TNJ-100:コレクタ出力レール TO レール OP アンプの裸出力インピーダンスは高いはずだが?(前編)

TNJ-100:コレクタ出力レール TO レール OP アンプの裸出力インピーダンスは高いはずだが?(前編)

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石井 聡

コレクタ出力の超簡易 OP アンプを作ってその出力裸インピーダンスを解析する

はじめに

「祝!100 冊目!…」うららかな春の、とある平日、妻と「東京湾アクアライン裏側探検」なるツアー[1]に参加しました。私は千葉県在住なので、圏央道~アクアライン連絡道を経由して(当然なんども通っている)アクアラインに入り、普段は素通りの海ほたるにひさしぶりに到着しました。ツアーは予約制です。催行は 90 分間で、参加費は大人お一人様 1,000 円也。

集合は勝手知ったる海ほたる 1 階のトイレ前です。集合時間は午前 10:00でしたが、到着が早かったので施設内のスターバックスで東京湾を前にしてお茶しながら暫し休憩です。窓に向かった席なので東京湾の海面が蒼く、波が光りながら、たゆらに揺れているのが見えます。遠く右手には横浜ランドマークタワー、真鶴半島も一部が見えます。左手には我が房総半島の丘陵地帯が緑豊かに望めます。

9:50ごろ、1階トイレ前(海ほたる東側)に移動しました。管理会社(東京湾横断道路株式会社)職員のおふたりがやってきました。参加者は私、妻、そして中年の男性おひとりの合計 3 名。「それでは移動しましょう」と、説明とビデオ視聴するための部屋(これは西側なのですが)に移動しました。簡単な説明のあと、ビデオが上映されました。アクアライン建設までの経緯から始まり、アクアラインの設備などが紹介されました。知ってはいましたがシールド・マシンを使ったシールド工法によるトンネルの掘削、そして東西から掘削した結果の貫通時工事の様子(この工区では、周囲のどう処理しようもない泥状の地盤を、凍結させて固化させ工事したとのこと)など、あらためて本質を知ると驚くべき事柄ばかりです。トンネル中央にある「風の塔」(図 1)もシールド・マシンを入れるポイントとのこと[なお、私の参加したこの探検ツアーは風の塔までは行きません。

図 1. 海ほたる西側デッキより遠く「風の塔」を望む
図 1. 海ほたる西側デッキより遠く「風の塔」を望む

2021 年に開催された「サマーフェスティバル in 海ほたる」という特別なイベントに併設で「アクアライン探検隊(特別編)なる特別探検ツアー[2]が開催されたとのことですが、以降は開催されていません。風の塔までの一般人のアクセスが難しいだろうことから定期的な開催は難しいとは思いますが、年に 1 回でもいいのでぜひ実現してもらいたいと思います。万難を排して(笑)参加してみたいと思います]。「ホント、日本の土木技術はすげーなあ」とあらためて感銘をうけるチッコイ弱電技術者でありました。ツアーのとき管理会社の方に聞いたか教えてもらった記憶がありますが、「さて、貫通時のシールド・マシンのズレは何 cmだったのか」という疑問。現時点ではその記憶(数値)がなくなってしまったので、あらためてサーチして調べてみました。[3]によるとなんと 4mm!「よんみりめーとる???ホントかよ!」と日本の土木技術、測量技術はすげーなあ、と執筆しながらあらためて思うチッコイ弱電技術者でありました[なお、私は若い頃、日本技術士会の青年技術士懇談会という勉強会というか飲み会に 10 年以上参加しており、建設部門(土木・建築)の技術士の方々と親交を深めました。日本の法令的仕組み上、建設部門の方が全体の半分を占めていたのです。ドクターをもつ方も多く、非常に優秀な方ばかりでした。その一方で皆さん酒も強く、言い方は失礼ですが「飲んだくれ集団」と言えたかもしれません。この経験がこのような土木ネタに興味を示す一因でもあるわけです。そしてその経験が今の私を形成しているといっても過言ではありません。いや、事実、自身を形成した代えがたい経験そのものだったといえるでしょう]

