要約
ほとんどの車載電子システムは、過電圧、逆接続バッテリ、および過渡的なノイズに対する保護を必要としています。これらの目的にアクティブプロテクタを使用することによって、電力消費、動作電圧リミットの最適化、部品コストの削減、自己消費電流の低減などの面で、大きな優位性が実現します。このアプリケーションノートでは、伝統的な保護回路に対しアクティブ保護回路のメリットについて詳述します。
はじめに
自動車の内部および外部で発生する様々な電子的および電磁的障害は、車載電子機器に危害を及ぼす可能性があります。性能を劣化させ、誤動作の原因となり、電子デバイスを破壊する場合さえあります。大きな障害(大きな正および負の過電圧と過渡的なノイズ)の大半は、自動車の電子システム自体の中で発生するか、または人間の(誤った)介入によって外部の発生源から電子システムに印加されます。
自動車の内部で発生する過渡電圧
自動車内の回路網では、ワイヤハーネスを通して電子制御ユニット(ECU)が相互接続されています。ほとんどのECUはカーバッテリによって、直接またはイグニッションスイッチを経由して給電されます。正常な動作が行われている間にも電子的障害と高周波作用が発生する可能性があり、伝導および容量性または誘導性結合によって、ワイヤリングハーネスを通してボード上の電子装置に伝播します。障害電圧の発生源には、イグニッションシステム、オルタネータ、負荷スイッチング、スイッチバウンス、および「ロードダンプ」作用(動作中に電源から切断されたDCモータによって生成される電圧)が含まれます。
これらのサージの中で最も強烈なものが、いわゆる「ロードダンプパルス」です(図1)。この過渡的な電圧は、エンジンの動作中に、オルタネータがバッテリを充電している状態で、接続の不良または偶発的にバッテリの導通が絶たれたときに発生します。この過渡的な電圧の大きさは、切断の瞬間におけるオルタネータの回転速度と磁界の励磁強度によって決まります。このサージは、継続時間が数百ミリ秒、レベルが100Vを超える場合があり、半導体回路にとって致命的となる可能性があります。
ジャンプスタート、冷機始動、およびバッテリ逆接続
もう1つの危険性として、ジャンプスタート時に印加される「ダブルバッテリ」電圧があります。つまり、24Vの回路システムを持つ別の車のバッテリとブースターケーブルで接続した場合、24Vのバッテリを使って12Vのシステムを始動させる結果になります。特に、気温が低いときに半充電のバッテリを使って、エンジンオイルが非常に高粘度になっている状態でエンジンをかけるという状況を考えてください。エンジンを始動させるためには、スタータがより大きなトルクを提供しなければならず、そのためにはバッテリからより多くの電流を得る必要があります。この大きな電流負荷が原因で、電源電圧に短時間の「落込み」が生じます。この落込みによって、電圧が公称値の12Vから5V未満に低下する可能性があります。この電圧低下は数十ミリ秒にわたって続く場合があり、電子システムが一時的に動作を停止する原因になります(図2)。エンジンが始動すると、電圧は公称値に戻ります。
その他に車載エレクトロニクスが耐えなければならない危険として、電子システムへのバッテリの接続を誤ったときに発生するバッテリ極性の反転(たとえば-14V)があります。
不適切な電力レベルに対する保護
前述の障害によって、不適切な電圧に対する保護の必要が生じます。分析の結果、ロードダンプパルスが最も大きなエネルギーの障害であることが分かっています。このパルスによる破壊から電子モジュールを保護するために、現在は2種類の保護方式が使用されています。
- オルタネータですべてのモジュールに対して中央集中的に電圧クランプを行う(セントラル負荷ダンプ抑制、図1b)。
- 各ECUに保護回路を設ける。
しかし、短い正負の過渡やバッテリ逆接などのような、より低エネルギーの、局所的に発生するその他のパルスに対する保護のために、いずれにしても二次的な抑制が必要になります。それらのパルスは、小型大容量のコンデンサ、逆極性のダイオード、または直列インダクタンスと過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオードまたはバリスタの組み合わせによって、通常はボードのレベルでのみフィルタされます。
