FAQ
AD8609 - FAQ
OPアンプの低温保存、動作温度
Q: オペアンプの保存温度はSpace Level Productsが最も温度範囲が広いのかと思いますが、低温での保存温度は60℃からになっています。もっと保存温度の低いオペアンプはありますか。 またセラミックパッケージを使えば、55℃から動作温度が保証されていますが、もっと動作温度の低いオペアンプはありますか。
A: パッケージにも因りますが一般的なアンプの保存温度は65℃までで、これ以下の製品はありません。 また動作温度範囲は55℃までで、これ以下の温度での動作を保証する製品はありません。
容量負荷に強いアンプは?
Q: OPアンプによりアナログ信号を差動出力で伝送する回路を検討しています。伝送路のケーブルが長く、静電容量を0.5µ以下と想定しており、容量負荷がドライブ出来るOPアンプを探しています。微小電圧(±0.1mV~±10V)でDC付近(DC~100Hz)の信号帯域を扱うので、低雑音で高精度タイプが理想です。 精度と雑音はデータシートより目安が把握できますが、容量ドライブの許容値については見極めることが出来ませんでした。 容量ドライブを得意とするシリーズなどがありますか。
A: 容量性負荷を駆動可能なアンプとしては、シングルならAD817やAD847、デュアルならAD826やAD828があります。これらはOP270のように低オフセット電圧ではありませんので、オフセット電圧が問題となる用途では、これらのアンプを高精度アンプの出力バッファとして使用して、オフセットの影響を補正できるような回路構成とする必要があります。
消費電流の計算方法
Q: 消費電流の計算方法をおしえてください。無負荷時電源電流+出力電流と考えれば宜しいのでしょうか。電源容量を決めるために必要です。
A: アンプの消費電流は静止電源電流と出力電流から算出します。 静止電流は±電源両方共に流れる電流ですが、出力電流は出力の極性により+または-電源に流れる電流となります。
積分回路が動かない
Q: 5Vから+5Vまで8.6秒程度で上昇する積分回路を作成しました。実際に測定してみると13秒程度と、とても大きくなってしまいます。 回路及びパラメータは以下のとおりです。
オペアンプの+側に430kΩを通してGNDと接続。この誤差に関してオペアンプの影響で考えられることはありますか。
A: 積分回路が飽和している可能性はありませんか。入力に5Vを加えた状態でコンデンサの両端をショートしてアンプの出力を0Vとした状態から、コンデンサのショートを外して積分回路を動作させて、出力が5Vになるまでの時間をご確認ください。
OPアンプの利得を減衰で使用したい
Q: ゲインを0.5倍から0.3倍程度(減衰)で、反転アンプを構成しようとしていますが、オフセットドリフト性能、その他に問題は生じませんか。
A: 反転増幅回路であれば基本的には問題ありません。注意点はゲインと言うよりもむしろ抵抗のマッチングになると思いますので、減衰でも増幅するときと同様にオフセットの影響になりうる抵抗値のマッチングに注意してください。 また、抵抗が比較的悪い温度係数を持っている場合は抵抗のドリフトに影響する事が考えられますので、そちらもご注意ください。
OPアンプをコンパレータとして使用したい
Q: OP497を例にしますが、このICをコンパレータとして使用しているのですが、-側は-4Vぐらい出るのですが、+側は0.8∼3.6Vぐらいに振れてしまいます。 OP497の入力は、+- ともアンプからの出力を直でつないでいます。 出力は、トランジスタですが、外しても電圧に変わりありません。 REF電圧は0.3Vになります。 他のOPアンプだと、±4Vぐらい振れます。
A:
OP497をコンパレータとして使用した場合には幾つかの問題点があります。
一番問題となるのは入力に差動電圧を制限するための保護回路としてクランプダイオードが使用されていることです。また保護回路が動作した時に入力電流を制限するために抵抗が使用されております。従いOP497をコンパレータとして使用した場合、この保護回路を通じて比較する信号間に電流が流れ、比較信号に影響を与える場合があります。また入力の保護抵抗のバラツキは保護抵抗に流れる電流による電圧降下の差の要因となり誤差の要因となります。
アンプをコンパレータとして使用される場合には入力に差動電圧の保護回路が使用されていない製品、または保護電圧が比較電圧より高い製品をご使用下さい。
供給電源電圧精度は?
Q: OPアンプの供給電源電圧精度がわかりません。±15Vは±いくらでしょうか?
A: 電源電圧±3Vから±18Vで動作するOPアンプはその範囲内で動作します。なおデータシート上の仕様は規定された条件で測定、記載されています。
IC内蔵保護回路
Q: OPアンプ出力端子のIC内蔵保護回路を教えてください。
A: 汎用OPアンプICにつきましては、入出力あるいは電源ピンなどの区別なく、全ピンにESDプロテクション・ダイオードが挿入されております。 これは寄生ダイオードではなく、各ピンをESDから保護するために付けられたもので、ジャンクション・アイソレーション・タイプのプロセスに見られるサブストレート起因の寄生トランジスタと異なるものです。アンプ出力端子にも、このESDプロテクション・ダイオードは接続されております。このダイオードは、一般的にサージ電圧・電流から素子を保護する目的があり、定常的に入力をクランプするためのものではありません。
OPアンプを片電源で使用する場合の最大電圧
Q: OPアンプの電源仕様に関して、たとえば仕様で5V~24Vの場合、 片側電源(+15V)で使用したいのですが、片側では+12VがMAXでしょうか?
