SmartMesh 技術

SmartMesh IP の機能の概要 - 図 1SmartMesh® 組み込みワイヤレス・センサー・ネットワークは、99.999% を超えるデータ信頼性と 10 年を超えるバッテリ寿命を提供し、最も過酷な環境でもワイヤレス・センサー・ネットワーク(WSN)の導入を実現できます。

  • 工場、データ・センター、商用ビル監視、橋、トンネルなど、さまざまな金属やコンクリートがある過酷な RF 環境
  • 駐車場アプリケーション、複数の市街区域にまたがるスマート街路照明ネットワーク、商用灌漑などの広域ネットワーク
  • 何千ものノードが相互の無線範囲内で動作する、データ・センターや大規模太陽光発電施設などの密度の高い設置
  • 鉄道車両、貨物用コンテナ、トラックトレーラー、または航空機を含む移動車両上のネットワーク
  • パイプライン、鉱山、トンネル、橋、フェンス・ライン、スマート街路照明を含む広く長いネットワーク
  • 油田、農業、環境モニタリングなど、すべてのノードをバッテリまたはエナジー・ハーベスティングで駆動する必要があるリモート・モニタリング

SmartMesh IP ネットワークは、データを収集して中継するモートと呼ばれるノードの非常にスケーラブルな自己形成型マルチホップ・メッシュと、ネットワークの性能とセキュリティを監視して管理し、ホスト・アプリケーションとデータを交換するネットワーク・マネージャで構成されます。

SmartMesh モートとネットワーク・マネージャは、フル機能のワイヤレス・センサー・ネットワーク・ソリューションです。SmartMesh は、時間同期チャンネル・ホッピング・リンク層と、フル機能のワイヤレス・ネットワーク・ソリューションのためのアナログ・デバイセズの Eterna® システムオンチップ技術をベースにしたハードウェアを組み合わせ、以下の特徴があります。

  • >最も過酷な RF 環境でも 99.999% を超えるデータ信頼性
  • >10 年という長いバッテリ寿命により、センサーを最低のコストでどこにでも配置
  • 暗号化、認証、およびメッセージの完全性チェックによるセキュアなネットワーク
  • ネットワーク・スタック開発が不要なフル機能のワイヤレス・メッシュ・ソリューション​
LTC5800 Eterna

超低消費電力 IEEE 802.15.4E システムオンチップ・プラットフォーム

SmartMesh モートとネットワーク・マネージャの中核にあるのが、アナログ・デバイセズの高度に統合化された低消費電力の 2.4GHz 無線設計と、SmartMesh ネットワーク・ソフトウェアを実行する ARM Cortex-M3 32 ビット・マイクロプロセッサを搭載した、Eterna IEEE 802.15.4e システムオンチップ(SoC)です。

SmartMesh ネットワーク

時間同期チャンネル・ホッピング通信​

SmartMesh ネットワークは、時間同期チャンネル・ホッピング(TSCH: Synchronized Channel Hopping)リンク層を使用して通信します。これは、アナログ・デバイセズの SmartMesh チームによって初めて開発された技術であり、WirelessHART(IEC62591)や IEEE 802.15.4e などのワイヤレス・メッシュ・ネットワーク規格の基本要素になっています。TSCH ネットワークでは、ネットワーク内のすべてのモートが数マイクロ秒以内に同期されています。ネットワーク通信は複数のタイム・スロットに編成され、低消費電力のパケット交換、ペアごとのチャンネル・ホッピング、およびフル・パス・ダイバーシティが可能になります。

低消費電力のパケット交換

TSCH を使用すると、スケジュールされている通信の間に SmartMesh デバイスをスリープ状態にして消費電力をきわめて低く抑えることができるため、通常はデューティサイクルが 1% 未満になります。ネットワーク・マネージャは、TSCH を使用して以下を確実に行います。

  • モートが正確にいつトーク、リッスン、またはスリープする必要があるかを知る
  • ネットワーク上でパケットが衝突しないようにする
  • すべてのノードで消費電力をきわめて低く抑え、通常、ルーティング・ノードの消費電力は 50µA 未満

ペアごとのチャンネル・ホッピング​

時間同期によって、周波数ダイバーシティを行うためにすべてのトランスミッタとレシーバーのペアでチャンネル・ホッピングが有効になります。SmartMesh ネットワークには、以下の機能があります。

  • 避けられない RF 干渉を防ぐために、すべてのパケット交換でチャンネル・ホッピングが行われる
  • ネットワーク帯域幅を広げると、複数の通信を同時に行うことができる
  • RF を弱める自己干渉を引き起こさずに、ネットワークの密度を高めて拡張できる

フル・パスおよび周波数ダイバーシティ​

各デバイスには、干渉、障害物、またはマルチパス・フェージングによる通信中断を克服するために冗長パスがあります。あるパスでパケット送信に失敗すると、モートは自動的に次に使用可能なパスと別の RF チャンネルで再試行します。他のメッシュ技術とは異なり、時間と電力がかかるパス再検出は必要ありません。

SmartMesh のフル・パスおよび周波数ダイバーシティ​
パスおよび周波数ダイバーシティ - 緑色の矢印で通信に失敗すると、ノード D は別のチャンネルを使用して赤い矢印で再試行します。


動的なネットワーク最適化

SmartMesh ネットワークは、自動サイト・サーベイを使用してネットワーク全体を取り巻く RF 環境のプロファイルを常に維持します。各モートが関連する性能統計を追跡し、これらの統計をネットワーク・マネージャに健全性レポートというパケットで定期的に送信します。ネットワーク・マネージャは、このデータを以下の目的のために使用してネットワーク性能を積極的に最適化します。

  • RF 状況が変化するなかでモート間の冗長パスを維持する
  • モート間のルーティングを調整してシステム遅延を低減する
  • パスを最適化して RF 性能を改善し、トラフィックの再試行を低減する
  • 消費電力を総合的に削減する

128 ビット暗号化によるセキュアなメッシュ

SmartMesh ネットワークは、現在利用できる最もセキュアなメッシュ・ネットワークです。SmartMesh ネットワーク内のトラフィックはすべて、エンド to エンドの暗号化、メッセージの完全性チェック、およびデバイス認証よって保護されています。また、SmartMesh ネットワーク・マネージャには、ネットワークのセキュアな参加、鍵の確立、および鍵の交換を有効にするアプリケーションが含まれています。セキュリティ機能は以下のとおりです。

機能 利点
デバイス認証 デバイス認証の強さを 3 つのレベルから選択します。
暗号化 複数の鍵を使用する 128 ビットの AES ベースの暗号化によって、データのプライバシーと機密性が確保されます。
メッセージの完全性チェック(MIC) 送信されるデータは、不正に変更されていないことを保証するためにメッセージ認証コードによって保護されます。
鍵の切り替えの同期 ネットワーク全体が自動的に新しい暗号化鍵に切り替えられます。
鍵のローテーションのカスタマイズ ネットワークが鍵を変更する頻度を、顧客がセキュリティの強化とネットワーク・トラフィックの増加の折り合いをつけながら決定できます。

規格と産業アライアンス

アナログ・デバイセズは規格ベースのワイヤレス・センサー・ネットワークに注力しており、規格ベースの WSN の開発および使用を推進するためにさまざまな規格団体およびアライアンスに参加しています。IEEE、IETF、IEC、および WirelessHART をサポートしています。

規格と産業アライアンス