医療機器の紹介と診療の現場や患者に近い環境における検査の増加傾向
要約
このアプリケーションノートは診療現場や患者に近い環境での医療機器の使用が増えている傾向について解説します。分析機器の代表例(血液ガスアナライザとフローサイトメータ)に焦点をあて、これらの医療機器を持ち運び可能な形状に移項させる場合にきわめて重要となる設計上の考慮事項を説明します。
概要
医療機器には、分析、聴覚(補聴器以外)、歯科、眼科、人工装具、外科などに関係したものがあります。このセクションでは、分析機器の代表例として、血液ガスアナライザとフローサイトメータを取り上げます。分析機器は、医学や生命科学の研究および診断アプリケーションで使用されます。従来、これらの機器は、主に検査室で使用されていました。しかし、診断が中央の検査室から診療の現場に移るにしたがって、分析機器は病院やその他の患者に近い環境で使用されることが多くなっています。
このような傾向によって分析機器の市場は拡大していますが、装置設計者には新たな要求が突き付けられています。
従来とは異なる市場に浸透していくためには、サイズ、消費電力、コスト、使いやすさが決定的な考慮事項になります。これらの機器は、卓上に収まるほど小型であることが必要です。ポータ ブルの場合は、バッテリ駆動用に最適化されている必要があります。さらに、診療の現場で購入することができるほど安価で、複数の検査を実施することができる汎用性によってコスト効率を高めている必要があります。最後に、操作する人は訓練を受けた技術者であるとは限らないため、これらの機器は使いやすくてわかりやすいことが必要です。
マキシムは、この市場に医療グレードのソリューションを幅広く提供しています。マキシムの高度なプロセス技術は、医療機器の設計において、かつてないレベルの精度、集積度、および省電力を実現します。
主な利点
- 高性能の信号経路ソリューションによって機器の要件を超える精度を実現
- 高度な残量測定アルゴリズムと高度な電源管理回路を組み合わせてポータブル機器のバッテリ寿命を延長
- 内蔵監視回路による複数レベルの自己監視によって信頼性を強化
- 革新的なタッチスクリーンコントローラによって、よりわかりやすいユーザインタフェースを実現
- 様々なインタフェースソリューションで複数の接続オプションに対応
血液ガスアナライザ
概要
患者のモニタリングと診断に広く使用されている血液ガスアナライザは、血中の様々な気体を定量化し分析します。これらの機器の動作は、血糖値モニタに似ています(アプリケーションノート4659「血糖値計」を参照)。化学試薬を血液サンプルと混合し、光学センサーまたは電気化学センサーを使用して検査します。血液サンプルの測定値を較正用試薬と比較して結果を算定します。
アプリケーション
血液ガスアナライザは、単純な血液検査に使用されることがよくあります。また、様々な状況で医師が患者の健康状態をモニタすることができる一連の高度な検査にもよく使用されます。臨床診断のほか、血液ガスアナライザは、呼吸療法や診療現場での診断でも使用されるようになっています。これらの市場では、装置の小型化と高度化が要求されます。小型(場合によってはハンドヘルド)で、血糖や電解質の分析など、複数の検査機能を内蔵していることが必要です。こうした検査の汎用性によって装置のコスト効率が高まります。
信号経路
大部分の血液ガスアナライザは、アンプとマルチプレクサを介してアナログ-ディジタルコンバータ(ADC)に導かれる複数のセンサーを備えています。データはマイクロコントローラで処理し、RS-232、USB、またはイーサネットによってPCやその他の機器に接続します。センサーアンプを較正して電極の感度を最大化するために、ディジタル-アナログコンバータ(DAC)を使用することがよくあります。
ディスプレイ
最近の血液ガスアナライザでは、プログラミングのプロセスをわかりやすくするために、タッチスクリーンとグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を組み合わせて使用することが多くなっています。ユーザーの入力に対して視覚的、聴覚的、および触覚的に応答することによって、より操作性の高い設計が可能になります。マキシムの高度なタッチスクリーンコントローラは、触覚型のフィードバック、タッチ処理によるバストラフィックの低減、自律モードによる高精度のジェスチャ認識を実現します。
血液ガスアナライザのシステムブロックダイアグラム。マキシムが推奨する血液ガスアナライザソリューションの一覧については、japan.maximintegrated.com/bgaをご覧ください。
フローサイトメータ
