質問:
オペアンプをコンパレータにする ことについてのRAQで、クワッド型 (1チップにオペアンプ4個内蔵)内の 未使用のオペアンプならコンパレータ として使用可能というご説明でした。 未使用のオペアンプがあるけれど、 コンパレータは必要ないという場合は どうしたらよいでしょうか?
回答:
これは見かけによらず厄介な問題です。オペアンプがオーバードライブされると、出力段がいずれかの電源レールで飽和し、オペアンプは過剰な電力を消費します。未使用のオペアンプが存在する一般的な構成では、多くの場合オーバードライブが発生するでしょう。
すべての端子が未接続のままになっていたら、浮遊静電界によって入力が電源レールを外れるおそれがあります。これによってラッチアップが生じ、チップ全体が破壊されることがあります。ラッチアップが生じない場合でも、DCフィールドが飽和や無駄な消費電力の原因になることがあります。さらに、アンプがACフィールドを増幅するかもしれず、その状態でオーバードライブが発生したら、自身の電源電流が大きく変調し、チップ上のほかのアンプにクロストークが生じることがあります。
ユーザによっては、一方の入力を正側電源に接続し、他方の入力を負側電源に接続するようなユーザがいます。これによっても出力が飽和し、電力が無駄になります。各入力電圧が差動入力電圧の定格値を上回って、デバイスを損傷するおそれもあります。たとえ損傷しなくても、このような条件では複数の入力段が数十ミリアンペアの電流を引き込んで、さらに余計な電力を消費します。
両方の入力を接地したり、短絡してほかの電位に接続させても、オペアンプのオフセット電圧がちょうどゼロになることはないため、やはり出力段が飽和します。短絡させてバイアスせずにオープンのままにしておいても前述のようなラッチアップのおそれがあります。
どうしたらよいかというと、デバイスをフォロワ(出力を反転入力へ接続する1 )として接続し、非反転入力を電源レール間のどこかの電位に接続することです。両電源システムではグラウンドが理想的です。単電源システムで正側か負側の電源に接続すると、オフセット電圧の極性によっては飽和が生じて電力が無駄になります。この場合、オペアンプ入力に起因する負荷はごくわずかであるため、「電源レール間のどこかの電位」、回路内の適切な電位がある所ならどこでもかまいません。図については、リンク先の記事を参照してください。
あるいは、使っていないオペアンプはバッファ・アンプとして使うことができます。バッファ・アンプは必要ではないが、あったら少しはましになるかもしれないシステムでバッファ・アンプとして使用するのはどうでしょうか?