中央集中的なロードダンプ抑制は、通常はオルタネータ内部のクランプ回路(ダイオード)によって実現されます。この方法は、ロードダンプのエネルギーを吸収し、完全なジャンプスタート電圧に耐えるように設計されます。したがって、発生する可能性のある最大のジャンプスタート電圧よりもクランプ電圧を高く設定します。この場合でも、車の電圧は最大で36Vに達する可能性があります。
自動車の電気系がセントラルロードダンプ保護を備えていない場合は、ロードダンプパルスに対する局所的な保護を含んでいる必要があります。局所的な保護は、通常はECUに内蔵された保護回路によって、接続端子のすぐ先の位置で行われます。そうした保護が自動車内部の多数の箇所で必要であり、したがって数多くの部品が必要になるため、必然的に合計漏れ電流と全体的コストに影響します。オンボードロードダンプ保護は、通常はTVSダイオード(ツェナーダイオードに類似)、バリスタ、および抑制フィルタを電源端子に接続することによって実現されます。
伝統的なオンボード保護を示すさまざまな回路の例を以下で示します。
標準的な過電圧抑制デバイス
いくつかのデバイスがボードレベルで過電圧をクランプすることができます。
TVSダイオード
ブレークダウン電圧を超えるすべての過電圧を抑制するためのクランプ用デバイスとして、アバランシェダイオード(ツェナーダイオードに酷似、図3)が使用されます。著しく高いエネルギー吸収能力が、過電圧スパイクおよびロードダンプから電子回路を保護します。これらのダイオードは、極めて高速なスイッチオン時間と、低速なスイッチオフ時間を特徴としています。アバランシェダイオードは、バリスタなど他の一般的な過電圧保護部品よりも速く過電圧に反応することができます。経時変化や過渡の印加回数に伴って性能が劣化することもありません。ブレークダウン電圧に近づくと、アバランシェ抑制ダイオードは大きな漏れ電流を示します。一般にこれらのダイオードは、Transil®、TransZorb®、または単にTVSダイオードと呼ばれます。
バリスタ
バリスタとは、電圧依存性抵抗(VDR)のことです。バリスタは、正負対称、非直線性の抵抗素子であり、特定の電圧から上で抵抗値が突然減少します(図4)。正負両方の電圧をクランプする場合、バリスタはバックトゥバック接続した2個のツェナーダイオードに似た挙動を示します。小さなサイズと低コストでありながら、高レベルの電流とエネルギーを扱うことができますが、印加される電圧がクランプ電圧に近づくにつれて、相対的に高い漏れ電流を示すようになります。クランプ電圧も、印加される電圧に伴って大幅に増大します。バリスタは、繰り返してサージに晒されることで劣化し、TVSダイオードに比べて「クランプ電圧」が高く反応時間が大幅に遅いのが一般的です。
ディスクリート保護回路
敏感な回路を保護するための単純でコスト効率に優れた方法として、TVSダイオードとコンデンサの組み合わせのようなクランプを負荷と並列に接続し、その前にヒューズを入れるという方法があります(図5)。この回路は、TVSダイオード(D1)のブレークダウン電圧を上回る過渡的な過電圧および負荷ダンプ電圧からECUを保護します。高エネルギーの負の過渡的な電圧または定常的な逆電圧に晒されると、TVSに順方向のバイアスがかかり、負電圧を順バイアス電圧(たとえば-1V)に制限することによって、ダウンストリームの回路を保護します。リレーやソレノイドスイッチによって誘導されるものなど、繰り返し発生する低エネルギーの負の過渡的な電圧は、コンデンサ(ClowE)によってフィルタされます。負または正の過電圧が持続する場合には、ヒューズが切れることになります。
自動車のヒューズボックス内またはアクセス不能なECU内のヒューズ交換を不要にし、ECUの継続的動作を保証するためには、直列に保護を追加するなどのような、他の手法を採用する必要があります。図6の回路は、逆バッテリ状態(D2)およびTVSダイオード(D1)のブレークダウン電圧を上回る正負両方の衝撃過電圧(ロードダンプおよび過渡的な低い電圧エネルギー)からECUを保護します。D2については、発生する可能性のある最大の負の過渡的な電圧よりも大きなピーク逆電圧を選択する必要があることに注意してください。
