DN-540: 36V 入力、8.5A 昇降圧 µModule レギュレータ 電力増大のため簡単に並列化可能
はじめに
LTM®8055 は、昇降圧 μModule® レギュレータで、5V ~ 36V の入力範囲に対応でき、負荷電流容量を増やすため簡単に並列化できます。4 スイッチの昇降圧トポロジ機能により高い効率を実現し、出力より低い、同じ、または出力より高い入力電圧に対応でき、レギュレーション・モード間でスムーズな移行が行われます。LTM8055 は定電圧(CV)および定電流(CC)出力をレギュレートでき、出力電流をアナログでプログラム可能です。逆相のクロック出力と、スイッチング周波数同期との組み合わせにより、並列動作での位相インターリービングを簡単に行えます。入力コンデンサ、出力コンデンサ、および必要な場合は電流検知抵抗を含む完全なソリューションを、LTM8055 のフットプリントである 15mm×15mm よりもそれほど大きくない面積に収めることができます。
4 スイッチの昇降圧コンバータ設計は本質的に効率が高いのが利点で、これは NMOS スイッチの電力損失が低いことが主な理由です。2 スイッチのコンバータも同様に効率的ですが、これは降圧または昇圧どちらかのトポロジに限定されます。さらに、2 スイッチでなく単一のスイッチと整流ダイオードを使用する DC/DC電源は、ダイオードの電力損失のため効率が悪くなります。
並列動作
出力電力容量を増やすため、複数の LTM8055 を簡単に並列化できます。図 1 は、2 つの LTM8055 の並列動作で構成される 12V 出力のレギュレータです。1 つは CV マスタ・レギュレータ U1、もう 1 つは CCスレーブ・レギュレータ U2 で、入力が 18V ~ 36Vのときに 12A の出力電流を生成できます。図 2 は、図 1 の回路が 24V 入力時に約 93% の効率を得られることを示しています。入力電圧が18V未満のときは、出力電流が低下します。
マスタ・レギュレータの CV 動作と、スレーブ・レギュレータの CC 動作により、電流シェアリングのバランスが保証されます。IOUTMON は出力電流を監視し、CTL ピンは電流源レギュレータの出力電流をプログラムします。マスタは必要な出力電圧にプログラムされます。これに対してスレーブは、通常は電圧ではなく電流をレギュレートするため、より高い出力電圧にプログラムされます。マスタは出力電圧をレギュレートし、マスタの IOUTMON ピンがスレーブの CTL ピンに接続されることで、2 つの LTM8055 間で負荷電流が強制的に等しくシェアリングされます。ユニティゲインバッファにより、マスタの IOUTMON ピンはスレーブのCTL ピンを駆動できます。図 3 は、図 1 に示す 2 つの並列レギュレータによる負荷シェアリングを示しています。ここで、6A から 10A への負荷遷移テスト時に、IOUTMON 出力は一定に保たれています。
U1 の CLKOUT を U2 の SYNC ピンへ接続するだけで、2 つのスイッチング・サイクルが 180°離れて同期されます。逆相の同期により、入力および出力に必要な容量が減少します。複数の LTM8055 間のランダムなスイッチング・サイクル関係により発生するビート周波数ノイズは、同期により防止されます。
一つのユニティゲインバッファを使用してマスタのIOUTMON ピンをスレーブの CTL ピンへ接続すると、3 つ以上の LTM8055 を並列化することもできます。チャネルの正しいインターリービングには、2 つ以上のフェーズを持つ外部クロック・ジェネレータが必要になることがあります。
電流レギュレーションとモニタリング
LTM8055 の電流レギュレーション機能には、並列動作以外の使用法もあります。バッテリやスーパーコンデンサの充電に、または出力を過電流や短絡フォルトから保護するためにも使用できます。また、LTM8055は入力電流レギュレーションとモニタリングも提供しています。入力電流の制限により、LTM8055 の入力電源が過負荷になることを防止できます。
まとめ
LTM8055 を使用すると、最少の設計労力でコンパクトかつ高パフォーマンスのコンバータを製造できます。この 36V の昇降圧 μModuleレギュレータは、簡単に並列化して出力電力を増やすことができ、2 フェーズの設計により外部クロックは必要ありません。