ネットワーク管理入門:CANopenプロトコル

CANopenはオブジェクト・ベースの標準通信プロトコルです。元々は、複数のデバイス(またはノード)がコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)バスを介して通信するための、モータ・コントロール・アプリケーションおよびモーション・コントロール・アプリケーション向けに開発されました。現在でもCANopenは産業分野の自動化用組み込みシステムで最も広く使用されていますが、ヘルスケア、ビルディング・オートメーション、自動車などの他の分野でも使用されており、他のデータ・リンクやEtherCAT®などの物理層プロトコルにも適用できます。

CANopenを利用することでシステム・ノード間のプラグ・アンド・プレイ相互運用が可能になるため、Industry 4.0のコネクテッド・ファクトリの実現に役立ちます。7階層OSIモデルでは上位層に相当し、ネットワーク層以上を実装します。このプロトコルの標準的な構成方法では、インストールの前でも後でもデバイス・プロファイルを構成できるため、統合の簡易化に役立ちます。

CANopen image

CANopen標準に含まれる要素

CANopenはシステムのCANハードウェアを利用して、種類が異なる複数のデバイス間で構成、アクセス、通信を管理するため、CAN全体のノードを接続して調整するアプリケーション層プロトコルを定義しています。これにより、メッセージのセグメント化とセグメント化解除を実行できる基本トランスポート層を介したネットワーク管理、デバイス診断、メッセージングが可能になります。

その他のデバイスをコントロールするには、マネージャ・ノードのコントロール・ソフトウェアに次の4つの機能を実装する必要があります。

  • サーバー・ノードとのメッセージ・プロトコルを実装する通信ユニット
  • マネージャ・デバイスの起動とリセットのためのステート・マシン
  • 各ノードの機能を記述する完全なパラメータを含むオブジェクト・ディクショナリ
  • 上記3つの機能に基づいて実行されるアプリケーション、または実際のデバイスの機能

CANopen標準には、アドレス指定方式、様々な通信サブプロトコル、アプリケーション層が含まれ、デバイス・プロファイルによって定義されます。CANがオートメーション分野でリリースしたCiA 301仕様には、すべての基本的なCANopenデバイスと通信プロファイルが含まれています。これは、それぞれの独自のCANオートメーション・プロトコルに従って、他の専門性が高いデバイスの基盤として使用できます(I/Oモジュール向けのCiA 401、モータ/モーション・コントロール・アプリケーション向けのCiA 402など)。

簡素化されたCANopenモジュール

TMCL-IDEに加え、すべてのCANopenモジュールに対応するTMCM-CANopenツールでは、プロファイル・ポジショニング・モード、プロファイル速度モード、ホーミング・モードなどの標準CiA-402モーション・コントロール・モードを簡単に使用できるため、設計が容易になり、市場投入までの時間が短縮されます。グラフィカルなCANopenオブジェクト・モニタリング機能が統合されたことで、任意のCANopenモジュールの初期セットアップと微調整が更に簡易化されています。

ツールの詳細

CANopenの概要

オブジェクト・ディクショナリ、サービス、SDO、PDO、マネージャ・ノードとサーバー・ノードなど、CANopen標準の主な要素について解説しているこの紹介ビデオで、CANopenの基本を学びましょう。このビデオでは、CANopenの主な6つの概念(通信モデルとプロトコル、デバイス状態、オブジェクト・ディクショナリ、電子データシート、標準化されたデバイス・プロファイル)について簡単に解説しています。

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