電子回路の開発において、バイパス・コンデンサは頻繁に必要とされます。図1に示すのは、高電圧から低電圧を生成できるスイッチング・レギュレータです。この種の回路では、バイパス・コンデンサ(CBYP)が特に重要となります。このコンデンサは、デバイスが動作するのに電源電圧が十分安定したものとなるよう、入力パスのスイッチング電流に対応する必要があります。
降圧コンバータの入力コンデンサは、この回路図の重要な経路(ホット・ループ)の一部であるため、CBYPは寄生インダクタンスができる限り小さくなるように接続する必要があります。このため、このコンデンサの配置は重要です。図2の左側に、あまり有効でない配置を示します。バイパス・コンデンサに細いパターンが配線されています。電圧コンバータに流入する電流も、バイパス・コンデンサから直接流れるわけではありません。バイパス・コンデンサは、追加された細い電極に接続されているだけです。このため、コンデンサの寄生インダクタンスが増加し、その有効性が低下してしまいます。バイパス・コンデンサの有効性が非常に高くなる推奨レイアウトを図2の右側に示します。この接続では、寄生インダクタンスはわずかしかありません。スイッチング・レギュレータなど、サポートされる部品のピンアウトがボード・レイアウトの選択に影響することもわかります。図2の右側では、左側の好ましくない例に比べ、VINピンとGNDピンの距離が近くなっています。このため、バイパス・コンデンサと集積回路間のループ面積が小さくなります。
バイパス・コンデンサは寄生インダクタンスを可能な限り小さくして接続する必要があるため、スイッチング・レギュレータと同じ基板側に配置することを推奨します。ただし、バイパス・コンデンサを使用したデカップリングが基板の底面でのみ可能なアプリケーションもあります。大型のデカップリング・コンデンサ用に十分なスペースを確保できない場合がその一例です。このような場合、ビアを使用してコンデンサを接続します。ただし残念なことに、ビアには数ナノヘンリーの寄生インダクタンスがあります。この接続インピーダンスをできるだけ小さく抑えたい場合は、図3に示すような様々な接続法が考えられます。
バージョンAには、特段の利点はありません。ここでは、ビアとバイパス・コンデンサの間に細いパターンが用いられています。サポートするパスが基板の反対側のどの部分を通るかによって、その実際上の空間配置も寄生インダクタンスを増加させる原因となり得ます。バージョンBでは、ビアがバイパス・コンデンサに大きく近づくことから、非常に望ましい接続となっています。また、2つのビアは平行に並んでいます。これによって、接続の総インダクタンスを低減できます。バージョンCは、接続のループ面積を極めて小さくできるため寄生インダクタンスを極小に抑えられる、非常に優れた接続です。ただし、極めて小型のバイパス・コンデンサと低コストの製造プロセスを用いる場合、コンポーネントの下にビアを設けることは不可能であるか、許容されません。
バージョンDは、興味深い接続です。特定のセラミック・バイパス・コンデンサをどのように設計するかによって、基板に対して横方向に接続することでパスの寄生インダクタンスが最小になることがあります。
バイパス・コンデンサの基板上の配置は、このコンポーネントの有効性を最大限に発揮する上で極めて重要です。ここでは、寄生インダクタンスを最小限に抑えることが不可欠です。最適な接続では、図2に示すように、サポート対象の回路と同じ基板側を使用します。バイパス・コンデンサを基板の裏面に接続することが必要とされる特別な場合は、図3のB、C、Dに示すような、寄生インダクタンスを最小に抑えた接続を選択してください。