つづいて見学ツアーの開始です。あらためて東端に移動し、そこから階段を伝ってトンネル入り口に向かいます。どこから入るのだろうかと不思議に思いつつ管理会社の方の後ろをついていくと、なんと 3本目のトンネル…、があるのですね!この 3本目のトンネルは入り口の一部だけしかできていませんが、シールド・マシンを入れて掘削できるように元々設計されているそうです。なぜプラス 1 本なのか、と思い聞いてみると、朝夕の渋滞は方向が逆なので、途中で通過方向を切り替えて運用する予定だったとのこと。現在では工事は中断(というか中止)になっているのですが、アクアラインを通過していつも渋滞ができている様子を知るユーザの私からすれば、なるほどと納得。

そのトンネルを 200mほど歩き、トンネル本道下にアクセスできる階段に向かうドアからいよいよトンネル下部に潜入します。本道下には緊急避難経路が形成されており、災害が発生したときに万全な設備(避難や消火)が用意されていました。説明を聞くとかなり入念にこれらの設備が設計されたようで、あらためて感心。映画「シン・ゴジラ」のアクアライン・シーンも実際にこの場で撮影されたとのことです。

その後は 120 段の非常階段を上り、地上というかアクアライン施設に戻ります。最後にシールド・マシンのカッター部分の復元モニュメント(図 2 。モニュメント自体は後に製作した工作物ですが、そこについているカッターの刃は本物とのことです)と消防車を見学し最初の部屋に戻りツアーは終了。とても感銘をうけた 90 分の短いツアーでした。

図 2. シールド・マシンのカッター部分の復元モニュメント。刃は本物とのこと(右下奥に風の塔が見える)
図 2. シールド・マシンのカッター部分の復元モニュメント。刃は本物とのこと(右下奥に風の塔が見える)

レール to レール出力 OP アンプはコレクタ出力(エミッタ共通)だが大丈夫?

このように物事は知れば知るほど感銘を受けるものです。今回と次回、そして次々回の WEB ラボでは、レール to レール出力OP アンプの疑問について探検してみました。これまた「よくできているものだ」と感銘を受けるものでありました…。

さて、OP アンプには入力電圧範囲が電源電圧(レール)いっぱいまで振れる「レール to レール入力」と出力電圧範囲が電源電圧(レール)いっぱいまで振れる「レール to レール出力」というものがあります。まず ADA4177-2 [4]という、レール toレール出力の OP アンプをご紹介しておきましょう!

ADA4177-2

https://www.analog.com/jp/ada4177-2

【概要】

デュアル・オペアンプ ADA4177-2 とクワッド・オペアンプ ADA4177-4 は低オフセット電圧(2μV typ)、低温度ドリフト(1μV/℃ max)、低入力バイアス電流、低ノイズ、低消費電流(500μA typ)を特徴としています。出力は 1000pF を超える容量性負荷に対して、外部補償なしで安定に動作します。

ADA4177-2 と ADA4177-4 の入力は、上下いずれかの電源電圧を 32V超える信号に対して入力保護を行うとともに、1000MHz で 70dB の電磁干渉(EMI)除去比があるので、高精度オペアンプの頑丈度についての新しい標準となります。

このオペアンプのアプリケーションにはセンサー信号処理(熱電対、RTD、ストレーン・ゲージ)、プロセス制御のフロントエンド・アンプ、光 / 無線伝送システムの高精度ダイオード・パワー測定があります。ADA4177-2 はライン電源使用の計測機器、ポータブル計測機器、高精度フィルタ、電圧又は電流の計測器、レベル設定回路で有効です。

このように ADA4177-2 は多岐のアプリケーションに適した OPアンプです。

 

レール to レール出力 OP アンプはコレクタ出力(エミッタ共通)

ADA4177-2、そして他のレール to レール出力 OP アンプの出力はコレクタ出力(エミッタ共通)になっています。これは出力のスイングを電源電圧目一杯まで振らすことができるように、このような構成になっているのです。図 3 に ADA4177-2 の簡易等価回路を示しますが、出力トランジスタは、「確かに」コレクタ出力(エミッタ共通)になっていることが分かります。

一方でレール to レール出力では「ない」OPアンプにおいては、その出力構造はエミッタ出力(コレクタ共通)になっています。図 4 はその一例の高精度 OP アンプ OP177 [5]の簡易等価回路です。

なぜこのような異なる構造をそれぞれ採用しているのでしょうか。「どっちかにすればいいじゃん」と思うところですが、得失があるということなのです。

エミッタ出力(コレクタ共通)構造においては、出力インピーダンスを低くすることができますが、レール一杯まで振らすことできないという欠点があります。コレクタ出力(エミッタ共通)構造においては、レール一杯まで振れるものの、出力インピーダンスが高めという欠点があります。

