えてラッチアップ状態を引き起こす可能性があります。

この回路で使用する2つのマルチプレクサと計装アンプ(IA)の入力は堅牢です。ADG5408はラッチアップ保護機能付き高電圧 8:1マルチプレクサです。ADG5408の製造に使用されているトレンチアイソレーション技術はラッチアップ状態を防ぎ、外付け保護回路の必要性を低減します。ラッチアップ保護機能は過電圧保護を保証するものではなく、スイッチが高電流SCRモードに入らない事を意味するのみです。ADG5408は又ヒューマン・バディ・モデル(ANSI/ESDA/JEDEC JS-001-2010)で8 kVの静電放電(ESD)定格があります。

低コスト、低電力計装アンプのAD8226は入力が強固になっていて反対側の電源電圧から40 Vまでの入力電圧に耐えられます。しかしその時出力は出力電圧範囲内に制限されます。たとえば±18 V電源でAD8226 の正又は負入力を、破損する事なしに±22 V振らす事ができます。AD8226 の全入力はESDに対して内蔵ダイオードで保護されています。

回路説明

バッテリ・モニタ・システム(BMS)ではバッテリの充電状態(SOC)と健全性(SOH)を評価するためにバッテリ・スタックの各バッテリ両端の電圧を必要とします。図 1に示すように2つのマルチプレクサでバッテリ・スタックの端子をマルチプレックスする事により、各バッテリ両端の電圧を評価できます。

1つのマルチプレクサは正端子に使用され、もう1つは負端子に使用されます。このような差動マルチプレクシングを行う事により、8チャンネルまでは計装アンプ1個で済みます。さらにアンプはBMSで使用するために各々のバッテリからコモン・モード電圧を除去します。

ADG5408の1チャンネル当たりのオン抵抗は低く、標準で13.5 Ω、全温度範囲で最大22 Ωです。入力オフセット電流の最大値は2 nA なのでチャンネル抵抗両端の誤差電圧は最大44 nVあります。

図1. 堅牢なバッテリ・モニタ回路の簡略化した回路(接続及びデカップリングのすべては示されていません。)
図1. 堅牢なバッテリ・モニタ回路の簡略化した回路(接続及びデカップリングのすべては示されていません。))

 

図 2 は(エピタキシャル層の)標準的なCMOSスイッチとADG5408にラッチアップ・テストを施した時の結果の比較です。テストの間1msのストレス電流(トリガーと呼ぶ)を端子に加え、トリガー後に端子の電流を測定します。スイッチをオープンにして特定のテストを行います(図3に示すようにドレイン(D)をVDDに設定し、ソース(S)をVSSに設定します)。そこで目標のトリガー電流が得られるまでVSSを超えてソース電圧を加えます。ラッチアップが起きなかった場合は、端子の電流がそのプリ・トリガー値に戻ります。ラッチアップが起きた後は、トリガー電圧で駆動しなくても端子から電流が流れ続けます。この場合デバイスの電源を落とすしか止める方法はありません。

図 2から、この標準CMOSスイッチは−290 mAでラッチアップ電流に達し、ADG5408 は−510 mAでテストを終わるまでラッチアップしない事がわかります。

図2. ポスト・ラッチアップ・トリガー電流の比較
図2. ポスト・ラッチアップ・トリガー電流の比較

 

図3 ラッチアップ・テスト回路(プリトリガー)
図3 ラッチアップ・テスト回路(プリトリガー)

 

バリエーション回路

スタックに使用するバッテリの数が4個以下のアプリケーションには差動4チャンネルADG5409を1つ使用できます。ADG5409 は4つの差動入力を切り替えて1つの差動出力に接続しますが、ADG5408と同じラッチアップ保護構造になっています。

回路の評価とテスト

この回路はEVAL-CN0253-SDPZ ボードを使用しますがこのボードをスタンドアロン・ボードとして、あるいはEVAL-SDP-CS1Z システム・デモ・プラットフォーム(SDP)評価用ボードと共に使用する事ができます。スタンドアロン・モードでは、A0、A1、A2、ENのロジック・レベルをボードのリンクで制御するか、あるいはSMBコネクタを介してボードに接続した外部信号源から制御できます。

コンピュータ制御が必要な場合は、120ピン適合コネクタを使ってEVAL-SDP-CS1Z をEVAL-CN0253-SDPZボードに接続します。


必要な装置


  • EVAL-CN0253-SDPZ ボード
  • 電源電圧:±18 V
  • L-ion バッテリ
  • 出力を測定するためのデジタル電圧計

PCを使用してEVAL-CN0253-SDPZ ボードを制御する必要がある場合は、さらに下記の装置が必要となります:

  • USBポート付きWindows® XP又はWindows Vista®(32/64ビット)又はWindows® 7(32/64ビット)対応のPC
  • EVAL-SDP-CS1Z SDP
  • CN-0253 評価ソフトウェア


始めてみよう


スタンドアロン使用のみの場合はEVAL-CN0253-SDPZ、電源、テスト用バッテリが必要となります。

PCでボードを設定するために、評価ソフトウェアをインストールしてください。それを行うために、CN-0253の評価ソフトウェアのCDをPCのCDドライブに挿入して評価ソフトウェアをロードしてください。My Computerを使用して、評価ソフトウェアCDを含むドライブを見つけ、Readmeファイルを開き、評価ソフトウェアのインストールと使用方法のインストラクションに従ってください。


テスト・セットアップの機能ブロック図


図4はテスト・セットアップ機能ブロック図です。EVAL-CN0253-SDPZ-SCH-Rev0.pdf ファイルはボードの完全な回路図を含んでいます。このファイルは、CN0253設計支援パッケージに含まれています: (CN0253-DesignSupport).

 

図4. テスト・セットアップ機能ブロック図
図4. テスト・セットアップ機能ブロック図

 


セットアップ


電源の電源出力をオフにして、+18 V電源電圧をJ3-1ピン(VDD_EXT)に接続し、−18 V電源をJ3-3 ピン(VSS_EXT)に接続し、グラウンド接続端子をJ3-2 ピン(GND_EXT)に接続します。テスト用バッテリ・セルをバッテリ接続端子に取り付けます。バッテリが接続されていないバッテリ接続端子はリンク・ヘッダーが保持されている必要があります:すなわち、もし4個のバッテリのみ使用する場合は残りのバッテリ接続端子は接続されていなければなりません。

ボードのコンピュータ制御が要求される場合に重要な事はリンク・ヘッダーを取り除く事です:EN、A0、A1、A2。EVAL-SDP-CS1Zを使用する場合、120ピンコネクタを使ってEVAL-SDP-CS1Z をEVAL-CN0253-SDPZに接続します。ナイロン製ハードウェアを使用してコネクタを固定してください。


テスト


±18 V電源に電源を供給します。マルチプレクサADG5408からの出力を有効にするためにボードのEN リンクを使用します。テストするバッテリの選択にはボードのA0、A1、A2リンクを使用します。SMBコネクタ(VOUT)はEVAL-AD7298SDZ のような別のADC評価用ボードに接続するために使用できますが、又はデジタル電圧計を使用してマニュアルでテストします。

もしコンピュータ制御が必要な場合はUSBケーブルを使用してEVAL-SDP-CS1ZをPCに接続してください。CN-0253 評価ソフトウェアを立ち上げます。バッテリ電圧はマニュアル・テストに従ってテストする事ができます。EVAL-SDP-CS1Zを使用する場合はもう1つの5V電源ピンが提供されます。