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グローバルな接続を可能にする低軌道衛星


現在、地球低軌道(LEO:Low Earth Orbit)には数多くの人工衛星が周回しています。近い将来、数千機ものLEO衛星から成るメガコンステレーションが構築され、多くのメリットがもたらされるようになるはずです。特に大きなメリットの1つは、地球上のあらゆる場所でブロードバンド接続が可能になることです。人口密集地であるか過疎地であるかにかかわらず、世界中の人々にデータ、音声、映像を送り届けることが可能になるでしょう。また、高度に最適化された電波ビームにより、大陸間を横断する機内においてもストレスなくインターネットを利用できるようになるはずです。ゲームから戦術的認識まで、あらゆるアプリケーションの性能を高めることが可能になるでしょう。

このようなコネクテッドな宇宙の実現に向けて、アナログ・デバイセズはCesiumAstroをはじめとするお客様と共に取り組みを行っています。アナログ・デバイセズは50年にわたり航空宇宙分野の技術と半導体をベースとするシステム・レベルのソリューションを蓄積してきました。一方のCesiumAstroは、フェーズド・アレイ技術を利用した通信システムの構築に長けています。両社の技術を組み合わせることで、宇宙におけるより効果的で効率的な通信ネットワークの実現に貢献することができます。この新たなコンセプトの背景には、斬新かつすぐに利用可能なビルディング・ブロックをベースとするアプローチが存在します。そのコンセプトにより、新興企業や小規模企業にとってアナログ・デバイセズの技術は利用しやすいものになり、大きな変革が促進されます。

CesiumAstroの概要

事業内容

衛星、UAV(無人航空機)、打ち上げ機、航空宇宙分野向けプラットフォームで使用する通信システムの開発

アプリケーション

航空宇宙、防衛、グローバル対応の通信システム

技術的な目標

低コストのアクティブ・フェーズド・アレイとデジタル・ペイロード処理技術の開発

経営面の目標

小規模な技術系新興企業(スタートアップ企業)なので、パートナーや投資を求めている。複数の技術を活用した製品を市場に初めて投入する企業になることを目指す。

ニーズ

ICをベースとしたシステム・レベルのソリューションを供給するために、その分野に関する専門技術とアプリケーションに関する専門知識を兼ね備えたパートナー。また、産業界のパートナーや投資家。

開発目標

完全なプラグ&プレイが可能な通信システム「Nightingale 1」の開発と配備。従来の静止衛星技術と比べて大幅なコスト削減を実現。

「航空宇宙分野の次世代システムでは、セキュリティ、信頼性、スループットに優れるソフトウェア定義型のデータ・リンクが重要な要素になります。」

Shey Sabripour

CesiumAstro Founder and CEO

革新的なアイデア

CesiumAstroの創業者であるShey Sabripour氏は、革新的なアイデアとビルディング・ブロック的な考え方の持ち主でした。同氏は、シンプルかつ洗練されたアプローチによって、入手しやすい通信用衛星を実現したいと考えていました。また、同社のフェーズド・アレイ技術とアナログ・デバイセズのシグナル・チェーン・ソリューションを組み合わせることで、顧客が衛星のペイロードを特定のニーズに合わせて迅速かつ容易に調整できるようにしたいというアイデアも持っていました。つまり、周波数(可変ビームか固定ビームか)、無線方式(ベントパイプ方式か再生中継方式か)、デジタル・バックエンド(通信用プロセッサかルータか)などを必要に応じて選択できるようにするということです。

Sabripour氏は、航空宇宙の分野で長きにわたって実績を積み重ねてきました。具体的には、LEOまたは対地静止軌道(GEO:Geostationary Earth Orbit)向けの通信衛星、打ち上げ機、惑星間宇宙船の設計/開発/運用のリーダーとして成功を収めてきました。しかし、CesiumAstroという新たな企業を立ち上げるための資金を調達するには、革新的なアイデア以上のものが必要でした。同氏は投資とアナログ・デバイセズの中核技術を必要としていたのです。

