複雑なシステムにおける電圧監視
要約
5Vレール1つでは、もはや十分ではありません。最新の設計では、新しいマイクロプロセッサ、DSP、FPGAなどに対応するために複数の電源電圧が必要です。これらの各電源電圧には、システムの信頼性を最大限に高めるために監視が要求されます。このアプリケーションノートでは、今日の電源シーケンスの複雑な要求に対応して複数の電源レールを監視することができる、革新的な監視ソリューションについて説明します。
はじめに
MAX803/MAX809/MAX810マイクロプロセッサ(µP)の監視回路は、マキシムの革新的技術の代表的なものです。監視回路自体はマキシムの発明ではありませんが、マキシムは監視回路を初めて3ピンパッケージに収めました。このICファミリは、単一の電源レールの監視に極めて優れた機能を発揮しますが、最新のシステムで使用される電源レールは1つだけではありません。多くの場合、お客様は複数の3ピン監視回路を使用して各電源レールを監視していますが、この設計手法には改善の余地があります。マキシムは、複数の電源レールの監視や電源のシーケンス処理に対応するとともに、ウォッチドッグタイマや追加のコンパレータなどのさまざまな機能を内蔵した、幅広い監視回路を提供しています。
2つの電源レールの監視
デジタル信号プロセッサ(DSP)やマイクロプロセッサを搭載した多くのシステムは、I/O電圧とコア電圧をそれぞれ1つしか必要としません。マキシムは、追加機能を内蔵した多数の2レール監視ソリューションを提供しています。たとえば、MAX6732AはI/O電圧とコア電圧の監視機能とウォッチドッグタイマ機能を、小型の6ピンSOT23パッケージ1つですべて提供します。図1 は、このデバイスを使用した回路の例を示しています。アクティブローのウォッチドッグ出力(WDO)がµPのマスク不可割込み入力(NMI)に接続されています。
3つ以上の電源レールの監視
FPGAを使用する、より複雑なシステムには、3.3VのI/Oレール、2.5Vの補助/フェーズロックループ(PLL)電圧、DDR2メモリ用の1.8V I/Oレール、1.2Vのコア電圧が含まれる場合があります。4つのデバイスを使用して各電圧を監視するのではなく、すべての電圧を1つのICで監視することによって、コストと基板スペースを節約することができます。図2 は、小型の6ピンSOT23パッケージに収められたMAX6710Eを使用して、これら4つの電源レールを監視する回路を示しています。
システムによっては、基本的な監視のほかに、電源シーケンスが必要になることがあります。これを実装するための非常に簡単な方法を 図3 に示します。MAX16029で各レールの電源電圧を監視します。3.3Vレールが低電圧スレッショルドを上回ると、CDLY1に接続されたコンデンサによって設定される遅延の後に、関連付けられたコンパレータ出力がハイになります。このコンパレータ出力は、2.5V電源のイネーブルピンに接続されています。こうした手法で、すべての電源レールが起動するまでシーケンスが進行します。コンデンサで設定された最後の時間遅延が終わると、リセット出力がハイになり、システムの電源投入が完了します。図4 は、結果として得られる電源投入シーケンスを示しています。
さらに多くの電圧が必要なシステムについては、図5 の回路が、MAX16005によって6つの電源レールを監視する例を示しています。このICにはウォッチドッグタイマが内蔵されているため、システムの信頼性が一層向上します。タイムアウト時のアクティブローRESETに対するパルスのアサートに加えて、このウォッチドッグもアクティブローのWDOをアサートし、ラッチします。
マージン入力を備えているため、リセットを引き起こすことなく、低電圧スレッショルドを下回る電源のマージンニングを行うことができます。この入力は、製造試験時にローに設定することができます。
MAX16005の簡易版であるMAX16055は、電圧監視入力の数は同じですが、マージン入力、調整可能なタイムアウト、ウォッチドッグタイマを備えていません(図6)。
関連情報
マキシムは、複雑なシステムの電圧監視用に幅広い製品を提供しています。下のリンクをクリックして、特定の電圧レール数に対応した製品の詳細リストをご覧ください。