

Customer Case Study
ここから無線プラットフォームの可能性が拡がっていく~狭帯域対応のRF-SoMを実現したRFトランシーバーIC~

システム開発や電子回路設計、FPGA開発、ソフトウェア開発等のエンジニアリングサービスを行う受託開発専門会社。企業や研究機関、官公庁と幅広い開発支援を行う。
https://www.marimo-el.co.jp/
顧客課題: | 狭帯域に対応するRF-SoMの実現 |
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導入製品: | アナログ・デバイセズの高性能RFトランシーバーIC「ADRV9002」 |
キーワード: | 無線通信、RF-SoM、狭帯域、FMトランシーバー、モデルベースデザイン、Radio Verse |
マリモ電子工業が切り拓く、
新たな無線プラットフォーム開発の道
新たな無線プラットフォーム開発の道
世界で普及が進む、5G。大容量・低遅延のモバイルネットワークの恩恵は、社会の隅々にまで及んでいる。この5Gを支える無線技術でデファクトスタンダードになっているのが、ソフトウェア無線・SDR。無線/ベースバンド・トランシーバーとデジタル処理アーキテクチャを混載した無線プラットフォームだ。
アナログ・デバイセズは、2011年にRFトランシーバー製品シリーズRadioVerseの第一弾となる「AD9361」をリリース。以来、今日までSDRの進化を支えてきた。
そして今、アナログ・デバイセズのソリューションを活用してSDRに新たな地平を開こうとしているのが、マリモ電子工業だ。同社はRadioVerse初の狭帯域対応RFトランシーバーICを用いて、SDRの可能性を大きく拡げようとしている。

より多くの開発にSDR導入を。
狭帯域ニーズに応えるRF-SoMを実現
狭帯域ニーズに応えるRF-SoMを実現
ハードウェア・ソフトウェアの受託設計開発を専門とする、マリモ電子工業。アナログ・デバイセズのアライアンスパートナーである同社はこれまで、ソフトウェア無線分野においてもモデルベースデザインを用いたRF-SoMの提供によって、数々の開発をサポートしてきた。
もっと多くの開発者にSDRを導入してほしい。そう願うマリモ電子工業は、RF-SoM開発において2つの課題に直面していた。狭帯域無線への対応と、回路設計の簡素化だ。
ひとつめの課題であった、狭帯域無線の対応。これまでトランシーバーICは広帯域向けしかなく、多様なニーズに応えるRF-SoMが開発できなかったと、マリモ電子工業の取締役兼、技術部総括の土屋博之氏は話す。 「FMトランシーバーといった狭帯域無線分野では、対応可能なRFトランシーバーICがなく、SDR導入を諦めざるを得ない開発者が多くいました」

そんな課題を解決すべく同社が導入したのが、アナログ・デバイセズのRFトランシーバーIC「ADRV9002」である。
「『ADRV9002』の導入によって広帯域、狭帯域用途の双方をカバーした、ローコストなオールインワンRF-SoMができました。より多くの開発者にSDRを導入いただけるようになったと自負しています」と土屋氏。
ワンチップでRF回路を簡素化。
使いやすさも大きな魅力
使いやすさも大きな魅力
RF-SoM開発におけるもう一つの課題が、複雑な回路設計だ。
「これまでのRF回路はとても複雑で、重さやスペース、そしてノイズの面でも開発に苦労していました」と、マリモ電子工業取締役兼、技術部 部長の佐藤寛之氏は話す。そんな回路設計における課題も「ADRV9002」の導入が解決へ導いた。
「『ADRV9002』は従来のRF回路設計に必要としていたアンプやIQ変調器・IQ副調器といったパーツがワンチップにまとめられています。しかも無調整で実現できる。この便利さを体験すると、後戻りができません」

アナログ・デバイセズのRFトランシーバー製品シリーズRadioVerseを、初代から導入してきたマリモ電子工業。中でも今回使用した「ADRV9002」はこれまでにない使いやすさだったという。
「周波数、帯域幅、変調方式、フィルタ性能、インターフェースの面で『ADRV9002』は、とても使いやすいです。これを用いたRF-SoMなら、お客様の多様なニーズに迅速に対応できます」
ドローン向け動画転送システムにも採用。
害鳥の自動撃退への活用も
害鳥の自動撃退への活用も
同社のRF-SoMは、ドローンに付属したカメラが撮った動画を転送し、PCで表示する5.7GHzの動画転送システムにも採用されている。
「カメラ入力から映像表示までの遅延時間は、わずか約0.2秒。撮影した動画をリアルタイムで解析できます。これとドローンの自動運転を組み合わせることで、果樹園に侵入する害鳥の撃退といった、リアルタイムでのフィードバック分野での活用が期待できます」と佐藤氏。
進化する無線コミュニケーション。
アナログ・デバイセズと共に開発を支えたい
アナログ・デバイセズと共に開発を支えたい
6Gの開発が進み、無線コミュニケーションにも進化が求められる今。RF-SoMによって新たなSDR開発を支えたいと、土屋氏は話す。
「時間やコストが多くかかる回路設計。だからこそ、最小限のリソースで開発を加速するRF-SoMに頼ってほしいです。これからも、アナログ・デバイセズのRadioVerse製品とともにSDR開発の進化をサポートしていきたいです」