まずはここを見ていきましょう。そしてこの技術ノートのストーリーとしては、その欠点をどうやって解決しているかということなのです。

 

駆け出しのころに習う「エミッタは出力抵抗が低く、コレクタは高い」

電気電子業界もしくは学校課程において、その駆け出しのころトランジスタを学ぶとき、「トランジスタのエミッタは出力抵抗が低く、コレクタは高い」と習うのではないでしょうか。

図 3. ADA4177-2 の簡易等価回路 [4]。出力がコレクタ出力(エミッタ共通)になっている
図 3. ADA4177-2 の簡易等価回路 [4]。出力がコレクタ出力(エミッタ共通)になっている
図 4. OP177-2 の簡易等価回路 [5]。出力が エミッタ出力(コレクタ共通)になっている
図 4. OP177-2 の簡易等価回路 [5]。出力が エミッタ出力(コレクタ共通)になっている

つまり本来としては、レール to レール出力 OP アンプはコレクタ出力であるため、出力抵抗が高くなるはずですよね。レールto レール出力 OP アンプ、問題ないのでしょうか。

今回の技術ノートは、このようすを LTspiceを用いてシミュレーションしながら考えてみましょう。

 

解析用のコレクタ出力トランジスタ出力段をもつ超簡易 OP アンプ回路

 

Behavior Model(動作モデル)を作ってみる

この技術ノートでは、原理(しくみ)をより深く確認するために、動作モデル = Behavior Model(ビヘイビア・モデル)を作って動作を確認してみます。

図 5 は LTspice で作ってみた解析用のコレクタ出力トランジスタを出力段にもつ超簡易 OP アンプの Behavior Model です(ボルテージ・フォロワ構成になっています)。

赤破線で囲まれた部分(とくに G2)が NPN トランジスタのBehavior Model になります。NPN トランジスタを超簡易モデルで表しています。

前段 G1 は反転入力と非反転入力の差電圧を電流量に変換する𝑔𝑚(相互コンダクタンス)段で、𝑔𝑚 = −250に設定してあります。

G1, G2 の𝑔𝑚にマイナスの符号がついているのは、G2 は入力電圧の加わる向きに対して(トランジスタ・モデルとして)出力の電流極性が G2の矢印とは逆だから、また G1は端子 INから端子 OUT までが非反転になるようにするためです。

この超簡易 OP アンプに 100 %帰還をかけて(出力と反転入力を直結)ボルテージ・フォロア構成としています。

 

Behavior Model(動作モデル)超簡易トランジスタ

図 6 に図 5 の G2 周辺のトランジスタ部分だけを抜き出したものをコンセプト図として示します。

この図を用いて G2 のトランジスタの増幅に相当する𝑔𝑚段について説明します。一般的なバイポーラ・トランジスタのモデルや解析においては、ベース・コレクタ電流増幅率ℎ𝐹E(= 𝛽)を用いた等価回路が用いられますが、ここでは抵抗𝑟𝜋(図5では抵抗RPI。これはトランジスタのハイブリッドπモデルでの𝑟𝜋に相当します。𝑟𝜋は呼び名がないようで、「アールパイ」と呼ぶようです。この技術ノートでは「ベース入力相当抵抗𝑟𝜋」と呼ぶことにします)の端子間電圧𝑣𝐵Eをトランス・コンダクタンス𝑔𝑚でコレクタ電流𝐼𝐶

𝑖𝐶 = 𝑔𝑚𝑣𝐵E

として変換する「𝑔𝑚段」にしています。ここではトランス・コンダクタンス𝑔𝑚= 772μSにしています。これは

TNJ 100 数式01

TNJ 100 数式02

という関係式になっており、ここで

𝑘はボルツマン定数で𝑘 = 1.3807 × 10−23 J/K、

𝑇は絶対温度で𝑇 = 300 K 、

𝑞は電子 1 個の電荷で𝑞 = 1.6022 × 10−19 C 。

まずこれから熱電圧𝑉𝑇が計算でき、𝑉𝑇 = 25.9mVになります。

この技術ノートの検討ではコレクタ電流𝑖𝐶を、だいぶ小さいですが、𝑖𝐶 = 20μAとしています。𝑔𝑚だけを求めるならトランジスタに依存せず、𝑖𝐶/𝑉𝑇でコレクタ電流𝑖𝐶だけから決まります。

