DN-144: LT1511 低損失、定電流/定電圧
はじめに
LT®1511電流モードPWMバッテリ・チャージャは、リチウムイオン(Li-Ion)、ニッケル金属水素(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCd)などの定電流や定電圧充電を必要とする最近の再充電可能バッテリの高速充電に対する最も簡単かつ効率的なソリューションです。
LT1511バッテリ・チャージャのための高デューティ・サイクル
LT1511定電流/定電圧バッテリ・チャージャの最大デューティ・サイクルは標準90%ですが、この値は一部のアプリケーションにとっては低過ぎる場合があります。たとえば、18V±3%アダプタを使用して10個のNiMHセルを充電する場合、チャージャは最大15Vを出力しなければなりません。入力ダイオード、スイッチ抵抗、インダクタ抵抗、および寄生容量で合計1.6Vが失われます。したがって、必要なデューティ・サイクルは15/16.4=91.4%です。結局、デューティ・サイクルは通常のようにVBATを使用する代わりに、昇圧電圧を5Vに制限することによって93%まで拡大できます。この低い昇圧電圧によりLT1511の消費電力も低減されます。図1のVXノードに10µFのCXバイパス・コンデンサを接続し、3V~6Vの外部電源を接続してください。
ドロップアウト電圧の低減
さらにドロップアウト電圧を低くしたり、ボード上の熱を低減するために、入力ダイオードをFETに置き換えることができます(図2参照)。簡単明瞭な方法は、入力ダイオードの両端にPチャネルFETを接続し、そのゲートをバッテリに接続することです。これにより入力が“L”になるとFETはオフになります。問題はゲートを“L”にして、入力がバッテリ電圧よりわずか1Vまたは2V高いときでもFETが完全にターンオンするようにしなければならないことです。またターンオフ・スピードの問題もあります。バッテリからチャージャを通してFETに大サージ電流が逆流するのを避けるために、入力が完全に短絡したら、FETは瞬時にターンオフしなければなりません。ゲート容量によりターンオフが遅くなるので、入力が短絡した場合にすばやくゲート容量を放電するよう小型Pチャネル(Q2)が使用されます。Q2のボディ・ダイオードは通常動作中に、Q1のゲートを“L”に保持するのに必要なポンピング動作を起こします。Q1とQ2のVGS規格限界が20Vであることに注意してください。これによりVINは最大20Vに制限されます。
図3は15Vバッテリ用の完全な3A定電流/定電圧チャージャです。入力は18V±3%アダプタからきます。アダプタの電流制限と低電圧ロックアウト機能については、LT1511のデータシートを参照してください。
VIN > 20Vの場合、図4の回路を使用してVGSを20V以下にクランプすることができます。RX1とRX2はPROGの2.5VがQ2を十分にターンオンするように、1mAまたはそれ以下の電流を流すようなものが選択されます。これによって、RX1は約6.2Kになり、RX2は以下のとおり計算されます。
VBAT=最高バッテリ電圧
VGS=最小Q1ゲート・ドライブ
VIN=最小入力電圧
RX1=6.2K、VBAT=19.5V、VGS=7V、VIN=21.5Vの場合、RX2=18Kになります。
Note: 図1、2、および4の回路は充電電流が3Aのものです。他の設計値については、LT1511のデータシートを参照してください。