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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-AD7280AEDZ ($192.60) AD7280A evaluation board used to evaluate this circuit. Please see "Circuit Evaluation & Test" section for set up information.
  • EVAL-CED1Z ($337.04) Controller board needed to evaluate the this circuit. Please see "Circuit Evaluation & Test" section for connection information.
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD7280A GitHub no-OS Driver Source Code

AD7280A IIO Lithium Ion Battery Monitoring System GitHub Linux Driver Source Code

回路機能とその特長

リチウムイオン(Li-Ion)バッテリ・スタックには多数の単一セルが含まれていますが、バッテリ効率を向上し、バッテリの寿命を延ばすためにはそれらの単一セルを正確にモニターしなければなりません。図1に示した回路の中の6チャンネルデバイス AD7280A は正確な測定データをバッテリ管理コントローラ(BMC)に提供する主要モニターとしの役割を果たします。

AD7280Aには内部±3 ppmリファレンスが内蔵されているので、±1.6 mVのセル電圧測定精度が得られます。ADCの分解能は12ビットで、48セルまでの変換を7μs以内で行う事ができます。

バッテリ管理システム (BMS)の高電圧側に接続されているAD7280Aはデイジーチェーン・インターフェースを備えているので、AD7280Aを8個まで直列接続して48個のLi-Ionセル電圧をモニターする事ができます。スタック(直列接続)の隣接したAD7280の間で直接通信が可能で、絶縁する事なしにデータをスタックの上下に送る事ができます。スタックの最低電位に接続されるAD7280Aマスター・デバイスは、BMCとの通信にSPIインターフェースを使用しますが、この部分だけにBMSの低電圧側を高電圧から保護するために磁気絶縁が要求されます。デジタル・アイソレータ ADuM1201 とDC/DCコンバータ内蔵のアイソレータ ADuM5401 の組み合わせにより、必要とされるコンパクトで、費用対効果の良い、6チャンネル・アイソレーションが実現します。

図1.AD7280Aデイジーチェーン接続と絶縁回路(回路は簡略化されており、接続およびデカプリングのすべては示されてはいません。)

 

回路説明

AD7280Aデイジーチェーン回路は、自分自身の電源をモニターするバッテリ・セルから得ます。ADuM5401には集積化されたDC/DCコンバータが内蔵されていますが、それはADuM1201の高電圧側の電源の供給、AD7280A SPIインターフェースのためのVDRIVE電源の供給、そしてAD7280Aデイジーチェーン回路に対するパワーダウン信号の供給に使用されます。BMSの低電圧側で+5 V電源をロー・レベルに落とすと、アイソレータとAD7280Aチェーン回路の電源はパワーダウンします。同様に、BMCからのPD信号をロー・レベルにすると、 ADG849 スイッチを介して ADuM5401に分配されている低電圧側電源がロー・レベルになり、又アイソレータとAD7280Aデバイスのチェーン回路のハードウエア・パワーダウンを提供します。

ノイズ環境下でデイジーチェーン通信の性能を最適化するために、例えば電磁干渉がある時に、デイジーチェーン信号をプリント回路基板(PCB)の内部層にしてシールドします。シールドは(デイジーチェーンの上位デバイスのVSSピンに接続される)VSS電源プレーンによって上面と下面で行います。図2に上のシールドを含んだEVAL-AD7280AEDZ PCBの最上層を示します。図3にシールドしたデイジーチェーン信号を含む内部層(第2層)を示します。そして下のシールドは図4に示すように第3層で行います。各デイジーチェーン接続には個々の22pFコンデンサが接続され、(データがデイジーチェーンを流れる方向に応じて)上位デバイスのVSSピンか又は低位デバイスのVDDピンに終端されます。 PD CS 、SCLK、SDIとCNVST のデイジーチェーン接続はデータをデイジーチェーンの上位に送ります。そこでこれらのピンの22 pFコンデンサはデイジーチェーンの上位デバイスのVSSに終端されます。

図2.EVAL-AD7280AEDZ PCBの最上層 デイジーチェーン信号のための上方シールドを含みます。

 

SDOloとALERTloのデイジーチェーン接続はデータをデイジーチェーンの下位に送ります。そこでこれらのピンの22 pFコンデンサはデイジーチェーンの下位デバイスのVDDに終端されます。ノイズ環境下で低電位デバイスのVDDと上位デバイスのVSSの2つの電位をできるだけ近い電位に保つために、直接低インピーダンス・パターンを使用して接続します。