TNJ 100 数式03

ベース入力相当抵抗𝑟𝜋とベース・コレクタ電流増幅率ℎ𝐹E(= 𝛽)も設定・計算しておきましょう。ここでもこの検討では、ベース入力相当抵抗𝑟𝜋 = 400 kΩに設定します。上記の式(1)の途中、

TNJ 100 数式04

を抜き出してベース・コレクタ電流増幅率𝛽について求めると

TNJ 100 数式05

それらしい値になっていることが分かります。

図 5 の一番右側に抵抗 Ro が見えますが、これは本来のトランジスタのアーリー効果[6]による有限のコレクタ出力抵抗𝑟𝐸arlyに相当するものです(図 6)。6MΩを用いています。以降の数式検討では当面無視していきます。

図 5. 超簡易トランジスタ・モデルを用いた超簡易 OP アンプ。100 % 帰還をかけてボルテージ・フォロワ構成にしてある
図 5. 超簡易トランジスタ・モデルを用いた超簡易 OP アンプ。100 % 帰還をかけてボルテージ・フォロワ構成にしてある
図 6. 超簡易トランジスタ・モデル
図 6. 超簡易トランジスタ・モデル
図 7. 図 5 の簡易ボルテージ・フォロワの周波数特性を AC 解析で確認してみた。40MHz 程度の周波数特性が得られている
図 7. 図 5 の簡易ボルテージ・フォロワの周波数特性を AC 解析で確認してみた。40MHz 程度の周波数特性が得られている

Cob はコレクタ出力容量で Cob = 2pF として設定してみました。これも説明の都合があるので、以降の検討ではゼロとして話しを進めていきます。以降の図 7 のシミュレーションでは 2pF のままとしてあります。

 

Behavior Model をシミュレーションしてみる

図 5 のボルテージ・フォロワのシミュレーション結果を図 7 に示します。40MHz 程度の-3dB 帯域幅が得られています。これはコレクタ出力容量 Cob = 2pF として設定してあることが理由です。Behavior Modelはそれなりに動作するものであることが分かります。

つづいてこの超簡易 OPアンプのオープン・ループ・ゲインをシミュレーションしてみましょう。図 8 はこのシミュレーションを行う回路です。図 5 の回路の帰還量を相当小さくして(帰還量から計算される増幅率を相当大きくして)、回路がバイアス条件を問題なく維持したうえで、超簡易 OPアンプ自体の裸のゲイン、つまりオープン・ループ・ゲインを測定します(なおこの回路では G モデル…理想モデルだけを用いているので、帰還をかけずにループを切ったシミュレーションも可能)。

帰還量から計算される増幅率が非常に大きいため、超簡易 OPアンプがその増幅率を満足する動作をすることができず、超簡易OP アンプの裸のゲインでこの回路が動作することになるわけです。

帰還量を小さくするために 1GH(GHz の間違いではありません…。ヘンリです)のインダクタンスと 1GF(ガール・フレンドではありません…。ファラッドです)のコンデンサで帰還系を構成しています。これにより帰還量が相当小さくなり、帰還量から計算される増幅率も相当大きな回路になります。

図 9 は図 8 の回路でオープン・ループ・ゲインを AC シミュレーションした結果です。20MHz 程度のトランジション周波数(ゲイン帯域幅)が得られています。-3dB 周波数は 50Hz 付近です。OP アンプに近い特性が得られていることが分かります。

 

超簡易 OP アンプのコレクタ出力の裸インピーダンスを解析する

つづいてこの超簡易 OPアンプのコレクタ出力の裸インピーダンスを得てみましょう。オープン・ループ・ゲインの測定と同じく、出力の裸インピーダンスを測定するために、帰還量を相当小さくして(帰還量から計算される増幅率を相当大きくして)シミュレーションを行います。なお以降に説明するストーリーの理由により、この解析では図 8 の 2pF コレクタ出力容量𝑪𝒐bはゼロにしています。

この図 8 の回路このままでは G2 の超簡易 NPN トランジスタのコレクタ出力の裸インピーダンスを読み取ることができません。この出力インピーダンス測定のシミュレーションでは、図 10 のように 1A の電流𝐼𝐼をコレクタ端子に加えることで、そこで生じた電圧降下𝑉が出力インピーダンス𝑅𝑂と同一になる(インピーダンスなので記号𝑍が正しいとは思いますが、以降では記号𝑅を用いていきます)、というテクニックを用いています。

