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エネルギー効率の高い状態基準保全技術による水不足の解消


水はまさに生命の源です。水がなければ生命が誕生することはありませんでした。人類、動物、植物など、生態系と食物連鎖の構成要素であるすべてのものが、生き延びるためにきれいな水を必要としています。水は地球表面の70%近くを覆っています。それにもかかわらず、利用や摂取に適した淡水はそのうちわずか2.5%しかありません。残りは、海水を中心とする塩水です。そのうえ、淡水のうち簡単に利用できる量はわずか1%にすぎず、その大半は氷河や雪の中に閉じ込められています。しかも、国連の報告によれば、現在、これまでにない危険的な兆候が現れているようです。というのは、2025年までに、深刻な水不足に苦しむ地域に推定18億もの人が住むことになり、水の消費量の増加、社会の発展、気候の変動などの結果、世界人口の2/3が水に関するストレスを受ける地域で暮らすことになると予想されているのです。

実際、自分たちの手には負えないような状況に陥っている国の数はますます増加しています。そうしたなか、68億人もの人が暮らす地球で飲料水を確保するためには、何をすればよいのでしょうか。

これはとてつもないレベルの課題のように思えます。しかし、淡水化の機能を実現する非常に重要な製品によって、この課題に挑戦している企業があります。それがデンマークに本社を置くDanfossです。同社はアナログ・デバイセズとパートナーシップを結び、画期的な状態基準保全(Conditional Based Maintenance)技術を活用することで、最もエネルギー効率の高い方法によって、水を必要としている人々に淡水を届けようとしています。

97%
地球上の水のうち海水が占める割合1
<1%
世界中の水のうち飲用に使用できると考えられる水の割合2
2億kWh
淡水化用のプラントで1日に消費される電力量3
2ガロン
1ガロン(約3.8リットル)の淡水を生成するのに必要な海水の量3
female IT engineer working in server room

Danfossの概要

企業名

Danfoss

事業分野

産業用オートメーション

アナログ・デバイセズのソリューション

状態基準保全向けの品質管理プラットフォームであるOtoSense

課題

淡水化技術/海水逆浸透法によって、エネルギーの消費量と環境への影響を抑えつつ、世界中の地域社会へ淡水を提供する。

目標

状態基準保全を適用することで、生産性の向上、保守費用の低減、エネルギー消費量の削減を図る。

世界を変えるイノベーション

Danfossは変革型のエンジニアリング企業です。「より少ない資源で、より良い世界の未来を実現する」ことを経営理念とし、インフラの開発、食料供給に役立つ製品の開発、エネルギー効率が高く気候変動に配慮したソリューションの実現を目指しています。Danfossの製品やサービスは、冷蔵、空調、暖房、モータ制御、移動機械などで使われています。

多様な分野に取り組んでいるDanfossですが、同社は淡水化技術のリーダーとして認知されています。同社の製品は、海水逆浸透法(SWRO:Seawater Reverse Osmosis)を使用して海水から淡水を取り出す淡水化のプロセスに劇的な影響を与えました。そのため、エネルギー効率が高く高性能の製品を提供することで世界を変えるトップ企業として評価されています。

Danfossは、軸流ポンプのような多くの先駆的な製品など、重要なアプリケーション向けのコンポーネントを数十年にわたって開発してきた経験を持ちます。その過程で蓄積した専門知識を活かし、先進的なSWROのトップ・メーカーになりました。世界中にその足跡を広げており、淡水を最も必要としている開発途上国の人々にも製品を提供できるだけの態勢を既に整えています。

