MEMS慣性センサーのはんだ付けガイドライン

要約

PCBの標準的な設計および実装プロセスは、MEMS慣性センサーに悪影響を及ぼすことがあります。このアプリケーションノートでは、応力の緩和と機能向上のために、LGAパッケージのMEMS慣性センサーのレイアウト、はんだ付け、および実装のガイドラインを示します。

はじめに

MEMS慣性センサーは、プリント基板(PCB)の設計やリフローなどのPCBの実装プロセスによって影響を受けやすいと考えられます。MEMSパッケージ上の応力を低減すると、慣性センサーアプリケーション全体が最大限の性能を発揮する上で役立つ場合があります。

このアプリケーションノートでは、LGA (ランドグリッドアレイ)パッケージの加速度計やジャイロスコープに内蔵されたものなど、各種MEMS慣性センサーのレイアウト、はんだ付け、および実装のガイドラインを示します。

この文書(寸法、注記、仕様を含む)では、標準的な回路基板の製造パラメータに基づいて推奨事項を示します。ただし、ランドパターン設計は多くの未知の要因(たとえば、ユーザーの基板製造仕様など)に依存するため、ユーザーはこのガイドラインが特定の事例に適しているかどうかを判断する必要があります。

ガイドライン

一般的なPCB設計規則や業界の手法に加えて、レイアウトとプロセスに関するいくつかの単純なガイドラインをLGAセンサーのはんだ付けに適用する必要があります。

レイアウトのガイドライン

PCBの設計とレイアウトは、応力を低減し、デバイスの機能を増強する上で検討することが不可欠です。

レイアウトに関する推奨事項と要件は次のとおりです。

  • PCBのランドパターンをNSMD (Non-Solder-Mask Defined)として設計することが推奨されます。
  • LGAパッケージによって覆われる領域は、「キープアウト」領域として定義する必要があります。
  • 金属パターン(トレース、ポアなど)やビアをLGAパッケージの下に配置しないことが強く推奨されます(図1)。これらの構造は、内部のマスに対して変則的な機械的応力を引き起こすことがあります。
  • MEMSのランド領域の近くに部品を配置すると、応力が強まることがあります。大きな差し込み部品(シールド、ボタン、挿入カバー、ネジなど)をセンサーのパッケージから2mm未満の場所に配置しないことが強く推奨されます。
  • デバイスを正しく機能させるには、端子1のインジケータを未接続のままにする必要があります。
  • はんだリフロー中に設計対象のPCBフットプリントでパッケージの最適なセルフアライメントを実現するには、パッドのトレースの対称性に注意する必要があります(たとえば、内部接続されていないパッド上でもダミーのトレースを使用するなど)。

PCBランドやはんだマスクを正しく設計するには、特定の部品のデータシートやマキシムのパッケージと信頼性に関するページを参照して、パッケージのアウトライン設計に関する情報を確認してください。

図1. U1がLGAパッケージのセンサーの最適な配線を示しているのに対して、U2はレイアウトの規則が尊重されていないことを示す。

図1. U1がLGAパッケージのセンサーの最適な配線を示しているのに対して、U2はレイアウトの規則が尊重されていないことを示す。

プロセスのガイドライン

デバイスを正しくはんだ付けするには、パターン設計、はんだペーストの厚さ、およびリフロープロセスのプロファイルを検討する必要があります。

プロセスに関する推奨事項と要件は次のとおりです。

  • ステンシルの厚さとはんだペースト用の開口部は、フラックス残渣を十分に洗浄し、PCBとパッケージの間に隙間をとることができるように、正しく寸法を決める必要があります。
  • LGAパッケージ内で側面にある金属トレースの短絡を防ぐため、はんだ材料がパッケージの側面で逆流しないようにします。
  • フラックス残渣による隣接パッド間でのリークを防ぐため、はんだ付けの後にもう一度PCBを洗浄することが強く推奨されます。

マキシムの慣性センサーのLGAパッケージは、JEDEC J-STD-020Dの感湿性レベル3基準に従ってはんだ付け耐熱性を持つことが認定されています。はんだ付け耐熱性の詳細や、デバイスの鉛フリーやRoHSの対応状況に関する詳細については、特定の部品のデータシートを参照してください。そのほかに何か質問がある場合は、テクニカルサポートまでご連絡ください。

結論

MEMS慣性センサーはPCBの設計や実装プロセスで生じた応力の影響を非常に受けやすいものですが、レイアウト中や加工中に成功事例に従うことで、応力を除去し、最大限の性能を確保することができます。