一応、式で書いておくと

TNJ 100 数式06

繰り返しますが、コレクタ出力容量𝑪𝒐bはゼロにしています。

裸の出力インピーダンスをシミュレーションした結果を図 11 に示します。一定の 6MΩとなっています。これは本来のトランジスタのアーリー効果によるコレクタ出力抵抗𝑟𝐸arly(シミュレーションでは𝑅𝑂 = 6MΩを用いています)に相当するものです。出力インピーダンス、このままでは結構高いですね…。レールto レール出力 OPアンプの出力インピーダンスもこんなに高いものでしょうか。出力インピーダンスが高ければ、(これも位相余裕の解説[7]に詳細は譲りますが)容量性負荷には非常に弱いことになってしまいます。

図 8. 超簡易 OP アンプの 帰還量を相当小さくしてオープン・ループ・ゲインをシミュレーションする回路
図 8. 超簡易 OP アンプの 帰還量を相当小さくしてオープン・ループ・ゲインをシミュレーションする回路
図 9. 図 8 の超簡易 OP アンプのオープン・ループ・ゲインのシミュレーション結果。OP アンプに近い特性が得られている
図 9. 図 8 の超簡易 OP アンプのオープン・ループ・ゲインのシミュレーション結果。OP アンプに近い特性が得られている
図 10. 超簡易 OP アンプの 帰還量を相当小さくして裸の出力インピーダンスをシミュレーションする回路(VOUT の電圧値がそのままインピーダンスになる)。なお Cob = 0pF にしてある
図 10. 超簡易 OP アンプの 帰還量を相当小さくして裸の出力インピーダンスをシミュレーションする回路(VOUT の電圧値がそのままインピーダンスになる)。なお Cob = 0pF にしてある
図 11. 図 10 の回路で超簡易トランジスタの裸の出力インピーダンスをシミュレーションしてみた。均一かつ非常に高い 6MΩになっている!!!大丈夫か???
図 11. 図 10 の回路で超簡易トランジスタの裸の出力インピーダンスをシミュレーションしてみた。均一かつ非常に高い 6MΩになっている!!!大丈夫か???

しかし ADA4177-2 のデータシート[4]を見てみると、「Outputs are stable with capacitive loads of more than 1000 pF with no external compensation.(補償なしで 1000 pF 以上まで安定)」と書いてあるではありませんか!これは一体どういうことでしょうか。

 

さいごに

レール to レール出力 OP アンプは出力振幅を電源レールいっぱいまで振れるという特徴がありますが、一方でその出力はコレクタ出力(エミッタ共通)になっています。

学校や職場の駆け出しのころ習うこととして、そのコレクタ出力インピーダンスが高いということがあり、この理解からレール to レール出力 OP アンプの裸の出力インピーダンスも高いだろうことが推測されます。実際に超簡易 NPN トランジスタ・モデルを用いてシミュレーションしてみると危惧したとおりということが分かりました。「これではレール to レール出力 OP アンプ、役立たずではないか」ということが頭をよぎります。

しかしこの懸念は回路技術により解決(次回以降に示すように完全に解決ではありませんが、「必要十分な範囲で解決している」というところでしょう)されています。

次回、次々回の技術ノートではこのあたりのテクニックについてみていきましょう。

参考文献

[1]探検概要|東京湾アクアライン裏側探検, https://www.umihotaru.com/ait_tanken/about_tours.html

[2]『アクアライン探検隊(特別編)』の「隊員」募集のご案内~探検隊史上初! 人工島「風の塔」を一緒に探検しよう!~,https://www.e-nexco.co.jp/news/activity/2021/1101/00010451.html

[3] シールド機は接合し,トンネルは貫通した -シールドの地中接合,そして開通にむけて-, 鹿島建設株式会社, https://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_1997/tokushu/honbun3j.htm

[4] ADA4177-1/ADA4177-2/ADA4177-4 Datasheet, Analog Devices

[5] OP177 Datasheet, Analog Devices

[6] 大川電子設計; アーリー電圧, http://okawa-denshi.jp/techdoc/3-3-11TRearlyvolt.htm

[7]石井 聡; SPICE ツールで適切な周波数特性と 異常発振しないOP アンプ回路を実 現する 【基礎編】,回路設計 WEB ラボ, WCJ-002, アナログ・デバイセズ, https://www.analog.com/jp/education/landing-pages/003/jp-web-lab/dl-wcj002.html