図3.EVAL-AD7280AEDZ PCBの第2層 シールドされたデイジーチェーン信号を含みます。

 

図4.EVAL-AD7280AEDZ PCBの第3層 デイジーチェーン信号のための下方シールドを含みます

 

PCBの左側で構成されている低電圧側を覆うように絶縁障壁のグランド・フェンスが使用されています。このフェンスはビアと組み合わせたガード・リングで構成され、基板を通して全層のデジタル・グラウンドに接続されています。回路基板のエッジ(縁)に到達した電源プレーンやグラウンド・プレーン上のノイズは外部に放射する可能性がありますが、このシールド構造によってそのノイズは反射して戻されます。

入力―出力間ダイポール放射も又、グラウンド・プレーン間の間隙を跨いで電流源を駆動する時に発生する可能性があります。これを最小限にするために、絶縁間隙で(重複したシールドを使ってクロスバリア結合を形成するためにグランド・プレーンをPCBの全層に拡張した)連続シールドが使用されます;そして各層の絶縁間隙を最小に保ちます。ちなみにテスト基板で採用している間隙は0.4 mmです。この回路で使用しているADuM5401のようなisoPower® デバイスで放射波を制御する推薦方法に関しては Application Note AN-0971(英語)を参照してください。


テスト結果

回路性能で重要な値は最終的な出力電圧測定の中のノイズの大きさです。

図5はVIN3−VIN2チャンネルについて得られた10,000個の測定サンプルのヒストグラムです。このデータはAD7280評価基板にEVAL-CED1Z コンバータ評価と開発基板を接続して取得されました。設定の詳細はこの回路ノートの"回路の評価とテスト"のセクションに述べられています。

セル電圧をシミュレーションするために電源で駆動する抵抗分割ストリングを使用しました。取得されたコード2675は 標準的なリチウムイオン・セル電圧の代表値3.612 Vを表します。ノイズの影響で主要なビンから外れているコードがわずかな割合ある事に注意してください。

図5.10,000サンプルのコード・ヒストグラム、VIN3 – VIN2チャンネル

 

バリエーション回路

この回路は、優れた安定性と高精度で動作する事が証明されています。絶縁されたチャンネルの他の組み合わせを iCoupler®アイソレーション製品で使用する事ができます。例えば、この回路のように1チャンネル節約してAD7280AのPD信号を駆動するためにVISO出力電源を利用する代わりに、AD7280AへのPD信号に対応する特別な絶縁チャンネルを追加する事ができます。各アイソレータを通過する信号の選択も変更する事ができます。各アイソレータを通過する信号の選択も変更する事ができます。この回路では、4 SPI 信号(SCLK、 CS、SDI、SDO)はADuM5401アイソレータを通過し、CNVSTとALERT信号はADuM1201アイソレータを通過します。

回路の評価とテスト

AD7280A 評価基板には図1に示された回路が使用されています。AD7280A評価基板とテスト方法の詳細についてはEvaluation Board User Guide UG-252(英語)。


必要な装置


AD7280A評価基板をEVAL-CED1Z と一緒に使用する時は、すべての電源(バッテリ接続を除いて)がEVAL-CED1Zから96ウエイ・コネクタを通して提供されます。 基板の出荷時には、ユーザーが EVAL-CED1Z基板といっしょに使用すると想定しています。全ての電源とコントロール信号をEVAL-CED1Zから供給するように適切なリンクがセットされています。

EVAL-CED1Z、AD7280Aと通信するソフトウエアはAD7280A評価基板パッケージと共に提供されます。

EVAL-CED1Z 基板は評価基板に必要なすべての電源を供給します。その電源は入力電圧100 V ~ 240 Vが可能で、世界使用の対応するアダプタを含む、+7 V、15 WのACアダプタから供給されます。電源はEVAL-CED1Zと共に提供されます。

EVAL-CED1ZとPCのUSBポートとの間の接続はEVAL-CED1Zパッケージの一部として提供される標準のUSB 2.0 接続ケーブルを介して行われます。


評価開始にあたって


ハードウエアのセットアップとソフトウエアのインストールに関する完全な詳細はUG-252に含まれています。


機能ブロック図


AD7280A評価基板のブロック図をこの回路ノートとUG-252の中の図1に示します。


セットアップとテスト


基本的なテストのセットアップはEVAL-CED1Zコンバータ評価基板にAD7280A評価基板を接続する事で構成されます。他の唯一必要とする接続はリチウムイオン・バッテリ・スタックの接続です。バッテリ・スタックは高精度DC電源で駆動される抵抗分割でシミュレートできます。