Analog Garageへの参加

アナログ・デバイセズは、新興技術を対象としたインキュベータ・プログラム「Analog Garage」を提供しています。このプログラムでは、高いポテンシャルを持ち、大きな効果をもたらす可能性があるものの、まだビジネス・チャンスと言えるレベルには達していない様々な技術に光を当てます。具体的には、高いポテンシャルを持つ新興企業に対し、資金、メンタリング、エンジニアリングなどのサポートを提供します。サポートを受けた新興企業は、自社のアイデアを市場に投入するチャンスを得ることが可能になります。なお、新興企業だけでなく、アナログ・デバイセズ社内のエンジニアリング・チームも、研究開発に関するアイデアを提案し、資金やリソースの提供を受けることができます。

Sabripour氏は、自身の長いキャリアの中でアナログ・デバイセズと何度も連携してきました。アナログ・デバイセズで米国中南部/中南米のセールスを担当するDavid Argiropoulosは、「Sabripour氏は、アナログ・デバイセズを単なるICベンダではなく、システムが抱える課題を完全に解決できるソリューション・ベンダーだと認識していました。そのため、Sabripour氏はCesiumAstroの設立当初から当社と深く関わってきました」と述べています。

アナログ・デバイセズは、CesiumAstroが必要としていたRFビームフォーミング、増幅、ソフトウェア定義型のトランシーバーに関する最先端の技術と専門知識を提供しました。また、Analog Garageと「Analog Devices Ventures」は、CesiumAstroが、Airbus Ventures、Kleiner Perkins、Franklin Venture Partners、Lavrock Ventures、Analog Ventures、Honeywell Venturesなどの提供元からシリーズAの投資ラウンドにおいて1240万ドル(約13億4400万円)の資金を調達できるよう後押ししました。

多くの企業は、高度に特化したカスタムの技術から着手し、後でコストを削減する方法を探ります。アナログ・デバイセズは、CesiumAstroに対してそれとは正反対のアプローチを採用するよう促しました。CesiumAstroは、RF信号からビット・データへの変換を実現するアナログ・デバイセズの製品群を使用し、非常に独自性の高い手段でシステムを統合する方法を開発しました。Argiropoulosは「アナログ・デバイセズは、これまでフェーズド・アレイ向けのビームフォーミング技術と通信技術を開発してきました。そのため、同分野に関する高度な専門知識を有しています。もし当社以外の企業がCesiumAstroのためにそれらをゼロから開発していたら、非常に長い開発期間を要していたでしょう」と述べています。

CesiumAstroはSWaP-C(サイズ、重量、電力、コスト)を小さく抑えることに長けており、特にサイズの面で優位性を持っています。衛星の分野で、特にLEOをGEOと比較した場合には、コンポーネントが小さければ小さいほど、重量はより小さくなります。そのため、衛星を打ち上げて軌道に乗せるためのコストも低く抑えられます。

LEOとGEOの比較

既存のGEO(対地静止軌道)衛星は、赤道上空約2万2300マイル(3万5786km)の静止軌道を周回しています。GEO衛星は地球の自転と同じ方向、同じ速度(約1000mph)で飛行します。そのため、家屋の屋根に取り付けられた無数の衛星放送用パラボラ・アンテナや地球に対する相対的な静止位置を維持することができます。多くの場合、GEO衛星には、放射線耐性が強化された高価なコンポーネントが必要になります。

一方のLEO(地球低軌道)衛星は、約1200マイル(約2000km)以下の高度、128分以下の周期で地球を周回します。LEO衛星は、GEO衛星よりもサイズが小さい傾向にあります。また、多くの場合、放射線に関する要件は緩和されます。

LEO衛星の長所と短所

  • 打ち上げコスト:より小型であり、飛行高度も低いので、打ち上げコストを抑えられます。
  • 遅延:軌道がより地球に近いことから、ゲームや電子商取引などのタイム・クリティカルなサービスにおいて遅延を削減しやすくなります。
  • 製造コスト:一般に、LEO衛星はコストを抑えて製造できます。地球の近くを周回するので、性能の低いアンプでも信号を問題なく伝送できます。
  • 衛星の数:LEO衛星はより安く製造でき、より低コストで打ち上げできるものの、効果的に通信を行うには(GEO衛星と比較すると)より多くの衛星が必要になります。
  • ゲートウェイの数:LEO衛星を運用するためには、地上に(GEO衛星と比較すると)より多くのゲートウェイを配備する必要があります。それにより、システム全体としてのコストが増加してしまいます。