サイズが小さく、低コストであり、高いエネルギー吸収能力を備えていることから、基板スペースが重視されダウンストリームの回路が正負の過電圧に対する若干の耐性を備えているアプリケーションでは、多くの場合バリスタが使用されます。図7の回路は、バリスタのブレークダウン電圧を上回る過電圧パルス(正および負の過渡)からダウンストリームの回路を保護します。コンデンサは低エネルギーの正および負の過渡のフィルタに役立ちます。
ディスクリート保護回路のメリットとデメリット
前述のすべての回路には、メリットとデメリットがあります。図5は、TVS、フィルタコンデンサ、およびヒューズだけで構成された単純な過渡保護回路を示しています。しかし、この回路にはいくつかの欠点があります。TVSダイオードのブレークダウン電圧は、発生しうる最も高い定常状態の電圧よりも高くなければならず、これは通常、ジャンプスタート時に印加される(多くの場合26Vより高く1分より長い間続く)ダブルバッテリ電圧になります。不適切なTVSダイオードを使用すると、より低レベルの電圧でTVSが導通を開始し、その結果生じる電力によって破壊されることになります。
VI特性にはブレークダウン電圧から上にあらかじめ定義されたスロープが存在するため、TVSダイオードは特定の内部抵抗を示し、それが原因で、大電流時にクランプ電圧が大幅に増大します。たとえば、28VのTVSダイオード(SMBJ28など)の場合、ロードダンプにダウンストリームの回路が最大45Vに晒されることを許す可能性があります。それだけの電圧に晒されることから、45Vに対する耐性を備えたダウンストリームの回路を使用することが要求されます(図3)。明らかに、この要件によって、自動車の通常動作電圧範囲の上端(一般的には約17V)まで動作すれば良いダウンストリームのECU回路に使用する部品の選択が複雑化します。最後に、半導体やその他のデバイスは高電圧のものほど大型かつ高価であり、ECUのコストを上昇させ貴重な基板スペースを消費することになります。
発生しうる最大の過電圧を可能な限り低く保つためには、発生しうる最も高い定常状態の電圧(たとえばジャンプスタート電圧)にできる限り近いブレークダウン電圧を持つTVSを使用する必要があります。この選択は、ブレークダウン電圧に近い電圧における漏れ電流、さらには自動車の通常動作電圧(12V)における漏れ電流にも影響を与えます。これらの漏れ電流によって、自動車のエンジンが停止しているときの低自己消費電流に関するOEM (original equipment manufacturer)の要件を満たすことがECUの設計者にとってより困難になる可能性があります。
通常動作時、図6のダイオード(D2)は0.7Vを超える電圧降下を示しますが、これは2つの面でデメリットになります。
- 電圧降下は、ある程度の電力消費を意味する。
- ECUの低電圧動作がより困難になる。
自動車のアンチロックブレーキシステムのような大電流アプリケーションの場合、消費電流は容易に10Aを上回ります。たとえば、このシステムでダイオードの電圧降下が1Vなら10Wが消費されることになりますが、限られたサイズの回路基板上でこれを消費することはほぼ不可能です。一部のアプリケーションでは、1個または2個のショットキダイオードを使用ことによってこの問題を緩和することができます。電圧降下を0.5Vと仮定すると、ダブルショットキダイオードの電力消費は負荷電流10A時で5Wになります。しかしこれはまだ高い値であり、設計者は大型のヒートシンクを使用する必要があるかも知れません。
前述のように、ダイオード降下の電圧損失自体も問題になる可能性があります。たとえば14.4Vのオーディオシステムの場合、スピーカの駆動に利用できる電圧を最大化することによって、出力電力が最大になります。そのため、バッテリ逆接続防止ダイオードに起因する電源における1Vの損失は、出力電力における約8.4dBWの損失に相当します(2Ωのブリッジ接続のスピーカの場合)。
