DN-452: ADCとI2Cインタフェースを備えた、車載およびテレコム・アプリケーション向け電源モニタ
はじめに
LTC®4151はハイサイド電源モニタで、補助入力の電圧とともに、電流と電圧を測定するために12ビットADCを備えています。データは広く使われているI2Cインタフェースを介して読み出されます。このデバイスの普通でない特長は7V~80Vの動作範囲であり、12Vの車載から48Vのテレコムに至るアプリケーションをカバーすることができます。
車載用電源モニタ
車載バッテリは以前よりはるかに多くのシステムを支えています。それらのうちの多くは(情報/エンターテインメント・システムやアクセサリソケットに差し込まれる他の機器など)、バッテリが充電中でないとき動作します。
LTC4151は入力電圧が高いので、自動車のような高い過渡電圧が発生する環境での電源モニタに適しています。5mΩセンス抵抗を介してアクセサリソケットの最大16Aをモニタし、I2Cを介してデータをマイクロコントローラに送るLTC4151を図1に示します。
原理を分りやすく説明するため、携帯型GPS装置が使われています。この場合、パワーアップされて自己の内部バッテリを充電し、12.1V電源から396mAを引き出します。4.8Wの電力は比較的低いので、直ちに警報を出す必要はありません。ただし、デュアルLCDディスプレイを備えた組込型DVDプレーヤやアクセサリソケットに差し込まれた外部60Wサーモエレクトリック・クーラーなどの高電力装置はGPSよりはるかに速くバッテリを流出させるでしょう。LTC4151の高分解能で高精度の12ビットADCからのデジタル情報は、それを解釈してダッシュボード・スクリーンに表示したり、バッテリが完全に放電してしまうのを避けるためチャネルをシャットダウンするのにホスト・システムで利用することができます。
PoEを使ったテレコムの電源モニタ
LTC4151の広い入力電圧範囲の主要な利点の1つは、テレコムで使われるような高電圧アプリケーションをモニタできる能力です。登場しつつあるIEEE802.3af Power over Ethernet(PoE)標準規格は、ここ数年の間に大きな関心を呼んできました。
図2において、LTC4151-1は、LTC4263シングル・ポート給電装置(PSE)コントローラへの絶縁型48V電源をモニタします。オプトカプラを介した絶縁箇所を通過するマイクロコントローラへの通信は、LTC4151-1の分割された双方向SDAラインによって入力データと出力データが分離されるので、簡素化されます。SCLピンとSDAIピンのプルアップ抵抗は直接48V電源に接続します。これらのピンは内部で6Vにクランプされており、反転されたSDAOはオプトカプラ・ダイオードによってクランプされるように構成設定されています。示されている低速オプトカプラ、自己の5V電源を発生するLTC4263、およびLTC4151の高電圧保護を備えたI2Cピンを使うと、PoE側に別のデジタル用電源は不要で、単一の絶縁された48V電源だけですみます。
オプションの電力クラス(4W、7Wおよび15.4W)は、ケーブル端の受電装置(PD)の電力要件を分類しています。LTC4263は装着されたPDの電力クラスに比例した電流をパワーマネージメント・レジスタに出力します。その結果得られる電圧を、LTC4151-1がその補助ADC入力を通して測定し、マイクロコントローラにこれを伝え、マイクロコントローラはどの電力クラスの装置が接続されているのか解釈します。マイクロコントローラは次いでポートに流れる電流を読み取り、PDがその電力クラスに違反していないか判断し、PSEコントローラへの電源電圧がPoE規格を満たしていることを確認することができます。
LTC4151は構成設定可能なアドレスを持っているので、複数のLTC4151が同じバス上で動作することができ、それぞれのポートをモニタする複数ポートのソリューションが可能です。これはコントローラのパワーマネージメント機能に役立ち、最適化された電源から利用可能な電力を個々のポートに利用します。
LTC4151のその他の利点は、内蔵電流検出アンプ、入力電圧の抵抗分割器、精密ADCリファレンス電圧およびチャネル選択用MUXです。これらは外部部品のばらつきに比べて精度を改善し、ディスクリート部品のコストを省くこともできます。
まとめ
LTC4151は使いやすく、豊富な機能を備えた電源モニタ・デバイスで、多様な車載、テレコム、さらに産業用アプリケーションに適しています。シンプルなI2Cインタフェースを介して7V~80Vの正電源レールの電圧と電流を精確にモニタします。