表面実装ICのブレッドボーディング、小さすぎるか、小さすぎないか?それが問題だ…

質問:

超小型の表面実装(SM)ICを使ったブレッドボードを作成する にはどうすればよいのでしょうか?

RAQ:  Issue 21

回答:

非常に慎重にやることです。PCボード(PCB)のICキャリアを使い、はんだごてにはんだ溝チップを付け、さらにたっぷりのフラックスと強力な拡大鏡が必要です。

アナログ・デバイセズでは、2~3年おきに世界各国で100回ほどセミナーを開催しており、私は欧州を6か月間で30ヶ国以上まわります。

良いセミナーには、技術的な解説だけでなく演技力も必要です。講演者は、受講者に質問などを求めるなどして、積極的にセミナーに参加できるよう配慮する必要があります。たまに質問が矢継ぎ早に出て、大混乱になることがありますが。驚くべきことに、一番よくある質問は回路設計のことではなく、開発ラボ環境で超小型の最新ICパッケージを扱う際にICを損傷せずに回路を大きく変更するにはどうしたらよいか、という内容です。デュアル・インライン・パッケージ(DIP)のブレッドボーディングなら簡単だが、スモール・アウトラインIC(SOIC)の扱いは難しく、0.025インチ以下のリード・ピッチの小型パッケージになるとどうしたらよいかさっぱり、という状態です。

この解決方法はあります。小さいPCボードを作成する際に小さいパッケージに合ったパッドとトラックを組み込みますが、エッジ周りでは比較的大きい(0.1"×0.2"[2.5mm×5mm])パッドを使用すれば、PCボード上にICをマウントし、適切なサイズのリード付きコンポーネントでブレッドボードを作成できます。PCボードの裏面がグラウンド・プレーンの場合は、そこのICをデカップリングしてPCボードを銅張ブレッドボードにマウントするために使用できます(はんだと熱いはんだごてを使用)。

ただ、この方法では、ICをPCボード・キャリアにマウントするという問題が残ります。実際は、はんだ溝チップ付きの自動温度調節はんだごてと大量のフラックスを使えば、小さい表面実装ICのマウント作業は思ったほど難しいものではありません。2本のリードを極細のこてによってはんだ付けし、デバイスを位置決めしてから、すべてのリードをフラックスで十分にコーティングします。はんだごての「溝」にははんだが充填されますが、あふれることはなく、ICの片側の複数のリードのすべてにはんだを伸ばします。これによってリードがはんだ付けされますが、丁寧に行えばリードが短絡することはありません。ICのリード面ごとにこの処理を行い、その後でボードに短絡や未接合の箇所がないか点検します。

はんだ処理には、卓上拡大鏡か高倍率(5~6ジオプター)の読書用眼鏡を使用します。




著者

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James Bryant

James Bryantは、1982年から2009年に定年退職するまで、アナログ・デバイセズの欧州地区アプリケーション・マネージャを務めていました。現在も当社の顧問を務めると共に、様々な記事の執筆に携わっています。リーズ大学で物理学と哲学の学位を取得しただけでなく、C.Eng.、Eur.Eng.、MIEE、FBISの資格を有しています。エンジニアリングに情熱を傾けるかたわら、アマチュア無線家としても活動しています(コールサインはG4CLF)。