周囲温度が低い状態で車のエンジンをかける際に発生する低い電圧レベル(図2)でECUが動作する必要がある場合、電圧のわずかな損失も重大な問題になる可能性があります。低温始動時、入力電圧は5.5V以下であるのが自動車メーカーの仕様では一般的です。バッテリ逆接続防止ダイオードの順方向電圧降下によって、貴重な余裕が消費される可能性があります。たとえば、カーバッテリの電圧がECUの入力コネクタでは5.5Vに低下する場合、バッテリ逆接続防止ダイオードのダイオード降下分として0.7Vを引くと、あとの回路に残される電圧は4.8Vだけになります。
5Vのマイクロコントローラへの給電をドロップアウト電圧500mVのリニアレギュレータで行う場合、マイクロコントローラが受け取るのは4.3Vだけであり、動作の継続には不十分だと思われます。マイクロコントローラがリセットされたり、メモリ内容が失われたり、あるいはECU全体が一時的に動作を停止する原因になる可能性があります。この問題の一例を、GPSナビゲーションシステムに見ることができます。車を始動する前に目的地の座標を入力する場合、その後の低温始動でデータが失われないことが絶対に必要です。
図7のような、バリスタを含んだアプリケーションでは、多くの場合、回路基板のスペースが非常に重要になります。TVSダイオードの場合と同様、バリスタのクランプ電圧も、発生しうる最も高い定常状態のDC電圧に従って選択する必要があります。しかし、ブレークダウン電圧より上におけるバリスタのVI特性の立上りは、TVSダイオードのそれよりもはるかに緩慢です(図4)。そのため、バリスタはTVSダイオードよりもはるかに大きな電圧を後続の回路に渡します。それに応じてダウンストリームの回路を設計する必要があり、部品コスト、パッケージサイズ、および基板スペース消費量の増大が必要になる可能性があります。
クランプ電圧を比較的低いレベルに設定することによって過電圧を最小化すると、通常動作状態での自己消費電流が悪化します。通常動作電圧における自己消費電流は、同等のTVSダイオードのそれより高いのが一般的ですが、その作用は部品の選択に依存します。
アクティブ過渡的な電圧保護による代替案
ディスクリート保護回路には前述のような欠点があるため、アクティブ保護が良い代替案になる可能性があります。低自己消費電流、低電圧動作、逆バッテリおよび過電圧保護、および高い効率を必要とするアプリケーションの場合は、MAX16013/MAX160141などの過電圧保護回路が良い選択肢になります。
これらのデバイスの動作原理は非常に単純です(図8)。これらのICは電源レイル上の入力電圧を監視して、2個の外付けP-FETパススイッチを制御することによって、負荷を障害から遮断します。外付けMOSFETは、5.5Vと上端レイル設定値の間でターンオンします。上端レイルは、SET端子に接続した抵抗分圧器によって(通常は) 20V~28Vの範囲の値に調整可能です。
障害状態の間、FET P2は異なる2種類の動作を行います。第1のモードでは、P2は単に過電圧状態が続く限りオフになっているスイッチとして機能し、それによってダウンストリームのデバイスの高電圧による破損を防ぎます。第2のモードでは、P2は調整可能な過渡サプレッサとして機能して、最大許容過電圧以下に出力電圧を制限します。
調整した電圧スレッショルドを出力電圧が上回ると、内蔵コンパレータがGATE2をVCCに駆動します。監視対象の電圧が過電圧スレッショルドを下回ると、PチャネルMOSFET (P2)が再びオンになります。このプロセスの連続によって、出力の電圧が約5%のウィンドウ内に安定化されます。過電圧の過渡的な間は、出力電圧の安定化が行われます。過電圧イベントの間はMOSFET (P2)が導通し続け、スイッチトリニアモードで動作することによって、過電圧保護の提供とともに連続動作を実現します。
動作モードの選択は、SET端子の抵抗分圧器を入力または出力のいずれかに接続することによって行います。たとえば、MAX16013を過電圧スイッチオフデバイスとして設定するには、抵抗分圧器を負荷ではなくVCCに接続します。しかしMAX16014は、入力電力が一旦オフになるかENがトグルされるまで、MOSFET (P2)をラッチオフ状態に保ちます。MAX16013を長時間にわたって電圧リミッタモードで動作させると、外付けMOSFET両端の電圧降下によって、外付けMOSFETにおける電力消費が増大します。