LEO向けのフェーズド・アレイ・ビームフォーミング技術

CesiumAstroは、アナログ・デバイセズのソリューションを活用し、即座に使用できるアクティブ・フェーズド・アレイを開発しています。このシステムは、RFビームフォーミング機能と組み込みチャネライザを備えています。組み込みチャネライザとは、数千ものLEO衛星から成るネットワークの運用に向けたデジタル・ベースバンド・プロセッサのことです。ある特定のエリアではより広い帯域幅が必要になり、そこ以外では広い帯域幅は必要ないというケースがあったとします。そうした場合、LEO衛星にアクティブ・フェーズド・アレイ技術を適用することにより、ビームを適切に操作することができます。それに対し、固定帯域幅でビームを送信する従来のGEO衛星では、場所を問わず同じようにビームが送信されます。

「例えば、テキサスにはダラス、オースティン、ヒューストンといった大都市圏があります。それらの都市の間には多くのデッド・スペースが存在します。そこに向かって固定のビームを送信しても意味はありません。一方、アクティブ・フェーズド・アレイ技術を用いれば、ダラス、オースティン、ヒューストンに対して、より広い帯域幅を分配することができます。一方、ミッドランドやオデッサといった人口の少ない地域に対しては、帯域幅を狭めたり、ゼロにしたりすることが可能になります。効率の大幅な向上が図れるだけでなく、コストの削減も実現できます」とArgiropoulosは説明します。

ビルディング・ブロックをベースとするNightingale 1

Sabripour氏は「Nightingale 1は、スケーラブルなモジュール式のビルディング・ブロックから成るシステム上に構築されています。『LEGO®ブロック』のようなソフトウェア定義型のアーキテクチャにより、ビット・データを方向制御と成形が可能なRFビームに変換します」と 述べています。Nightingale 1は、アナログ・デバイセズのコンポーネントをベースとして完全に統合されています。同システムでは、1本の電力ケーブルとデジタル接続だけで高速通信リンクを構築できます。すぐに利用可能なアナログ・デバイセズの中核技術を用いて構築されており、航空宇宙分野における従来機の信頼性と最新技術が低コストかつ産業レベルで結び付けられています。アナログ・デバイセズの製品は、マルチビームに対応するフェーズド・アレイ・アンテナの実現を可能にします。しかも、通信パラメータと動的再構成に関する幅広い選択肢を提供します。完全なカスタマイズが可能なプラグ&プレイ・キットにはあらゆるものが含まれており、完全な通信システムを実現できます。

アナログ・デバイセズで航空宇宙/防衛グループのプロダクト・ライン・ディレクタを務めるPaul Ganciは「Sabripour氏は、航空宇宙の分野で実績を積み上げてきました。同氏は、RF信号からビット・データまでを網羅するアナログ・デバイセズのソリューションを同分野の新興市場に適用することにより何が可能になるのかを真っ先に目にすることができました。アナログ・デバイセズのシステム・アプリケーション・チームと密に連携することで、CesiumAstroは同社のビジョンを極めて短い期間で具現化することができました」と述べています。

一方、Sabripour氏は「私はロケットのあらゆる要素を専門とする科学者ではありません。しかし、世界を変えるようなエレクトロニクスを構築しています」と述べています。

CesiumAstroについて

CesiumAstro Inc.は、2017年に設立されました。衛星、UAVなどを含む航空宇宙市場に向けて、信頼性の高い統合型の通信システムを開発しています。民間、政府、防衛部門のあらゆる顧客に対し、スケーラブルかつ完全なターンキー・ソリューションを提供しています。主な顧客としては、NASA(米航空宇宙局)、米ミサイル防衛局、米海軍省、DARPA(米国防高等研究計画局)が挙げられます。それ以外にも、Northrop Grummanや、小型衛星から成る大規模なコンステレーションの構築を手掛ける複数の民間企業などに製品を提供しています。