淡水化のプロセス

desalination treatment and process

ステップ1:
海水の汲み上げ

淡水化のプロセスを開始するために、海洋から海水を汲み上げます。

ステップ2:
前処理

海水に前処理のプロセスを適用し、物質や粒子を除去します。

ステップ3:
逆浸透

専用ポンプによる逆浸透のプロセスを適用します。濃縮された海水は海洋に戻し、清浄な水には後処理を施します。

ステップ4:
後処理

清浄な水に対し、ミネラル成分の再添加、pHレベルを補正する安定化などの後処理を適用します。

ステップ5:
淡水の貯蔵と送出

脱塩が終わった淡水は貯蔵されます。飲料水を必要とする地域社会への確実な供給源となります。

SWRO:大量の飲料水を供給可能にする技術

現時点で、世界の淡水不足を解決するための最善の手段はどのようなものでしょうか。その答えの1つが淡水化(SWRO)であるということには、大半の人が同意されるでしょう。しかし、この技術を利用する上では、海水から淡水を取り出す際のエネルギー消費量(および関連コスト)の多さといった固有の課題があります。強く化学結合している水と塩を分解し、水を取り出すのは容易ではありません。そのためには、相当な量のエネルギーが必要です。

それだけでなく、淡水化用のプラントを稼働させた場合、それに関連するエネルギー・コストが、海水から飲料水を作るためのコストの半分程度を占める可能性があります。4

Danfossは、4つの中核技術により、このエネルギー消費の課題に取り組んでいます。4つの中核技術とは、高圧ポンプ、駆動装置、エネルギー回収装置、圧力/流体制御装置です。これらにより、エネルギー効率に優れた淡水化ソリューションを提供しています。各先進技術を組み合わせることで、効率が高く、費用対効果に優れ、寿命が長い水質浄化ソリューションを実現しています。

Danfossの高圧ポンプは、世界中で2万台以上配備されているSWROシステムの心臓部として機能しています。この種の製品は、淡水の安定供給が不可欠な島やクルーズ船で数多く使用されています。可動部品が少ないシンプルな設計が特徴の1つであり、保守が容易です。そのため、点検時期の間隔を長くとることができます。また、ポンプのサイズによっては最大92%という最高の効率が得られます。

事業に対するDanfossのアプローチは、資源の効率、リスクの軽減、評価、積極的な関与に重点を置いています。高圧ポンプにおける持続可能な開発は、このアプローチに即したものです。それと同様の考え方は、画期的な技術を開発しているアナログ・デバイセズのDNAにも組み込まれています。

ADI OtoSense logo

アナログ・デバイセズのOtoSense:システム品質の管理にセンシング結果の解釈を活かす

アナログ・デバイセズがDanfossと初めて関わりを持ったのは、ビジョン、ロードマップ、技術に関するワークショップの場でした。その後、両社は協業が可能な分野を特定する作業に臨むことになりました。その結果、アナログ・デバイセズが提供可能な産業分野の技術やシステムをピックアップすることができました。それらは、Danfossがよりスマートで持続可能な設計を加速することに貢献できる可能性がありました。

アナログ・デバイセズがDanfossに提供する技術の中心にあるのはOtoSenseでした。OtoSenseはAI(人工知能)を活用したプラットフォームです。特に、同プラットフォームが備えるシステム品質の管理機能が重要な意味を持っていました。同プラットフォームは、音、振動、圧力、電流、温度を検出してリアルタイムに解釈する機能を備えています。これを利用することにより、継続的な状態基準保全やオンデマンドの診断を実現することができます。OtoSenseは、異常を検知し、その分野の専門家とのやり取りを通じて学習する機能を備えています。また、装置の故障を特定するのに役立つデジタル・フィンガープリントを作成し、コストがかかるダウンタイム、損傷、致命的な問題が発生する前に、故障を予測することができます。

生産ラインにおけるシステム品質の管理に、AIベースのOtoSenseが変革をもたらす

white 100 percent icon on blue background

無作為抽出ではなく、ラインの最終地点や組み立て工程中に資産を100%検査することで、品質管理のレベルを改善

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より多くの欠陥ユニットを検出することで、再検査、顧客からの返品、保証費用の発生を抑制

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より早くより優れた情報に基づいてAIによる判断を下すことにより、異常のあるユニットを検出してプロセスを自動化