図8のバッテリ逆接続防止FET (P1、オプショナル)は、図6で提示された直列ダイオードの代わりになるものです。図8では、順方向バイアス状態でP1がオンになって、順方向の電圧降下を最小限にします。負の電圧ではP1がオフになります。EN端子は、P2をオフにして入力を出力から切り離すことによって(図8および9)シャットダウン制御を提供します(注:EN端子への信号は、ホストシステム内の他の監視回路で生成することができます)。こうして、ダウンストリームの回路の自己消費電流が最小限(標準的には20µA未満)に低減される一方で、回路の逆バッテリ保護は維持されます(P1)。
伝統的アプローチに対する優位性を提供するアクティブ高電圧過渡保護
アクティブ過電圧保護は、いくつかの優位性を提供します。
前述のように、ディスクリートの過渡サプレッサ(TVSダイオードまたはバリスタ)は、ブレークダウン電圧が自動車の最も高い定常状態の電圧(通常は約26V)より高い必要があります。負荷ダンプイベント中は、TVSの内部抵抗とVIの立上り特性が原因で、ダウンストリームの回路は一時的にはるかに高い電圧(推定45V)に晒されます。したがって、ダウンストリームのデバイスには、より高い電圧に耐える能力を備えたものを選択する必要があります。この伝統的アプローチとは対照的に、過渡的な電圧アクティブプロテクタは抵抗分圧器で設定したレベル(たとえば26V)に出力電圧を制限し、立上り特性はありません。これらの特長によって、より低コストな(低電圧の)ダウンストリームの部品を使用することが可能になります。
わずか数Jを短時間扱うだけでオーバヒートする通常のサージサプレッサとは対照的に、MAX16013/MAX16014をベースとしたソリューションは、DC過電圧に対する保護を提供します。アプリケーションによっては、通常動作電圧範囲の上限まで動作して、あとはオフにすれば良い場合があります(たとえばオーディオシステムの場合、最大17Vまで動作すれば良いと思われます)。その場合、アクティブプロテクタを使用して、電圧リミッタ/スイッチのスレッショルドをそのレベルに設定することで、ダウンストリームの部品コストをさらに削減することができます。
標準的なバッテリ逆接続防止ダイオードをFETに置き換えることで、順方向バイアスでの電圧降下をmVのレベルに減少させることができます。特に大電流のアプリケーションでは、この置き換えによって電力消費を削減することができ、それによって冷却の必要性が減少してコストの節約につながります。さらに、ダイオードで失われるはずの電力(電圧)が負荷(たとえばスピーカ)に供給されることになります。このようにして、出力電力(性能)の強化を達成することができます。アプリケーションによっては、低いバッテリ電圧で動作して(たとえば自動車の冷機始動など)、しかもバッテリ逆接続保護を維持する必要があります。低い入力電圧で回路の動作を維持するために、アクティブプロテクタの使用による電圧降下の最小化が不可欠な場合があります。
バリスタは、比較的大きな自己消費電流や漏れ電流を示す傾向があり、パルスに晒されることで寿命と精度が大幅に劣化します。バリスタをアクティブプロテクタに置き換えることで、この問題を防ぐことができます。アプリケーションの中には、バッテリレイルに接続されたデバイス内の漏れ電流が原因で自己消費電流が大きいものがあります。それらの場合は、アクティブプロテクタがメインスイッチの機能を果たして、(P2 FETによって)後続のすべての負荷を切り離してスリープモードにすることができます(図9)。
まとめ
アクティブ過電圧プロテクタの使用は、一部のアプリケーションにおいてメリットをもたらします。これらのデバイスは、電力消費の削減、出力電力利得(性能)、低電圧動作(低温始動)、自己消費電流の減少、およびダウンストリーム回路のコスト削減の面で、大きなメリットを提供します。
1関連製品:MAX6397/MAX6398/MAX6399、MAX6495~MAX6499.
同様の記事が、「Auto Electronics Magazine」(Penton Publication発行)の2008年2月号に掲載されています。