A: 片側電源(単電源)においては、MAX+24Vまで使用可能です。+Vs --Vs電源端子間電圧が動作範囲を満たしていれば、問題ありません。
OPアンプを誤接続し電源を与えずに出力端子に電圧を加えてしまったが損傷してしまったか?
Q: ± オペアンプOP07に、OPアンプ電源用のDC電源と、OPアンプ出力電圧確認用のマルチメータを接続して、動作確認をしようとしたところ、接続を誤り、OPアンプの電源回路に電圧確認用マルチメータを接続し、OPアンプ出力回路にDC電源(出力電圧7V、電流リミッタ0.8A)を接続してしまいました。配線を正しく接続し直した後、OPアンプの出力を確認したところ、正常に動作しているように思われます。OPアンプOP07の電源オフ時に、OP07出力端子(6ピン)に上記電圧を与えてしまいましたが、OP07にストレスを与えていないのでしょうか?
A:
この条件は、OP07の電源端子に電圧が印加されない状態で、OPアンプの出力端子の電圧を印加したということですので、基本的には、アンプの内部に異常な電圧の印加がされたことになります。使用されています応用回路の状態によりますが、アンプの入力端子の電圧が(出力端子に印加された電圧によって)印加されるような状態の場合、OP07の絶対最大定格の「Note 1 For supply voltages less than ±22 V, the absolute maximum input voltage is equal to the supply voltage.」の条件になりますので、何らかの損傷が生じて可能性があります。ただし(あくまで一般的な話として、保証ではありませんが)、出力側への印加は、IC内部の出力段のトランジスタの耐圧、また回路内の抵抗の耐量によります。これらは、比較的丈夫に設計されます。
また、OPアンプの入力端子の抵抗を介して接続されている場合、入力端子に流れ込む電流が制限されますので、破損に至らない可能性が高まります。従って、そのような状態の場合、動作を維持している可能性が高まります。
ゲインが高いと動作が安定しない
Q: AD8065を使用して減算回路を組んだのですが、動作が安定しません。AD8065のデータシートを見るとゲインが10までの特性データしか記載されていませんが、このオペアンプをゲイン200程度で使用することは可能なのでしょうか?また、ゲイン200で使用する場合に何か使用上の注意点等はありますでしょうか?
A: 電圧帰還型OPアンプである、AD8065をゲイン200で使用された場合、周波数帯域が200KHz程度にまで低下します。またループゲインの制限により誤差が増加しますので、AD8065をこのようなゲインで使用することはお勧めできません。これは電圧帰還型OPアンプに共通して言えることです。
オペアンプの電源の片方がオフになると出力は?
Q: ± オペアンプを±5.0Vの両電源で使用しているのですが、回路の不具合により、電源電圧の片方がGND、またはHi-Z(OPEN)となった場合、オペアンプの出力もHi-z、またはGNDになるのでしょうか?また、両電源GND,Hi-zになった場合も同様にオペアンプの出力もHi-z、またはGNDになるのでしょうか?
A: 両電源動作のアンプの片方の電源がオープンになった場合、アンプの電源電流によりもう一方の電源から電流が流れるために、オープンの電源端子が接続されている電源でバイアスされます。 これにより入出力端子の電位が電源電圧の範囲を超えると、電源から入出力間で電流が流れてしまう可能性があります。両電源ともオープンの場合には、電流は流れませんが、電源端子にカップリングのコンデンサが接続されている場合には、このコンデンサをチャージする電流が入力端子から入出力される可能性があります。また両電源ともGNDの場合には、入力に加わる電位が±0.3Vを超えない限り、電流はほとんど流れません。
オペアンプの自己消費電流は?
Q: オペアンプのデータシートで、電源電流ISYはどこを測定しているのでしょうか? 両電源それぞれISY[A]流れているのでしょうか?
A: アンプの電源電流は無負荷にて規定されておりますので、入力のバイアス電流の影響が無いと仮定した場合、+-電源に流れる電流値は同じ値となります。
両電源アンプを片電源で、あるいは片電源アンプを両電源で
使用できるでしょうか。
Q: ±15V電源のOPアンプを片電源で使用できるでしょうか。またその逆に単電源のOPアンプは両電源で使用できるでしょうか。
A: 可能です。例えば±15V電源のアンプを+30Vの単電源で使うことができます。ただし入力の電圧範囲が規格を越えないようにしてください。例えばこの状態で入力をグランドレベル(0V)に接続することは、レールtoレール入力で無い限りできません。逆に単電源アンプを両電源で使用することも可能です。たとえば6V単電源アンプを±3Vで使用することに問題はありません。やはり入力電圧の規格に注意してください。なおデバイスのスペックは、データシートの条件のみで保証されています。
電源が遮断したときに入力信号がある場合
Q: 動作パターンとして、DC5V入力時とバッテリ駆動時の2パターンある回路での動作です。 DC5V入力時は、OPアンプは電源供給され動作しています。バッテリ駆動時にはOPアンプの電源は遮断されます。バッテリ駆動時にはバッテリにて動作している他の回路(オペアンプ)より信号線がつながっていて、電源遮断中のOPアンプに対し入力ピンに電圧がかかります。この時、OPアンプの入力に電圧がかかっても問題ないでしょうか。また、電圧がかかることにより電流がリークすることはないでしょうか。
A:
英語データシートのABSOLUTE MAXIMUM RATINGSに、Input Common-Mode Voltage ±VS という項目があります。そちらを参照してください。
つまり、この場合は電源が0Vのときに入力が0V以上になりますのでICのダメージにつながります。