Danfossは、ポンプの健全性と適切な機能を保証するために、ポンプの検査プロセスのパイロット・プログラムを構築しました。そのプログラムで、アナログ・デバイセズのOtoSenseを利用した品質管理を適用することにしました。従来、ポンプの検査では、大量のエネルギーを消費していました。OtoSenseを検査に適用することにより、エネルギーの消費量を23%低減することができる想定です。カーボン・フットプリントをどの程度削減できるのか実証する段階になれば、50%程度の削減量が実現される可能性もあります。

Danfossのポンプは、確実に最高の水準で動作し、より短い保守時間を実現するようになります。アナログ・デバイセズは、最終的にはOtoSenseによってエネルギーの消費量と環境への影響を低減しながら、予測可能性、一貫性、生産性、さらには製品の品質が高まることを期待しています。

OtoSenseによる品質管理によって得られる効果

OtoSenseの品質管理機能により、以下のようなことが行えるようになります。

pink brain icon

OtoSenseのAI:

高度なAIソフトをコンピュータ上で実行し、リアルタイムでデータの解析を実行します。

blue life line icon

データの収集:

センサーをコンピュータに接続してデータを収集し、異常を表すモデルを改善することができます。

green mangifying glass icon

資産の識別:

OtoSenseでは、資産のシリアル番号を読み出して、より詳細な情報を得ることができます。センシング用のモダリティを追加し、更なる洞察を得ることも可能です。

red a plus icon

健全性を表すスコア:

コンピュータがリアルタイムで健全性を表すスコアを提示します。スコアが目標値よりも低い場合には、学習結果に基づいて最も可能性の高い障害を提示します。

yellow hard hat icon

オペレータからのフィードバック:

オペレータは、システムに対して合否情報などのフィードバックを行うことができます。具体的なコメントを付加することも可能です。

Sebastien Christian
「OtoSenseによって2つの大きな課題を解決することができます。1つはエッジにおいてリアルタイムでデータを解釈する機能を利用できるようになることです。つまり、データが遠隔地に到着するよりも速く、信号を意味のある情報に継続的に変換することができます。もう1つは、AIによってセンシング結果を解釈する機能を利用できるようになることです。OtoSenseは、専門家である人間の技能者や技術者から学習し、専門家のレベルに着実に近づいていきます。」

Sebastien Christian

アナログ・デバイセズ AIエンジニアリング・ディレクタ/OtoSenseの仕組みの考案者

アナログ・デバイセズとDanfoss:永遠のパートナーシップ

アナログ・デバイセズとDanfossは20年以上にわたって関係を構築してきました。技術を利用することで、より良い世界の構築に貢献するという共通のビジョンを持っていることから、その関係はより強固なものになりました。従来、アナログ・デバイセズはDanfossにとって忠実な部品サプライヤにすぎませんでした。つまり、システム・レベルの完全なソリューションを共同開発するといった形でアナログ・デバイセズが貢献していたわけではありません。

現在、両社はより強固になった関係を活かし、公益のための革新者として、また世界中の地域社会を良くするための変革を促す触媒としての役割を果たすようになりました。省エネルギー技術を活用し、環境への影響を低減しながら淡水を得る技術も、その一環で実現されました。

boy with hands under water faucet
「当社とアナログ・デバイセズの関係は、AIと状態基準保全を中心として築かれました。アナログ・デバイセズの技術は、点と点を結んで全体像を作り上げる必要がある漠然とした問題領域だけを対象にしているわけではありません。そうではなく、当社の高圧ポンプにおける特定の事象を検出して診断を下すといった能力も備えています。このことに気づいたときには、思わず感嘆の声を上げました。アナログ・デバイセズとの協業により、当社は非常に迅速に知識を蓄えることができました。現在では、より高速に、より高いエネルギー効率でシステムの検査を実現できる可能性が見えています。」

Georg Herborg Enevoldsen氏

Danfoss 高圧ポンプ担当R&Dディレクタ


1National Oceanic and Atmospheric Administration(アメリカ海洋大気庁)

2「Freshwater Crisis(淡水の危機)」National Geographic

3「15 Interesting Facts About Desalination(淡水化に関する15の興味深い事実)」Seametrics

4 www.bloomberg.com/news/articles/2013-05-01/energy-makes-up-half-of-desalination-plant-costs-study,