概要
フローサイトメータは、当初は血球をカウントするために使用されていました。今日では、免疫学から幹細胞の研究まで、多様な分野で細胞ベースの様々な分析を行うために使用されています。
カウントする細胞は、まず特定の波長の光に反応して蛍光を発するタンパク質で染色します。これらのタンパク質は、特定の細胞にしか結合しないように設計されています。場合によっては、細胞が蛍光を発する固有のタンパク質を持っているために染色を行わないこともあります。細胞を細孔付きの管に通します。この細孔の大きさは、特定の範囲の大きさの細胞しか通さないように設定されています。これらの細胞は、波長の異なる1~4本のレーザの中を流れます。レーザ光の中を通ると、タンパク質はレーザよりも長い波長の蛍光を発します。
光検出器でこれらの波長を捕捉し、元の光源からの散乱光を測定します。複数の異なる波長を測定することによって、フローサイトメータは細胞の大きさや種類を特定することができます。光検出器の出力を増幅してADCの駆動に使用します。通常は、チャネル当り1つのADCがあります。データはすべてディジタル信号プロセッサ(DSP)で処理し、カウントした細胞の種類を示すヒストグラムを生成します。
細胞はレーザを通過したら、帯電リングによって帯電します。この電荷の量は細胞の種類によって決まります。さらに、偏向板によって細胞を仕分けして別々の検査管に導き、分析を行うことができるようにします。
アプリケーション
ゲノムやプロテオミクスの研究の進展に促され、フローサイトメータは絶えず新しいアプリケーションに用途を広げています。しかし、こうした用途の拡大を可能にするには、より安価にすることが必要です。通常価格が5万ドル~50万ドルの範囲であるフローサイトメータは、多くの診療所にとって依然として高価すぎます。HIV/AIDSの治療にフローサイトメータが必要とされている第三世界の市場においてはなおさらです。
新興市場のニーズに応えるためには、小型化、統合化された診療現場向けの装置が必要です。これらの装置では、より多くのサンプルの処理が可能な高いスループット、検査機能を拡張する複数の色のサポート、自動化機能によるさらなる使いやすさが要求されます。
フローサイトメータのシステムブロックダイアグラム。マキシムが推奨するフローサイトメータソリューションの一覧については、https://www.maximintegrated.com/jp/solutions/flow-cytometry/index.mvp?CMP=selsolnをご覧ください。
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製品
デュアル、自動PWMファンスピードコントローラ付き、2チャネル温度モニタ
プログラマブル分解能1-Wireデジタルサーモメータ
1-Wire寄生電源、周囲温度センサー
18ビットSAR型ADCフロントエンド用、デュアル36Vオペアンプ
36V、高精度、低ノイズ、高帯域アンプ
1GHz、低電力、SOT23、電流フィードバックアンプ、シャットダウン付
低ノイズ、低歪み、1.35GHz、完全差動アンプ
低ノイズ、低歪み、1.35GHz、完全差動アンプ
高ダイナミックレンジ、16ビット、-82dBFSのノイズフロア、100Msps ADC
マルチチャネル、16ビット、200kspsアナログ-デジタルコンバータ
8/4チャネル、±3 x VREFマルチレンジ入力、シリアル16ビットADC
GPIO内蔵、24ビット、シングルチャネル、超低電力、デルタシグマADC
14ビット、95Msps、3.3V ADC
4チャネル、±VREFマルチレンジ入力、シリアル16ビットADC
1.5V~3.6V、312.5ksps、1チャネル真の差動/2チャネルシングルエンド、12ビット、SAR ADC
デュアルチャネル、8ビット、130Msps ADC
10µAシャットダウン付き、16ビット、+5V、200ksps ADC
デュアルチャネル、10ビット、130Msps ADC
マルチチャネル、16ビット、200kspsアナログ-デジタルコンバータ
740MHz、低ノイズ、低歪みオペアンプ、5ピンSOT23
高精度、3線式デジタルサーモメータおよびサーモスタット
1-Wire寄生電力デジタルサーモメータ
1-Wire寄生電力デジタルサーモメータ
高精度デジタル温度計およびサーモスタット
寄生電源デジタルサーモメータ
低電圧、±0.5℃精度デジタル温度計およびサーモスタット
1-Wire周囲温度センサー
製品カテゴリ
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